強迫性障害
きわめて強い不安感や不快感(強迫観念)をもち、それを打ち消すための行為(強迫行為)を繰り返す。強迫症の症状を強迫症状といいます。強迫症状は、「強迫観念」と「強迫行為」があり、このふたつが存在して初めて強迫症と診断されます。強迫観念とは、きわめて強い不安感や恐怖感のことです。対象物がない不安や、「手が汚れているのではないかと気になって仕方がない」「家の鍵を閉めたか気になって仕方がない」など、ある特定の対象物に対する不安や恐怖です。強迫行為とは、強迫観念を打ち消すために繰り返し行う行為です。たとえば「手を一日に何十回・何百回も洗う」「会社に行く途中に何度も自宅に戻って施錠の確認をする」などです。普通の人でも不安感はありますが、この疾患では強迫観念・強迫行為によって日常生活に支障が出てしまいます。「施錠の確認で何度も家に帰っていたら会社に行けなかった」などです。さらにこの疾患の特徴は、自分の行動が不合理だという自覚が患者自身にあることです。そのため「自分はおかしい」「周囲から変だと思われてしまう」という恐怖から、行動範囲が非常にせまくなってしまうことがあります。治療には、抗不安薬や抗うつ薬を用いた薬物療法や認知行動療法などの精神療法が有効とされています。
漢方と鍼灸
自律神経のつぼから異常波長をとらえ、経絡に落とし込んで漢方やつぼを導き出します。漢方は病名にたいして出すのではなく、体の症状と体質(証)にたいして出すものです。
・柴胡加竜骨牡蠣湯(桂枝・茯苓・牡蛎・竜骨・柴胡・黄芩・人参・半夏・生姜・大棗・大黄)『傷寒論』
柴胡はイライラや緊張を緩和し、茯苓・竜骨・牡蛎には鎮静作用があります。
・桂枝竜骨牡蛎湯(桂枝・芍薬・生姜・甘草・大棗・竜骨・牡蛎)『金匱要略』
桂枝湯に竜骨と牡蛎が加わった方剤です。竜骨・牡蛎には鎮静作用・抗不安作用があります。
・半夏厚朴湯(半夏・厚朴・紫蘇葉・茯苓・生姜)『金匱要略』
咽喉部に炙った肉片がくっついているように感じる方に使います。厚朴は緊張を緩め、半夏は鎮静作用があります。紫蘇葉は気分を晴れやかにします。
・甘麦大棗湯(甘草・大棗・小麦)『金匱要略』
・延年半夏湯(半夏・生姜・桔梗・呉茱萸・前胡・別甲・枳実・人参・檳榔子)『外台秘要』
・柴胡抑肝湯(蒼朮・柴胡・香附子・神麹・山梔子・牡丹皮・連翹・青皮・川芎・芍薬・地黄・地骨皮・甘草)『寿世保元』
・茯苓補心湯(茯苓・人参・白朮・当帰・地黄・酸棗仁・麦門冬・芍薬・陳皮・黄連・甘草・辰砂・大棗・鳥梅・浮麦)『万病回春』
など(薬局製剤以外も含む