本文へ

 

低血糖

 低血糖とは、体の異常外的な要因によって血糖値が必要量以下の値になっている状態をいいます。低血糖では代謝を十分に行えなくなるため、さまざまな異常が生じます。代謝とは、ヒトの体を構成する細胞において、糖分(グルコース)を利用して活動に必要なエネルギーを作り出す活動のことです。低血糖の影響をもっとも受けるのは、代謝の材料に糖分しか使うことができない脳で、血糖値が50 mg/dl未満になると脳がエネルギー不足に陥り意識障害やけいれんなどが生じます。低血糖は極度の栄養不足でも生じますが、発症頻度がもっとも多いのは糖尿病の患者が用いる血糖降下薬やインスリンによる低血糖です。低血糖は放置してしまうと重大な後遺症が残ることもある危険な状態です。しかし糖分を投与すればすぐに治るため、この状態に対する正しい理解が重要になります。低血糖の原因は、大きく分けて3つあり、摂食障害や消化管の吸収障害、またはアルコール中毒などで食事摂取量が不十分であると、血糖値が低くなることがあります。また糖尿病の治療で処方される薬剤には血糖値を下げる作用があるため、薬の効き方や食事の取り方によっては過剰に血糖値が低下してしまうことがあります。また治療のために用いるインスリンによっても、過度に血糖値が低下してしまうことがあります。3つ目は、内分泌系の異常や肝臓の異常で、もともと体内には血糖値を維持するためのホルモンや仕組みが備わっていて、血糖値を下げるインスリンは膵臓のβ細胞から、また血糖値を上げるホルモン(グルカゴン・アドレナリン)は膵臓のα細胞下垂体副腎などから分泌されています。血糖値が70 mg/dl以下になると、血糖値を上げるホルモンが分泌され、そのホルモンの作用により、主に肝臓の細胞に蓄えられているグリコーゲンが分解されて血糖値を上げます。グリコーゲンはグルコース(糖)がたくさんつながってできた物質です。上記の仕組みに異常が生じると、低血糖が引き起こされます。たとえば、インスリンをつくる膵臓の細胞が腫瘍化してしまうと(インスリノーマ)、過剰にインスリンが分泌されてしまい低血糖に陥ります。また、肝硬変などのように肝臓の細胞が正常に働かなくなると、血糖値を上げるホルモンの値が高くなっても肝臓はうまく反応できず、血糖値を上げられなくなり低血糖を起こすことがあります。低血糖を起こすと、血糖値を上げようとして交感神経が活発になり、アドレナリンなどのホルモンが大量に分泌されるようになります。交感神経が活発になると、吐き気、気分不快、不機嫌、発汗、動悸(心臓がどきどきする)、ふるえなどの症状を起こします。さらに、視覚の異常、意識障害、けいれんなどが起こることもあり、重症例では死に至ることもあります。低血糖を疑う場合、まず血液検査で血糖値が70 mg/dl以下か70 mg/dl以上でも血糖値がいつもより急激かつ大幅に低下していることを確認します。応急処置として糖分を取らせるか、点滴で糖分を静脈内投与して低血糖状態を解消したのち、尿検査(24時間尿をためる)でCペプチドと呼ばれる、体内で作られるインスリンの一部の量を調べます。血液検査では、インスリン、プロインスリン、Cペプチドを測定すると同時に、一般的な肝機能や腎機能を確認します。画像検査では、膵臓に病変がみられないかどうか、重度の肝硬変がみられないかどうか調べます。そのほか、ブドウ糖負荷試験(OGTT)や72時間の絶食試験を行うこともあります。OGTTとは、糖分を摂取した後の血糖値の変化をみる試験です。低血糖を起こした場合、まず栄養ドリンクなど糖度の高い飲み物を飲ませる、もしくは点滴で高濃度のグルコースを投与する、といった応急処置をして、低血糖状態を解消します。このとき、アルコール中毒によって栄養が不足している状態や、妊娠中である場合には、ビタミンB1欠乏症も起こしていることを考慮し、ビタミンB1を一緒に投与することがあります。このように低血糖状態を解消したうえで、どうして低血糖を起こしたのか原因を調べ、それぞれの原因に対する治療を行います。栄養不足による低血糖では生活習慣の見直しなどを家族も交えて行います。血糖降下薬によるものに対しては、主治医に報告したうえで処方内容の見直しを依頼します。特にSU薬と呼ばれる従来の糖尿病治療薬では低血糖発作を生じることが多いため、DPP-4阻害薬など他の低血糖を起こしにくい薬剤への変更を依頼することがあります。インスリノーマなどの膵臓腫瘍がある場合には、手術で腫瘍を摘出します。以上が西洋医学の取り組みになります。

漢方と鍼灸

 まずは原因を探ることでしょう。東洋医学的な物差しで証を決定します。ストレスによる精神疲労、肉体疲労、副腎疲労、ダイエットによる副反応、糖尿病薬の副作用など問診を深く進めていき、四診、臓腑経絡、八綱、糸練功による百会診、深浅診、手掌診、反応穴・臓器診などをみていき適切な漢方ツボ食養生を見つけます。