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ぶどう膜炎(サルコイドーシス・フォークト・小柳・原田病・ベーチェット病・急性前部ぶどう膜炎・HTLV-1関連ぶどう膜炎・Fuchs(フックス)虹彩異色性虹彩毛様体炎など)

 ぶどう膜とは、眼球内の組織のうち、虹彩、毛様体、脈絡膜の3つをまとめた名称で、ぶどう膜とその周囲の組織に炎症が起こる病気をぶどう膜炎といいます。全体としては女性の患者のほうがやや多く、40歳代~60歳代に多く発症しますが、これらは原因となる病気によっても異なります。ぶどう膜炎の3大原因としてサルコイドーシス、原田病(フォークト・小柳・原田病)、ベーチェット病が挙げられます。サルコイドーシスでは20〜30歳代と50〜60歳代の女性に多く、原田病では女性にやや多く、ベーチェット病では20~40歳代の男性において目の症状が現れることが多いといわれています。発症すると目の充血や痛み、目がかすむ、光がまぶしい、ものが見えにくいなどの症状が現れます。また、ぶどう膜炎にはさまざまな病気が合併しやすく、これに伴って重篤な視力障害につながる場合もあるため、早期診断・早期治療が大切です。治療は薬物療法が中心となります。主に副腎皮質ステロイド点眼薬や散瞳薬が使用されますが、感染性の場合は抗ウイルス薬や抗菌薬など原因微生物に効果のある薬も使用されます。合併症がある場合などは目の手術が必要になることもあります。ぶどう膜炎の原因として特に多いのが、サルコイドーシス、原田病、ベーチェット病の3つで、いずれも自己免疫疾患に分類されます。自己免疫疾患は本来自分の体を守るはずの免疫系が正常に機能しなくなり、自分の体を攻撃してしまう病気を指しますが、詳細な原因はまだはっきりと分かっていません。

サルコイドーシス

 肉芽腫という、炎症によって出来る炎症細胞の塊のようなものが全身の臓器、特に肺と眼に出来て様々な障害を引き起こす病気です。ぶどう膜炎の原因疾患として最も多いものです。ぶどう膜炎は前眼部の激しい炎症から硝子体の混濁、網膜血管炎まで、眼球全体に様々な所見を呈します。眼所見からサルコイドーシスが疑われる場合には肺に病変がないかレントゲン写真で検査したり、他に血液検査やツベルクリンの検査を行います。完全に原因はわかっておらず、厚生労働省の特定疾患に指定されています。

Vogt-小柳—原田病

 メラノサイトという色素細胞に対する自己免疫疾患です。免疫というのは本来、外界から入ってきた異物を排除するために私たちが持っている機構ですが、これが誤って自分のものに対して攻撃してしまうのが自己免疫疾患です。この病気は自己の持つメラノサイトを誤って攻撃してしまうために起こります。典型的には風邪様症状があった後に急激な視力低下やゆがんで見える症状が起こります。眼所見からこの病気が疑われる場合には血液検査に加えて髄液検査が必要です。血液検査では白血球のタイプを調べるHLA検査が診断の助けとなります。この病気の人はHLA-DR4いう型を持っている場合がほとんどであることがわかっています。

ベーチェット病

口内炎や皮膚の紅斑といった、全身の炎症が悪くなったり良くなったりを繰り返す病気です。ぶどう膜炎も発作的に炎症が出ては一旦よくなり、またしばらくして炎症発作を起こすという特徴があります。炎症発作を繰り返すことで眼の組織が不可逆的にダメージを受け続け、次第に視力が低下する病気です。ベーチェット病ではいかにこの炎症発作を起こさせないようにするかが治療の鍵となります。“解夏”という映画ではこの病気のために次第に視力を失って行く若者が描かれています。以前は失明する病気の代表でしたが、現在はインフリキシマブ(後述)という治療薬がベーチェット病によるぶどう膜炎に適応認可されており、劇的に炎症発作が押させられるようになりました。この病気も原因はわかっておらず、厚生労働省の特定疾患に指定されています。

急性前部ぶどう膜炎

 急性に眼の中の前の部分(前眼部)に激しい炎症を起こすぶどう膜炎です。上述のHLAに相関するもの(HLA-B27)や、自己免疫疾患(関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、クローン病等)に相関して起こる場合があります。慢性化すると炎症が眼底にも及んで眼底病変を起こすことがあります。

HTLV-1関連ぶどう膜炎

 成人T細胞白血病を起こすHTLV-1というウイルスにより起こるぶどう膜炎です。ウイルスそのものが起こす炎症いうよりは、ウイルスに対する免疫反応で起こる炎症と考えられています。このウイルスは九州、特に長崎と佐賀で持っている人が多く、したがってこのぶどう膜炎も九州では比較的よく経験しますが九州以外では滅多にいないと言われています。

Fuchs(フックス)虹彩異色性虹彩毛様体炎

 比較的頻度の高いぶどう膜炎で、虹彩異色(虹彩の色が左右眼で異なる)が特徴のひとつです。原因は明確にはわかっていませんが、風疹ウイルスやサイトメガロウイルス等と関連があるもと言われています。白内障や硝子体混濁を併発することがあり、視力が低下すればそれらに対する手術治療が必要になることがあります。

そのほかの原因として、以下のようなものが挙げられます。細菌、ウイルス、真菌、寄生虫などの感染、膠原病(全身性エリテマトーデス、関節リウマチなど)、糖尿病、炎症性腸疾患、悪性腫瘍などです。ただし、ぶどう膜炎と診断を受けた患者のうち、3人に1人程度は検査をしても原因を特定できないことがあるといわれています。ぶどう膜炎が生じると、眼球内の透明な部分に炎症細胞が出てくることで以下のような症状が現れます。
・霧視:霧きりがかかったように目がかすんで見えること
・飛蚊症:目の前に小さな虫や糸くずのようなものが飛んで見えること
・羞明感:光のまぶしさを強く感じること
・視力低下:眼内の前の部分(前眼部)に強い炎症があったり、眼の奥に濁りが出たり、また網膜の中心部に炎症が及ぶと視力が低下します。

 また、炎症が強い場合には目が充血します。充血はアレルギーや細菌・ウイルス感染などによって引き起こされる結膜炎でよくみられる症状ですが、ぶどう膜炎での充血は結膜炎とは異なり、目やにを伴いません。そのほか、目の痛みや頭痛、視力低下などの症状を伴うこともあります。このような症状は両目に出る場合もあれば片目だけの場合もあります。また、症状が徐々に悪化する場合や、軽快と悪化を繰り返す場合もあるなど、症状の現れ方や経過はさまざまです。ぶどう膜炎は目の病気ですが、全身の免疫異常と関係することもあります。そのため、一般的な眼科検査や蛍光眼底造影検査(FAG)、光干渉断層撮影(OCT)などの目の検査に加え、詳細な問診と身体診察、全身検査も行われます。全身検査では、血液検査、胸部X線検査、ツベルクリン反応検査などを行い、原因となる全身性の病気がないかを調べます。また、目の検査では目の組織を採取したり、診断と治療を兼ねて手術が行われたりする場合もあります。ぶどう膜炎の治療は薬物療法が基本となります。主に炎症を抑えるための“副腎皮質ステロイド点眼薬”と、炎症による虹彩後癒着(虹彩と水晶体がくっつくこと)を防ぐための“散瞳薬”が用いられます。ステロイド薬の投与法には、点眼のほかに注射、内服、点滴があり、炎症の程度や場所に応じて使い分けられます。上記の治療でよくならない場合や炎症が強い場合など、免疫抑制薬や生物学的製剤といった治療薬を投与することもあります。ウイルスや細菌などの病原微生物が原因の場合には、その病原微生物に対して効果的な薬(抗ウイルス薬・抗菌薬・抗真菌薬・抗寄生虫薬など)が用いられます。ぶどう膜炎は、白内障や緑内障、網膜剥離、硝子体混濁など、さまざまな合併症が生じる病気です。このような合併症が生じると、薬物療法に加えて手術が必要になる場合もあります。

漢方と鍼灸

 ただの目の炎症ではないということです。ブドウ膜の反応穴、自己免疫の反応穴、風毒塊、上咽頭などから最適な漢方食養生サプリツボを選択し改善していきます。

煎じ

越婢加朮湯(麻黄・石膏・生姜・甘草・白朮・大棗)『金匱要略』
充血があって、羞明・流涙の著しい時に使われます。
小青竜湯(麻黄・芍薬・細辛・乾姜・甘草・桂枝・五味子・半夏)『傷寒論』
炎症・充血があり、頭痛・羞明・流涙などがあるときに使われます。
防風通聖散(防風・川芎・当帰・芍薬・大黄・薄荷・麻黄・連翹・芒硝・石膏・黄芩・桔梗・滑石・甘草・荊芥・白朮・山梔子・生姜)『宣明論』
眼目が赤く腫れ、疼痛がある時に使われます。
桂枝茯苓丸(桂枝・茯苓・牡丹皮・桃仁・芍薬)『金匱要略』
充血、鬱血がある時に使われます。
桃核承気湯(桃仁・大黄・甘草・芒硝・桂枝)『傷寒論』
小柴胡湯(柴胡・黄芩・人参・半夏・甘草・生姜・大棗)『傷寒論』
炎症充血の初期刺激症状の去った時に使われます。
小建中湯(桂枝・芍薬・甘草・生姜・大棗・膠飴)『傷寒論』
炎症充血は少なく、体力の衰えた時に使われます。
当帰芍薬散(当帰・川芎・芍薬・白朮・茯苓・沢瀉)『金匱要略』
充血などは少なく、冷え性・貧血気味の方に使われます。
洗肝明目湯(当帰・川芎・芍薬・地黄・黄連・黄芩・山梔子・石膏・連翹・防風・荊芥・薄荷・姜活・蔓荊子・菊花・蒺蔾子・桔梗・決明子・甘草)『万病回春』
炎症・充血などの刺激症状の強い時に使われます。
・謝導人大黄湯(大黄・芍薬・細辛・甘草・黄芩)『外台秘要方』
眼目赤腫疼痛がひどいときに使われます。
など(薬局製剤以外も含む)