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更年期障害

① 更年期障害とは

 更年期とは“生殖期(性成熟期)と非生殖期(老年期)の間の移行期のことで、卵巣機能が減退し始め、消失するまでの時期”をいいます。だいたい閉経前後の10年間の事を言います。
 不規則な排卵になり、様々な症状があらわれます。症状は、月経が不規則になる、顔や体がほてる、気分が落ち込む、眠れないなどです。

② 主な症状

 女性の人生に大きな影響を及ぼすホルモンは、卵巣から分泌される「エストロゲン」という女性ホルモンです。このホルモンは、30代後半以降に徐々に減っていき、40代後半から更年期に入ると急激に減少し、閉経直前は乱降下します。閉経後にはなんと男性よりも低い値で一定になります。
 このような「エストロゲン」の分泌量の低下に伴い、女性の心身も変わっていきます。更年期障害の症状には、ほてり・のぼせ、頭痛・肩こり、イライラ、うつ状態、不眠、関節痛、尿トラブルなどがあります。

③ 重大な病気と区別することが大切

 更年期の症状は、体・心に様々な形で現れます。ただ、その症状が本当に更年期によるものなのか、それとも別の病気によるものなのか、なかなか見分けがつかないことがあります。毎年の健康診断を受けることも大切になります。
 更年期と見分けがつきにくい病気に「甲状腺疾患」があります。甲状腺ホルモンが多くなると、ほてり・異常発汗・動機などがあります。

④ 食事

 更年期はエネルギーや脂質、骨の代謝が変化する時期になります。摂取エネルギーが過剰になったり、栄養が不足しがちになったりして、心身のバランスを崩しやすくなります。これまでの食生活を振り返って、朝食抜きや糖質たっぷりの菓子パン、寝る前の高カロリーな食事は控えて、三食バランスよく食べましょう。
 ポイントは、糖質・タンパク質・脂質をバランスよくとり、緑黄色野菜やきのこなどで、不足しがちな食物繊維やビタミン・ミネラルを補う食事です。

⑤ 漢方での更年期障害の考え方

 漢方では、体全体のバランスを大切にして、病気や症状の改善を進めていきます。体全体のバランスが調ってくれば、体調が安定し、女性ホルモンの変化に対しても振り回されることなく過ごしていけます。
 漢方では、女性の体は7の倍数の年齢で変化していくと考えます。49歳前後で更年期が始まり、体調が変化していくと思います。

⑥漢方と鍼灸

 更年期障害の反応穴、女性ホルモン全体を見る反応穴から漢方食養生ツボを選択し治療していきます。

⑦症例

 42歳 不正出血が続いて受診 検査結果で女性ホルモンがかなり低下しています。ホルモン補充療法を薦められる。しかし漢方を希望されご来店 漢方と動物生薬を併用し一か月後、体調は良く不正出血もすぐ止まりましたとご報告いただきました。

・加味逍遥散(柴胡・芍薬・甘草・当帰・白朮・茯苓・生姜・薄荷・牡丹皮・山梔子)『和剤局方』
月経異常があり、体が熱くなったり、寒くなったりするような方に使われます。
・桂枝茯苓丸(桂枝・茯苓・牡丹皮・桃仁・芍薬)『金匱要略』
お血を減らしていきます。
・温経湯(呉茱萸・当帰・川芎・芍薬・人参・桂枝・阿膠・生姜・牡丹皮・甘草・半夏・麦門冬)『金匱要略』
・加減八物湯(当帰・川芎・芍薬・地黄・人参・白朮・茯苓・山薬・杜仲・香附子・甘草・鳥梅・大棗・生姜)『万病回春』
・升麻黄連湯(升麻・葛根・芍薬・川芎・薄荷葉・荊芥・蒼朮・黄連・黄芩・犀角・白芷・甘草)『万病回春』
・大七気湯(三稜・我朮・青皮・陳皮・藿香・気虚・桂枝・益智・甘草・香附子)『厳氏済生方』
・釣藤散(釣藤鈎・橘皮・半夏・麦門冬・茯苓・人参・菊花・防風・甘草・石膏・生姜)『普済本事方』
・当帰活血湯(当帰・芍薬・川芎・牡丹皮・香附子・烏薬・枳殻・青皮・桂皮・乾姜・甘草・桃仁・紅花)『万病回春』
・当帰芍薬散(当帰・川芎・芍薬・白朮・茯苓・沢瀉)『金匱要略』
・女神散(当帰・川芎・桂枝・白朮・木香・黄芩・黄連・人参・甘草・香附子・大黄・檳榔・丁香)『浅田家方』
・如神散(黄柏・胡椒・塩・葛粉)『森田幸門』
・人参当芍散(当帰・芍薬・川芎・人参・白朮・茯苓・桂枝・甘草・沢瀉)『長倉音蔵』
・苓桂甘棗湯(茯苓・桂枝・甘草・大棗)『傷寒論』
・苓桂五味甘草湯(茯苓・桂枝・甘草・五味子)『金匱要略』
など(薬局製剤以外も含む)