肩こり
肩こりと言えどもいろいろな原因があります。もんで楽になってもまた次の日には戻っているということはありませんか?人間は二足歩行をするために、もともと首や腰に負担がかかりやすい体をしています。首から肩にかけての筋肉が姿勢を保つために緊張し、血行が悪くなって、重く感じるのが肩こりです。首と肩の周辺には、さまざまな筋肉があります。これらは重い頭や腕を支えて立っているだけで、緊張し続けています。緊張が続くと筋肉が疲れて疲労物質がたまり硬くなります。それが血管を圧迫して血液の循環を悪くしたり、末梢神経を傷つけたりして、こりや傷みを起こします。また、血行不良になると、筋肉に十分な酸素や栄養が供給されず、筋肉に疲労がたまって、ますます筋肉が硬くなってしまいます。肩こりを引き起こす主な要因としては、筋肉疲労と血行不良、末梢神経の傷などが挙げられます。それらの要因が単独、または、互いに関連し合いながら肩こりを引き起こします。人間の背骨がゆるやかなS字カーブを描いているのは、重い頭や腕を支えながら二本足で歩けるように、姿勢を保つため。背骨の間には「椎間板」があって、衝撃をやわらげるクッションの役割を果たしています。年を取ると、このクッションがだんだんつぶれて硬くなり「頸部脊椎症」といわれる状態になり、これも首や肩の痛み・こりの原因になります。40歳ごろからみられはじめます。50歳前後に起こる肩の痛みは、「五十肩」の場合があります。「肩関節周囲炎」という病名が使われることもあります。腕を体の後ろに回すこと、例えば腰の後ろでエプロンのひもを結ぶ動作がしづらくなるなどが特徴で、腕を上げようとするときに痛みを感じます。原因は明らかではありませんが、肩関節をとりまく腱の組織が老化して、使いすぎによる炎症が起こっていると考えられています。頸肩腕症候群は、同じ作業を繰り返すなど、肩から手の指までの体の特定の部位を動かし続けることで発症するといわれています。症状は動かす部位によって異なり、肩こりのほかにも肘や腕、手の関節、手の指の痛み・だるさが現れる場合もあります。頚椎症とは、加齢などによって頚椎(首を構成する7つの骨)や、頚椎の骨と骨の間にある椎間板が変形し、首や肩などの痛みが現れる病気のことをいいます。頚椎や椎間板の変形は誰にでも起こるもので、変形しただけでは必ずしも症状が現れるわけではありません。変形が引き金となって頚椎の近くの脊髄や神経根が圧迫を受けると、主に首や肩、腕の痛み、手足のしびれ、手が動かしにくくなる、つまずきやすくなるなどの症状がみられるようになります。頚椎椎間板ヘルニアは、頚椎を構成する7つの骨の間にある椎間板の一部が何らかの理由で正しい位置から外れて飛び出てしまう病気です。飛び出した椎間板が近くの脊髄や神経を圧迫すると、首や肩、腕の痛み、手足のしびれ、手が動かしにくくなる、つまずきやすくなるなどの症状が現れる場合があります。肩こりは関節や筋肉の病気のほかにも、更年期障害や緊張性頭痛、血圧の異常、狭心症・心筋梗塞など、体の病気の一症状として現れる場合もあります。閉経前後の5年間を更年期と呼びますが、この期間に体や心にさまざまな症状が起こることがあります。その中でも日常生活に支障をきたすものが更年期障害です。症状はホットフラッシュ(ほてりやのぼせなど)、情緒不安定や不眠などが代表的ですが、肩こりや頭重感、腰痛、動悸などが現れることもあります。緊張性頭痛は、同じ姿勢が続くなど首や肩の筋肉の緊張が主な原因と考えられている頭痛で、頭の両側が締め付けられるような痛みが大きな特徴です。頭の痛みに加え、肩こりや目の疲れ、めまいなどの症状がみられることがあります。高血圧・低血圧など、血圧の異常でも肩こりが一症状として現れる場合があります。いずれも肩こりや頭痛、体のだるさ、めまい、耳鳴り、動悸などの症状がみられることがありますが、自覚症状がないことも少なくありません。動脈硬化などによって冠動脈(心臓をとりまく動脈)が狭くなり、心臓の筋肉に十分な血液が流れなくなった状態を狭心症、狭心症が進行して冠動脈がさらに狭くなって血管が完全に詰まった状態を心筋梗塞といいます。激しい胸の痛みや苦しさを伴う事が一般的ですが、肩こりや歯が痛むように感じられる関連痛といわれる症状が現れる場合があります。狭心症・心筋梗塞ともに放置しておくと生死にかかわる可能性がありますので、強い胸の痛みや圧迫感などの症状がある時には、すぐに病院を受診することがすすめられます。また猫背などの姿勢をとっていると、重い頭を支える肩や背中の筋肉が緊張し、血流が悪くなり、肩こりが起こるといわれています。姿勢を改善するためには、日頃から意識して正しい姿勢を保つことが大切です。姿勢が悪くなっていると感じるときには、胸を張る、腰を伸ばすなどして意識的に姿勢を正すようにしましょう。長時間のデスクワークや運転などで同じ姿勢が続くと、首や肩などの筋肉が過剰に緊張してしまい肩こりが起こるとされています。同じ姿勢を続けることがあれば、定期的に肩回りの軽いストレッチを行いましょう。筋肉の緊張が解消されると肩こりが軽減されることが多々あります。毛様体筋と呼ばれる目の筋肉は自律神経によってコントロールされており、眼精疲労によって毛様体筋が疲れることで首や肩の凝り、頭痛などの症状が現れることがあるといわれています。眼精疲労は、パソコンやスマートフォンなどの画面を長時間見続けることでも起こりますが、メガネやコンタクトレンズが合っていないことも原因の一つに挙げられています。画面の見過ぎなら時間を短くする、メガネやコンタクトレンズが合っていなければ合うものに変えるなど、原因に応じて対策をとりましょう。また、ビタミンB群が眼精疲労の改善に効果があるといわれています。食事などで積極的に摂取することも考えましょう。日頃から体を動かさないでいると、筋力が低下し体が重力に抵抗できなくなり姿勢が悪くなります。また、運動不足が続くと筋肉が低下し血流の悪化を招きやすくなります。その結果肩の筋肉の緊張や疲労が起こり、肩こりを引き起こしやすくなるといわれています。運動は筋力を増強するだけでなく血流をよくする効果もあります。運動不足を感じたら、定期的にウォーキングや体操などの軽い運動を行いましょう。ウォーキングの際には手を大きくふることで肩の筋肉をほぐすことができます。勉強や仕事、人間関係などでストレスがかかると、自律神経である交感神経と副交感神経のバランスが崩れてしまいます。そうなると体の調整がうまくできず、肩こりをはじめとする身体症状、イライラや情緒不安定などの精神症状が現れることがあります。ストレスを感じたら、まずは何が原因になっているのかを考え、その原因に対してストレス解消の手段があれば積極的に取り組むようにしましょう。また、生活習慣の改善や趣味の実践、軽い運動、怒りや不安感といった感情を周囲の人に聴いてもらうことも、ストレスを発散するために大切なことです。できることから始めていきましょう。
漢方と鍼灸
それぞれの原因に対して向き合わないといつまでも辛い状況は変わりません。標治と本治で取り組むべき症状ですね。標治は肩の痛み、コリをとること。本治は再発しないように、もしくは軽くなることです。ちまたでは肩こりに葛根湯を常用しているようですが、麻黄が入っているので連用はできません。麻黄は発汗剤であり興奮剤ですので毎日飲んでいると副作用もでやすいですよ。肩こりのつらい箇所と各疾患の反応穴から本治と標治の漢方、食養生やサプリ、ツボを選択して治療していきます。肩こりの本当の原因を見つけましょう。