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変形性膝関節症

 変形性膝関節症とは、体重や加齢などの影響から膝の軟骨がすり減り、膝に強い痛みを生じるようになる病気です。女性に発生することが多く加齢、肥満、外傷なども変形性膝関節症の発症に関与していると考えられています。

【変形性膝関節症の分類と症状】

・初期:歩き始めや椅子から立ち上がるとき、または階段の上り下りで痛みを感じる。
・中期:膝の曲げ伸ばしや立ち上がり、歩行時に常に痛みを感じる。膝に水がたまる、腫れるなどの症状が現れる場合がある。
・進行期:膝を動かす度に強い痛みが生じる。立ち上がることができなくなる、正座ができなくなる。

膝は体重負担が大きくかかる部位であり、変形性膝関節症の発症を防ぐためには体重を増やしすぎないようにコントロールすることが重要です。体重60kgの方でも、歩行時は瞬間的に体重の3倍の180kgもの圧力が膝にかかるといわれています。さらに、膝周囲の筋力をしっかりと保持することも、膝への負担を軽減させるためには有効だと考えられています。また、病状が進行すると歩行が困難になることもあり、そのような場合には手術が検討されます。膝関節とは、太ももにあたる大腿骨と脛にあたる脛骨の継ぎ目にある関節で、歩くときに重要な役割を果たします。膝の前方には膝のお皿と呼ばれる膝蓋骨しつがいこつがあり、これら3つの骨から成り立っています。これらの骨同士が互いに直接接触すると、大きな摩擦が生じ骨の摩耗につながってしまいます。膝関節内の骨の表面を覆う軟骨は、この摩擦を防ぎ、スムーズな関節の動きを実現しています。さらに、大腿骨と脛骨の関節面の間には半月板があり、主にクッションの役割を果たします。この半月板は、アワビの刺身のような硬さで、コラーゲン繊維からできています。膝を曲げ伸ばしすると半月板が動き、そのおかげでスムーズに膝を曲げることできます。加齢や肥満、若いころの膝への外傷などが原因となります。日本人はO脚の人が多く、膝の内側に負担がかかります。日本人のO脚は、世界のなかでもかなり独特であるといわれています。脚のすねにあたる脛骨は、ヨーロッパやアメリカなど海外の方は真っすぐであることがほとんどなのですが、日本人は膝から下で曲がっていることが多く、そこには日本人の生活習慣や食生活が関係していると私は考えています。まず、日本人は、畳や床の生活によりふとんの上げ下ろしや、あぐらをかいたり正座をしたりなど膝を大きく曲げることが多く、膝に負担がかかった結果、この病気になりやすいという背景があります。また、これはまだ推測の域を出ませんが、水にも注目しています。日本は島国ということもあり、水道水は主に軟水です。軟水は、カルシウムやマグネシウムの量が少ないといわれています。日頃から軟水を飲んで生活しているために、日本人の骨は軟らかく曲がりやすく、O脚になりやすいのではと思います。半月板も徐々に質が変化して、少しのストレスで切れてしまうこともあります。半月板が切れるとその位置がずれてクッションの役目を果たさなくなり、軟骨が減ってゆく原因ともなります。変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減ることにより慢性炎症や変形が生じ、膝に痛みが現れる病気です。膝の痛みは、加齢や体重によって徐々に進行します。膝関節には体重がかかるので、過度な体重増加は軟骨損傷を進行させる大きな危険因子といえます。膝の軟骨や半月板そのものには感覚神経はないのですが、関節包や滑膜など、主に神経が集中しているところから痛みが発生します。症状としては、膝を動かしたときに生じる膝の痛みがあります。特に、歩行時の最初の数歩や椅子から立ち上がるときに痛むことが多いです。変形性膝関節症の方には、ラテラルスラストという現象が起こることがあります。これは、体重がかかったときに瞬間的に膝がガクッと外側に動く現象をいいます。膝を包んでいる関節包には神経が集まっているので、ラテラルスラストにより関節包が繰り返し引っ張られた結果、さらに痛みが出るという状態になります。病気が進行すると痛みは強くなる傾向にあります。痛みが生じることで自然と関節の可動域も狭くなり、結果、日常生活に大きな影響を及ぼすようになります。変形性膝関節症では炎症反応が生じ、膝に水がたまる(関節水腫)こともあります。通常、人は立ち上がると膝のお皿と呼ばれる膝蓋骨の形がみえますが、関節水腫になると、たまった水のせいで膝のお皿が見えなくなります。また、関節水腫は膝の曲げ伸ばしにも影響します。変形性膝関節症では、病気に関連した膝の痛みなどの症状や、膝のO脚所見、滑膜の炎症反応である関節水腫がみられるかなどを確認します。まずはレントゲン写真で判断します。その後、必要に応じてMRIといった画像検査を行うこともあります。最新の画像検査を行うことによって、軟骨や半月板、靱帯などの損傷具合や骨の変形具合などをより詳細に評価できるようになります。変形性膝関節症で発症した軟骨や半月板の損傷は、2020年現在の医療技術をもってしても完全には元に戻せません。そのため、治療は大きく以下3つのアプローチになります。痛みに対しての対症療法(痛み止めの内服、ヒアルロン酸の関節内注入など)、残された膝関節の機能を最大限活用させるための手術、人工関節に置き換える手術があります。対症療法としては、筋力保持のためのトレーニングやリハビリテーション、適切な装具を利用するといったアプローチも重要です。また外科的な治療法には、主に3つの手術があります。膝に与える影響が小さいものから順番に並べると、以下のようになります。

関節鏡とは、膝の周囲に小さな傷をつけて内視鏡を膝に入れ、膝の内部をきれいにする手術です。これは、膝の内部の掃除と半月板の修復を目的としています。

膝周囲骨切り術は、膝の上または下で骨の形を矯正することで膝の一部に偏ったストレスを改善しようとするものです。変形性膝関節症はO脚があることで症状が増悪しやすいので、骨を矯正することで膝周囲の骨の荷重を調整します。

人工関節に置き換える手術は、合併症や置換後の日常生活やスポーツ活動などへの制限も生じることがあるため、病気がかなり進行している人に対して実施されます。膝関節はなくなってしまう手術であるため、実施には十分な検討が必要でしょう。

漢方と鍼灸

 関節包や滑膜の炎症や関節に溜まった水腫を取ることがまず大事ですね。軟骨の再生は難しいと言われていますが、相性のいいものは完全に戻らないですが痛みも取れ、歩けるようになる可能性があります。また靱帯の弾力強化にエラスチンペプチドがあります。日々膝周りの筋力をつけることも大事です。女性は閉経してから女性ホルモン減少により骨粗しょう症や骨の変形が顕著になってきます。そのケアも大切です。悪くなった膝関節から最適な漢方食養生サプリツボを選択し治療していきます。

【症例】56歳 階段を降りるとき痛みがでるご相談漢方をお出しして1か月、痛みが減ってきて3か月後痛くなくなったそうです。
【症例】70歳 長時間歩くと膝が痛くてつらいというご相談漢方を飲み始めて1週間。痛みが大分軽減。継続中。
【症例】83歳 膝に水が溜まって抜くけれどまた溜まってしまう。漢方を3種類飲んでもらう。水は溜まらなくなり痛みも軽減し喜ばれる。
※症例多数