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流涙症(涙目)

 涙目の原因としては、涙腺で作られる涙の分泌自体が増加すること、または涙の排出路の一部が阻害されることが考えられます。涙目の一般的な原因には、上気道感染症、アレルギーによるもの(アレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎)、涙道障害もなどがあります。

 その他の原因としてドライアイがあります。これは眼の表面が乾くことでそれに対する反射により涙腺から涙分泌が刺激されることで起こります。また眼球内への異物混入やまつ毛など眼球に対する刺激でも起こります。また鼻涙管という目と鼻をつないでいる通り道が狭くなることでも排出が悪くなり、涙目の原因となります。生まれつき詰まっていると先天性涙道閉塞の診断となります。加齢による変化、年齢とともに白目(結膜)がゆるんでシワができ、そのシワが堤防のようになって涙が外にあふれ出る場合もあります。また白内障の初期の段階や涙の分泌を支配する三叉神経の異常によるもの、一部の抗がん剤の副作用などでも詰まりやすくなり、この場合は後天性涙道狭窄と呼ばれます。また涙嚢の慢性的な感染症などでも涙の分泌が増加されます。

漢方と鍼灸

 まず原因を把握するため問診は必要です。ドライアイが原因なら目を潤す漢方、通り道が塞がっているなら通す漢方、細菌性のものなら抗菌漢方、アレルギー性のものならそちらの漢方となります。鍼灸でも原因となるところの波長をとり経絡に落とし込んで治療していきます。アレルギー体質の方の流涙症に半夏厚朴湯で効いた方がいらっしゃいます。

煎じ

苓桂朮甘湯(茯苓・桂枝・甘草・白朮)『傷寒論』
めまい・頭痛・動悸などがあり、慢性の涙管狭窄などに使われます。
五苓散(猪苓・沢瀉・白朮・茯苓・桂枝)『傷寒論』
のぼせ、吐き気、口が渇いて小便が少なく、涙が出る場合に使われます。
越婢加朮湯(麻黄・石膏・生姜・甘草・白朮・大棗)『金匱要略』
分泌物がでたり、粘膜には異常がなくて冬季に風にあたると流涙が止まらない場合などに使われます。
小青竜湯(麻黄・芍薬・細辛・乾姜・甘草・桂枝・五味子・半夏)『傷寒論』
体内に水気があって、それが体表にあふれ出る時に使われます。
・止涙補肝湯(疾藜子・当帰・熟地黄・川芎・芍薬・木賊・防風・夏枯草)『張氏医通』
など(薬局製剤以外も含む)