ドライアイ
ドライアイの症状は「目がかわく」だけでなく「目がかすむ」、「まぶしい」、「目が疲れる」、「目が痛い」、「目がゴロゴロする」、「目が赤い」、「涙が出る」、「目ヤニがでる」などさまざまです。
ドライアイの危険因子として、加齢(加齢で、涙の量や性質が低下)、女性、ライフスタイル(長時間画面を見る)、生活環境(低湿度、エアコン下、送風)、コンタクトレンズ装用、喫煙、飲み薬(涙の分泌を減らす作用のある飲み薬)、目薬(防腐剤など)、涙の油を作るマイボーム腺の病気、加齢でできる結膜(白目)の皺、全身の病気(涙腺が免疫の作用で傷つくシェーグレン症候群や関節リウマチなどの膠原病)などがあります。
目の表面は、角膜とよばれる透明の薄い膜で覆われています。角膜は5層構造になっていて、その一番外側にある角膜上皮とよばれる層が、目を外の刺激などから守るバリアの役割を果たしています。角膜上皮は目の最も外側にあるため傷つきやすいという特徴がありますが、新陳代謝が活発で、その傷をすぐに自己修復する能力を備えています。しかし、涙が不足すると修復が追いつかず、目の痛みや充血などの症状が出る場合もあります。
ドライアイになる要因のひとつに、加齢があります。目の表面は涙で覆われており、その涙によって目がうるおった状態になっています。しかし年齢とともに分泌される涙の量が少なくなったり、質が悪くなったりすることで、目に十分な量が行き届かず、乾きやすくなります。
涙は、油、水、ムチンという3つの成分からなる3層構造をしています。最も外側で空気に触れているのは油層で、外側に油の膜を作ることで涙の蒸発を防いでいます。しかし、この油の分泌量も年齢とともに減ったり、油の質が悪くなったりして、油の膜が正しく作られなくなって水が蒸発しやすくなっていきます。年齢とともにドライアイの症状が出やすくなるのは、このように涙の量が減ったり、涙の質が悪くなったりすることでさらに蒸発しやすくなることが原因です。
目の表面にある涙は、まばたきによって目の全体に行き渡る仕組みになっています。しかし、画面を注視するVDT作業では、まばたきが不完全(上瞼と下瞼をしっかり閉瞼しないまばたき)となってしまったり、まばたきの回数が通常の1/4程度まで減ってしまうため、目全体に涙が行き渡らず、乾燥した状態になりやすいのです。パソコンやスマートフォンなどを使って仕事をしている人のうち、ドライアイの疑いがある人の割合は非常に高いと言われています。現代では、VDT作業は仕事をする上で必須に近いものとなっており、VDT作業に従事する人は増加傾向にあります。
コンタクトレンズにはハードレンズとソフトレンズがありますが、水分を含んでいるソフトレンズのほうがドライアイのリスクが高いといわれています。ソフトレンズは、長時間の装用でレンズが乾くと、涙を吸い取って失った水分を補おうとする性質があります。含水率が高いコンタクトレンズほど、蒸発する水分も多く、その分吸い取る涙の量も多くなるため、目が乾きやすくなります。ドライアイを心配している方はコンタクトレンズを選ぶ際に含水率にも気をつけてみてください。また、コンタクトレンズを汚れたまま装用したり、使用期間を過ぎて使い続けたりした場合にも、目が傷ついたり涙のバランスが崩れやすくなります。コンタクトレンズは、使用方法を守って正しく装用しましょう。
上述の通り涙には油層があり、その油はまつげの付け根付近にあるマイボーム腺から分泌されています。マイボーム腺は上下両目をあわせると100本ほどありますが、アイメイクでふさがれてしまったり、汚れが詰まったりしてうまく分泌されなくなることがあります。油は涙の蒸発を防ぐ役割を持っているため、油の分泌量が不十分だったり、油の質が悪いと涙が蒸発しやすくなり、目が乾燥してしまうのです。
漢方と鍼灸
まずはまばたきの回数が極端に減っているなど問診で聞き取り、原因を見つけ対策することを一緒にみつけていくことが大切です。加齢による涙の量の減少は陰虚(うるおい不足)傾向なので目を潤す漢方や食養生が必要です。水をめぐらす通り道が塞がれている場合はそこを通す漢方が必要ですね。目の周りの筋肉が緊張している場合、自律神経を緩める漢方だったり、ホットタオルで血流を良くしたり、目の周りのツボの刺激などもいいでしょう。
鍼灸の場合、角膜の乾燥部位の波長を取って経絡に落とし込んで究極のツボの鍼灸治療をしていきます。