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女性の基礎体温について

《基礎体温》

基礎体温が教えてくれることは、
・妊娠しやすい時期
・排卵しているか
・妊娠しているか
・次の月経の予測
・婦人科系の病気の可能性
・どのような漢方薬があうか
など沢山あります。
基礎体温は、最小限のエネルギーでの安静時の体温の事です。つまり、寝ている間の体温のことです。そのため、朝起きてすぐに舌で検温することが大切です。

女性の体は、排卵したあと、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌に合わせて、少しだけ体温が上がります。基礎体温を継続して測定していると、この低温期から高温期への移行があることで、排卵が起こったことがわかるようになります。
 また、女性は、女性ホルモンの関係で、排卵前と排卵後では、体の状態が大きく変わります。
基礎体温でわかる月経周期のこと
基礎体温を測っていると、「低温期」あるいは「高温期」にいるのかがわかります。「排卵」のタイミングもわかります。また、「月経がくるな」という予想もできます。
 月経が28日周期の場合、月経の初日の1日目~排卵までの約2週間は、低温期(個人によってバラつきがあります)です。排卵が起こると、その後、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が始まるので、低温期より0.3~0.5℃、基礎体温が上昇する高温期に入ります。高温期は12~14日続きます。16日以上、高温期が続く場合は妊娠の可能性があります。
 また、体温が上がらず、低温期が続いていたら、無排卵の可能性もあります。

①低温期が長い
 卵子の発育・成熟が悪いために排卵が遅れ、その結果、黄体ホルモンの分泌も悪くなり、このような基礎体温になります。
漢方的に考えると血虚、軽い腎虚、お血などによっても起こることがあります。
 西洋医学的には多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、甲状腺機能低下症、高プロラクチン血症、黄体機能不全などが考えられます。

②低温期が短い
 疲れやすい人、加齢によって卵巣機能が低下することで起こることがあります。
卵巣機能が低下してエストロゲンの分泌が減少すると脳から卵胞刺激ホルモン(FSH)が高まり、その結果として卵胞が早く育ち、排卵が早くなるので低温期が短くなります。
 漢方では、腎虚を考えます。西洋医学的には卵胞期短縮症が考えられます。

低温期の基礎体温が高い
 もともと平熱が高い人やホルモン補充療法を長い間続けているために基礎体温が高い方もいます。個人差がありますが、漢方的にお血または熱証が考えられます。西洋医学的には甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などの病気の方に多い基礎体温です。

④低温期の基礎体温が低い(35℃台の低体温)
低温期の基礎体温が理想的なものに比べて低い場合、漢方では腎虚や血虚、気虚であることが多いです。西洋医学的には、甲状腺機能低下症を診断された方に多くなります。

⑤低温から高温期に徐々に基礎体温が上がる
漢方では血虚やお血または気滞が考えられます。西洋医学的には黄体機能不全、卵管閉塞、高プロラクチン血症などの診断がついた方に多い基礎体温です。

⑥高温期が高い
不妊治療でホルモン補充療法を長時間継続しているとこのように高温期が長く続くことが多いようです。漢方的にみて問題ない場合が多いですが、熱証やお血の体質がある場合があります。

⑦高温期が短い
漢方では血虚や気虚、腎虚の状態が考えられます。黄体機能の働きが低下していることが多いです。そのため黄体機能不全と診断されることが多いですが、黄体化未破裂卵胞(LUF)などもあるので注意が必要です。

⑧高温期の基礎体温が高い
高温期が37℃を超える、あるいは低温期を高温期の差が0.6℃以上あるタイプです。
不妊症でない場合も多いですが、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の方でもこのような状態になることがあります。
病気以外の原因では、不妊治療でホルモン補充療法を継続しているとこのような基礎体温になることが多いです。
漢方では熱証やお血の体質を持っている場合もあります。

⑨高温期の基礎体温が低い
高温期の基礎体温が低い場合、具体的には36.7℃を下回る場合は、不妊の体質を持っていることがあります。
漢方では血虚または腎虚。気虚などが考えられます。
西洋医学的には黄体機能不全の方に多いですが、甲状腺機能低下症(橋本病)の方も高温期の基礎体温が低くなります。

⑩高温期の途中で急に基礎体温が下がる
高温期の途中で基礎体温が下がるタイプです。漢方では血虚または腎虚、気虚などが考えられます。
西洋医学的には黄体機能不全と診断された方に多いです。

⑪高温期の基礎体温がギザギザする場合は、強いストレスがあり、自律神経が乱れている方に多いです。
漢方的には気滞を考えます。
また、基礎体温系が電池切れになる直前や、朝起きる時間がバラバラになった時もこのようになることがあります。
西洋医学的には月経前症候群(PMS)や自律神経失調症、高プロラクチン血症などの事があります。

⑫二層にわかれず高温期がない(無排卵)
基礎体温が低温期と高温期の二層に分かれない場合は、月経(生理)が定期的にあるのに排卵していない無排卵である事が多いです。
生理が定期的に来ているため、自分では排卵していないことに気が付きません。
漢方的には重度のお血、血虚、腎虚、気滞などが関係しています。
西洋医学的には多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、卵巣機能不全、早発閉経などの事があります。卵巣機能不全の場合は卵巣機能が低下して排卵障害を起こしています。卵巣機能不全や早発閉経の方は、病院の治療と漢方を併用する事が望ましいです。

基礎体温は自分の体を知るために重要な指標になります。気になる方は測ってみませんか。