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黄疸

 血液中の赤血球は、ヘモグロビンという物質で酸素や二酸化炭素を運んでいます。血液中で酸素を輸送するヘモグロビンは古くなると脾臓でビリルビンという物質に変換されます。さらにビリルビンは肝臓で代謝を受け、水溶性の抱合型ビリルビンとなって胆汁中に排せつされます。抱合型ビリルビンは黄色から褐色(大便の色のもと)をしており、通常は便として排せつされますが、胆汁の流れ道に何か問題が起こると便に排せつされずに血液中に逆流するため、血液中の抱合型ビリルビンが増加し、全身が黄色くなるのです。

 日本人は黄色人種なので皮膚を見ても少し分かりにくいのですが、眼球結膜(白目)の部分は軽症の黄疸でも黄色が分かりやすい、といわれています。尿も褐色から黒色になるため、泌尿器の病気と思って病院に来る方もいらっしゃいます。皮膚のかゆみを伴うことも多いという特徴もあります。
 患者さん自身は黄疸に気付かず、しばしば家族や職場の同僚から指摘されます。ビリルビンが肝臓で抱合処理される前の黄疸は、赤血球が破壊される溶血性貧血に代表されます。また、遺伝的にビリルビンを分解・排泄できない病態を体質性黄疸といいます。最も頻度の高いのがジルベール症候群で、人口の2~7パーセントといわれています。一般に、肝酵素に異常はなく、間接ビリルビンの上昇が特徴です。通常は無症状で治療の必要はありません。一方で、ビリルビンが肝臓で抱合処理された後の黄疸は以下のものがあります。肝硬変や肝炎に代表される肝実質性黄疸は、肝炎ウイルス、アルコール、薬剤等で肝細胞が障害されビリルビンを胆管に輸送する力が低下し、肝逸脱酵素である血清AST/ALT優位の上昇が見られます。また肝内胆汁うっ滞型黄疸は、血清ALPやγ(ガンマ)GTPが高値になることが多く、急性の場合はアルコール多飲による肝障害が、慢性の場合は原発性胆汁性胆管炎などの病気が知られています。さらに、肝内肝外の胆管が機械的に閉塞された場合は、閉塞性黄疸と呼ばれます。ビリルビンを含む胆汁が便中に排泄されないため白色便となり、腹部超音波検査で肝内胆管の拡張を指摘されます。代表的な病気は、総胆管結石、膵炎(すいえん)、胆管がん、膵頭部がん、十二指腸乳頭部がん、胆嚢がんなどがあります。悪性疾患の場合は、腫瘍が進行した結果によって黄疸が生じるため、多くは進行がんとして発見されます。しかし、進行がんであっても遠隔臓器への転移がなければ外科切除治療の適応となり根治を望むことができます。閉塞性黄疸発症の前兆として、血清γGTPが単独で上昇していることもあり、単なる飲酒のためと決めつけて放置していると治療時期を逸する可能性もあります。一般的に、黄疸は深刻な状態と認識し、気付いた時点で早急に医療機関を受診して適切な検査、治療を受けるよう心掛けてください。

漢方と鍼灸

 総胆管結石、膵炎、胆管がん、膵頭部がん、十二指腸乳頭部がん、胆嚢がん、肝炎、肝硬変、肝臓がんなどで黄疸を発症します。ミカンの食べ過ぎで手が黄色くなるのとは区別が必要です。黄疸は白目も黄色くなります。患部、癌のつぼから波長をとって経絡に落とし込んで漢方食養生ツボを選択して治療いたします。