帯下(おりもの)
おりものを漢方では、「帯下(たいげ)」といいます。膣粘膜上皮からはげ落ちた細胞、子宮頚管や子宮からの分泌物、デーデルライン杆菌などが混じったもので、女性の膣内部から流れ出る透明な分泌液のことです。おもに思春期から感じるようになり、排卵前は水っぽくサラサラした状態のものから、月経前後にかけて卵白のような粘りを感じるように変化します。おりものは、膣内部のうるおいを保つだけではなく、外部から侵入してくる細菌などから身体を守る働きがあります。また、受精の手助けをします。 排卵期には、粘度が高い、ゼリーのようにおりものになることにより、精子が卵子の元へスムーズに辿り着けるよう、サポートしています。
おりものは、月経周期・年齢・妊娠の初期症状・病気が原因で変化していくことが考えられます。
① 排卵〜月経周期が関係している
毎月の排卵や月経周期は10代の思春期から閉経を迎える40代までの女性に見られ、そのたびにおりものも変化します。このような状態はホルモンバランスが関係し、月経前から少しずつおりものの量に変化を与えます。
卵胞期;月経のあとの時期です。帯下(おりもの)の性状はさらっとしていて、月経直後は少なく、排卵期に向けて少しずつ量が増えます。
排卵期;排卵期は、おりものの量が最も増える時期です。性状は少し粘度が高い透明なおりものが出ることがあります。
黄体期;排卵後、おりものの量は少し減ります。性状は少し白く濁ったような色になります。
月経前;月経前には、少しおりものの量が増える傾向にあります。白く濁ったようなおりもので、匂いが強くなることがあります。
② 年齢の変化
おりものの量や性質は、女性ホルモン「エストロゲン」の影響を強く受けます。そのため、年齢を重ねるごとにおりものにも変化が生じます。
「初潮」を迎える方が多い10代では、おりものの量はごくわずかです。20代は、女性ホルモンが活発に分泌されることから、10代に比べておりものの量が増えます。30代は、妊娠・出産などの関係で卵巣機能が成熟し、おりものの量がもっとも多くニオイも増えるでしょう。40代〜閉経を迎える女性は、おりものの量が再び減少します。
③ 妊娠初期症状のひとつ
おりものが増加する原因として、妊娠初期症状があげられます。妊娠期には、黄体ホルモン(プロゲステロン)が赤ちゃんのベッドとなる大切な子宮の内側を守る役割を果たします。
④ 細菌感染や婦人科系疾患
おりものの色・におい・量がいつもと違うと感じたら、それは、病気が関係しているかもしれません。例えば、カンジダ膣炎、細菌性膣炎、クラミジア感染症、トリコモナス膣炎、萎縮性膣炎、子宮筋腫、子宮頸がん、子宮体癌などによっておりものの状態が変わることがあります。
漢方と鍼灸
問診から帯下(おりもの)の状態・色など、また体の状態を確認します。帯下(おりもの)の原因を探し、生理痛・女性ホルモン・感染症・冷え・がんなどの反応穴から最適な漢方、食養生やサプリ、ツボを選択していきます。当帰芍薬散、温経湯、芎帰膠艾湯、参苓白朮散、清心蓮子飲、苓姜朮甘湯、竜胆瀉肝湯などが使われます。