遊走腎(下垂腎)
腎臓というのは、立ち上がる際に数cm反動で動いたり、呼吸に応じてちょっと上下に動いたりします。一般的に、腎臓は一時的に動いても元のところにすぐに戻ります。しかし、自然なこのような動く範囲をオーバーしてずっと下の方に腎臓が動いた状態を、遊走腎あるいは腎下垂と言います。極端な場合は、腎臓が骨盤の中にまで動いて下がることもあります。特に、遊走腎は、右の腎臓のみによく発症する傾向があります。ほとんどの場合は、腎臓の機能が遊走腎によって悪くなることはありません。しかし、腎臓が下がることによって、膀胱と腎臓を結んでいる尿管が曲がって尿がよく流れなくなれば、腰痛やわき腹痛が起きる場合があります。また、腎臓に繋がっている血管の動脈や静脈などが曲がると、むかつき、食欲不振、嘔吐などの消化器症状、タンパク尿、血尿、高血圧が起きる場合もあります。腎臓は脂肪で周りがサポートされていますが、発育が良くなくて脂肪量が多くなかったり、背筋・腹筋が強くなったりすれば、腎臓をサポートする力が弱くなってよく遊走腎が起きるようになります。そのため、遊走腎が多く現れるのは瘦せた女性の場合です。同じような理由で、遊走腎の場合は、同時に腸下垂、胃下垂が現れることも多くあります。また、腎臓に繋がっている血管や尿管がもともと異常に長い場合は、血管や尿管がねじれたり曲がったりしやすいため、遊走腎が起きやすくなります。遊走腎の症状としては、腰痛、鋭いわき腹や腰の痛みがある(横になれば軽くなる)、むかつき、食欲不振、吐き気がする、たんぱく尿、血尿が出る、あまり尿が出ない、尿が出にくいなどがあります。遊走腎の場合でも、実際には自覚症状が全くない場合がほとんどです。遊走腎の場合は、歩いていたり立っていたりする際には、下に腎臓が動いて腰痛などが悪くなります。しかし、横になっていれば元のところに腎臓が戻って、症状が軽くなります。また、わき腹に触れると腎臓があるところは確認できるので、腎臓があるところが寝ている場合と立っている場合で違っていると遊走腎の可能性があります。尿検査を、たんぱく尿や血尿があるかどうかを調査するために行う場合もあります。診断を正確に行うために、造影剤を静脈に注射してレントゲン撮影をします。
体の中の画像が造影剤によって詳しくはっきりと映るため、遊走腎の状態が分かります。西洋医学の治療法は、保存療法を遊走腎で行う場合は、痩せていれば、腎臓の周りの脂肪を増やして、腎臓を補強したり支えたりします。理学療法というのは、十分に運動機能がない場合に、筋肉などを強くするものです。遊走腎の理学療法は、脂肪組織として腎臓の周囲にあるものを強くするために、背筋や腹筋を強くします。脂肪を付けることが、遊走腎を予防する方法としては大切です。また、いいバランスの食事を摂ることによって、腎臓の周りにある脂肪も多くなります。そのため、ダイエットを過剰にしないで、普段の食事にも注意すると遊走腎を予防することができます。いいバランスの食事を摂っていればそれほど太らなく、食事が偏ると瘦せたり太ったりするため、可能な限りいいバランスの食事になるようにすることが大切です。また、長い時間立ったままの場合はひどい症状になるため、立ったままの姿勢を可能な限り短い時間にすることも一つの予防法になります。仕事などで立ったままの姿勢がどうしても長くなる場合は、できるだけ座るようにして症状が悪くならないようにしましょう。
漢方と鍼灸
下垂を治すのは漢方の得意分野です。代表的な漢方は補中益気湯ですがもっと効かせるものがあります。証に合わせて選択します。腎臓、おなかの状態、舌診、全身状態をよく見て
最後糸錬功を使って漢方、食養生、ツボを選択します。運動や食養生もオーダーメイドです。
食後は少し横になりましょう。