チック症・トゥレット症
チックは、自分の意志とは関係なく思わず起こってしまう素早い身体の動きや発声です。まばたきや咳払いなどを運動チック、咳払いや鼻すすりなどを音声チックと言います。多くの子どもにあることですが、大人になる過程でそのまま軽快していくことが多いです。
症状が治まったチックが再び出現し、強まったり、より複雑な動きや発声がみられたり、ということを繰り返し、多彩な運動チック、音声チックが1年以上にわたり強く持続し、日常生活に支障を来すほどになることもあります。その場合にはトゥレット症とよばれます。
トゥレット症の症状の現れ方は、引っ越しや受験、環境の変化などそのときどきの緊張度によって異なるため、ストレスや厳しい子育てによる心理的な原因で現れると「誤解」されることがあります。トゥレット症は、治療が確率しているわけでなく体質的な疾患で、脳の神経伝達の違いによって起こるものと言われています。トゥレット症は、男性のほうが女性より2〜4倍多く見られますが相談で来られる方は女性も多いようです。 トゥレット症の運動チックでは、首を激しく振る、顔をしかめる、顔や顎を叩く、座っているときや歩いているときに飛び上がる、腕を自分の体幹に叩きつける、歩いているときにしゃがむ、地面を強く踏みつける、おなかに力をいれる、「うっ」という発声だけでなく、甲高い声や大きなうなり声、単語をいう、物語のせりふのような言葉などの複雑な発声を伴うこともあります。また、触ってはいけないと思うとそのものを触ってしまう、壊してしまう、自分が決めた回数だけ行動を繰り返さなければならない、ぴったりした感じがするまで音を出したり座り直したり、持ち直したりするといったような強迫的行動を伴うこともあります。
トゥレット症は、体質的なチックで、その症状を抑制することはごく短時間しかできません。チックが起こる前には、喉が締め付けられるような感じ、体にエネルギーがこみ上げる感じ、体の一部にむずむずとした感じが起こったり、体の特定の場所に力を入れたり、自分に痛みを与えずにはいられないような衝動を感じたりすることがあります。
トゥレット症の症状が年齢によって変化することはすでに述べましたが、それぞれの1年のなかでも1ヶ月〜数ヶ月という単位で時期によって症状に波があります。また、1日のなかでも緊張しているときや緊張がほぐれたとき、疲れが現れたとき、花粉症の時期には症状が強まるなど、症状の現れ方に違いがあります。女性は生理周期(排卵期・高温期・生理中)によって悪化することもあります。
漢方と鍼灸
漢方で良くなることが多い症状です。何パターンかありますが脳の反応穴から選択し服用して頂きます。ご来店できない場合、その方の直筆の字を送ってください。遠方でも対応できます。鍼灸も反応穴から経絡に落とし込んで治療いたします。
・抑肝散加陳皮半夏(柴胡・茯苓・白朮・甘草・当帰・川芎・釣藤鈎・陳皮・半夏)『本朝経験方』
この薬方の主薬は釣藤散で、中枢性の鎮静、鎮痙作用と催眠作用があります。
・甘草瀉心湯(甘草・黄連・黄芩・乾姜・大棗・半夏・人参)『傷寒論』
・甘草小麦大棗湯(甘草・小麦・大棗)『金匱要略』
・沈香天麻湯(沈香・烏頭・益智・甘草・白姜蚕・独活・姜活・天麻・附子・半夏・防風・当帰『衛生宝鑑』
・妙功十一丸(丁香・木香・沈香・乳香・麝香・三稜・我朮・牽牛子・黄連・雷丸・鶴蝨・胡黄連・黄芩・大黄・陳皮・青皮・雄黄・甘草・熊胆・赤小豆・軽粉・巴豆)『儒門事親』
など(薬局製剤以外も含む)