腹鳴
お腹がぐるぐる鳴る現象は「腹鳴」と呼ばれており、消化管中の空気が腸の蠕動運動によって狭窄した管腔を通るときに生じる音と考えられています。特に空腹時は、消化管の蠕動運動が強くなります。これらの現象は、胃腸の働きを調整している「モチリン」(十二指腸から分泌されるホルモン)の血中濃度が上昇することで、胃が収縮するためと考えられています。お腹がぐるぐる鳴りやすい人の特徴は次の通りです。長時間座って作業する人は、胃腸が圧迫されている状態が長く、体内の空気が滞りやすい状態です。また、冷え症の人は、腸内にガスが溜まりやすくなり、お腹が鳴る場合があります。水を沢山取る人または水の代謝が悪い人、早食い(食べ物を良く噛まずに早く食べてしまう人)、脂質の多い食生活を送っている人、アルコールを過剰に摂取している人、香辛料等の刺激物を好む人、運動不足の人、便秘の人は腹鳴になりやすいですね。食後、空腹、牛乳やヨーグルトの摂取、冷たい飲み物・刺激の強い香辛料の摂取、生理、妊娠中という場合は、心配する必要はありません。食後の胃は、食べた物を消化するためにモゾモゾと動き続けます。消化が行われて胃内が空の状態になると、次は強い収縮が起こり、お腹が鳴る場合があります。(食後期収縮)空腹時にお腹が鳴る原因は、胃が強く収縮するためです。(空腹時収縮)空腹時収縮が起こると、胃内の水分、空気、食品の残りカス等が拡販されて音が出る場合があります。発泡性のある炭酸飲料や小麦を使った食品(パン、麺 等)はガスが発生しやすいとも言われています。また、調理の過程で重曹を使ったものも、ガスが発生しやすいです。さらに、空気と食べた物が混合したものが小腸を通過する際にも音が出る場合もあります。牛乳やヨーグルトを摂取するとお腹がぐるぐる、ごろごろする場合、乳糖不耐の可能性があります。“乳糖不耐”とは、乳糖を分解するラクターゼという酵素が減少し、機能が低下するため、乳糖が消化されない状態をいいます。そのため、腸から吸収されずにガスが発生し、お腹が鳴ると考えられています。乳糖不耐は、先天的なものと後天的なもの両者あります。冷たい飲み物や刺激の強い香辛料を摂取した場合、腸に刺激が加わり活動が活性化されて、お腹が鳴る場合があります。
また、アルコールも腸に刺激を与え、お腹が鳴ることもありますが、どちらかというとアルコールの場合は、腸に刺激を与えすぎて下したり、ガス(おなら)が多くなったりします。生理が始まるとプロスタグランジンの分泌により子宮が収縮を起こし、下腹部痛を伴う下痢が起こりやすい状態になります。下痢を起こすと、体内の有害物質をいち早く排泄しようとすごい速さで収縮するため、お腹が鳴る場合があるようです。腸内ガスの動きや脈動によるものと考えられています。妊娠すると、血液循環が良好になるため、妊娠前よりも脈動を感じる場合が多いようです。また、腸の蠕動運動が低下している場合、ガスを体外へと排泄できずに溜まってしまい、お腹が鳴るケースもあります。
次のような症状が出る場合は、注意が必要です。下痢や便秘を伴う、吐き気がある・気持ち悪い、おならの臭いが気になる場合は検査をしてもらいましょう。ストレスが溜まっている通常の下痢、便秘と区別するポイントはストレスが原因、腹部症状が現れる(下痢、便秘、お腹が鳴る、お腹が張る、腹痛、おならが多い等)、排便すると症状が軽減するまた、食中毒等の細菌性腸炎やノロウイル感染症等の場合には吐き気や嘔吐を伴う場合があります。腸が動き出す際に、お腹がぐるぐる鳴るような痛みが生じて、下痢症状やガスが出る等が起こる場合もあります。消化吸収時にお腹が鳴る場合、腸内でガスが生じている可能性があります。腸内にガス(空気)が生じていると、消化された物が腸を通過する際に音が鳴ります。また、食事等と一緒に空気も飲み込んでしまうとゲップやお腹の中のガスも増えてしまいます(呑気症)。胃腸は自律神経により機能しています。そのため、疲労過多や精神的・身体的ストレス過多、生活習慣の乱れ等があると腸の動きも乱れ、腹部に悪影響が生じる場合があります。お腹がぐるぐるしているときは、腹持ちが良い食品を食べる、お腹をマッサージするといった対処法を試してみましょう。腹持ちが良い食品(脂質が多いものや食物繊維が多いもの)を食べると消化管の中に長く留まるため、管腔が狭くなりにくくなり、腹鳴を抑制できる場合があります。手を握ってグーにして、おへそ周りに円を描くようにゆっくりマッサージするのもいいでしょう。
漢方と鍼灸
気血水の物差しから気虚は蠕動運動の低下、気滞はガスの発生、お血は血行不良による蠕動運動不足、血虚は腸の潤い不足、水の過剰は腹鳴の発生、軟便や下痢、水の不足は便秘となります。また自律神経の乱れは腸の動きの乱れに連動しやすいのです。便秘や下痢のツボ、自律神経のツボ、既往の病気のツボの波長から経絡に落とし込んで漢方、食養生、ツボを選択します。