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腎嚢胞

 腎嚢胞というのは腎臓にある液体の塊です。この液体の塊は基本的には無害です。液体の塊が単発でできる方が多いですが、なかには二つ三つ持っている患者さんもおられます。もちろん腎嚢胞がない患者さんの方がほとんどです。腎臓の表面に液体の塊がポンとついていて、それが一つから数個腎臓にあるのが腎嚢胞と呼ばれるものです。腎嚢胞は特に治療は必要ありません。基本的には放置します。ただしあまりにも腎嚢胞が大きくなってきてお腹に圧迫感を出したり、何か症状が出てくる場合や嚢胞性腎がんといって腎臓の嚢胞にガンを合併している時があります。お腹に圧迫感がある場合は嚢胞の中の液体を抜きます。また腎嚢胞が多発することで腎機能が悪化するタイプがあります。腎嚢胞の原因はよくわかっておらず、年齢とともに多くの人に発生し、エコー検査やCT検査の際に偶然に発見されます。腎嚢胞が多発するタイプのものでは、遺伝が関係しているものもあり家族性に発生します。まれに腎嚢胞に感染を起こし熱が出る場合があります。抗生剤の投与だけで治る場合もありますが、時に腎嚢胞を穿刺して、感染した中の液体を排出する必要がある場合があります。まれに腎嚢胞内に出血を起こす場合があります。出血に伴って、腎嚢胞のある側の腰痛を認めます。腎嚢胞内に出血を認める場合、その原因となりうる悪性腫瘍の発生を疑う必要があります。非常にまれですが大きな腎嚢胞で破裂する場合があります。まれに腎嚢胞が腎の中心部に発生し、尿路を圧迫し尿の流出の抵抗となる場合があり、そのため腎盂が腫れ、いわゆる水腎症と呼ばれる状態になる場合があります。水腎症がある場合、腰部の痛みの原因となる場合があります。腎嚢胞の中に隔壁が存在したり、石灰化していたりする場合は、前述の出血した場合も含めて、腎嚢胞内の悪性腫瘍の存在を疑います。CT検査やMRI検査などの画像検査で精査します。腎嚢胞が多発する疾患があり、多発性嚢胞腎という疾患があります。遺伝する病気で家族性に発生します。腎嚢胞が多発することによって、腎機能が低下し腎不全になる場合があります(難病指定)。

漢方と鍼灸

 まずは癌かどうかの鑑別が大事ですね。腎臓と癌の反応穴で確認し漢方食養生ツボを選択します。液体の塊ができることから水毒、血尿がある場合はお血を考えます。また癌の場合は免疫力の低下で気虚も考えます。

遊走腎(下垂腎)

 腎臓というのは、立ち上がる際に数cm反動で動いたり、呼吸に応じてちょっと上下に動いたりします。一般的に、腎臓は一時的に動いても元のところにすぐに戻ります。しかし、自然なこのような動く範囲をオーバーしてずっと下の方に腎臓が動いた状態を、遊走腎あるいは腎下垂と言います。極端な場合は、腎臓が骨盤の中にまで動いて下がることもあります。特に、遊走腎は、右の腎臓のみによく発症する傾向があります。ほとんどの場合は、腎臓の機能が遊走腎によって悪くなることはありません。しかし、腎臓が下がることによって、膀胱と腎臓を結んでいる尿管が曲がって尿がよく流れなくなれば、腰痛やわき腹痛が起きる場合があります。また、腎臓に繋がっている血管の動脈や静脈などが曲がると、むかつき、食欲不振、嘔吐などの消化器症状、タンパク尿、血尿、高血圧が起きる場合もあります。腎臓は脂肪で周りがサポートされていますが、発育が良くなくて脂肪量が多くなかったり、背筋・腹筋が強くなったりすれば、腎臓をサポートする力が弱くなってよく遊走腎が起きるようになります。そのため、遊走腎が多く現れるのは瘦せた女性の場合です。同じような理由で、遊走腎の場合は、同時に腸下垂、胃下垂が現れることも多くあります。また、腎臓に繋がっている血管や尿管がもともと異常に長い場合は、血管や尿管がねじれたり曲がったりしやすいため、遊走腎が起きやすくなります。遊走腎の症状としては、腰痛、鋭いわき腹や腰の痛みがある(横になれば軽くなる)、むかつき、食欲不振、吐き気がする、たんぱく尿、血尿が出る、あまり尿が出ない、尿が出にくいなどがあります。遊走腎の場合でも、実際には自覚症状が全くない場合がほとんどです。遊走腎の場合は、歩いていたり立っていたりする際には、下に腎臓が動いて腰痛などが悪くなります。しかし、横になっていれば元のところに腎臓が戻って、症状が軽くなります。また、わき腹に触れると腎臓があるところは確認できるので、腎臓があるところが寝ている場合と立っている場合で違っていると遊走腎の可能性があります。尿検査を、たんぱく尿や血尿があるかどうかを調査するために行う場合もあります。診断を正確に行うために、造影剤を静脈に注射してレントゲン撮影をします。
体の中の画像が造影剤によって詳しくはっきりと映るため、遊走腎の状態が分かります。西洋医学の治療法は、保存療法を遊走腎で行う場合は、痩せていれば、腎臓の周りの脂肪を増やして、腎臓を補強したり支えたりします。理学療法というのは、十分に運動機能がない場合に、筋肉などを強くするものです。遊走腎の理学療法は、脂肪組織として腎臓の周囲にあるものを強くするために、背筋や腹筋を強くします。脂肪を付けることが、遊走腎を予防する方法としては大切です。また、いいバランスの食事を摂ることによって、腎臓の周りにある脂肪も多くなります。そのため、ダイエットを過剰にしないで、普段の食事にも注意すると遊走腎を予防することができます。いいバランスの食事を摂っていればそれほど太らなく、食事が偏ると瘦せたり太ったりするため、可能な限りいいバランスの食事になるようにすることが大切です。また、長い時間立ったままの場合はひどい症状になるため、立ったままの姿勢を可能な限り短い時間にすることも一つの予防法になります。仕事などで立ったままの姿勢がどうしても長くなる場合は、できるだけ座るようにして症状が悪くならないようにしましょう。

漢方と鍼灸

 下垂を治すのは漢方の得意分野です。代表的な漢方は補中益気湯ですがもっと効かせるものがあります。証に合わせて選択します。腎臓、おなかの状態、舌診、全身状態をよく見て
最後糸錬功を使って漢方食養生ツボを選択します。運動や食養生もオーダーメイドです。
食後は少し横になりましょう。

腎盂腎炎

 腎盂腎炎とは、腎盂・腎杯さらに腎実質が細菌性によって炎症を起こしている状態で、細菌が膀胱から尿の流れとは逆行性に侵入することによって生じる感染症です。腎盂とは、腎臓と尿管の接続部分のことです。腎臓で作られた尿は腎杯を経由して腎盂に集まり、さらに尿管から膀胱へと流れていきますが、通常は無菌状態です。腎盂腎炎は膀胱炎の後に起こることが多く、多くは左右対にある腎臓のうち、片方に起こります。急激に発症し、臨床症状や炎症所見が強いものを急性腎盂腎炎、比較的症状が軽く微熱や食欲不振などが主症状であるため経過が長く続くものを慢性腎盂腎炎と呼びます。慢性腎盂腎炎は目立った症状がないことも多く、進行すると慢性腎不全に移行することもあるため注意が必要です。腎盂腎炎は細菌感染によるものであり、もっとも多い病原菌は大腸菌です。通常は膀胱炎を起こした後、細菌による炎症が尿管を通して腎盂に波及することで生じます。しかし、膀胱炎を発症すると必ず腎盂腎炎になるわけではありません。腎盂腎炎を併発する場合には、さまざまな要因があります。その要因として、性周期(生理)や性行為などによる陰部の不衛生、結石、腫瘍、前立腺肥大 尿道カテーテル留置、妊娠、糖尿病、ステロイド治療、抗がん剤治療、馬蹄腎、膀胱尿管逆流症 など急性腎盂腎炎はどの誘因でも起こり得ますが、慢性腎盂腎炎は主に解剖学的異常が要因となります。急性腎盂腎炎の症状は、非常に強い炎症反応が生じ、高熱(弛張熱)や悪寒戦慄、強い腰痛(罹患側の腎部痛)などが生じます。早期に適切な治療を行わなければ敗血症に至ることもまれではありません。また、結石や腫瘍が誘因となっている場合には、尿の量が少なくなったり血尿がみられたりすることもあります。多くは適切な治療で治り、急性腎不全にならないことも特徴の1つです。それに対して慢性腎盂腎炎は、一般的に自覚症状が少ないことが特徴です。長引く食欲不振や倦怠感があり、徐々に腎臓の機能が低下することで尿を濃縮する能力が低下し、夜間の多尿や尿の色が薄くなるなどの症状が現れます。自覚症状が少ないため気付かれないことも多く、治療せずにいると慢性腎不全に移行することがあります。腎盂腎炎の治療の主体は抗菌薬の投与です。原因菌に適した抗菌薬の使用が必要ですが、尿路感染症に効きやすいペニシリン系やセフェム系、ニューキノロン系などが多く使用されます。通常は発症時のみに使用されますが、乳幼児の繰り返す腎盂腎炎には予防的に抗菌薬を長く服用することもあります。慢性腎盂腎炎の場合には長期の抗菌薬療法が基本となります。

漢方と鍼灸

 菌をたたき炎症を止めることが大切です。抗生物質が合わない方は漢方の抗菌作用の生薬がありますのでご相談ください。抗生物質の長期連用は耐性の問題があります。慢性腎不全にならないよう早めの治療をお勧めいたします。腎臓、菌の反応を中心に経絡から漢方食養生ツボを選択できます。

尿崩症

 尿崩症とは、” 1日に3L以上の尿が排出されるようになる“多尿を引き起こす病気の1つです。尿崩症は、①水を体内に保つ作用を持つ抗利尿ホルモン(ADH)の分泌が欠乏することによる“中枢性尿崩症”と、②ADHの効きが低下することによって尿量が増える“腎性尿崩症”の2つのタイプに分けられます。いずれのタイプも発症すると、多尿の結果として、脱水となり、強い喉の渇きを感じたり、失った水分を補うために多量の水分摂取につながったりします。また、体内から尿と共に水分がどんどん排出されていくため、十分な水分を補わないと脱水や電解質異常に陥りやすく、血圧低下などを引き起こすこともあります。低血圧やショック状態によりめまい、動悸などの症状を引き起こすことがあります。また、多尿が継続することで、水腎症や巨大膀胱など尿の排泄経路の異常を引き起こすことも報告されています。特に中枢性尿崩症・腎性尿崩症ともに遺伝性のものは、胎児期から母体の羊水の増加など出生前から徴候がみられます。また、新生児期には嘔吐、便秘、発熱、成長の遅れなどがみられ、体から水分が失われることで体内の電解質(ナトリウム)の濃度が高くなり、けいれんを生じることもあります。適切な治療の開始が遅れると知的障害などの後遺症を残すことも少なくありません。尿崩症の原因は遺伝子の異常や自己免疫的な機序、電解質異常、脳の病気・外傷、薬の副作用などさまざまであるため、治療方法も原因によって異なります。また、それ以外に妊娠中にまれに起こる一過性の尿崩症もあります。①抗利尿ホルモン(ADH)は脳下垂体後葉と呼ばれる部位から分泌されるホルモンですが、欠乏する原因としては、頭部外傷、腫瘍、脳梗塞、脳出血、脳炎、髄膜炎などによる視床下部~下垂体の損傷が考えられます。一方で、遺伝的要因による発症が疑われるケースや原因がはっきり分からないケース(特発性)もあります。特発性中枢性尿崩症では自己免疫的な機序の関与が想定されています。②主な原因は、遺伝子の異常によるものでX連鎖性潜性遺伝形式を示すタイプが先天性の腎性尿崩症の約90%を占めます。また、電解質異常(高カルシウム血症・低カリウム血症)も後天性の腎性尿崩症を引き起こす大きな要素です。一部の薬剤は抗利尿ホルモン(ADH)の腎臓へのはたらきかけを減弱させる作用を持つものもあり、副作用として腎性尿崩症を発症することがあります。特に、リチウムは長期内服することで高頻度に腎性尿崩症を引き起こします。リチウムによる腎性尿崩症はリチウムの内服を中止しても腎性尿崩症は治らない(非可逆性)場合があります。尿崩症では体内に必要な水分がどんどん排出されていくため、血液中のナトリウムなどの濃度が高くなります。一方で尿は濃縮が起きず、薄くなるのが特徴です。尿崩症の治療法は発症原因によって異なります。中枢性尿崩症の場合は、欠乏した抗利尿ホルモン(ADH)を補うため、 ADHと同様に水を体の中に保つ作用のあるデスモプレシンと呼ばれる薬の投与が行われます。一方、遺伝子変異による腎性尿崩症は、厳格な減塩に加えて一部の利尿薬や非ステロイド系抗炎症薬を用いることで水分の排出を抑える治療が行われていますが、十分な有効性は立証されていません。根本的な治療はなく、脱水を予防するための十分な水分補給を継続していく必要があります。また尿崩症の明確な予防法は確立されていません。

漢方と鍼灸

 遺伝子の異常の場合は難しいかもしれませんが、視床下部~脳下垂体の損傷、自己免疫なら漢方の可能性はありそうです。損傷部位、脳の病気の箇所から反応をとって経絡に落とし込んで漢方食養生ツボを選択します。

10月のお休みについて

[お休み]
10月1日(日)・2日(月)
10月8日(日)・9日(月)
10月15日(日)・16日(月)
10月22日(日)・23日(月)
10月29日(日)・30日(月)

ご予約: 03-3300-0455 までお電話ください。

どうか皆様も、秋の夜長をリラックスしてお過ごしください。

腎不全(急性・慢性)

 腎不全とは、腎臓の機能が低下する状態のことを指します。腎臓は血液をろ過して体内の老廃物を取り除き、尿を生成する器官です。そのため、腎不全に陥ると不要な老廃物や水分が体内にたまっていくため、全身にさまざまな症状が現れます。また、腎臓は血液を作るためのホルモンやカルシウムの吸収に必要な活性型ビタミンDを作り出す器官でもあるため、腎不全が進行すると貧血や骨粗鬆症を発症するようになります。腎不全は、急激に腎機能が悪化する“急性腎不全”と、徐々に腎機能が悪化していく“慢性腎不全”の2つに大きく分類されます。いずれも適切な対処が遅れると腎機能が著しく低下し、最終的には人工透析や腎移植などが必要になることもあるため注意が必要です。

 急性腎不全は、急激に腎機能が悪化する腎不全を指します。さらに脱水や心不全、大量出血、血圧低下、腎梗塞など、腎臓への血流が低下することによって引き起こされる“腎前性腎不全”、急性腎炎や薬剤性腎障害など腎臓自体に何らかの異常が引き起こされることが原因の“腎性腎不全”、前立腺肥大症や尿管結石、膀胱がんなど尿が排出される経路の異常が原因である“腎後性腎不全”に分類されます。なお正確には“急性腎障害”という単語が用いられますが、“腎前性”“腎性”“腎後性”という表現を用いる際に、慣習的に“急性腎不全”という単語も用いられています。急性腎不全の治療は、原因となっている病気の治療と腎不全による症状を改善する治療を並行して行っていくのが基本です。原因となる病気の治療としては、脱水に対する点滴治療、腎炎に対する薬物療法、詰まった尿の通路を開通させるためのカテーテル挿入などが挙げられます。一方、腎不全の症状を改善するための治療としては、むくみを予防するための塩分・タンパク質制限を主体として食事療法や水分制限、尿量を増やすための利尿剤などを用いた薬物療法が行われます。また、腎機能が著しく低下している場合には、体内の過剰な水分や老廃物を除去するための血液浄化療法が一時的に行われることもあります。ただし、これらの治療により腎臓が改善する、あるいは改善しても元どおりの機能まで改善するとは限らず、慢性腎不全に至ることがあります。血液浄化療法が永続的に必要となることもあります。

 慢性腎不全は、長い時をかけて徐々に腎機能が悪化していく腎不全のことを指します。原因はさまざまですが、もっとも多いのは糖尿病による動脈硬化に起因する糖尿病性腎臓病とされています。そのほか、慢性糸球体腎炎や腎硬化症なども慢性腎不全の原因となります。なお現在は“慢性腎臓病”という単語が用いられ、その進行度によってステージ1から5まで分類がされています。慢性腎不全の治療は、腎機能のさらなる低下を防ぐことが主な目的となります。そのためには、腎炎に対するステロイドなどの薬物療法、血圧の管理や塩分やタンパク質、カリウムやリンなどの電解質と水分を制限する食事療法が行われます。また腎不全の進行によりむくみがある場合は尿量を増やす利尿剤を用いたり、カリウムやリンなどの異常がある場合はそれらを下げる薬を使ったりします。貧血が起こっている場合はエリスロポエチン製剤の注射が必要でしたが、HIF-PH阻害薬という新たな飲み薬が使用できるようになりました。一方で、腎機能が著しく低下して改善が見込めない場合には、人工透析や腎移植などの腎代替療法が必須となります。

腎不全に陥ると体に不要な水分や老廃物が十分に排出されなくなります。その結果、むくみ、体重増加、血圧の上昇などが生じ、さらに進行すると動悸や息切れが現れるようになります。尿量は減少することが多いですが、腎臓には尿を濃縮するはたらきもあるため、そのはたらきが損なわれると一時的に1日に2,500ml以上の大量の尿が排出されるようになるケースも少なくありません。

 また、慢性腎不全では体内に老廃物がたまり続ける状態になるため、だるさや皮膚のかゆみなどの症状が現れることもあります。そして、腎臓は血液を作り出すエリスロポエチンと呼ばれるホルモンやカルシウムの吸収に必要な活性型ビタミンDを作り出す器官でもあるため、腎機能の低下が進行すると貧血や骨粗鬆症などが引き起こされます。ミネラルの一種であるカリウムが排出されなくなってたまるようになると、致死性の不整脈を起こすことがあります。カルシウムやリンの代謝の調節が困難となり血管などの異所性石灰化が引き起こされ、酸・アルカリの調整が困難となることで体内が酸性に傾きます(代謝性アシドーシス)。血液検査は血清クレアチニン、尿素窒素、eGFRなど腎臓の機能を示す検査項目、またカリウムやリンなどのミネラルの値を調べるため血液検査が行われます。慢性腎不全による貧血が疑われる際は、エリスロポエチン値の測定が行われることもあります。

漢方と鍼灸

 腎臓の機能を回復する漢方食養生ツボがあります。透析になる前に是非漢方を試してください。気をつけたい漢方に桂皮などがあります。とくに桂皮など粘膜刺激のものは避ける方がいいでしょう。またカリウムが多くなった場合、漢方で下げることができます。腎臓は細い血管が沢山並んでいます。血流もとても大事です。どの血流を良くするものを使うかは非常に大事です。ろ過しているところなのでフィルターのお掃除も大事、損傷個所の修復もしていきます。まずは炎症を抑えることですね。腎臓、浮腫部分などから経絡に落とし込んで漢方食養生ツボを選択していきます。GFRが49の場合、49%が働いていると解釈するとわかりやすいですね。クレアチン10ぐらいが透析導入のボーダーラインです。

IgA腎症

 慢性糸球体腎炎のうち、糸球体メサンギウム細胞と基質の増殖性変化とメサンギウム領域へのIgAを主体とする沈着物とを認めるものをいう。同義語としてIgA腎炎、ベルジェ(Berger)病などがある。慢性糸球体腎炎の一病型として確立しているが、日本においては1970年代初期から活発な研究が行われ、慢性糸球体腎炎のうち成人では30%以上、小児でも20%以上を占めていることが明らかになった。日本と同じように本症が多発する国としては、アジア太平洋地域の諸国が知られており、北欧や北米では比較的少ない。このような地域差の原因は不明であり、一部では腎生検施行の頻度と比例するともいわれ、北米においては白人には多いが、黒人ではまれであることも知られているため、何らかの人種的・遺伝的背景も想定されている。成人・小児共に男性にやや多く、発見時の年齢は成人では20歳代、小児では10歳代が多いが、患者層は全ての年齢にわたっている。本症は、流血中の糖鎖修飾異常IgAならびにそれに関連した免疫複合体の糸球体内沈着によって引き起こされるとする説が最も有カである。その根拠は、糸球体内に糖鎖修飾異常IgAが沈着していることや、そこにIgGが共に沈着し、C3などの補体成分沈着も認めること、移植時にIgA腎症が再発する場合、糸球体に短期間のうちに高率にIgAの沈着を認めること、逆に少数報告ではあるが本症に罹患した腎臓を他の疾患患者に移植すると糸球体内IgA沈着が消失することなどである。最近では、遺伝的素因粘膜免疫の異常等が本症の病態との関係で研究が進展しつつある。しかし、免疫複合体を形成している抗原の同定は未だ十分には成功していないが、糖鎖異常IgA自体が免疫複合体形成の原因となっている可能性がある。その他、糸球体硬化に至る本症の進展については本症以外の多くの糸球体疾患と共通した機序が存在することが明らかになりつつある。本症発見時の症状は、日本では偶然の機会に蛋白尿・血尿が発見されるものが大多数を占めるが、諸外国ではこの比率が低く、肉眼的血尿や浮腫などの症候性所見の比率が本邦よりも高い。この差異は、日本では検尿が発達していることや、腎生検施行対象症例の選択方針が内外で異なるためと考えられており、ヨーロッパ諸国の中でも腎生検を比較的活発に行っている地域では本症の発現頻度が高いこととともに、無症候性蛋白尿・血尿の比率が高くなっている。本症の治療については根本的な治療法が得られていないために、対症療法が行われている。レニンアンギオテンシン系阻害薬、副腎皮質ステロイド薬(パルス療法を含む。)、免疫抑制薬、口蓋扁桃摘出術(+ステロイドパルス併用療法)などで治療を行う。進行抑制を目的とした成人IgA腎症の治療の適応は、腎機能と尿蛋白に加えて、年齢や腎病理組織像も含めて総合的に判断される。また、症例に即して血圧管理、減塩、脂質管理、血糖管理、体重管理、禁煙などを行う。診断時の腎機能や症状により予後が異なる。成人発症のIgA腎症では10年間で透析や移植が必要な末期腎不全に至る確率は15~20%、20年間で約40%弱である。降圧薬(特にレニンアンギオテンシン系阻害薬)や副腎皮質ステロイド薬の積極的な使用により、1996年以降、予後が改善しているとの報告もある。また、小児では、成人よりも腎予後は良好である。予後判定については、腎生検光顕標本における組織障害度が重要であるということは異論がなく、その他の臨床指標の中で腎生検時の高血圧、腎機能低下、高度蛋白尿、患者の高年齢などが予後判定上有用であることも共通した認識である。

漢方と鍼灸

 ゆっくり進行していくので怖い病気の一つですね。免疫異常が関与していることから腎臓、免疫反応のツボから経絡に落とし込んで漢方食養生ツボを選択します。また上咽頭や咽頭扁桃当たりの反応もみることにしています。免疫異常を改善(本治)、腎臓の症状改善(標治)を基本に良くしていきます。

糸球体腎炎(急性・慢性)

 糸球体の炎症によって、タンパク尿や血尿が出る病気を総称して糸球体腎炎と呼びます。急性糸球体腎炎(急性腎炎)は、一般的に4歳~10歳くらいまでの子どもで、晩秋から寒冷期に多く発症する病気ですが、成人や高齢者でもときどき見られます。ほかの腎臓病と異なって、ほとんどの場合完全に治ります。この病気の特徴は、タンパク尿、血尿、むくみ、高血圧が出現し、こうした急性期が過ぎると、一般的によくなるのも早い点です。一般に急性期を過ぎると、むくみ(浮腫)が軽快するとともに血圧が正常に回復し、通常1~3か月後にはタンパク尿や血尿が消失します。しかし、4~5か月後に腎生検(腎臓の組織検査)を行うと、まだ糸球体に病変が残っていることが多く、約6か月は医師の診療を受け、十分に経過を観察する必要があります。その後6か月くらいは無理のない生活をしましょう。可能であればもう一度、腎生検で病気の程度を確認するのが最も確実です。原因は、溶血性連鎖球菌などの細菌による扁桃や皮膚の炎症などがきっかけです。症状は扁桃やのどの炎症(多くは発熱)が治ってから、1~2週間後に血尿(目では分からないことも多い)やタンパク尿、むくみ(浮腫)、高血圧などが出現。全身倦怠などの症状が出る場合もあります。体重を量ると、急に太っていることが分かります。高血圧の影響で頭痛を訴えたり、吐いたりすることもあります。重症の場合は、尿量が少なくなり、むくみ(浮腫)が強くなって肺までむくみがおよび(肺水腫)、呼吸困難となり一時的に透析が必要なこともあります。治療は保存的治療が中心です。安静、保温のほか、水、塩分、タンパク質の食事制限が行われます。急性期には溶連菌感染に対する抗生物質の使用と、高血圧に対して降圧薬と利尿薬が使われることもあります。これらの治療は、発病初期の数日から数週間に限られ、検尿の異常以外の症状がなくなったら普通の生活に戻し、通常は薬を服用する必要もありません。

 慢性糸球体腎炎(慢性腎炎)は、タンパク尿や血尿が長期間(少なくとも1年以上)持続するものをいいます。腎臓病の中でも最も多いものとして知られています。慢性糸球体腎炎は1つの病気ではなく、さまざまな病気の総称です。最近の研究によって、慢性糸球体腎炎の中にもいくつかタイプがあり、症状が進行しにくいものもあることが分かっています。原因は免疫反応の異常によるものが多いと考えられています。症状は血尿、タンパク尿、高血圧、めまい、肩こり、むくみ(浮腫)、頭痛、倦怠感です。治療の基本は食事療養や薬物療法です。むくみが強い場合は、利尿薬を使用して血液中の塩分、水分の排泄を促します。血圧の維持に努め、症状の悪化を防ぎます。生活の上では、激しい運動や過労を避けます。

漢方と鍼灸

 急性のものは風邪をひいて喉が腫れ、そこから腎臓に移行し炎症を起こすことが多いです。ほとんど場合、抗生物質で菌は抑えられます。ですが慢性期に移行した場合、免疫反応の異常からなかなか良くならない方がご相談に来られるようです。腎臓、免疫反応、症状の場所から経絡に落とし込んで漢方食養生ツボを吟味していきます。腎臓を休ませるため長時間の立位を控えたり、食後の横臥なども大切です。

足の浮腫

 誰しも経験したことがあるむくみとは余分な体液が溜まり、指で押すとへこんだようになったり、いつもよりも腫れぼったくなったように感じられる状態です。特に足は浮腫みやすく、夕方になると足がむくんで辛い、最近足がむくみやすいし、なんだか疲れやすい気がする、靴がきつく感じるくらい足がむくんでよくならないなど病気ではないけどあると思います。ですが病気が原因で足がむくんでいることもあります。すぐによくなり他の症状を伴わないむくみであれば、さほど心配はいらない場合がほとんどですが、いつまでもむくみが引かない、痛みや熱を持っている、体全体の症状があるなどの場合には早めに受診した方がよいでしょう。特に片足だけがむくんでいるような場合にはより早めの受診がすすめられます。足のむくみの原因となる、主な病気は以下の通りです。

 深部静脈血栓症は、長時間同じ姿勢でいることで足の静脈に血の塊(血栓)ができる病気です。むくみ、ずきずきとした痛み、脚が片方だけ腫れるなどの症状が主です。血栓がはがれ、血流にのって肺や脳などの血管につまると命に関わることもあるため注意が必要です。心不全は、全身に血液を送り出す心臓のポンプ機能がさまざまな原因により低下している状態です。主な症状としては、足のむくみ、疲れやすい、歩くなどのちょっとした動作で息切れがする、呼吸が苦しいなどがあげられます。足がむくむだけでなく、呼吸が苦しい、心臓の病気をしたことがあるなどの場合には早めに受診しましょう。腎不全は、さまざまな原因で腎臓の機能が低下し、本来尿として排泄されるべき不要な水分や老廃物などが体に溜まってしまう状態です。主な症状は、全身のむくみ、吐き気、食欲不振、高血圧などで、重症になるとけいれんや意識障害を起こすこともあります。肝不全は、肝炎ウイルスへの感染やアルコールの多飲など、長期に渡って肝臓がダメージを受けることで肝臓のはたらきが悪くなってしまった状態です。初期には自覚症状が薄いことも多いですが、むくみや白目や皮膚が黄色くなる黄疸、体のだるさなどが現れることがあります。甲状腺機能低下症は、甲状腺の機能が低下することで「やる気ホルモン」とも呼ばれる甲状腺ホルモンの分泌量が低下する病気です。主な症状には、むくみ、体がだるくなる、疲れやすい、体重増加、気分の落ち込みなどがあります。蜂窩織炎とは、皮膚の深い部分から、皮下脂肪のある比較的浅い部分にかけて細菌が感染する病気です。いわゆる水分が過剰になって起こるむくみとは異なりますが、手や足が腫れるためむくんでいるように感じられる場合もあります。主な症状には、皮膚が赤くなる、腫れる、熱を持つ、痛みなどがあげられます。場合によっては発熱など全身の症状を伴うこともあります。月経前症候群とは、月経の3~10日前(高温期)から現れる心身の不快な症状のことです。月経の開始とともに症状が消えることがほとんどです。精神的な症状は、イライラ、眠気、不眠、集中力の低下、憂鬱、不安感、情緒不安定などがあげられます。身体的な症状は、下腹部の痛みや張り、乳房の張りや痛み、頭痛、腰痛、肩こり顔や手足のむくみなどが挙げられます。薬の副作用のひとつとして足のむくみが現れることがあります。飲んだ事のない薬・新しく処方された薬を飲み始めたときに足のむくみが現れた際には、まず処方された病院で相談しましょう。リンパ浮腫とは、リンパ管の機能が低下して腕や足にむくみが出る状態です。感染や、生まれつきなどさまざまな原因で起こりますが、多くは手術やがんの放射線治療後などに起こることが多いといわれています。

漢方と鍼灸

 足の浮腫といっても原因は様々ですね。まず緊急性のものかそうでないかを見極めることが大事です。浮腫みのツボ、原因となる臓器のツボ、実際浮腫んでいる箇所から経絡に落とし込んで漢方食養生ツボを決定していきます。またマッサージ、筋肉をつける、運動する、水の摂取量、塩分、薬の副作用などお話していきます。長く放置するのは良くないです。

日中頻尿・夜間頻尿

日中頻尿

 「尿が近い、尿の回数が多い」という症状を頻尿といいます。一般的には、朝起きてから就寝までの排尿回数が8回以上の場合を頻尿といいます。しかし、1日の排尿回数は人によって様々ですので、一概に1日に何回以上の排尿回数が異常とはいえず、8回以下の排尿回数でも自分自身で排尿回数が多いと感じる場合には頻尿といえます。頻尿の原因は様々ですが、①過活動膀胱、②残尿(排尿後にも膀胱の中に尿が残ること)、③多尿(尿量が多いこと)、④尿路感染・炎症、⑤腫瘍、⑥心因性に分けることができます。

 過活動膀胱は膀胱に尿が十分に溜まっていないのに、膀胱が自分の意思とは関係なく勝手に収縮するという病気で、急に尿がしたくなって我慢ができず(尿意切迫感)、トイレに何回も行くようになります。過活動膀胱は日本で1000万人以上の男女が罹患する頻度の多い病気です。脳卒中、パーキンソン病などの脳や脊髄の病気のために、膀胱のコントロールが効かなくなる、前立腺肥大症による排尿障害のために膀胱が過敏になる、などの原因で発生しますが、加齢による老化現象として起こったり、原因が不明(明らかな基礎疾患がない)であったりすることも少なくありません。また、尿が間に合わずにもれてしまうこともあります(切迫性尿失禁)。1回の排尿量は少なく、何回もトイレに行くようになります。
 残尿とは、排尿後も膀胱内に尿が残る状態をいいます。前立腺肥大症などによる排尿障害(尿排出障害)が進行すると残尿が発生します。また、糖尿病、腰部椎間板ヘルニア、子宮がん・直腸がんの手術などで、膀胱を収縮させる神経が障害されると、膀胱がうまく収縮できなくなって排尿障害(尿排出障害)を引き起こし残尿が発生します。膀胱内に残尿があると、結果的に尿を溜められる膀胱のスペースが減少するために、1回の排尿量は少なく、何回もトイレに行くようになります。
 多尿とは、1日の尿量が著しく増えた状態をいいます。膀胱や尿道に問題がなくても、糖尿病などの内分泌疾患、水分の多量摂取、薬剤(利尿剤)による尿量の増加が頻尿の原因となります。この場合には、1回の排尿量は正常(150~200ml以上)であるにも関わらず、何回もトイレに行くことになります。膀胱炎や前立腺炎などの尿路感染が起こると、膀胱の知覚神経が刺激されて頻尿になります。
 間質性膀胱炎は原因不明で、膀胱に慢性の炎症を起こす病気ですが、長期間続く頻尿、膀胱充満時の下腹痛が特徴的です。
 膀胱がんの重要な症状は血尿ですが、まれに膀胱がんによる膀胱刺激症状として頻尿がみられることがあります。
 心因性の頻尿は、膀胱・尿道の病気もなく、また尿量も問題ないにも関わらず、トイレのことが気になって何回もトイレに行ってしまう状態です。心因性なので、夜寝てしまえば排尿のことを気にすることはないので、通常夜間の頻尿はないことが多く、また朝起床時の排尿量は正常です。

夜間頻尿

 夜間、排尿のために1回以上起きなければならない症状を夜間頻尿といいます。加齢とともに頻度が高くなります。夜間頻尿は、日常⽣活において支障度の高い(困る)症状です。夜間頻尿の原因は、大きく分けて1)多尿・夜間多尿、2)膀胱容量の減少、3)睡眠障害に分けられます。これらの3つの原因によって治療法が異なるので夜間頻尿の原因をまずはっきりさせることがとても重要です。尿量が多いため夜間頻尿がおきることがあります。特に内科の病気が隠れている場合は、その病気に対する治療が優先されるため、注意が必要です。多尿による夜間頻尿は1日24時間の尿量が多くなるために、夜間トイレに何度も起きるものです。1日の尿量が40ml/kg(体重)を超える場合(例えば60kgの体重の人は40ml/kg x 60kg =2,400ml)がこれに当たります。水分の過剰摂取、尿量を増加させる薬剤を内服しているため、糖尿病などの内科の病気によるものがあります。夜間多尿は、夜間のみ尿量が多くなり、夜間トイレに何度も起きるものです。一つの目安として、65歳以上の方では、24時間の尿量に対する夜間尿量の割合が33%を超える場合は、夜間頻尿と考えられます。寝る前の水分の過剰摂取、薬剤性のもの、ホルモンバランスの乱れ、高血圧や心不全、腎機能障害などの内科の病気によるもの、睡眠時無呼吸症候群(睡眠時に呼吸が一時的に止まる病気で、いびきをかく人によくみられます)があります。膀胱容量の減少は、少量の尿しか膀胱に貯められなくなるもので、膀胱が過敏になるために起こります。一般的には、昼にも頻尿になることが多いです。過活動膀胱は膀胱に尿が少量しか溜まっていないのにも関わらず尿意を感じてしまったり、膀胱が勝手に収縮してしまう病気で、トイレに急いで駆け込む症状(尿意切迫感)があるものです。脳卒中、パーキンソン病などの脳や脊髄の病気で引き起こされる場合もあります。前立腺肥大症は男性特有の疾患で、前立腺が大きくなることで排尿がしにくくなり、結果として膀胱が過敏になることがあります。間質性膀胱炎や骨盤臓器脱などで夜間頻尿になることがあります。睡眠障害は眠りが浅くてすぐ目が覚めてしまうために、目が覚めるごとに気になってトイレに行くものです。以上のように、夜間頻尿の原因は様々ですので、適切な対処をするためには原因を明らかにすることが必要です。夜間の排尿の際に、毎回十分な尿量を排尿する場合(おおよその目安として200-300ml)は多尿もしくは夜間多尿による夜間頻尿、十分な尿量を排尿しない場合(おおよその目安として100ml以下)は膀胱容量の減少による夜間頻尿と考えられます。排尿習慣を知るために、排尿日誌を用いて、ご自身でも正確にチェックすることが可能です。朝起きてから翌日の朝まで、排尿した時刻とメモリ付コップなどで測定した排尿量を日記のように記録するものです。1回の排尿量(膀胱に溜めることができる膀胱容量)と排尿回数を知ることができ、おおよその原因を知ることができます。

漢方と鍼灸

 東洋医学ではこれ以外に冷えによる頻尿があります。原因をしっかり押さえて取り組みます。腎臓、膀胱、各疾患、自律神経から波長を経絡に落とし込んで漢方食養生ツボを選択していきます。