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一過性脳虚血性発作

 一過性脳虚血発作とは、一時的に脳への血流が低下することでしびれやめまい、運動障害、言語障害など“脳梗塞”と同じ症状を引き起こす病気のことです。症状は通常1時間以内に治まって後遺症や脳梗塞に特有なCT・MRIなどの画像所見を残さないのが特徴ですが、大きな脳梗塞を発症する前兆と考えられており、注意が必要な病気とされています。一過性脳虚血発作を引き起こす原因は大きく分けると、(1)太い血管が動脈硬化(粥状硬化じゅくじょうこうか)によって狭くなった場合・(2)脳を栄養する1mmよりも細い血管(穿通枝)が狭くなる場合・(3)心房細動や弁膜症などにより心臓内に血栓ができて脳の血管に詰まる場合の3つに分類されます。そのため、一過性脳虚血発作が疑われる場合はその原因を特定し、それぞれに合った適切な治療を行うことで脳梗塞の発症を予防することが大切です。

 頸動脈をはじめとした太い血管や穿通枝は、動脈硬化によって狭くなります。そこに血栓(血の塊)ができて詰まったり狭くなったりした場合、またはその血栓の一部が血管の壁から剥がれて下流の脳の細い血管に詰まった場合に発症します。一時的に神経症状が現れますが、血栓が溶けると脳への血流が元に戻るため症状は消失します。心房細動や弁膜症などの心臓の病気によって心臓内で血栓が形成され、脳の血管に流れていくことで発症します。このような心臓の病気が原因で生じる脳梗塞は重症化するケースが多いですが、流れた血栓が小さくすぐに溶ける場合は一過性脳虚血発作を引き起こすことが知られています。脳の太い血管が狭くなったり、塞がったりすることによる血流の低下が根底にあります。一時的に血圧が下がることなどによって脳を栄養する血管の境界領域の血流が悪くなることで発症します。血圧が元に戻ると症状が改善するのが特徴です。これらの症状は5~10分ほど継続して消失するのが一般的で、1時間以内に消失することがほとんどです。しかし、一過性脳虚血発作を発症すると48時間以内に脳梗塞を発症することが多く,発症後90日以内に脳梗塞を発症するリスクは15~20%にも上るとの報告もあるため、発症原因を速やかに精査して治療を開始することが大切です。

漢方と鍼灸

 生活習慣病を見直すことから始めましょう。すでに症状や兆候が出ている方は病院で検査をしてもらいましょう。漢方でできることは血栓を緩やかに溶かしたり、血流を改善したり生活習慣病を良くしたりできます。また出血が怖い方は、血管を丈夫にしたり止血の働きを持っている漢方を上手に使いましょう。