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多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

 毎月ひとつの卵子が育って、ひとつ排卵するのが正常です。しかし、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)だと、10~20個の卵子がいっぺんに育つのにどれも大きく育たないで排卵しません。その理由は、卵巣で妨げる働きをする男性ホルモン(アンドロゲン)が沢山作られてしまうためです。こういう状態のときは男性ホルモン(アンドロゲン)が多く分泌されることから、毛深くなったり、ニキビが増えたりすることもあります。
 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は排卵障害の一つになります。排卵障害を抱えていると、月経周期がどんどん長くなる傾向があります。排卵がないということはホルモンが正常に働いていないということです。卵巣の中に沢山の嚢胞が出来て、排卵しにくくなった状態です。多嚢胞性卵巣(PCO)の状態になります。
 ホルモンが働かないと子宮内膜がきれいに剥がれ落ちずに、子宮の中でそのまま残ってしまうことがあります。ずっと残った子宮内膜が子宮体がんの原因になることがあります。もし子宮体がんになっていなくても、ずっと残った子宮内膜が、あるとき一気にはがれると出血が多くなることがあります。

 2024年に日本産科婦人科学会から、「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の新しい診断基準」が公表されました。
⑴ 月経周期異常(無月経、稀発月経、無排卵周期症)
⑵ 多嚢胞卵巣またはAMH高値
⑶ アンドロゲン過剰症(採血によるアンドロゲン高値または男性型多毛)またはLH高値(肥満例では下垂体からのゴナドトロピン分泌能が低くなるので、LHを用いずにLH/FSH比で判定)
※以上の3つを満たすものが多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)になります。

西洋医学による治療

 西洋医学的には、黄体形成ホルモン(LH)値が高く、卵胞刺激ホルモン(FSH)は正常範囲内で、ホルモンバランスがLH>FSHという状態です。
男性ホルモン値の高値(高アンドロゲン血症)、インスリン抵抗性、肥満なども関係していることがあるようです。
 多嚢胞性卵巣症候群では、妊娠の希望がある場合もない場合も、ホルモンバランスを正常に戻すことが大切になります。妊娠の希望の有無によって治療の方法がかわります。
妊娠の希望がある場合:排卵誘発剤(クロミフェンなど)を用いて、排卵を起こします。排卵誘発剤が有効でない場合や効きすぎて卵が育ちすぎてしまう場合には、妊娠に結びつく卵の数を制御するために体外受精治療や腹腔鏡下に卵巣の一部を焼灼する治療が行われます。
妊娠希望がない場合:定期的に月経を起こすために、ホルモン剤が使用されます。月経の間隔が長い状態では、特に30代以上になると、子宮体がん(子宮内膜から発生するがん)のリスクが高くなります。

漢方と鍼灸

 お血を改善することを主に考えながら、身体全体の調子が整うように免疫を調整していきます。
お血は、体に必要な栄養分を隅々まで送り届ける「血」の流れがスムーズに行かず停滞していることです。免疫は、内分泌と自律神経を調節していきます。卵巣の反応穴、卵胞ホルモン・黄体ホルモン・女性ホルモン全般の反応穴、自律神経の反応穴、根本療法の反応穴、免疫の反応穴から漢方食養生ツボを選択して改善していきます。