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パーキンソン病・パーキンソン症候群・本態性振戦

 パーキンソン病とは中脳の黒質のドパミン産生細胞が減少することにより、パーキンソン病の4大症状である寡動(動きが遅く少なくなる)、筋強剛(筋肉が固くなる)、振戦(ふるえ)、姿勢調節障害などの症状をきたす疾患です。上記のような運動症状に加えて、非運動症状として、便秘や起立性低血圧などの自律神経障害、むずむず脚症候群、嗅覚障害、抑うつや幻視などの精神症状を合併することも知られており、しばしば運動症状の前駆症状として出現します。日本での有病率は10万人に対して100〜300人程度です。

 同様の症状を呈しながら、別の病因に関連している疾患をまとめてパーキンソン症候群と呼んでいますが、原因として脳血管性パーキンソニズム、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症などの変性疾患以外の疾患もありますが、特定疾患に認定されているのは進行性核上麻痺 、大脳皮質基底核変性症(大脳皮質基底核症候群)、多系統萎縮症です。

 脳は心身の状態をコントロールする総合司令塔です。
脳が出す指令は「神経伝達物質」によって次から次へと伝言ゲームの様につたえられ、運動したり、いろいろな感覚を感じたりします。
パーキンソン病では、神経伝達物質のうち黒質という部位にある「ドパミン」が減少することにより、うまく運動ができなくなります。α-シヌクレインというタンパク質の異常蓄積により、中脳黒質の神経細胞が少しずつ減少し、その機能が失われてくると考えられています。

具体的症状

 振戦は座って何もしていない時や寝ている時に、手足が小刻みに震えます。動いたり、何かしようとするときには、震えが止まることが多いのが特徴です。パーキンソン病の最も代表的な症状です。ちなみに区別が必要なものに本態性振戦があります。これははっきりした原因がないにもかかわらず、手や頭などが不随意に(意のままにならずに)震える病気のことです。基本的にふるえ以外の症状はありません。多くの場合、安静にしているときにはふるえは生じませんが、何らかの動作をしている最中や、ある一定の姿勢をとったときにふるえが現れます。本態性振戦は精神的な緊張が高まったときに増強することが多く、疲れやストレスなどがたまったときにも悪化しやすくなる傾向があります。また、本態性振戦は家族内で発症するケースが多いとされており、遺伝的要素が関係している可能性も考えられています。
 筋固縮は筋肉がこわばり、身体がスムーズに動かなくなります。歯車のように規則的な動きになる場合を歯車現象、こわばりが続く場合を鉛管(えんかん)現象と呼びます。
寡動・無動は素早い動作ができなくなります。動きが小さくなり、歩いているときにもほとんど手を振らなくなります。一度にいくつもの動作をしようとすると、さらに動きが鈍くなります。
 姿勢反射障害は立っているとき、軽く押されるとバランスを崩してしまいます。バランスを崩すと元に戻しづらくなり、転んでしまうことがあります。これは進行すると出てくる症状です。

パーキンソン病のその他の症状

• 歩行障害
 o 前かがみの姿勢で小刻みにすり足で歩く
 o 歩き出しの一歩が踏み出せない(すくみ足)
 o 歩いているとだんだんスピードが速まる(加速歩行) など

• 姿勢の異常
 o 腰が曲がる
 o ななめに傾いてしまう
 o 首が下がる など

• 無表情
 o まばたきが減る
 o 表情がなくなる「仮面様顔貌」 など

• 嚥下障害
 o 食べ物が飲み込みにくくなる

• 字の変化
 o 字が小さくなる、ふるえる
 o 字を書いているうちにだんだん小さくなる

自律神経の異常

• 便秘
 o 初期からあらわれ、90%以上の患者さんにみられる

• 起立性低血圧
 o 立ちくらみ など

• 排尿障害
 o 夜間に何度もトイレに起きる
 o 尿が漏れてしまう など

精神・認知の異常

• うつ状態
 o 不眠
 o 何をしても楽しくない など

• 認知症
 o 計画をたてることがおっくうになる など

感覚の異常

• 幻覚・妄想
 o ないものが見える(幻覚)
 o 根拠のない思い込み(妄想) など

• 痛み・しびれ
 o 関節痛、筋肉痛
 o 手足のしびれや痛み など

• 嗅覚の低下
 o においが鈍くなる

睡眠障害

• 中途覚醒
 o 朝起きるときの筋肉の痛みやこわばり

漢方と鍼灸

 漢方は脳の神経の伝達をよくするもの、血液脳関門を通過できるもの、血流改善するものなどを選んでいきます。鍼灸も脳に働くツボを選択します。