胆嚢癌
肝外胆管がんと同様に、胆道拡張症や膵胆管合流異常がある場合には15パーセントから40パーセント程度と高率に胆嚢がんを生じやすいと言われています。また、胆石と胆嚢がんの因果関係は証明されていませんが、胆嚢がんの患者さんの50パーセントから60パーセント程度は胆石を合併しています。はじめは胆石や胆嚢炎の診断で腹腔鏡下胆嚢摘出術を行い、術後の検査で胆嚢がんと診断されることもあります(偶発胆嚢がん)。偶発胆嚢がんには追加切除が必要となることがあります。胆嚢がんは早期の場合、胆管を閉塞させることがないためほとんどが無症状です。検診や胆石発作の際に偶然発見されたり、胆石症の手術をした際に顕微鏡検査で偶然発見されたりすることが多くあります。一方、高度に進行すると胆管閉塞により黄疸を生じたり、十二指腸や大腸の狭窄により腹痛や嘔吐などを起こしたりすることがあります。肝外胆管がんと同様に、超音波、CT、MRI、そして超音波内視鏡などの精密検査によって診断します。進行がんでは隣接する胆管、肝臓、十二指腸、結腸などに容易に広がっていくため、がんの範囲を正確に診断することが重要です。胆石や胆嚢炎といった術前診断で腹腔鏡下胆嚢摘出術を受けた後、病理検査(顕微鏡で細胞を診断する検査)によって1パーセント前後の割合で胆嚢がんと診断されることがあるとされています。胆石や胆嚢炎が原因となり胆嚢が炎症を起こしていると、手術前に胆嚢がんと正確に診断することは非常に難しくなるためです。このような手術後に判明した偶発胆嚢がんは早期がんで特に追加治療を必要としない場合もあれば、進行がんで追加切除が必要と判断される場合もあります。追加切除は2度目の手術となるため癒着剥離など難しい手術となることもあります。また判明した偶発胆嚢がんの進行度に応じて切除範囲を考慮します。第一選択の治療は手術です。手術が根治の可能性(がんが治る可能性のこと)のある唯一の治療法となります。早期がんでは、多くの場合胆嚢を切除するだけで済みます。胆嚢がんが疑われるものの確定診断ができない場合は、診断と治療を兼ねて腹腔鏡を用いて胆嚢を切除することもあります。一方、進行癌では隣接する肝臓と肝外胆管を合併切除します。また高度に進行している場合、がんの広がりに応じて取り残しがないように、拡大肝葉切除術や膵頭十二指腸切除術、肝膵同時切除術、結腸切除術などを適宜組み合わせて行います。いずれの場合も数週間の入院を要し患者さんの負担が大きな治療となりますが、手術で胆嚢がんを取り除くことができれば、根治の可能性(がんが治る可能性のこと)が高くなります。一方、がんの進行度やお体の状態により手術が不可能と判断される場合は、全身化学療法(抗がん剤)を行います。起こりうる術後合併症は胆汁漏、膵液漏、腹腔内膿瘍、胆管炎、吻合部狭窄です。退院後は通常3か月毎に採血と造影CT検査を行い、再発やその他の不具合がないか確認します。再発予防のための抗がん剤投与をお勧めする場合があります。食生活は、脂肪分の消化吸収が弱くなり下痢を起こす可能性がありますので、下痢をする場合には脂肪分を減らします。アルコール摂取は肝臓の負担となりますので、控えた方が良いでしょう。また、特に注意すべき点は胆管炎による発熱です。胆管炎を放置すると肝臓に膿がたまってしまい、ドレナージが必要となる可能性があります。
漢方と鍼灸
胆石がある方は放置しないでできるだけ脂ものを控えて石を溶かすお茶と漢方の併用ををおすすめいたします。お茶には金銭草やウラジロガシなどありますが、これも個々の相性と量がありまして、合わないと下痢したりします。また胆石・胆砂がある方はお酒を飲んだ翌日下痢や軟便になりやすいので注意しましょう。胆嚢癌を中心に、膵臓、肝臓、脾臓、胃の反応穴をみて漢方、食養生、ツボを選択します。手術、抗がん剤などの副作用で体力、免疫力が落ちないような漢方、食養生をおすすめいたします。