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ベーカー嚢腫

 ベーカー嚢腫とは膝の裏にある関節液(滑液)という液体を含んだ滑液包が炎症を起こし膨らむことです。膝の裏側には小さい滑液包が複数あり、過剰な摩擦や圧迫が加わると炎症が起こり痛みを生じます。関節液の分泌量が多くなると、滑液包に過剰な関節液が溜ります。 関節液がたまる原因には、関節リウマチ、痛風、加齢による変形性膝関節症、ランニングなどによる膝の使い過ぎや、体重増加などがあります。悪性の腫瘤ではありませんが、中年の女性に多く発症します。ベーカー嚢腫(のうしゅ)の症状としては、膝裏の腫れ、違和感、不快感などがあります。痛みは強くなりにくい特徴があります。膝裏の腫れがゴルフボールくらいに大きくなると膝を曲げてしゃがむ、正座をする時に痛みを感じるなど可動域制限が生じます。腫れは自然に消えていきますが何らかの理由により関節液が急増し、嚢胞(滑液包)が破裂することがあります。破裂すると、嚢胞内の関節液が漏れ出し周囲の組織に炎症を生じさせ、急速に局所的な痛みや腫れを起こす場合があります。また、膝の裏側を通っている血管がベーカー嚢胞に圧迫され血管性静脈炎を発症させることもあります。基本的に診察にて問診と視診、触診を行います。変形性関節症や関節リウマチ、半月板損傷などを併発していることがあり嚢腫の大きさや位置を正確に知る必要がある為、必要に応じて超音波検査やMRI検査を行う場合があります。日常生活では膝に負担の掛かりにくい歩き方や姿勢を保つことが大切です。治療として、一般的に保存療法と手術療法に分けられます。保存的療法は基本的に症状が出ていなければ治療の必要はありません。痛みや腫れなどが強くなり日常生活に支障をきたすようなら、湿布や内服薬とともに注射器にて関節液を吸引し、経過観察を行っていきます。吸引しても時間の経過と共に再び同じ症状が出現する事もあります。それ以外に、ベーカー嚢胞の形成を予防するためにステロイド薬を患部に注射することもあります。手術療法は、保存的療法を行っても改善しない場合に嚢胞を摘出します。膝の裏側には重要な神経や血管が多数走っているため、また完全に取り除くことは難しく、摘出しても再発することがあるため手術には慎重な判断が必要です。

漢方と鍼灸

 血流改善の漢方、水を抜く漢方、炎症をとる漢方が中心になります。患部から波長をとって最適な漢方食養生ツボを選択して改善していきます。

【症例】
 右の膝裏にゴルフボール大の嚢胞がでていました。
ご相談を頂き、漢方煎じ薬と食養生品を一か月分飲んで頂きました。
するとすっかり引っ込みましたとご報告を頂きました。