本文へ

 

やせすぎ(るい痩)

 「やせ」とはいうまでもなく体重が減少していることです。ある時点での体重も重要ですが、体重の急激な減少という変化があった場合には、その原因をしっかり考える必要があります。「やせ」が進むと脂肪量が減少するので、骨が突出し褥瘡(じょくそう;床ずれ)などの原因となります。また皮膚が弾力を失い、硬く乾燥し、冷たくなります。髪もパサつき、抜けやすくなります。病的な「やせ」のことを「るい痩」と呼びます。「るい痩」の場合、ベースに低栄養状態があることがほとんどです。低栄養が進むことによって、筋肉量の減少のほかにも倦怠感などの症状や貧血、血圧低下、浮腫、創傷治癒遅延(傷が治りにくくなること)、免疫能の低下などが起こります。 やせの原因は多彩ですが、(1)摂食の不足・障害、(2)消化吸収の障害、(3)内分泌・代謝障害、(4)体外への消失、などに分類することが可能です。高齢者の医療では重要な問題です。高齢者に起こる食事摂取に関する問題は「食べない」ことと「食べられない」ことに分けられます。「食べない」ということは、食欲の低下は訴えずに食物摂取をしない場合です。食物を口元に運んでも摂取しない、あるいは、口腔内に食物を含んでもその先に進めていかず、最終的には、口の外に出してしまう、いわゆる「拒食」の状態もあります。多くの場合、認知症に伴うものであるため、mini-mental state examination (MMSE)などを用いた認知能の評価が参考になります。またダイエットのし過ぎで拒食症になってしまった若い方もやせすぎです。「食べられない」とは、食欲が低下している場合や、食欲はあるものの、嚥下(えんげ:飲みくだすこと)しようとするとむせてしまう、あるいは飲み込んでも通過障害がある場合です。食欲低下を訴える場合は、消化器系の器質的疾患や代謝疾患、抑うつ状態やうつ病などの精神医学的問題の可能性があります。また、服用している薬物との関連を検討する必要もあります。消化管のがんや腸閉塞、慢性膵炎、寄生虫、吸収不良症候群、蛋白漏出性胃腸症など、消化器系の異常で「やせ」が起こることがあります。高齢者は便秘の方が多く下剤を常用されている方も多いと思われますが、行き過ぎた下剤の使用も「やせ」の原因となります。 代謝・内分泌系でやせの原因になるものとしては、血糖がコントロールされていない糖尿病、甲状腺機能亢進症、褐色細胞腫などがあります。またアジソン病などの副腎機能低下による食欲低下も「やせ」の一因となります。慢性の感染症などの消耗性疾患では、エネルギーを消費しやすくなります。身長と体重の比率をみるBMIで18.5を下回ると「低体重」と判定されます。病的な「やせ」である「るい痩(るいそう)」の診断基準は、主に標準体重を20%以上下回ること、もしくは6か月以内に10%以上の体重減少がある場合を指します。

漢方と鍼灸

 摂食の問題、消化吸収の問題、内分泌の問題、慢性感染症などの消耗性の疾患の問題なのかでお勧めする漢方も変わってきます。自律神経、胃腸、膵臓、各種癌、甲状腺、副腎、大腸などの機能が落ちている所を探し経絡に落とし込んで漢方ツボを探し治療していきます。
食事の回数を増やしたり、吸収率を上げるためによく噛む、歯の治療、吸収の良い食材など食養生を含め一緒に考えていきたいですね。