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めまい

 耳の奥にある内耳の前庭迷路、そこから脳へとのびる前庭神経、脳内の前庭神経核・前庭小脳、あるいは神経連絡路の障害によって起こるのが、回転性めまいです。「天井や壁、または自分自身がグルグル回っている感覚」、「上下左右に揺れている感覚」、極端な場合には「自分が立っているのか寝ているのかすらわからないような感覚」といったように表現されるめまいです。原因疾患としては、異常脳幹・小脳出血または梗塞、脳腫瘍、メニエール病、良性発作性頭位めまい症などが挙げられます。浮動性めまいは、前頭葉の障害、下肢末梢神経障害、睡眠障害・不安・抑うつ気分などによって起こります。「足下がふわふわする感覚」、「雲の上を歩いているような足が地に着かない感覚」、「頭がボーとしてふらつく感覚」といったように表現されるめまいです。原因疾患としては、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、脳腫瘍、メニエール病、前庭神経炎などが挙げられます。回転性めまいと浮動性めまいの混合型もあるようです。立ち眩みのように目の前が真っ暗になるめまい症状は、脳全体とりわけ脳幹部を灌流する血流が減少するために生じる脳虚血(脳貧血)です。脳循環不全を引き起こすような頭蓋内外動脈狭窄、低血圧、起立性調節障害、血管迷走神経反射、徐脈性不整脈、大動脈弁狭窄症、貧血などに起因します。「急に立ち上がったり、長時間同じ姿勢を取った後に生じる眼前暗黒感」、「目の前がスッーと暗くなるあるいは白くなると同時に意識が遠のくような感覚」といったように表現されます。原因疾患としては、低血圧症、起立性調整障害、心疾患、血管迷走神経反射、脱水、高度の貧血などが挙げられます。また女性特有のPMS(月経前症候群)や月経困難症、更年期障害の症状として起こるめまいもあります。特に更年期の女性は、閉経期前後の約10年間に卵胞ホルモンであるエストロゲンの分泌が急激に減少し、自律神経のバランスが乱れます。それに加えて感覚器官の加齢変化によって、めまいや耳鳴りなどの症状が出やすくなります。更年期のめまいの原因は、動脈硬化、高血圧、メニエール病、突発性難聴など重篤な病気が隠れている場合があります。整形外科的には、頚椎の異常が関係していることもあります。バレリュー症候群などが関与している場合があるので問診では多岐にわたって聞く必要がありますね。

 めまいの60%以上はメニエール病、良性発作性頭位めまい症です。難聴、耳鳴りなどを伴うめまいはメニエール病、頭を動かした時に回転性のめまいが短時間起こるものは、良性発作性頭位めまいが多いようです。めまいの30%程度は、ふわふわする浮動性のめまいや慢性的なめまいが3か月以上続くPPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい)。PPPDは、急なめまいを発症後、急性期症状は改善したにも関わらず、雲の上を歩いているような状態が、3ヵ月以上にわたってほぼ毎日みられる病気です。一般的に3か月以上症状が持続するめまいを慢性めまいといい、その原因としてPPPDが最も多く、約40%を占めると言われています。耳の病気によるめまい(器質的前庭疾患)やうつ病などの精神疾患とは独立した機能性疾患(臓器には何も異常は無いにもかかわらず自覚症状だけがある病態)と考えられています。慢性めまいの原因として、2017年に定義された新しい疾患概念です。平衡感覚は耳(内耳)と目(視覚)、体(足の裏からの体性感覚)からの3つの情報を小脳で統合することにより司られていますがPPPDは、先行するめまいが治った後も、目と体からの2つの情報伝達の乱れが残ることにより起こると考えられています。3カ月以上続く浮動感、不安定感、非回転性めまいが主な症状で、これらの症状が、1)立ったり歩いたりすること、2)体を動かしたり、動かされたりすること(エレベーター、エスカレーター、電車、バスへの乗車など)、3)複雑な模様(色合いや凹凸)や激しい動きのある映像を見ること(大型店舗の陳列棚、細かい書字、映画、スクロール画面、ドローン撮像動画など)、により悪化します。残りの10%程度は脳卒中、脳腫瘍などで頭痛、意識障害、ろれつがまわらない、手足のしびれが伴う症状でこれは急を要します。

漢方と鍼灸

 脳卒中、脳梗塞、くも膜下出血、脳腫瘍などは急を要し、大病院での処置が大前提です。
突発性難聴もすぐステロイド療法を受けた方がいいと思います。
 メニエール病や良性発作性めまい、起立性めまい、低血圧、高血圧によるめまい、更年期障害や女性疾患によるめまい、貧血によるめまい、ストレスによるもの、内耳によるめまい、神経によるものなど病院での治療で良くならない場合、併用したい場合、漢方鍼灸をお試しになられたら如何でしょうか。水をさばくもの、血をながすもの、血を増やすもの、気をめぐらすもの、気を増すもの、東洋医学の治療は複雑ではなくシンプルです。