ハンチントン病
ハンチントン病とは、第4染色体に局在するハンチンチン遺伝子(HTT)の変異によって、不随意運動などの運動症状、精神症状、行動異常、認知障害が現れる遺伝性の神経変性疾患です。このような症状は、運動機能や認知機能などをつかさどる脳の大脳基底核や大脳皮質が萎縮することで生じ、突然発症した後ゆっくりと進行していきます。
主に成人になってから発症し、30歳代に多い傾向がありますが、小児期に発症することもあれば高齢期になって発症することもあります。20歳以下に発症するものは若年型ハンチントン病と呼ばれ、その割合は全体の10%程度とされています。日本におけるハンチントン病の頻度は100万人あたり7人程度と非常にまれな病気です。現在のところ根治的な治療法はなく、国の難病に指定されています。
ハンチントン病では、脳の大脳基底核や大脳皮質が萎縮することによって、不随意運動をはじめとする運動症状、性格変化や行動変化などの精神症状が現れ、徐々に認知障害も出てくるようになります。
運動症状は舞踏運動と呼ばれる不随意運動です。これは自分の意思とは無関係に体が動いてしまう不随意運動の一種で、手先が不規則に動く、首を動かす、しかめ面をする、頻繁にまばたきをする、舌打ちをするなどの症状が現れます。お箸を使う、字を書くなどの細かい動作がしにくくなることも多く、また同じ動作を続けるのが難しくなるために物を落とす、転ぶなどの症状もみられます。発症初期には、一見落ち着きがないように周囲から見られることが多いです。病気が進行するとあらゆる動作がしにくくなって、歩く、食べる、話すなどの動作も困難になっていき、日常生活に介助が必要な状態となります。
精神症状としては、怒りっぽくなる、不機嫌になる、感情が不安定になるなどの性格変化、何かにこだわって同じことを繰り返すといった行動変化がみられることがあります。
意欲の低下、幻覚、妄想、うつ状態、不眠などの症状が現れることもあり、衝動的に自殺を図ろうとする場合もあります。
認知障害においては、アルツハイマー病などの病気と異なり、ハンチントン病では物忘れや記憶障害が軽い場合がほとんどで、記憶障害よりも注意力や遂行能力の低下が表立ちます。
漢方と鍼灸
難病指定ですが、病名にとらわれないで証をとらえていくことが東洋医学では大切です。鍼灸も脳の異常箇所の波長から経絡に落とし込んでツボを見つけ治療していきます。