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自己免疫性胃炎(A型胃炎)

 自己免疫性胃炎(A型胃炎)は、自己免疫的機序により胃底腺領域の高度粘膜萎縮を認め,ビタミンB12や鉄などの吸収障害が起こり,神経内分泌腫瘍や胃癌を合併することがあります。胃底腺領域の萎縮が内視鏡や生検組織などで認められ,抗壁細胞抗体や抗内因子抗体が陽性となり,ガストリン値が高値,ビタミンB12が低値となります。
 慢性胃炎はA型胃炎とB型胃炎の二つに分けられています。A型胃炎の特徴は,胃幽門前庭部の粘膜が正常で、抗壁細胞抗体が陽性になります。胃体部にびまん性炎症がみられること,胃酸分泌が高度に障害されます。B型胃炎の特徴は,胃幽門前庭部にも炎症を認めること,抗壁細胞抗体が陰性であること,胃体部に巣状の炎症がみられること,胃酸分泌が中等度に障害されます。現在,A型胃炎は自己免疫性胃炎(A型胃炎)に,B型胃炎は,Helicobacter pylori(ピロリ菌)感染による慢性胃炎になります。
 自己免疫性胃炎は,無症状のまま緩徐な進行を示し,病後期に出現する症状も非特異的なため,診断されていない症例が多いようです。以前は,北欧の高齢女性に多い疾患と考えられていましたが,人種差や年齢差はないと考えられています。他の自己免疫疾患と同じように,女性の頻度が高いです。また,1型糖尿病や自己免疫性甲状腺疾患では,自己免疫性胃炎発生率は5-10倍高くなるなど,他の自己免疫疾患との合併が多いです。
 H+/K+-ATPaseに対する自己免疫反応が起こり,壁細胞が破壊されて酸分泌粘膜の機能が低下します。壁細胞が存在する胃底腺領域の高度萎縮および腸上皮化生が起こりますが,幽門腺領域の萎縮は起こらないことが特徴です。
 壁細胞の破壊により胃酸および内因子の分泌が低下します。胃酸分泌の低下により,胃幽門前庭部に存在するG細胞からガストリン分泌が増加します。鉄吸収には胃酸が重要ですが,胃酸分泌が低下することにより,鉄吸収が障害され,鉄欠乏性貧血を呈します。高ガストリン血症によりECL細胞が刺激され,その過形成から神経内分泌腫瘍が発生します。内因子分泌低下および抗内因子抗体によりビタミンB12の吸収が阻害され,ビタミンB12欠乏症状になります。ビタミンB12欠乏により,巨赤芽球性貧血などの血液学的および神経学的な異常がおこりやすくなります。また,慢性炎症により胃癌の危険度は約3倍となります。
自己免疫性胃炎自体の自覚症状はなく,胃粘膜萎縮が高度になり,胃酸分泌低下やビタミンB12などの吸収障害による症状をきたすまで,長期間にわたり無症状なことが多いです。

漢方と鍼灸

 免疫が深く関係していることから、ストレス、自律神経のバランスも影響していると考えられます。自己免疫、自律神経、胃の調子、ストレスなどの反応穴から経絡に落とし込んで漢方ツボなどを探していきます。