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手掌多汗症

 幼少児期あるいは思春期頃に発症し、精神的緊張によって手のひらに多量の発汗を認める病気です。多汗症は全身の発汗量が増える“全身性多汗症”と、体の一部に限って発汗量が増える“局所性多汗症”に分類され、手掌多汗症は局所性多汗症に含まれます。症状が現れる部位として、手のひらのほかに足裏、頭部・顔面、腋わきなどがあります。手のひらと併せて足裏に多汗症が生じることも多く、手のひらと足裏に限って発汗するものを掌蹠多汗症と呼びます。

 手掌多汗症の主な原因は、精神的緊張によるものといわれています。どのようにして起こるかについてはまだはっきりと分かっていませんが、発汗を司る交感神経がほかの人よりも過敏に反応しやすいのではないかと考えられています。また、近年は家族内での発症が報告され、一部の患者には何らかの遺伝子が関係している可能性が指摘されています

 例えば大勢の前で話す時、手に汗を握るという言葉があるように緊張によって交感神経が興奮し手に汗をかきます。精神的な緊張が強い時や物を持つ時などに、一時的に両方の手のひらに多量の汗を認めます。症状が重い場合には時にしたたるほどの発汗がみられ、手のひらが常に湿って指先が冷たくなり、紫色になることがあります。発汗量は日中に多く、寝ているときには発汗しないのが特徴です。季節による発汗量の変動もみられ、寒い時期には発汗量が減少し、暑い時期には発汗量が増加する傾向にあります。また手のひらに多量の汗をかくことで書類に汗染みができる、握手の際に相手に不快感を与えるのではないかと感じる、したたる汗で電気機器が破損するなど日常生活に大きな支障をきたします。これによってQOL(生活の質)が低下するばかりか不安症(不安障害)や対人恐怖症になる人もいます。

漢方と鍼灸

 精神的緊張があると気は上昇したり逆流したりします。緊張をほぐす漢方、気の上昇を抑える漢方など体質によって漢方も違いますので問診が必要です。鍼灸も自律神経の緊張具合を見るツボから経絡に落とし込んで治療していきます。緊張して答案用紙がぐしょぐしょになって破れてしまう相談をうけ良くなった例があります。