起立性調節障害
たちくらみ、失神、朝起き不良、倦怠感、動悸、頭痛などの症状を伴い、思春期に好発する自律神経機能不全の一つです。近年の研究によって重症なものでは、自律神経による循環調節(とくに上半身、脳への血流低下)が障害され日常生活が著しく損なわれ、長期に及ぶ不登校状態やひきこもりを起こし、学校生活やその後の社会復帰に大きな支障となることが明らかになりました。発症の早期から重症度に応じた適切な治療と家庭生活や学校生活における環境調整を行い、適正な対応を行うことが不可欠です。小学生の約5%、中学生の約10%。重症は約1%。不登校の約3-4割に起立性調節障害を併存する。性差 男:女 1:1.5~2で好発年齢10~16歳、遺伝・家族性の約半数に遺伝傾向を認めます。起立に伴う循環動態の変動に対する自律神経による代償機構の破綻や心理社会的ストレス(学校ストレスや家庭ストレス)が関与する。身体が辛いのに登校しなければならないという圧迫感が、さらに病状を悪化させる日常の活動量低下→ 筋力低下と自律神経機能悪化→ 下半身への過剰な血液移動→ 脳血流低下→ 活動量低下という負のスパイラルに陥っていきます。
具体的症状は、立ちくらみ、朝起床困難、気分不良、失神や失神様症状、頭痛など。症状は午前中に強く午後には軽減する傾向があります。また立位や座位で増強し、臥位にて軽減します。夜になると元気になり、スマホやテレビを楽しむことができるようになります。しかし重症では臥位でも倦怠感が強く起き上がれないこともあります。夜に目がさえて寝られず、起床時刻が遅くなり、悪化すると昼夜逆転生活になることもあります。身体面では、概日リズム睡眠障害(睡眠障害)、失神発作(けいれんを伴うこともある)、著しい頻脈もあり、脳血流低下に伴う集中力や思考力の低下、学業低下、長時間臥床など日常生活の低下、長期欠席など、発達障害やその傾向性を伴う学校不適応や不登校などにも。
立ちくらみ、失神、気分不良、朝起床困難、頭痛、腹痛、動悸、午前中に調子が悪く午後に回復する、食欲不振、車酔い、顔色が悪いなどのうち、3つ以上、あるいは2つ以上でも症状が強ければ起立性調節障害を疑います。鉄欠乏性貧血、心疾患、てんかんなどの神経疾患、副腎、甲状腺など内分泌疾患など、基礎疾患を除外して考えます。
中等症や重症の多くは倦怠感や立ちくらみなどの症状が強く、朝に起床困難があり遅刻や欠席をくり返していますが、保護者の多くは、子どもの症状を「怠け癖」や、ゲームやスマホへの耽溺、夜更かし、学校嫌いなどが原因だと考えて、叱責したり朝に無理やり起こそうとして、親子関係が悪化することが少なくありません。・本人と保護者に対して、「ODは身体疾患である、「根性」や気持ちの持ちようだけでは治らない」と理解を促すことが重要です。
漢方と鍼灸
漢方で良くなることが多い疾患です。養生では水分は摂りすぎない、汗をかくまで運動し発散させる、水の偏在があるので余っているところから水分を移動し出していく。貧血気味なのでアミノ酸、ビタミン、ミネラルを補給する 冷たい物などで胃腸が弱っている子も多いため、冷水は禁止。朝食はパン食をやめてご飯と味噌汁を摂っていただく。先に味噌汁で胃を温めてから食事を始めるといいですよ。よく噛む。昼寝はしない。しても30分以内。夕食は早めにそして少な目。朝早く日の出とともに起きるまたは日を浴びながら目覚める(雨戸、遮光カーテンはしない)ことが大切。自分で起きられない子はまず体を起こしてあげることから始める。鍼灸は自律神経のツボから経絡に落とし込んで治療しますが、皮膚刺激を中心に行います。漢方も併用してください。
・苓桂朮甘湯(茯苓・桂枝・白朮・甘草)『傷寒論』
脳貧血によって立ちくらみのするものに使われます。胃の中に溜飲があって立ちくらみするときに、胃の中の水(胃内停水)を白朮・茯苓でとります。桂枝・甘草も心悸亢進を抑える作用があります。
・五苓散(猪苓・沢瀉・白朮・茯苓・桂枝)『傷寒論』
白朮・茯苓は血管外の水分を血中に取り入れる作用にすぐれ胃腸内の水分を吸収します。猪苓・沢瀉は血中の水分を利尿する作用にすぐれ、血中の水を尿に出します。
・半夏白朮天麻湯(黄柏・乾姜・天麻・蒼朮・茯苓・黄耆・沢瀉・人参・白朮・神麹・半夏・麦芽・陳皮・生姜)『脾胃論』
・四物湯(地黄・芍薬・当帰・川芎)『太平恵民和剤局方』
など(薬局製剤以外も含む)
眼精疲労
眼の疲れや眼の痛み、かすみ目、まぶしさ、眼の充血等といった目の疲れを感じることは多くの方が経験されるものであり、休養を取ることで疲れをとれることも多いです。眼精疲労でも同じような疲れを感じることになりますが、休息を取ることで症状の緩和がはかれない状態です。さらに眼精疲労では頭痛や肩こり、吐き気などの症状を呈するようになります。
目に関連した眼精疲労としては、遠視や近視、乱視といった屈折異常に伴うものがあります。こうした屈折異常が存在すると、ものを見るという日常的な動作に関連して常時目に負担をかけることになります。眼鏡やコンタクトレンズによる矯正が適切でない場合も同様のため、ご自身に合った矯正を行うことが重要です。その他、老眼やドライアイ、白内障、緑内障なども眼精疲労の原因となります。その他、高血圧や虫歯、貧血、自律神経失調症などが原因となって眼精疲労が引き起こされることもあります。またVDT症候群とは、パソコンなどのディスプレイやキーボードのVDT 機器(Visual Display Terminals)を長時間連続して使用することによって、身体的疲労などの自覚症状がみられることです。画面に集中することによる瞬目(瞬き)回数の減少や目線の変化による開瞼(まぶたを開く)幅の増加によって起こるドライアイや眼精疲労が原因になります。また、裸眼で十分に見えていない、メガネやコンタクトの度数が合っていないといった状態も眼精疲労を悪化させる原因となります。
厚生労働省のガイドラインでは連続した作業時間が60分を越えないようにし、作業と作業の間は10~15分の作業休止時間と1~2分の休憩を挟むように推奨しています。作業中は椅子に深く座り背もたれを十分使用することで、正しい姿勢を継続することにより筋骨格症状を軽減できます。
漢方と鍼灸
目の健康も体の健康と同じように意識することが大切ですね。長時間物を見続けると目の周りの筋肉がこわばり血流が悪くなります。またディスプレイなどブルーライトを発するものを見続けるのも良くないので、フィルターを使ってカットしましょう。抗酸化力のあるものを食養生としてとることもおすすめです。気血水で考えると疲労・血流・潤い、関係の深い臓腑は肝、腎です。木を見て森を見よ。目だけ見ても対症療法となってしまいます。鍼灸も目の異常波長をとらえて経絡に落とし込んで治療していきます。
煎じ
・桂枝加竜骨牡蛎湯(桂枝・芍薬・生姜・甘草・大棗・竜骨・牡蛎)『金匱要略』
かすみ目、のぼせ、足の冷え、不眠などがある方に使われます。
・葛根湯(葛根・麻黄・桂枝・芍薬・甘草・生姜・大棗)『傷寒論』
眼痛、眼に充血、肩こりがある方に使われます。
・桂枝茯苓丸(桂枝・茯苓・牡丹皮・桃仁・芍薬)『金匱要略』
癌通、充血、赤ら顔、冷えのぼせがある方に使われます。
・八味地黄丸(地黄・山茱萸・山薬・沢瀉・茯苓・牡丹皮・桂枝・附子)『金匱要略』
かすみ目、羞明、手足の冷え、口渇などがある方に使われます。
・益気聡明湯(黄耆・甘草・人参・升麻・葛根・蔓荊子・芍薬・黄柏)『東垣試効方』
・還晴丸料(川芎・蒺蔾子・白朮・木賊・姜活・莬絲子・熟地黄・甘草)『証治準縄』
・冲和養胃湯(柴胡・人参・炙甘草・白朮・升麻・葛根・黄耆・姜活・芍薬・防風・茯苓・五味子・乾姜)『証治準縄』
・定志丸(菖蒲・遠志・茯苓・人参)『備急千金要方』
など(薬局製剤以外も含む)
網膜剥離
眼球内の光を感じる組織を網膜と呼びます。健常な網膜は眼球の裏側に張り付いています。内張としての網膜が眼球壁からはがれる病態を網膜剥離と呼びます。本来あるべきところから離れた網膜は栄養が不足してはたらきが悪くなるために、視野が欠けたり視力が落ちたり見えにくくなります。網膜剥離を治すためには手術が必要です。ほとんどの網膜剥離は治すことができます。
網膜に破れ目や裂孔ができることが網膜剥離の原因になります。裂孔ができる原因には加齢、外傷などが挙げられます。裂孔を原因とする網膜剥離を放置すると網膜全体が剥離して、完全な失明につながります。もともと網膜に弱い部位があれば若年者でも網膜剥離を起こすことがあります。
裂孔を伴わない非裂孔原性網膜剥離もあります。眼球内の腫瘍や炎症、高血圧や糖尿病などがその原因となります。網膜剥離の初期症状は飛蚊症と光視症です。飛蚊症とは視野にゴミや蚊のような影が見える症状のことで、特に明るい背景で物を見ている場合や、青空、白い壁などを見た時に経験しやすいものです。光視症とは目を動かしたときに、視野のまわりに一瞬光が走るような感覚が生じるものです。飛蚊症や光視症があるからといって網膜剥離とは限りません。近視や加齢などのために飛蚊症や光視症が出てくることがほとんどです。飛蚊症や光視症があっても網膜剥離になる人は1万人に1人と報告されていますので極端に心配する必要はありません。網膜剥離が進行して網膜の中心部が障害されると視力が悪くなり、メガネを使用しても改善しません。下方の網膜がはがれると上方の視野が欠け、上方の網膜が剥離を起こすと下方の視野が欠けます。
漢方と鍼灸
網膜が剥離した場合、手術が適用です。ですが手術ができない状況、手術をしたが何かうまくいかない状況などがあればご相談ください。網膜剥離にいたる前に養生をして目を健康な状態にしておくことが大切です。前駆症状は飛蚊症や光視症ですのでまずはそこで確認をしておきましょう。その他目の異常があればそれをひどくさせないことも大事ですね。養生に力を入れましょう。鍼灸も目が悪くなる原因をつかんで経絡に落とし込んで予防や治療をしていきます。
煎じ
・苓桂朮甘湯(茯苓・桂枝・甘草・白朮)『傷寒論』
浮腫みなどに使われます。
・五苓散(猪苓・沢瀉・白朮・茯苓・桂枝)『傷寒論』
溜まった水を利尿します。
・滋腎明目湯(当帰・川芎・芍薬・地黄・熟地黄・桔梗・人参・山梔子・黄連・白芷・蔓荊子・菊花・甘草・細茶・燈心草)『万病回春』
・固本還晴丸(天門冬・麦門冬・地黄・熟地黄・茯苓・枸杞子・人参・山薬・牛膝・石斛・草決明・杏仁・莬絲子・菊花・枳殻・羚羊角・犀角・青葙子・防風・五味子・炙甘草・蒺蔾子・川芎・黄連)『証治準縄』
・神効黄耆湯(蔓荊子・陳皮・人参・炙甘草・芍薬・黄耆)『蘭室秘蔵』
など(薬局製剤以外も含む)
眼底出血
『眼底』とは、眼球の内部、奥の部分のことをいいます。眼底には、網膜・脈絡膜や視神経、血管などの大切な組織があります。『眼底出血』は、多くの場合は網膜の出血のことを指します。網膜の中心部である黄斑部は、中心視力にとって最も大切な部分です。
糖尿病・高血圧によるものが代表的ですが、加齢黄斑変性・網膜静脈閉塞症・網膜細動脈瘤・糖尿病網膜症・高血圧網膜症・網膜剥離・外傷・全身の血液疾患(腎臓病・白血病)などが原因になるものもあります。眼球内に出血が溜まり急激に視力が下がる硝子体出血という重症のタイプもあります。出血そのものの症状は、飛蚊症・視野障害・視力低下などです。しかし黄斑(おうはん)という感度の高い中心にでると、見にくい場所をはっきり自覚するようになります。したがって、健康診断で発見されることも多いです。両目で普通にみていると気づきにくいため、ときどき片目ずつで見てみると発見できることがありますので是非ためしてみてください。
漢方と鍼灸
出血を止める漢方、血栓を溶かす漢方、動脈硬化を改善する漢方を組み合わせます。鍼灸では出血箇所の波長から経絡に落とし込んで治療していきます。
煎じ
・三黄瀉心湯(黄連・黄芩・大黄)『傷寒論』
充血性炎症の強い時に使われます。
・黄連解毒湯(黄連・黄芩・黄柏・山梔子)『外台秘要』
三黄瀉心湯に使われる場合に似ていますが、それほど下す必要がない時に使われます。
・温清飲(当帰・川芎・芍薬・地黄・黄連・黄芩・山梔子・黄柏)『万病回春』
病状が長引いているときに使われます。
・洗肝明目湯(当帰・川芎・芍薬・地黄・黄連・黄芩・山梔子・石膏・連翹・防風・荊芥・薄荷・姜活・蔓荊子・菊花・蒺蔾子・桔梗・決明子・甘草)『万病回春』
眼脂の分泌がある時に使われます。
・桂枝茯苓丸(桂枝・茯苓・牡丹皮・桃仁・芍薬)『金匱要略』
桃仁・牡丹皮に駆お血作用があり内出血や腫瘤を除きます。
・桃核承気湯(桃仁・大黄・甘草・芒硝・桂枝)『傷寒論』
・小柴胡湯(柴胡・黄芩・人参・半夏・甘草・生姜・大棗)『傷寒論』
体質改善の目的で使わることが多いです。
・小建中湯(桂枝・芍薬・甘草・生姜・大棗・膠飴)『傷寒論』
疲れやすく、腹直筋が薄く緊張している方に使われます。
など(薬局製剤以外も含む)
【眼の症状】でお悩みの方
「もしも、親や身近な人、あるいは自分自身が目の病気になったらどうしよう…」そんな不安を抱いたことはありませんか。
小児における流涙症(涙目)、ドライアイ、麦粒腫(ものもらい)の増加が問題となっています。大人も眼を酷使することによって、飛蚊症、結膜炎など不調を訴える方が増えています。高齢化社会においても、眼の健康は非常に重要です。現在、中高年の失明原因の1位は緑内障、2位は糖尿病網膜症で、網膜色素変性症、加齢黄班変性がそれに続きます。
当院の眼の病気へのこだわりは漢方薬の選薬、鍼灸の施術と食養生を大切にしていることです。どこに行っても良くならなかった方の最後の砦になりたい、そんな気持ちでアドバイスさせていただきます。
流涙症(涙目)、ドライアイ、結膜炎、眼底出血、黄斑変性症・加齢黄斑変性症、黄斑前膜・網膜前膜、黄斑浮腫、網膜剥離、中心性網膜炎・中心性漿液性脈絡網膜症、眼精疲労、麦粒腫、飛蚊症、網膜静脈閉塞症・網膜分枝静脈閉塞症、原発開放隅角緑内障・原発閉塞隅角緑内障・正常眼圧緑内障・続発緑内障・発達緑内障、白内障、結膜結石、眼瞼下垂症、眼痛、網膜色素変性症、ブドウ膜炎、その他
自分自身や家族・同僚、友人など周りの人について「眼の症状でお悩み」と思われる症状に気づいたら一人で悩まず、不二薬局にご相談ください。
■漢方の不二薬局、はりきゅう治療院 藤巻一心堂へのアクセスはこちら
■遠方の方は、オンライン(電話)でご相談いただけます。
結膜炎(アレルギー性結膜炎・感染性結膜炎・感染性角膜炎)
アレルギー性結膜炎とは、目の表面に花粉などのアレルゲン(アレルギー反応を引き起こす物質)が付着して、結膜に炎症を起こす病気です。結膜とは、まぶたの裏側と白目の部分を覆っている粘膜のことです。花粉などが原因の、特定の季節にのみ症状があらわれるものを季節性アレルギー性結膜炎といい、一年中症状がみられるものは、通年性アレルギー性結膜炎といいます。重症のものでは、子どもに多くみられる春季カタル、ソフトコンタクトレンズを使っている人にみられる巨大乳頭結膜炎などがあります。アレルギー性結膜炎では次のような症状が引き起こされます。目のかゆみ、目の充血、目の異物感、目やにが出る(涙のようにサラサラした水状のもの)、涙が出る、まぶたの裏にぶつぶつができます。
感染性結膜炎は、細菌やウイルスが目に感染し、白目の一番表面の膜である結膜に炎症を起こす病気です。目に不快な症状があらわれることがほとんどですが、プール熱のように目の症状だけでなく、のどの痛みや発熱といった、かぜに似た症状を引き起こすこともあります。
感染性結膜炎の主な症状は、涙が出る、目がゴロゴロする、目やにが出る、目が赤い(充血する)、プール熱の場合:発熱・のどの痛みです。感染性結膜炎の原因には、大きく分けて、細菌による感染と、ウイルスによる感染があります。
細菌性結膜炎の原因菌はインフルエンザ菌や肺炎球菌、黄色ブドウ球菌などです。黄色ブドウ球菌は、健康な人ののどや鼻、皮膚、手指、毛髪、腸管などにも分布しています。感染力が弱いため、感染の危険は大きくありませんが、目にケガをしたとき、病気などで身体の抵抗力が落ちたとき、子どもの場合は、感染しやすくなります。
ウイルス性結膜炎の原因の多くはアデノウイルスです。アデノウイルスは感染力が強く、多くの場合は人から人へと感染するので、注意が必要です。「はやり目」や「プール熱」もアデノウイルスによる感染性結膜炎です。結膜炎の症状がおさまってきた頃に、黒目(角膜)の表面に小さな点状の濁りが出てくることがあります。このときに治療をやめると、角膜が濁って視力が落ちることがありますので、治ったかなと思っても、治療を続けるようにしましょう。
感染性角膜炎とは、角膜に細菌やカビなどが感染して、炎症を起こす病気のことです。角膜とは黒目にあたる部分で、通常は涙に覆われて外部からの刺激や病原体の侵入から守られています。しかし、角膜に傷が付いている場合には細菌などの病原体に感染しやすくなり、目の痛み、目がゴロゴロする、目の充血、涙が出る、まぶたが腫れる、黒目が白くなるなどの症状がでます。基本的には両目ではなく、片方の目だけに症状が出るようです。
また、感染性角膜炎は放置しておくと角膜潰瘍を起こすこともあります。角膜潰瘍では、病巣が角膜の内部にまで広がって、黒目が白く濁ったり、視力が低下したりすることもありますので注意が必要です。
細菌性角膜炎は細菌によって起こる角膜炎です。ゴミや砂などの異物が目に入ったり、コンタクトレンズの装用で角膜にキズがついたりしたときなどに起こります。放置すると失明の危険がありますので、一刻も早い治療が必要となります。
真菌性角膜炎は、カビ(真菌)によって起こる角膜炎です。植物などによる外傷、ソフトコンタクトレンズの連続装用、ステロイド剤の長期点眼などにより起こることがあります。細菌性のものに比較して、症状が出るまで日数がかかるのが特徴です。
角膜ヘルペスは、多くは乳幼児の頃に初感染を起こし、身体の中の神経組織(神経節細胞)にひそむようになります。一旦、神経組織にひそんでいたウイルスは、発熱、紫外線被爆、ストレスなどをきっかけにして再び活動を開始し、角膜へ移動して角膜炎を起こします(再発)。これが角膜ヘルペスです。
アカントアメーバ角膜炎は、池や沼などの淡水に広く分布するアメーバという目にみえない微生物によって起こる角膜炎です。近年、アメーバによる角膜感染がコンタクトレンズの装用者に激増し、注目されています。アメーバは水道水の中にも存在していて、日常の手入れに問題があり、アメーバにより汚染されたコンタクトレンズを装用することにより起こります。夜も眠れないほどの激しい目の痛みが特徴です。
漢方と鍼灸
目の粘膜を保護する漢方、細菌性にものは抗菌作用の漢方、ウイルス性のものは抗ウイルス作用の漢方、炎症を止める漢方、免疫力を高める漢方などをお出しします。鍼灸は免疫力を中心に治療していきます。
煎じ
・葛根湯(葛根・麻黄・桂枝・芍薬・生姜・甘草・大棗)『傷寒論』
初期の結膜の充血、眼瞼腫脹がある時に使われます。
・苓桂朮甘湯(茯苓・桂枝・甘草・白朮)『傷寒論』
結膜炎に伴う炎症性の浮腫みなどに使われます。
・三黄瀉心湯(黄連・黄芩・大黄)『傷寒論』
充血性炎症の強い時に使われます。
・洗肝明目湯(当帰・川芎・芍薬・地黄・黄連・黄芩・山梔子・石膏・連翹・防風・荊芥・薄荷・姜活・蔓荊子・菊花・蒺蔾子・桔梗・決明子・甘草)『万病回春』
眼脂の分泌がある時に使われます。
など(薬局製剤以外も含む)
流涙症(涙目)
涙目の原因としては、涙腺で作られる涙の分泌自体が増加すること、または涙の排出路の一部が阻害されることが考えられます。涙目の一般的な原因には、上気道感染症、アレルギーによるもの(アレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎)、涙道障害もなどがあります。
その他の原因としてドライアイがあります。これは眼の表面が乾くことでそれに対する反射により涙腺から涙分泌が刺激されることで起こります。また眼球内への異物混入やまつ毛など眼球に対する刺激でも起こります。また鼻涙管という目と鼻をつないでいる通り道が狭くなることでも排出が悪くなり、涙目の原因となります。生まれつき詰まっていると先天性涙道閉塞の診断となります。加齢による変化、年齢とともに白目(結膜)がゆるんでシワができ、そのシワが堤防のようになって涙が外にあふれ出る場合もあります。また白内障の初期の段階や涙の分泌を支配する三叉神経の異常によるもの、一部の抗がん剤の副作用などでも詰まりやすくなり、この場合は後天性涙道狭窄と呼ばれます。また涙嚢の慢性的な感染症などでも涙の分泌が増加されます。
漢方と鍼灸
まず原因を把握するため問診は必要です。ドライアイが原因なら目を潤す漢方、通り道が塞がっているなら通す漢方、細菌性のものなら抗菌漢方、アレルギー性のものならそちらの漢方となります。鍼灸でも原因となるところの波長をとり経絡に落とし込んで治療していきます。アレルギー体質の方の流涙症に半夏厚朴湯で効いた方がいらっしゃいます。
煎じ
・苓桂朮甘湯(茯苓・桂枝・甘草・白朮)『傷寒論』
めまい・頭痛・動悸などがあり、慢性の涙管狭窄などに使われます。
・五苓散(猪苓・沢瀉・白朮・茯苓・桂枝)『傷寒論』
のぼせ、吐き気、口が渇いて小便が少なく、涙が出る場合に使われます。
・越婢加朮湯(麻黄・石膏・生姜・甘草・白朮・大棗)『金匱要略』
分泌物がでたり、粘膜には異常がなくて冬季に風にあたると流涙が止まらない場合などに使われます。
・小青竜湯(麻黄・芍薬・細辛・乾姜・甘草・桂枝・五味子・半夏)『傷寒論』
体内に水気があって、それが体表にあふれ出る時に使われます。
・止涙補肝湯(疾藜子・当帰・熟地黄・川芎・芍薬・木賊・防風・夏枯草)『張氏医通』
など(薬局製剤以外も含む)
7月のお休みについて
[お休み]のお知らせです。
7月2日(日)3日(月)
7月9日(日)10日(月)
7月16日(日)17日(月)
7月23日(日)24日(月)
7月30日(日)31日(月)
お電話でのご予約: 03-3300-0455 までお電話ください。
雨の日も、リフレッシュできますように。
ハンチントン病
ハンチントン病とは、第4染色体に局在するハンチンチン遺伝子(HTT)の変異によって、不随意運動などの運動症状、精神症状、行動異常、認知障害が現れる遺伝性の神経変性疾患です。このような症状は、運動機能や認知機能などをつかさどる脳の大脳基底核や大脳皮質が萎縮することで生じ、突然発症した後ゆっくりと進行していきます。
主に成人になってから発症し、30歳代に多い傾向がありますが、小児期に発症することもあれば高齢期になって発症することもあります。20歳以下に発症するものは若年型ハンチントン病と呼ばれ、その割合は全体の10%程度とされています。日本におけるハンチントン病の頻度は100万人あたり7人程度と非常にまれな病気です。現在のところ根治的な治療法はなく、国の難病に指定されています。
ハンチントン病では、脳の大脳基底核や大脳皮質が萎縮することによって、不随意運動をはじめとする運動症状、性格変化や行動変化などの精神症状が現れ、徐々に認知障害も出てくるようになります。
運動症状は舞踏運動と呼ばれる不随意運動です。これは自分の意思とは無関係に体が動いてしまう不随意運動の一種で、手先が不規則に動く、首を動かす、しかめ面をする、頻繁にまばたきをする、舌打ちをするなどの症状が現れます。お箸を使う、字を書くなどの細かい動作がしにくくなることも多く、また同じ動作を続けるのが難しくなるために物を落とす、転ぶなどの症状もみられます。発症初期には、一見落ち着きがないように周囲から見られることが多いです。病気が進行するとあらゆる動作がしにくくなって、歩く、食べる、話すなどの動作も困難になっていき、日常生活に介助が必要な状態となります。
精神症状としては、怒りっぽくなる、不機嫌になる、感情が不安定になるなどの性格変化、何かにこだわって同じことを繰り返すといった行動変化がみられることがあります。
意欲の低下、幻覚、妄想、うつ状態、不眠などの症状が現れることもあり、衝動的に自殺を図ろうとする場合もあります。
認知障害においては、アルツハイマー病などの病気と異なり、ハンチントン病では物忘れや記憶障害が軽い場合がほとんどで、記憶障害よりも注意力や遂行能力の低下が表立ちます。
漢方と鍼灸
難病指定ですが、病名にとらわれないで証をとらえていくことが東洋医学では大切です。鍼灸も脳の異常箇所の波長から経絡に落とし込んでツボを見つけ治療していきます。
手掌多汗症
幼少児期あるいは思春期頃に発症し、精神的緊張によって手のひらに多量の発汗を認める病気です。多汗症は全身の発汗量が増える“全身性多汗症”と、体の一部に限って発汗量が増える“局所性多汗症”に分類され、手掌多汗症は局所性多汗症に含まれます。症状が現れる部位として、手のひらのほかに足裏、頭部・顔面、腋わきなどがあります。手のひらと併せて足裏に多汗症が生じることも多く、手のひらと足裏に限って発汗するものを掌蹠多汗症と呼びます。
手掌多汗症の主な原因は、精神的緊張によるものといわれています。どのようにして起こるかについてはまだはっきりと分かっていませんが、発汗を司る交感神経がほかの人よりも過敏に反応しやすいのではないかと考えられています。また、近年は家族内での発症が報告され、一部の患者には何らかの遺伝子が関係している可能性が指摘されています
例えば大勢の前で話す時、手に汗を握るという言葉があるように緊張によって交感神経が興奮し手に汗をかきます。精神的な緊張が強い時や物を持つ時などに、一時的に両方の手のひらに多量の汗を認めます。症状が重い場合には時にしたたるほどの発汗がみられ、手のひらが常に湿って指先が冷たくなり、紫色になることがあります。発汗量は日中に多く、寝ているときには発汗しないのが特徴です。季節による発汗量の変動もみられ、寒い時期には発汗量が減少し、暑い時期には発汗量が増加する傾向にあります。また手のひらに多量の汗をかくことで書類に汗染みができる、握手の際に相手に不快感を与えるのではないかと感じる、したたる汗で電気機器が破損するなど日常生活に大きな支障をきたします。これによってQOL(生活の質)が低下するばかりか不安症(不安障害)や対人恐怖症になる人もいます。
漢方と鍼灸
精神的緊張があると気は上昇したり逆流したりします。緊張をほぐす漢方、気の上昇を抑える漢方など体質によって漢方も違いますので問診が必要です。鍼灸も自律神経の緊張具合を見るツボから経絡に落とし込んで治療していきます。緊張して答案用紙がぐしょぐしょになって破れてしまう相談をうけ良くなった例があります。
・四逆散(柴胡・芍薬・枳実・甘草)『傷寒論』
柴胡は、イライラ、緊張などの精神的ストレスを緩和します。芍薬・甘草は鎮痙作用があります。
・荊芥連翹湯(黄連・黄芩・黄柏・山梔子・当帰・川芎・地黄・芍薬・連翹・荊芥・薄荷・防風・柴胡・白芷・桔梗・枳殻・甘草)『一貫堂』
内分泌のバランス調節をする柴胡四物湯に抗炎症剤の黄連解毒湯が加わり、排膿薬が加わった薬方になります。
・桂枝竜骨牡蛎湯(桂枝・芍薬・生姜・甘草・大棗・竜骨・牡蛎)『金匱要略』
桂枝湯に竜骨と牡蛎が加わった方剤です。竜骨・牡蛎には鎮静作用・抗不安作用があります。
・防己黄耆湯(防已・黄耆・白朮・生姜・甘草・大棗)『金匱要略』
防已・白朮の利尿作用と黄耆で肌表の水をさばいて、自汗・盗汗を治します。
など(薬局製剤以外も含む)