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黄斑変性症・加齢黄斑変性症

 よく眼をカメラに例えると、レンズに相当するのが角膜・水晶体、フィルムに相当するのが網膜です。網膜には視細胞(光を感じる細胞)があって、網膜中心部に密集していて、周辺部ではまばらです。この「網膜中心部で視細胞が密集している場所」のことを「黄斑」「黄斑部」と 呼んでいます。人間は何かものを見ようとする時はいつも黄斑にピントを合わせています。視力が1.0とか1.2とか言っているのは黄斑の働きを示しています。網膜は黄斑以外でも光を感じますが、黄斑から少しずれると相当ぼんやりとしか見えません。普通の視力に換算すると0.04程度です。目を正面に向けた時に横のほうに本を差し出せば、目を動かさなくてもぼんやりと見えます。でも表紙に書いてある文字は読めません。これが黄斑以外の網膜 の見え方です。字を読み取るためには目線をそちらに向ける必要があります。黄斑に焦点を結ぶように目を動かしているのです。視力は黄斑の働きで決まってし まいます。黄斑に異常があると視力はたちまち低下します。逆に黄斑以外の網膜にトラブルが起きていても視力には影響がありません。
黄斑の病気はたくさんあります。それぞれ違う病気で原因も異なりますが、視力を出す中心部で起きる病気という 共通点があるため、いずれも「視力が低下する」「見ようとする部位が歪んだり暗くなったりして見えづらい」という症状があります。 

 一般に加齢黄斑変性は黄斑部の後ろの脈絡膜に新生血管という異常血管が発生し、黄斑部を障害する病気です。加齢黄斑変性は、欧米人に多く日本人に少ないタイプの萎縮型と、日本人に多い、滲出型に分類されます。
 萎縮型加齢黄斑変性は、黄斑部の視細胞がゆっくりやられてゆく病気ですが、滲出型加齢黄斑変性は、「脈絡膜新生血管」という異常血管が突然発生し活動化することによります。この新生血管は、とてももろく破れやすく、また漏れやすいため出血や滲出(血液の中の液体の成分が組織にもれること)により網膜の視細胞が障害されます。
突然見えなくなる病気で、進行が速く、治療を躊躇していると、深刻な網膜の障害を残してしまう病気です。

前駆病変(前段階)

 網膜の下のブルック膜にドルーゼンという垢のような塊があったり、網膜色素上皮にシミのうような色がついたりしているのが特徴。

萎縮型

 網膜色素上皮細胞やその周辺組織が萎縮し黄斑部の視細胞が死滅していきます 進行は遅く10~20年かけて萎縮し、現在のところ有効な治療法はありません 萎縮型でも途中で浸出型に変わることがあります。

浸出型

 網膜の外側にある脈絡膜の毛細血管から、通常は存在しない新生血管が増殖していきます。新生血管は網膜組織を押し上げ、網膜色素上皮を突き破って伸びるうえに、構造がもろくて出血したり、血液成分が染み出したりして黄斑部の機能を阻害します。日本人に多く進行が速いのが特徴です。

特殊型

ポリープ状脈絡膜血管症

 発生した新生血管の先端がポリープのうように丸く膨らんでいるタイプで浸出型の40%前後を占めています。ポリープ部分が破れて大出血を起こすことがあります。

網膜血管腫状増殖

 網膜内に小さな血管が出来て膨らみ、脈絡膜から生じた新生血管と結合してしまうタイプです。進行が速く治療が困難で、高齢者に多い特徴があります。

漢方と鍼灸

・出血をとめる漢方と水分代謝をよくし老廃物を流す漢方と抗酸化作用が強い食品を食養生として摂っていただきます。
鍼灸治療は目に関係する経絡の中からその方にとって究極のツボを見つけ治療します。

※症例は個人情報を特定できないよう年齢・性別と主訴も書いてあります。
【症例】75歳、物が歪んで見えるので眼科を受診、注射を一年間打っていたが改善せずご来店。漢方を出して約一か月後、検査を受けると「治っています」「不思議ですね」と言われたそうです。
【症例】70歳 視力も下がり歪んで見える。以前漢方を飲んでみたことがある。視力は少し改善したが見え方は良くならなかった。骨髄炎を治してもらったので今度は目もやってもらえないかとご相談を受ける。3か月目から歪みがとれてきてはっきり見えるようになってきたと報告を受け今も継続中。

煎じ

苓桂朮甘湯(茯苓・桂枝・甘草・白朮)『傷寒論』
結膜炎に伴う炎症性の浮腫みなどに使われます。
小柴胡湯(柴胡・黄芩・人参・半夏・甘草・生姜・大棗)『傷寒論』
体質改善の目的で使わることが多いです。
桂枝茯苓丸(桂枝・茯苓・牡丹皮・桃仁・芍薬)『金匱要略』
瘀血があり、経過の長引くときに使われます。
桃核承気湯(桃仁・大黄・甘草・芒硝・桂枝)『傷寒論』
など(薬局製剤以外も含む)