産後のうつ・マタニティブルーズ
妊娠・妊娠の継続・出産の期間は、ホルモンのバランスが変化し続けます。ホルモンは、妊娠中の心身の変化に大きな影響を与えています。 また妊娠に伴う身体の変化や環境の変化、生活の変化などが原因で気分が不安定になることがあります。
産後うつは出産によってホルモンバランスが乱れることと、育児に対する不安や環境の変化といったストレスの2つが主な原因と考えられています。産後の精神的な疾患は大きく以下の2つに分類することができます。
① マタニティブルーズ
マタニティブルーとは、妊娠中や出産後に起こる不安症のことです。 気持ちが不安になることから、身体に影響が出る方もいます。 正式名称は「マタニティブルーズ」と言い、出産後に起こる不安症を指すものです。 しかし、近年では産前後の不安症を統合したマタニティブルーという呼び方の方が浸透しています。
産前だと、妊娠初期から中期になりやすいとされています。出産後は、特に産後1ヶ月の間がもっともマタニティブルーズを起こしやすいと言われています。通常症状は2週間程度で収まることが多いと言われていますが、症状が長引いている場合には注意が必要です。
② 産後うつ
出産後1ヶ月以内に発症することが多く、妊婦の3%程が産後うつになると言われています。治療によってほとんどの場合症状が改善しますが、重度の産後うつを放置してしまうと、自傷行為や最悪の場合、自殺に至ることもあるため、妊婦本人だけではなくご家族の方も注意が必要です。
症状
① マタニティブルーズで現れる主な症状
ゆううつな気分になる、落ち込んだ気分になる、不安な気分になる など
② 産後うつで現れる主な症状
うつ状態、涙もろくなる、夜眠れなくなる、食欲不振、強い不安を感じる など
マタニティブルーズは約半数のお母さんが経験するといわれていて、ホルモンの変化や急激な環境の変化による、一過性のうつ状態です。産後1~2週間くらいで自然に軽快します。一方、産後うつはマタニティブルーズよりも遅れて発症する傾向がある強いうつ状態で、脳の中がいわゆる一般的なうつ病と同じしくみになる病気なのです。
時期
① マタニティブルーズの場合、出産後10日程になりやすく、特に出産後2日から4日ごろがピークと言われています。
② 産後うつは出産後1ヶ月以内が発症の目安で、マタニティブルーズから産後うつに移行することもあります。(5%程度が移行すると言われています。)
産後うつの治療方法
産後うつの治療は一般的なうつ病と基本的には同じで、ストレスを減らすための環境調整と症状を抑えるために必要に応じて薬による治療が行われます。
漢方と鍼灸
女性ホルモン・メンタル・自律神経・免疫・血流などを安定させる漢方など複数の漢方の合方や併用することが多いです。それぞれの反応穴など丁寧にみていき漢方、食養生、ツボを選択します。
香りも効き目を左右しますので煎じ薬をおすすめいたしております。補助剤として食養生食品も併用していただくとバランスが整います。 女性ホルモン、メンタル、自律神経、免疫と血流などその方に一番整えることが必要な場所から改善していくよう考えていきます。
・芎帰調血飲(当帰・川芎・地黄・白朮・茯苓・陳皮・烏薬・香附子・牡丹皮・益母草・大棗・乾姜・甘草)『万病回春』
産後の諸病を予防します。出産により、精神的にも肉体的にも疲労している状態に使われます。
・女神散(当帰・川芎・桂枝・白朮・木香・黄芩・黄連・人参・甘草・香附子・大黄・檳榔・丁香)『浅田家方』
不眠、頭重、のぼせなどの精神不安があり、便秘傾向の方に使われます。
・加味逍遥散(柴胡・芍薬・甘草・当帰・白朮・茯苓・生姜・薄荷・牡丹皮・山梔子)『和剤局方』
・半夏厚朴湯(半夏・厚朴・紫蘇葉・茯苓・生姜)『金匱要略』
・桃核承気湯(桃仁・大黄・甘草・芒硝・桂枝)『傷寒論』
など(薬局製剤以外も含む)