動脈瘤
動脈瘤とは、動脈(心臓から全身に血液を送る血管)の一部の壁が薄くなり、薄くなったところがこぶのように膨らんだ状態です。こぶの壁は薄いため、圧が掛かると破裂して血液が漏れ出し、それ以降の臓器に送られる血液が少なくなります。全身のどの血管にもできる可能性がありますが、脳・心臓などの重要な臓器や大動脈にできた動脈瘤が破れた場合には、大出血を引き起こし、死に至る危険性が高くなるため注意が必要です。動脈瘤の形成には、血管が固くなる動脈硬化やけが、血管炎(血管の炎症)で血管が傷つくことなどが関係していると考えられています。また、遺伝的に血管が弱いことも関与している場合があります。血圧が高いと血管の壁に掛かる力が大きくなります。血管が脆くなると、高い圧力に対応することができなくなり、徐々に血管が広がり、やがて動脈瘤が形成されるようになるのです。そのため、動脈瘤は血管の枝分かれ部分や物理的に力が掛かる部位にできやすいといわれています。動脈瘤だからといって必ず症状があるわけではなく、何も症状が現れないことも少なくありません。しかし、動脈瘤のできる位置や大きさによっては、さまざまな症状が現れることもあります。脳の血管にできる脳動脈瘤は目を動かす神経(動眼神経)の近くにできるため、大きくなると神経を圧迫するようになります。その影響で眼球の動きが制限されるため目の位置がずれ、物が二つに見えたり、まぶたが垂れて瞳が大きく開いたままになったりする場合もあります。また、脳動脈瘤が破裂して出血した場合にはくも膜下出血となり、頭痛・意識障害などを引き起こします。しかし、脳動脈瘤であれば必ず症状があるわけではなく、無症状のこともあります。胸部や腹部の大動脈という太い血管に大動脈瘤ができると、鈍い痛みを感じる場合もありますが、無症状のことも少なくありません。破裂すると強い痛みと共に大量の血液が体内に噴き出し、それ以降の血流がなくなるため、ショック状態になって意識を失い、死に至ることもあります。また、目の奥にある網膜に網膜細動脈瘤ができて破裂すると、眼球内部のスペースに血液が舞い飛ぶため、目の前を虫が飛んでいるように見えること(飛蚊症)があります。心臓の血管にできる冠動脈瘤は、川崎病など血管の炎症が起こった後、血管の壁が弱くなってできる場合が少なくありません。そのため、川崎病にかかった場合には、心臓のエコー検査や冠動脈造影(血管にカテーテルという管を入れ、管から造影剤を噴射して血管の内腔の形を見る検査)、CTやMRIを行って動脈瘤がないか検査します。網膜の動脈瘤は、人間ドックなどの眼底写真で見つかる場合もあり、眼科で眼底検査を受けて偶然発見される場合もあります。糖尿病を発症していると毛細血管瘤ができやすいため、症状がなくても定期的に眼底検査を行います。破裂して硝子体出血となり、手術で血液を取り除いて初めて見つかる場合もあります。
漢方と鍼灸
止血作用、血管壁を丈夫にする、血液の粘度の改善、圧力の低下がポイントです。各疾患で異常血管の波長から経絡に落とし込んで漢方、食養生、ツボを選択します。