麦粒腫(ものもらい)
ものもらいとは、まぶたにある脂腺(脂の分泌腺)や汗腺(汗の分泌腺)に細菌感染が生じる病気のことです。“ものもらい”の語源は、“ものをもらうと治る”という江戸時代の民間療法からとされています。医学的には麦粒腫とも呼ばれ、その名のとおりまぶたに麦のような大きさのしこりが形成されます。しこりは痛みや発赤、腫れを伴い、重症な場合にはまぶた全体が赤く腫れることもあります。目の違和感や物の見え方の異常といった症状が現れることもありますが、数日でしこりが自然に破れて内部にたまった膿うみが排出されると回復していきます。一方で、重症化した場合はしこりを切って膿を排出させる治療が必要になることもあります。
特に、まぶたの深いところで発症する内麦粒腫は外麦粒腫に比べて症状が強く現れ、まぶた全体が赤く腫れ上がることも少なくありません。また、発熱や悪寒といった全身症状を伴うこともあるとされています。さらに、ものもらいを発症すると目のゴロゴロとした違和感や目の充血、流涙、まぶしさを感じるといった症状が現れることも多く、重症な場合には目を開けることができなくなることも多々あります。ものもらいは、まぶたの縁に存在するツァイス腺(まつ毛の毛根にある脂腺)、モル腺(汗腺)、マイボーム腺(涙の蒸発を防ぐ脂腺)に細菌感染が生じることによって発症する病気です。一般的に、まぶたの浅い部分にあるツァイス腺やモル腺に発生したものを“外麦粒腫”、まぶたの深い部位にあるマイボーム腺に発生したものを“内麦粒腫”と呼びます。
根本的な原因は細菌感染によるものですが、多くは黄色ブドウ球菌など皮膚に潜んでいるありふれた細菌によって引き起こされます。それらの細菌が付着した手で目をこすったり、それらの細菌で汚れたコンタクトレンズを使用したりすることで、汗腺やまつ毛の毛根、マイボーム腺などに細菌が入り込んで発症するのです。さらに、ものもらいは風邪をひいたり疲れがたまったりしているなど免疫力が低下しがちなときに発症しやすいのも特徴の1つです。
漢方と鍼灸
抗菌作用の漢方、炎症をとる漢方、膿を排出する漢方、免疫力を高める漢方などを用います。患部の波長をとり経絡に落とし込んで治療していきます。