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皮膚搔痒症

 皮膚搔痒症とは、皮膚にはっきりしとした発疹はないものの、かゆみ(瘙痒)のある状態を指します。しかしながら、痒みは引っ掻き行動を引き起こすため、二次的に掻き傷(掻破痕)や湿疹をつくったり、皮膚がごわごわして厚くなったり(苔癬化)することがあります。これらの軽度な変化までを皮膚そう痒症の症状の一部として含むこともあります。かゆみが全身にあらわれる汎発性皮膚瘙痒症と、陰部など一部のみに症状がでる限局性皮膚瘙痒症に大きく分類されます。妊娠中の女性や高齢者に多いとされています。
 汎発性皮膚瘙痒症(全身)の原因はドライスキン(乾燥肌)、代謝疾患(肝疾患、腎疾患など)、内分泌疾患(糖尿病、甲状腺機能異常症、痛風など)、悪性腫瘍、血液疾患(多血症、鉄欠乏性貧血など)環境因子(機械的刺激、湿度など)、薬剤、寄生虫症、食品(魚介類、豚肉、そば、トマト・ほうれん草等の野菜類、チョコレートなど)、妊娠、心因性(ストレス、過労など)
 限局性皮膚瘙痒症(局所)の原因、外陰部皮膚瘙痒症の原因、排尿障害(尿道狭窄・前立腺肥大症)、膣カンジダ症、膣トリコモナス症、肛囲皮膚瘙痒症の原因、便秘、下痢、脱肛、痔、蟯虫、ウォシュレットの使用が代表的です。
 皮膚に明らかな発疹がないにもかかわらず、強いかゆみがあることがこの病気の特徴です。かゆみによるひっかきで、二次的に掻破痕や軽度の湿疹、苔癬化を伴うこともあります。特に高齢者では、皮膚の水分や皮脂の分泌が少なくなるため、冬季に皮膚が乾燥してかゆみが起こることが多く(老人性瘙痒症)、就寝時に悪化しやすいとされています。限局性皮膚瘙痒症があらわれる部位としては、陰部や肛門周囲が多いですが、耳、眼、鼻、頭部、手足などに症状が限局することもあります。皮膚に目立った発疹がないにも関わらず、強いかゆみを訴えることから診断がつきます。皮膚そう痒症の多くは加齢や体質の変化によって起こる良性の病気です。しかしながら、なかには腎疾患、肝疾患、糖尿病、悪性腫瘍、薬剤などが原因となることもあります。医師の診察により、これらの病気が疑われる場合は、血液検査や画像検査など全身検索が必要となる場合もあります。また陰部に生じた場合は寄生虫やカンジダ症などの検査が必要になることもあります。かゆみの原因となっている病気(糖尿病など)が存在する場合は、その治療が第一となります。原因となっている病気が改善することで、かゆみの症状も同時に改善されることがあります。
 皮膚そう痒症の多くはドライスキンが原因であり、乾燥を予防するための保湿剤の塗布は十分に行う必要があります。保湿剤にはヘパリン類似物質添加外用剤、尿素を含んだ軟膏、ワセリンなどさまざまな種類がありますが、症状のある皮膚の状態や、自身にあった保湿剤を使用することが重要です。またかゆみによる引っ掻きにより、二次的におきた湿疹に対しては部分的にステロイド剤を塗り治療していくことも必要になります。かゆみに対しては、かゆみの原因となるヒスタミンという物質を抑える抗ヒスタミン薬の内服が行われることが多いですが、効果は限定的です。また腎障害や肝障害のある患者さんのかゆみに対しては一部のκオピオイド受容体作動薬が用いられることがあります。皮膚そう痒症は精神的要因も大きく、ストレスや不安などで症状が悪化するとされています。これらを取り除くことで症状が緩和されることがあります。日常生活においてお酒やコーヒー、香辛料などの過剰摂取を避ける、乾燥を避ける(特に冬季)、低刺激性の衣服着用など心がけることも重要です。また入浴については、皮膚の清潔を保つだけでなく、入浴時にタオルで強くこすらない、刺激の強い石鹸の使用を避けるなど生活環境の改善も治療の一部となります。

漢方と鍼灸

 ストレスによって生じる場合も多いです。三陰三陽で証をとらるとわかりやすく、陰部のかゆみは少陽病が中心となる。老人性の掻痒症は太陰病、少陰病が多くなる。標治(かゆみをとる)と本治(かゆみの原因)を分けて治療していく。もっとも痒いところから最適な漢方食養生サプリツボ、保湿剤、軟膏を選択し治療していきます。
【症例】65歳 皮膚にめだった炎症もないのに痒い。漢方を1~2包でかゆみが止まる。

光線過敏症(日光過敏症)

 光線過敏症とは、日光が引き金となって皮膚のかゆみ、発疹、発赤、炎症などが生じる病気です。紫外線が原因となる日焼けは健康な人にも起こり得るものですが、通常は反応を示さないような光の量や種類にも反応するものを光線過敏症と呼びます。薬剤や化学物質などが原因となる場合や、遺伝性疾患などが原因で光線過敏症を引き起こす場合があります。小児にも成人にもみられ、小児の場合は遺伝的疾患が原因になることが多く、成人では薬剤やそのほかの物質が原因になっていることが多いです。光線過敏症は原因や症状に応じていくつかの種類があり、顔や首、手などの光が当たる部分にのみ症状が現れるものもあれば、光に当たっていない部分にも症状が現れるものもあります。症状が軽いうちは自然に症状が消失することもありますが、診断が遅れるなどして症状を繰り返すと、症状が強くなったり、皮膚が厚くなったりすることもあります。光線過敏症の原因には、薬剤、食品、化学物質などのほか、遺伝性疾患、代謝性疾患などがあります。光線過敏症の原因には、薬剤や食品、化学物質などがあり、その数は100種類以上にも及びます。これらの物質を口から摂取したり、皮膚に塗ることで紫外線による皮膚への刺激を強くしたり、光によるアレルギー反応を引き起こしたりすることで皮膚症状が現れるようになります。光線過敏症を引き起こす代表的な物質には、抗不安薬、抗うつ薬、抗精神病薬、抗菌薬(飲み薬、塗り薬)

、抗真菌薬、利尿薬、抗不整脈薬、香料、日焼け止め、ライム、セロリ、パセリなどの植物

があります。また何らかの病気によって光線過敏症が引き起こされることもあり、原因となるものには遺伝性疾患、代謝性疾患、膠原病などがあります。光線過敏症の原因となる代表的な病気はポルフィリン症、色素性乾皮症、全身性エリテマトーデスです。光線過敏症には、症状の特徴によっていくつかの種類があります。日光蕁麻疹は日光を浴びてから数分程度で蕁麻疹のような大きくて赤い、かゆみを伴う発疹が現れます。数分~数時間以内に消失することが多いですが、長期間続くこともあります。蕁麻疹の範囲が広い場合は、頭痛や吐き気など皮膚以外の症状が現れることもあります。光毒性光線過敏症は日光を浴びた皮膚に痛み、発赤、炎症、皮膚の変色(褐色や青灰色)などの日焼けと似た症状が現れます。通常、日光を浴びてから数時間以内に発生し、光線過敏症の原因となる薬剤や化合物を服用したり、皮膚に塗ったりした後に起こることがあります。光アレルギー性光線過敏症は特定の薬剤や化学物質に接触した後に日光を浴びることでアレルギー反応が起こります。日光を浴びた後に発赤や鱗屑と呼ばれるうろこ状のくず、かゆみ、蕁麻疹に似た水疱や斑点などが現れます。光アレルギー性光線過敏症では、日光を浴びていない部位にも症状が現れることがあり、日光を浴びてから24~72時間以内に発生することが多いです。多形日光疹は光線過敏症の中でも不明点が多いものの1つで、日光を浴びた部位にかゆみのある赤みや発疹、水ぶくれのようなものができます。原因は不明ですが、女性や日に当たる機会の少ない人にみられることが多いです。通常は日光を浴びてから30分~数時間で発生し、数日から数週間以内に自然に消失します。光線過敏症が疑われる場合、皮膚の症状が日光を原因としたものであるかを調べるために光線過敏試験と呼ばれる検査を行います。光線過敏試験では、いくつかの波長の異なる光線を背中に当てたときの皮膚の変化を観察したり、光線過敏症の原因として疑われる物質を貼った皮膚に光線を当てたときの様子を観察したりします。また、何らかの病気が原因となっていることもあるため、血液検査などで光線過敏症を引き起こし得る病気の有無を調べることもあります。光線過敏症が薬剤や化学物質への接触によるものである場合は、それらの使用を中止して患部の遮光を行います。
 遮光は衣類やサポーター、日傘などを使用するほか、日焼け止め(サンスクリーン剤)を使用することも効果的です。遮光は原因物質を中止してから少なくとも1週間程度は続ける必要があります。わずかな光線でも症状の悪化や再燃を引き起こすことがあるため、屋外、屋内にかかわらず注意する必要があります。すでに現れている症状に対しては、炎症を抑えるステロイド外用剤やかゆみを抑える抗ヒスタミン剤などを使用します。また、症状が強い場合はステロイド剤の内服や注射を行うこともあります。症状がなくなった後も症状を繰り返す場合があるため、数か月にわたって遮光が必要になることもあります。光線過敏症が病気によるものである場合は、原因疾患の治療を行うことで症状が改善することもあります。しかし遺伝性疾患などは治療法がなく、場合によっては生涯にわたって光線過敏症を防ぐ対策が必要になります。光線過敏症の予防には帽子や長袖の衣服を着用する、化粧(ファンデーション)や日焼け止めなど、治療の際と同様の対策が有効です。

漢方と鍼灸

 日光(紫外線)に過敏に反応してしまう体にしているのが病気や薬、食材ということです。外からの刺激や異物に対して過敏に反応するのは花粉症やアレルギーのような免疫の亢進です。患部から最適な漢方食養生サプリ、軟膏、UV剤ツボを選択し治療していきます。

脂漏性皮膚炎

 脂漏性皮膚炎とは、頭皮、顔、腋わきなどの皮脂分泌が盛んな部位に生じる湿疹で、患部の赤みと鱗屑(皮が剥けてカサカサとした状態)を特徴とする皮膚の病気です。脂漏性湿疹と呼ばれることもあります。かゆみはないか、あっても軽度であることがほとんどです。皮膚に常在するマラセチア菌と呼ばれる真菌が関わり、皮脂が分解された成分が皮膚に刺激を与えることで発症すると考えられています。脂漏性皮膚炎は、乳児期に発症する(乳児型)または思春期以降のタイミングでみられる(成人型)ことが多く、乳児型と成人型では病気の経過が異なります。一般的に、乳児型は生後2~4週頃に発症し生後8~12か月は自然によくなることが多いですが、成人型は慢性化しやすく、特に中年以降に生じたものはその傾向が強くなります。脂漏性皮膚炎の主な原因は、皮脂中のトリグリセリド(中性脂肪)がマラセチア菌などの皮膚の常在菌により分解され、その結果発生した物質が刺激となって発生すると考えられています。また、何らかの原因で皮脂の成分・分泌が変化したり、発汗、ビタミンB2、B6などのビタミン代謝が変化したりすることも発症に関わっていることが知られています。脂漏性皮膚炎の症状は頭皮、髪の生え際、耳の後ろ、耳の中(外耳道)、眉、鼻の周り、胸、腋の下、背中の上部などの皮脂分泌が盛んな部位や、こすれて刺激が加わる部位に現れます。鱗屑と呼ばれる皮が剥けてカサカサとした病変と赤みが特徴で、フケのようにぼろぼろと落ちることもあります。乳児と成人では異なる特徴がみられ、乳児型では生後2~4週頃から生え際や眉毛、おでこを中心に黄味がかったかさぶたや赤い吹き出物のような病変がみられることもあります。一方、成人型では頭部のフケが多くなり、場合によっては牡蠣かきの殻のような形状の固いかさぶたが頭部全体にみられることもあります。

脂漏性皮膚炎そのものは脱毛の原因となりませんが、悪化すると頭皮の環境が悪くなることで薄毛や脱毛につながることもあります。脂漏性皮膚炎の診断は、症状の様子と症状が現れている部位に基づいて行われます。脂漏性皮膚炎に似た病気として、アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、カンジダ症、ジベルバラ色粃糠疹、局面状類乾癬などの皮膚疾患があるため、これらの症状との鑑別が重要です。特に乳児の場合は、頻度の高いアトピー性皮膚炎との鑑別が重要となります。一般的に、脂漏性皮膚炎は頭部や顔面などの皮脂分泌が多い部位にみられるため、体幹部分や手足に湿疹や乾燥がみられる場合は、アトピー性皮膚炎の可能性が出てきます。また、脂漏性皮膚炎ではかゆみがないか弱いことが多いため、乳児がかゆみのために顔をこすりつけてくる、体をかくような動作が見られる、かきむしったような跡が見られる場合は、アトピー性皮膚炎などの別の皮膚の病気が疑われることがあります。脂漏性皮膚炎の治療は、生活習慣の改善と薬物療法があります。洗顔や洗髪で患部を清潔に保つことが基本です。精神的ストレスや身体的ストレスが脂漏性皮膚炎を悪化させる可能性が指摘されていることから、生活リズムを整えて十分な睡眠を取り、ストレスを減らすことも大切です。また、脂質の代謝を助けるビタミンB群を含む食品(牛乳、レバー、ほうれん草、大豆など)を取ることも有効です。思春期以降の脂漏性皮膚炎ではマラセチア菌の影響がより強くなるため、抗真菌薬を含んだシャンプーが使用されることもあります乳児期の脂漏性皮膚炎は症状が軽いことが多く、丁寧に洗顔を続けることで改善することがほとんどです。じゅくじゅくとした浸出液がみられる場合は弱めのステロイドの塗り薬が使用されることもあります。成人型の脂漏性皮膚炎は慢性化しやすく、生活習慣の改善に加えて病院で適切な治療を受ける必要があります。外用剤による治療が中心で、炎症を抑えるステロイド外用剤や、マラセチア菌を抑える抗真菌剤の外用剤が用いられます。また、かゆみが強いときは抗ヒスタミン剤の内服薬が用いられることもあります。

漢方と鍼灸

 処理できない脂を体外に出すために起きます。脂の分解は肝ですね。そして真菌が発生している場合は漢方の抗真菌剤を使います。脂物を減らさないといけません。肝の働きを高める必要があります。逆に肝の働きが弱るのは、ストレス、薬の飲みすぎ、暴飲暴食、お菓子や揚げ物などの摂りすぎ、バランスの悪い食事、便通が悪いなどが挙げられます。菌の反応穴、患部から最適な漢方食養生サプリツボを選択し治療いていきます。
【症例】60歳 頭に直径5センチ高さ3センチほどの脂肪の塊ができた相談漢方をお出しして3か月。徐々に縮小していきポロリと塊が落ち、完治。月約3万円
【症例】43歳 頭から脂が出てくる相談漢方を2か月服用、完治 月約2万円
【症例】57歳 額に直径3センチ高さ2センチのふくらみの先端から白い脂が出てくる相談。2か月ほどで完治。月約1万円

乾皮症(乾燥肌)

 乾皮症とは、皮膚の表面を覆う皮脂が減少することで皮膚が乾燥する病気のことです。「皮脂欠乏症」とも呼ばれ、特に中年以降の方に発症することが多いとされています。この病気は空気が乾燥しやすい秋から冬にかけて発症・悪化することが多く、皮膚が乾燥して皮膚表面の角質が剥がれ落ちたり、ひび割れを起こしたりするだけでなく、かゆみを伴うため掻きむしると湿疹ができることも少なくありません。乾皮症は保湿剤などを患部に塗布することで改善していくことがほとんどですが、重症の場合は湿疹を改善させるためのステロイド薬の塗り薬や、かゆみを抑えるための飲み薬などが必要になるケースもあります。そのため、重症化する前に適切な対策や治療を講じることが大切です。乾皮症は皮膚の皮脂が減少することが原因で引き起こされます。私たちの皮膚には多くの水分が含まれていますが、その水分の蒸発を防いで皮膚に水分を保持するはたらきを持つのが皮膚表面を覆う皮脂です。そのため、皮脂が不足すると皮膚の内部の水分が蒸発して皮膚の乾燥を引き起こします。皮脂が減少する原因として多いのは加齢による皮脂分泌機能の低下ですが、そのほかにも過剰な洗浄による皮脂の洗い流し、空気の乾燥などが挙げられます。乾皮症は皮膚の乾燥が進むことによって、皮膚表面の角質層がポロポロと剥がれ落ちたり、ひび割れといった症状が引き起こされたりします。また、皮膚のバリア機能が損なわれるため、些細な刺激に対してヒリヒリとした痛みやかゆみを伴うのも特徴の1つです。特にかゆみを伴う場合は、掻きむしることで湿疹ができたり、皮膚にできた小傷から細菌が侵入して感染症を引き起こしたりするケースも少なくありません。発症部位は皮脂が減少すればどの部位にも起こり得ますが、手足に生じやすく、特にひざ下の部位に起こりやすいとされています。乾皮症は基本的に医師が皮膚の状態を観察することで診断が下されます。しかし、かゆみのために皮膚を掻くことで皮膚の小傷から感染症が引き起こされる場合もあり、その際には原因となる細菌や真菌などの病原体を同定するために膿などを採取して培養する検査が行われることがあります。また、アトピー性皮膚炎など皮膚の乾燥を引き起こす病気と鑑別をするために血液検査などが必要になるケースもあります。乾皮症は基本的に、患部に保湿剤を塗布して皮膚に潤いを与えることで自然に改善していきます。しかし、重症化して湿疹が生じている場合はステロイド薬の塗り薬、感染症を併発している場合は、抗菌薬や抗真菌薬の塗り薬などが必要になるケースも少なくありません。また、かゆみがひどい場合は皮膚の掻きむしりによる湿疹や感染症を防ぐために、かゆみを抑える飲み薬が必要になることがあります。乾皮症はいわゆる秋から冬にかけて起こりやすい“ドライスキン(乾燥肌)”がさらに悪化して生じる病気です。そのため発症を予防するには、皮膚の乾燥が起こりやすい時期には、小まめに保湿剤を用いて皮膚の乾燥を予防・改善するようにしましょう。また、石鹸を用いて体を洗うことは感染症予防の面でも重要ですが、頻繁な入浴や刺激の強い石鹸による過剰な皮膚の洗浄は、必要な皮脂を洗い流してしまうことになるため避けましょう。ゴシゴシと皮膚を擦らず優しく洗い、入浴後はできるだけ早く保湿することが大切です。

漢方と鍼灸

 乾燥させないよう中から外から潤いを助けることです。中からはまずは血流、栄養。外からは保湿、傷の修復。末梢の血流改善は必須です。栄養はアミノ酸、ミネラル、ビタミンが必須。保湿クリームや軟膏も大切。傷から感染している場合、抗菌剤の軟膏が必要です。もっともひどい患部から最適な漢方食養生サプリ、軟膏や保湿クリーム、ツボを選択し乾燥肌を改善していきます。
【症例】80歳 お風呂上りがいつも痒い。漢方と軟膏で痒くなくなるが継続。

後縦靭帯骨化症・黄色靱帯骨化症

 後縦靱帯骨化症は、背骨の中(脊柱管)を縦に貫いている後縦靱帯が骨化(骨のように厚く硬くなること)する病気です。後縦靱帯が骨化すると脊柱管が狭くなり、後縦靱帯とともに脊柱管を通る脊髄や神経根(脊髄から枝分かれする神経)が圧迫されて、感覚障害や運動障害などのさまざまな神経症状を引き起こします。なお、後縦靱帯が骨化しても必ずしも症状が現れるわけではありません。後縦靱帯骨化症は指定難病の1つです。50歳前後の男性に発症することが多く、糖尿病や肥満症の患者が発症しやすいとされています。しかし、今のところ原因は特定されていません。治療では、神経症状を和らげることを目的とした薬物療法や、背骨を固定するための装具装着などが行われ、症状が悪化した場合は骨化した後縦靱帯を切除する手術や脊柱管を広げる椎弓形成術などが行われます。現在のところ、明確な発症メカニズムは解明されていません。しかし、この病気は遺伝的背景、性ホルモンの異常、糖尿病、肥満傾向、加齢、背骨への負担、カルシウムやビタミンDの代謝異常など、さまざまな要因が関与していると考えられていますまた、後縦靱帯骨化症は家族内での発症が多い病気としても知られており、遺伝的な要因とそのほかの要因が重なり合うことで発症すると考えられています。後縦靱帯が骨化し、脊柱管が狭くなることにより、同じく脊柱管に存在する脊髄や神経根が圧迫され、さまざまな神経症状を引き起こします。必ずしも症状が進行するわけではありませんが、軽度の外傷や転倒をきっかけとして症状が強くなることもあるため注意が必要です。また、症状の現れ方は、頚椎、胸椎、腰椎のどこに発症するかによって異なります。背骨の骨と骨の間は靭帯で補強されています。椎体と呼ばれる四角い骨の背中側で脊髄の前側には後縦靭帯が、椎弓と呼ばれる背中側の骨の前側で脊髄の背中側には黄色靭帯という靭帯が存在し、それぞれの骨に適度な動きと安定性をもたらしています。後縦靭帯は脊髄の前方に位置し、黄色靭帯は脊髄の後方に位置するため、それぞれの靭帯が分厚くなって骨のように硬くなってしまうと脊髄が圧迫されて下記のような症状(脊髄症状)が出現してきます。前者は後縦靭帯骨化症と言い胸椎にも出現しますが頚椎に多い病気で、後者は黄色靭帯骨化症と言い逆に胸椎に多い病気です。

 後縦靭帯骨化症で頚椎の脊髄が圧迫されると、手足のしびれ感(ビリビリ、ジンジンしたり感覚が鈍くなる)や手指の細かい運動がぎこちなくなり、しづらくなります(箸がうまく使えない、ボタンの掛け外しがうまくできない)。ほかにも、足がつっぱってつまづきやすい、階段を上り下りがこわくて困難などの歩行障害も出現してきます。黄色靭帯骨化症でも同様の症状が出現しますが、骨化してくる部位が胸椎に多いので、その場合は足の症状だけで手の症状は出現してきません。
 後縦靭帯骨化症は頚椎に発症することがもっとも多いとされ、首や肩甲骨の周囲、指先などに痛みやしびれが引き起こされます。症状が進行すると指の動きが悪くなることで細かい作業が困難になったり、痛みやしびれなどの症状が上半身から下半身へ広がって、足に感覚障害や運動障害などが生じたりします。さらに重症化すると歩行困難や排尿・排便の障害が現れることもあります。また、1人で日常の生活をすることが難しくなる場合もあります。胸椎に発症した場合、体幹や下半身に症状が現れやすく、初期症状では足の脱力やしびれを感じます。頚椎よりも発生頻度は低いとされていますが、重症化すると頚椎に発症した場合と同様、立ったり歩いたりすることが困難になったり、排尿や排便の障害が現れたりします。腰椎は頚椎、胸椎ほど発症頻度は高くありません。足のしびれや脱力が生じることが多く、歩行障害にまで至ることは少ないとされています。背骨の骨と骨の間は靭帯で補強されています。
 症状から後縦靱帯骨化症が疑われるときは、後縦靱帯の一部が骨化しているか確認するため、画像検査を行います。X線検査で診断がつくことが多いですが、診断が難しい場合にはCT検査、MRI検査が行われます。頚椎後縦靭帯骨化症では、首を後ろに反らせすぎないこと、仕事や遊び、泥酔などにより転倒・転落することで脊髄症状が出現したり悪化したりすることがあり、くれぐれも注意が必要です。前述のような脊髄症状のため日常生活に支障があり、画像上脊髄にある程度の圧迫があれば手術が必要です。頚椎の後縦靭帯骨化症に対する手術法には、首の前を切開する前方法と後ろ側を切開する後方法があり、各々に長所と短所が存在します。CT検査では骨化の範囲や骨化している部分の大きさを、MRI検査では脊髄が圧迫されている程度を判断する際に有用です。また、後縦靱帯骨化症と似た神経症状を引き起こす椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、脳梗塞などの病気と鑑別するためにも画像検査が行われることもあります。脊柱管内の後縦靱帯骨化が起きても症状が現れないこともあり、その場合は特別な治療は必要ありません。軽度な神経症状のみの場合は、痛み止めや筋弛緩薬などを用いた薬物療法が行われたり、頚椎カラー(患部を安静にして神経を圧迫から守るための装具)が使用されたりします。しかし、これらの対症療法でも症状が改善しない場合や症状がひどい場合は、神経を圧迫している骨となった部位を切除したり、脊柱管を広げたりするための手術が必要です。なお、後縦靱帯骨化症は手術後に再発、あるいはほかの部位にできることもあるため、定期的な画像検査がすすめられます。後縦靱帯骨化症は明確な発症メカニズムが解明されていないため、確立した予防法はないのが現状です。しかし、遺伝的な要因のほかに糖尿病や肥満症などの病気、背骨への過度な負担などが発症に関与していると考えられていることから、生活習慣病の予防や正しい姿勢の維持などが後縦靱帯骨化症の予防につながる可能性があります。また、症状がない場合でも成人の約3%に後縦靱帯の骨化がみられるとの報告もあるため、気になる症状があるときは早めに医療機関を受診して適切な対処や治療を受けることが大切です。

ここで靱帯が何でできているか?
靭帯は、コラーゲンを主成分とする強い弾力性のある伸びにくい組織です。いくつものコラーゲンが線維状に並んで靭帯を形成します。この構造は、筋線維が束になって筋肉を作っていることと非常に類似しています。靭帯や腱では、コラーゲンが束になって密に並列していますが、成熟したこれらの組織には細胞がほとんど存在しないことがわかっています。結合組織にはコラーゲンという“物質”がたくさん集まっているだけであり、生命活動の主体となる細胞はわずかであるため、靭帯は酸素や栄養素をあまり必要としない組織です。これが筋肉との大きな違いです。そのため、血流はそれなりに保たれているものの、筋肉や骨とは比べ物にならないほどの少量です。このことは、筋肉や骨などの組織と比べると、靭帯や腱は体内環境の変化の影響を受けにくい組織であると言えます。一見すると、しっかりとした存在を確立しているように感じられるかもしれませんが、体内環境の影響を受けにくいということは、何らかの不具合、例えば損傷が起こったときなどにも変化しにくい、つまり、治りにくい組織であるとも言えます。筋肉が出した救助信号は、すぐに他の組織に伝わり、血流を通して救援物資が届きますが、靭帯にはそのための道路が無い状態と考えることができます。
 例えば、不意に足を滑らしてしまったときなどは、筋肉だけでは関節にかかる力をコントロールできません。強靭な靭帯の働きで関節の可動域を制限することで、動作を安定させています。この制限を超えるほどの力が加わった場合、いわゆる捻挫や靭帯損傷が生じます。このような靭帯の傷害は、筋肉に起こる傷害と比べると極めて治りにくいものであると言えるでしょう。最近では、靭帯も自己修復力があるという説もありますが、自己やスポーツ傷害によって靭帯の断裂が起こった場合、再建手術を余儀なくされることが多いようです。
 加齢とともに膝などの関節痛に悩まされている人は少なくないのではないでしょうか。前述したとおり、靭帯や腱などは主にコラーゲンによって構成されています。また、強固な結合を作り上げるコラーゲンとともに、弾性(伸び縮みする)をもたらすエラスチンという成分も多く含まれています。靭帯には強く関節を保持する成分(コラーゲン)と靭帯に柔軟性を与える成分(エラスチン)の両方が存在するのです。このコラーゲンやエラスチンが加齢と共に減少していくことがわかっています。このことが、関節の柔軟性を低下させる要因となっています。しかし、この現象は高齢者だけにみられる訳ではないこともわかっています。骨折などによって膝をギプス固定した場合、若者であっても靭帯の硬さは著しく低下するといわれています。この際、おそらくエラスチンの減少やコラーゲンの変性が起こっていると考えられます。加齢による靭帯機能の低下は、関節の安定性や身体の柔軟性の低下につながります。そして、そのようなアンバランスな状態が続くと、膝をはじめとした関節痛の原因となります。また、運動中や事故、転倒などによって靭帯を傷害することによって、更なる運動機能の低下や慢性的な関節の障害を引き起こすと言われています。骨折をした若者が回復をした後のことを考えてみてください。骨折や重度の捻挫をされたご経験のある方は、その際のことを思い出していただいても良いかもしれません。ギプスを外した直後は確かに関節が柔軟性を失い、靭帯が硬くなると言われています。しかし、そのままの硬さが維持されるかというと、時間とともにその柔軟性は回復し、ケガをする前に近い状態に戻ると考えられます。つまり、靭帯は“一度失った柔軟性を回復する能力がある”と考えられます。実験的には、このことをサポートする事実が報告されています。特に腱においては多くの研究がなされていますが、靭帯においては比較的少ないようです。そのなかでも、実験動物に数週間のランニングを行わせると、膝の靭帯が変化するという報告が古くからなされています(Tiptonら,Medicine and Sports Science,1975年)。また、筋肉が肥大するには結合組織の細胞が強くなることが必須であるということを示した大変興味深い研究結果も報告されています(Turioら,American Journal of Physiology,1974年)。これらの過去の研究は、筋肉が肥大し、強い力を発揮するためにはそれを支える靭帯や腱なども強くならなければならないという事実を示しています。逆説的に言えば、筋肉が大きくなるという至極当然の事実によって、“靭帯は鍛えられる”という事実を示すことができると言えるでしょう。卵が先か鶏が先か、というような話になってしまいますが、筋肉と靭帯などの結合組織は同時並行的に鍛えられていると考えられます。筋肉によって引っ張られることで、その力に負けないように強くなるのが靭帯であるとすれば、筋肉を使うこと、つまり運動をしっかりと行うことで靭帯の機能は維持することができると言えます。加齢に伴う結合組織の機能の低下は、筋力の低下による身体活動量の減少に起因する部分が多いのではないかと考えられます。 「運動は筋肉や骨の量を増やすだけでなく、靭帯も強くする。」と言えます。特に、日常的に筋肉によって引っ張られることで靭帯は強くなります。また、ストレッチなどの柔軟性を高める運動も効果的です。

漢方と鍼灸

 骨化した靱帯を普通は柔らかくすることはできないと考えるのが一般的です。ですが良くなる方がいるのも知っています。全員を治せるかはわかりませんが、少しでも良くしたい気持ちがあればやってみる価値はあると思います。靱帯の主成分がコラーゲンですので、もともとは体の中でアミノ酸から合成して作り変えられたもの。それが骨のように固くなるのは加齢、外傷による損傷や活性酸素などの炎症によりタンパク質の変性が起きていると考えると腑に落ちます。骨化した靱帯部位から最適な漢方食養生サプリツボ、温熱療法を選択し治療していきます。

椎間板ヘルニア

 椎間板ヘルニアとは、背骨を構成する骨(椎骨)の間にある軟骨(椎間板)が変性して後ろに突出する病気です。椎間板は椎骨同士をつなぎ、クッションのように衝撃を吸収する役目を持っていますが、これが突出すると一部が近くにある神経や脊髄を圧迫するため、痛みやしびれなどの症状が現れるようになります。椎間板ヘルニアは背骨のどの部位にも生じる可能性がありますが、とりわけ腰に生じやすいことが特徴です。安静にしていれば症状が治まることもありますが、無理に体を動かせば症状が悪化することもあります。治療ではまず保存療法が行われます。症状が進行したり、長く続く場合や、排尿障害があったり、筋力低下が著しい場合には手術が選択されます。椎間板ヘルニアは生じる場所によって「頚椎椎間板ヘルニア」「胸椎椎間板ヘルニア」「腰椎椎間板ヘルニア」に分けられます。頚椎椎間板ヘルニアは頚椎に生じ、特に動きの大きい第3頚椎と第4頚椎の間から第6頚椎第7頚椎の間の中下位部分に生じることが一般的です。胸椎椎間板ヘルニアは胸椎(いわゆる背中の骨)に生じ、腰椎椎間板ヘルニアと比較するとまれです。腰椎椎間板ヘルニアは、5つある腰椎のうち、第4腰椎と第5腰椎、その下にある仙骨の間に多く生じる傾向があります。椎間板ヘルニアは、何らかの動作によって椎間板に圧力がかかること、あるいは加齢などが原因で生じることがあります。たとえば、スポーツで体を激しく動かしたり、日常生活で重いものを持ったりすると、椎間板に強い圧力がかかり、髄核(椎間板の中央にあるゼリー状の軟骨)が突出して生じることがあります。また、長時間の前かがみや中腰などの体勢も原因となり、比較的若い方でも発症する可能性があります。一方、年齢を重ねると加齢によって水分が失われて椎間板が弾力性を失い、変性することで椎間板ヘルニアを生じることがあります。このほか、遺伝や喫煙が関与していることも分かってきました。頚椎椎間板ヘルニアの症状は、主に首や背中、肩などに痛みやしびれ、肩こりなどが現れます。脊髄に障害が生じると、力が入らない、箸が使いにくい、ボタンがかけにくいなどの症状が出ることもあります。進行すると、尿が出にくくなったり、転びやすくなったりするなど、排尿障害や歩行障害を伴うこともあります。胸椎椎間板ヘルニアの症状は、主な症状は足にしびれが生じたり、力が入らなくなったりします。背中や足に痛みを感じることもありますが、少ないことが特徴です。進行すると、下肢の筋力低下、排尿障害、歩行障害などの症状が出現します。また、胸椎椎間板ヘルニアが生じている部位によっては、排尿障害のみが生じることもあります。腰椎椎間板ヘルニアの症状は、主な症状は、腰やお尻部分に痛みが生じるほか、太ももやふくらはぎまで痛みやしびれが広がったり、足に力が入らなくなったりすることもあります。腰椎椎間板ヘルニアでは背筋が伸びていたり横になったりしている状態では症状が軽く、反対に背中を丸めたり、前屈みになったりしている状態だと症状が強くなるのが特徴です。椎間板ヘルニアの診断には画像検査が必須であり、主にMRI検査とX線検査が行われます。MRI検査では突出した椎間板と、それに圧迫されている神経の状態を詳細に観察することが可能です。X線検査では腰椎の骨折や腫瘍などほかの病気を除外するために行われることがあります。なお、画像の重症度と症状の程度は必ずしも一致しないため、筋力・感覚の低下などの身体診察で得られる情報も確認したうえで診断します。椎間板ヘルニアで行われる治療には主に保存療法(手術ではない治療)と手術があります。通常は保存療法を行って症状の改善を図り、これによって約85~90%の人が改善するとされています。
 しかし、保存療法では効果が現れず症状が長期間続く場合や、痛みやしびれのために日常生活が過度に制限される場合、排尿障害や麻痺症状(筋力の著しい低下)出現の場合などには、突出した椎間板に対して手術が行われます。まず、痛みの症状が強い場合は安静にすることを心がけ、コルセットなどの装具を装着して固定させたりします。また、痛みに対しては消炎鎮痛剤や筋弛緩薬などの内服のほか、原因となっている神経に対して麻酔薬を注入する神経ブロック注射が行われることもあります。そのほか、症状に応じて筋力を高めるための運動や専用の器具を使用して牽引(ひっぱること)することが検討されます。手術は突出した椎間板を取り除くために行います。一般的には、後方椎間板切除術という背中に切開を加え、背中側から突出した椎間板を除去する方法で手術を行います。腰痛がひどいときにはこの術式に加え、金属で椎骨を固定する椎間固定術が行われることもあります。また、内視鏡や顕微鏡を用いて傷を最小限に抑える術式も行われています。痛みがある場合には、まず安静を心がけ、必要に応じてコルセットの着用や鎮痛剤の服用などを検討しましょう。患部を温めることも大切です。また、長時間同じ姿勢をしていると負荷がかかりやすいため、こまめに姿勢を変えることを心がけましょう。痛みや違和感を覚えたら、自己判断せず整形外科の受診を検討することが大切です。日頃からストレッチによって体の柔軟性を高め、筋力トレーニングによって体幹の筋肉を鍛えておくとよいでしょう。体重が重すぎると背骨にかかる負担が増えるため、適正体重を保つことも効果的です。そのほか、日常生活では姿勢をこまめに変えること、重いものを持つときに負荷がかかりにくいように工夫することなども効果的です。

漢方と鍼灸

 脊髄の何番と何番の間に異常箇所があるのかレントゲンでみなくてもわかります。異常箇所、痛みのひどい箇所から漢方食養生サプリツボを選択し治療していきます。
【症例】61歳 椎間板ヘルニアで歩行困難でご相談。鍼灸治療のみ3回で痛みは消失。
【症例】57歳 椎間板ヘルニアで痛みとしびれでご相談鍼灸治療のみ5回で消失

円形脱毛症

 円形脱毛症とは、頭髪の一部が楕円~円形状に抜け落ちる病気のことです。生まれつき発毛機能に異常があるわけではなく突然発症するのが特徴で、症状がよくなったり悪くなったりを繰り返しながら脱毛する部分が大きくなっていくことも少なくありません。円形脱毛症の原因は、頭髪の産生に関わる“毛包”と呼ばれる部位がリンパ球という血液中の細胞の一種に攻撃されるためと考えられています。どのようなメカニズムでリンパ球が毛包を攻撃するのかについては明確に解明されていない部分も多いですが、遺伝の関与もあることが分かっています。そのほか、円形脱毛症の患者さんはアトピー性皮膚炎や甲状腺機能異常、尋常性白斑や膠原病を合併することがあります。重症化した患者さんの中には治療効果が十分に得られず多くの頭髪が失われるケースもあります。円形脱毛症の症状は“脱毛”のみで頭皮のかゆみや痛みなどを引き起こすことは少ないですが、見た目の問題から日常生活に支障をきたすことも少なくありません。円形脱毛症を患う4人に1人は15歳以下で発症するとされており、思春期の頃に見た目に自信が持てないことで、不登校や引きこもりなど社会的な問題を抱えることもあるため適切な対処が必要となります。円形脱毛症の原因は、髪の毛の元となる細胞が存在する“毛包”と呼ばれる部分がリンパ球によって攻撃を受ける自己免疫疾患だと考えられています。ヒトの頭髪は生えて伸び、抜け落ちるまでに3つの段階の周期(ヘアサイクル)を持つとされています。毛包から生えた頭髪は通常であれば2~6年ほどかけて少しずつ伸びていきます。この期間を“成長期”と呼び、成長期を過ぎた毛包は2週間ほどで退化して抜け落ちる“移行期”に突入します。そして、3~4か月の“休止期”を経て新たな“成長期”へと巡っていくのです。円形脱毛症では、この“成長期”にある毛包がリンパ球の攻撃を受けることで頭髪が脆弱になり、やがて頭髪が抜けると考えられています。どのような原因でリンパ球が毛包を攻撃するようになるか明確には解明されていませんが(2020年4月時点)、20%程度は遺伝が関係しているとされており、ストレスや不規則な生活などもリンパ球を過剰にはたらかせるきっかけになって円形脱毛症を引き起こすとの説もあります。また、アトピー性皮膚炎や甲状腺機能低下症などの病気が背景にあるケースも少なくないとされています。円形脱毛症の症状の現れ方は人によって大きく異なります。一般的には、頭髪の一部に突然円形の脱毛斑(頭髪が生えない部分)が現れますが、大きさは重症度によって異なり、軽症な場合は小さな脱毛斑ができるものの1年以内に80%は治るとされています。一方、脱毛斑が大きい場合は徐々に脱毛する範囲が広がったり、別の場所にも脱毛斑が現れたりすることで頭髪の多くが失われることも少なくありません。重症な場合には頭髪だけでなく全身の体毛に脱毛が及ぶこともあります。また、円形脱毛症は頭髪の異常以外にも爪に小さなへこみや溝などができるケースが4人に1人の割合でみられるのも特徴のひとつです。円形脱毛症は頭皮に特徴的な脱毛斑から診断をつけることが可能なことが多いのですが、脱毛斑が円形を呈していないなど診断が困難な場合には、頭皮に光を当てて拡大鏡で観察する“ダーモスコピー検査”も診断に有用とされています。急速に進行している場合には脱毛斑が及んでいない部位の頭髪を引っ張る“牽引試験”を行うと容易に抜け落ちる反応が見られることがあります。円形脱毛症は、発症してからの期間と脱毛斑の大きさや数によって治療法が異なります。発症して間もなく脱毛斑が小さい場合は、毛包の炎症を抑えるステロイドなどの塗り薬やグリチルリチン、セファランチンなどの飲み薬が使用されます。一方、これらの治療を続けてもよくならない場合は、脱毛斑に直接ステロイドを注射する治療が行われることも少なくありません。しかし、ステロイドの注射は皮膚がへこむなどの副作用に注意することが必要です。半年以上経過しても症状が改善しない場合や脱毛斑が広範囲にわたる場合には、頭皮にかぶれを引き起こす薬剤を塗って炎症を引き起こし、リンパ球の毛包への攻撃を弱める“局所免疫療法”が行われます。通常は1~2週間に一度の治療を繰り返し行う必要がありますが、保険適用が認められていない治療であるため、治療にかかる費用が高額になることがデメリットのひとつです(2020年4月時点)。円形脱毛症の発症メカニズムは明確には解明されていません。しかし、発症には遺伝のほかにもストレスや疲れなども関わっていると考えられています。そのため、発症を予防するには規則正しい生活を心がけ、十分な休息や睡眠を確保してストレスなどをためないようにしましょう。

漢方と鍼灸

 ストレスがとても多いと思います。ストレスから免疫が乱れて起きるようです。また体に毒素が溜まって排出できない、解毒ができない場合も起きるようです。単発の場合は治りやすいですが、全部抜けてしまった場合は時間がかかります。良くなってくると肌がつるつるからぼつぼつに変わり生えてきます。爪楊枝を束ねたもので軽くたたいて刺激を与えるようにしています。患部、自律神経の反応穴から漢方食養生サプリツボを選択し治療していきます。
【症例】60歳 女性 ストレスで単発の円形脱毛症を発症 直径4センチ 漢方を出して3か月で完治 月約2万円
【症例】38歳 女性 ストレスで4か所に円形脱毛症を発症 大きいもので直径5センチ 小さいものでも直径4センチ 別の相談で出していた漢方に追加して4か月で完治
月約3万円(別の漢方代も含む)

酒査

 鼻や頬、顎などが赤くなる病気を指します。20歳以上の女性から受診の機会が増加していきます。特徴的な症状として、いわゆる“赤ら顔”と呼ばれる、皮膚の赤みと火照りが挙げられ、また“敏感肌”とも呼ばれる、外的な刺激に過敏に反応して赤くヒリヒリする肌質ともいえます。また、ぶつぶつとした皮膚の赤い盛り上がりがみられるようになると、ニキビと間違われることもありますが、両者は異なるものです。酒さの原因は、まだ完全に明らかになっているとはいえません。遺伝的な要因や環境因子が複雑に関与していると推定されています。毛細血管が広がり、通常よりも多くの血液が流れることから酒さの症状は現れます。そのため、毛細血管が広がることを促進するようなことが、酒さの症状が悪化する因子であるといえます。具体的には、以下が挙げられます。辛いものなど刺激物を多く摂取する、アルコールやカフェインを多く飲む(このことから酒さという病名が付いたようですが、あまりお酒を飲まない方にも多いのが実情です)、寒暖がはっきりした環境で長時間過ごす(特に寒冷曝露が悪化因子)、太陽の光を長時間浴びる(紫外線が悪化因子)、感情が高ぶる状況、過度の運動ホルモンバランス異常(更年期のhot flush に伴うことも)喫煙習慣などがあります。また、皮膚の症状が気になるあまり、ファンデーションで症状を隠し、それを落とすときのクレンジングで症状を悪化させる可能性もあるかもしれません。酒さによる症状は、顔のなかでも鼻や頬、顎、額などに見られます。症状のはじまりは周囲の皮膚と比べて頬や鼻などが淡く赤くなります。初期段階では皮膚の盛り上がりはなく赤みが目立ちますが、症状が進行すると毛穴の部分が小さく盛り上がりを示すようになります。さらに、鼻においても皮膚の盛り上がりが起こることがあります。鼻の盛り上がりは、女性よりは男性に起こりやすい症状です。鉄腕アトムに出てくるお茶の水博士の鼻が、鼻瘤と呼ばれる酒さの重症型ですが、日本人での頻度は少なめです。皮膚の赤みや盛り上がり以外にも皮膚の火照り(burning)を感じたり、ぴりぴりとした軽い痛み(刺激感:stinging)を感じたりすることもあります。酒さで見られる症状は、1日のなかで変動することも特徴です。原因に挙げたような増悪因子があると、症状が悪化することがあります。さらに、酒さでは目の症状を自覚することもあります。具体的には目の乾燥感、しばしばした感覚、目の充血などです。酒さの診断は、その特徴的な皮膚症状や増悪因子の有無などをもとにしてなされます。皮膚の症状を目立たなくするために化粧品を使用されている方もいますが、化粧をしていない状態で皮膚を観察するとより判断しやすくなるため、診断を受ける際には化粧などをせずに受診することが大切です。初期の酒さは、ほんのり赤い肌質であり、脂漏性皮膚炎と呼ばれる眉間や鼻脇の皮膚炎とよく似ています。脂漏性皮膚炎としてステロイド外用薬による治療を継続して酒さのような症状が出る場合は酒さ様皮膚炎と呼ばれ、ステロイド外用薬の副作用とされますが、実ははじめから酒さであったかもしれないのです。
 赤いぶつぶつや中心が白い膿疱を伴う場合、ニキビにとても似てきます。この場合は、demodex と呼ばれるニキビダニが原因の場合があります。ぶつぶつの先端をつまんで顕微鏡で検査すると極小さな芋虫のようなダニが2~3匹検出されます。体質的な要因が強く、さまざまな悪化要因があるため、短期間で症状をなくすことは難しいため、長期間の治療介入が必要となります。経過中によくなったり悪くなったりすることもありますが、根気よく治療を継続することが大切です。酒さでは、原因に挙げたような要因をもとにして症状が悪化することもあります。そのため、治療の一環としてこれらの要因を避けることも必要です。
 治療薬としては、ビタミン剤や抗生物質の内服を検討します。もっとも多く用いられるのがテトラサイクリン系の抗生剤(特にミノサイクリン)の内服で、ニキビ様のぶつぶつだけでなく、びまん性の赤ら顔にも効果的です。赤く火照る状態に対して外用ステロイドを使用したくなりますが、個々では絶対に避けるべきであり、抗生物質入りのクリームあるいは非ステロイド系の外用薬がかつては用いられていましたが効果は乏しく、治療が長期化しました。最近では、タクロリムス軟膏などのアトピー性皮膚炎に対する新しいステロイドでない外用薬が登場し、酒さの赤く火照る炎症を鎮静化してくれるようになりました。タクロリムス軟膏もステロイド外用薬と同様、酒さを悪化させるという報告もありますが、先に述べたニキビダニに注意していれば問題ないと考えられています。ニキビダニ(demodex)による酒さ反応の悪化は、かなり高頻度と思われ、この場合、ミノサイクリン内服やタクロリムス軟膏の外用は無効となります。この状態で有効なのが、イオウ含有ローションです。外用治療によりかえって乾燥症状が悪化することもあるため、注意しながら併用することが大切です。ニキビダニ対策では、ほかにもメトロニダゾールやイベルメクチンなどのほかの病気の薬が用いられることもあるようです。鼻の盛り上がりが強い場合(鼻瘤)には、皮膚を削る処置がとられることもあります。赤みが目立つため、常時マスクを使用される方もいますが、マスクをすることで皮膚の刺激になることも考えられます。また、化粧についても過剰になりすぎて皮膚に負担をかけないよう考慮が必要です。そのためには刺激の少ないマスクや化粧品の選択も重要といえます。酒さは、赤ら顔や敏感肌など、北国のリンゴほっぺの子どものように体質的なもので皮膚疾患ではないと思われている場合も少なくないようです。軽い症状はそのままでもいいのですが、かゆみが出たり、かさつきが出たりして、安易にステロイド外用薬を塗るとかえって悪化していく場合があります。普段からのスキンケアが予防になります。安易な顔面へのステロイドの外用も禁忌と考えましょう。毛細血管拡張症に対して、Vビームによる治療をやっているところがあります。Vビームは血液中のヘモグロビンに反応し、吸収・凝縮することで、毛細血管拡張症、赤ら顔、赤アザ、ニキビ跡、ケロイドなどの治療に使用されています。レーザー照射の際は周囲の組織へのダメージは少なく、体への影響はないといわれています。また真皮層にあるコラーゲンやエラスチンなどを生成する線維芽細胞を刺激し、肌のハリやツヤをアップする効果が期待できます。一般的なレーザーは黒色のメラニンに反応しますが、Vビームレーザーは赤色の色素に反応するのが特長。そのため、血液中のヘモグロビン(赤血球)に反応し、赤アザや赤ら顔の治療に効果が期待できます。しかしうまくいかない場合も書いてあります。

漢方と鍼灸

 「毛細血管が広がり、通常よりも多くの血液が流れる」とはどういうときにおこるでしょうか。毛細血管が多いところは頬や鼻。血管の拡張は熱の放散のためでもあります。気の上昇によって熱も上にあがります。例えば緊張した時、汗が出たり赤ら顔になったり、お酒をのんで赤くなったり、暖房の部屋に入った時など熱の調整で拡張したりします。またホルモンとの関係でも拡張します。更年期障害で急にカーと熱くなったり汗がでたりしますね。もう一つは血液中の老廃物を汗とともに排出するためです。ですから赤血球にレーザーを当てるのはどうかなと思います。東洋医学的には、上昇の熱をとる漢方、ホルモンを安定させる漢方、お血の漢方などを証に合わせて考えます。酒査の部分から最適で安全な漢方食養生サプリ、化粧品、ツボを選択し治療していきます。

多汗症

 多汗症とは、異常な量の汗をかく状態を指します。通常、汗は熱や運動に関連してかくものですが、多汗症になると生理的に汗をかく状況ではなくても多量に汗をかくようになります。多汗症には、腋わきや手など限定された場所のみに汗をかく場合と、全身に汗をかく場合があります。また、思春期前後から多汗症を発症することもあれば、成人期になってから多汗症を発症することもあります。汗を多量にかくため、日常生活に支障がでたり、精神的な負担につながったりすることも少なくありません。原因を正確に判断し、適切な対処法をとることが大切です。全身性多汗症は、背中や足、腹部など全身に多量の汗をかくものです。全身性多汗症のなかでも何かしらの原因が特定できるものを続発性全身性多汗症と呼びます。原因には、甲状腺機能亢進症や低血糖、更年期、褐色細胞腫、感染症、薬剤(オピオイドの離脱症状など)などが挙げられます。局所性多汗症は、主に手のひらや足の裏、腋下など、ある部位から多量の汗がでるものを指します。なかでも原因が特定できない「原発性局所性多汗症」の頻度が高いとされています。原発性局所性多汗症では自律神経の調整がうまくいかないことを原因として、多量の汗がでます。また、家族内で発症することもあるため遺伝的な要素も疑われています。運動時や気温の高い状況で汗をかくのは生理的な反応ですが、多汗症になると、生理的反応の範囲を超えて多量の汗をかくようになります。多汗症では、運動や気温などの要因がない状況においても手のひらや腋、なかには全身に多量の汗をかく方もいます。手や足の汗は滑り止めとしての役割を持っていますが、汗が多量にでることから、ものを持つときなどに滑ってしまうことがあります。その結果、日常生活のちょっとした動作に支障がでるようになります。また、多汗症は、精神的なストレスや緊張下において悪化することがあります。原発性局所性多汗症の場合は、幼少期や思春期に発症することが多いです。日中に多量の汗をかく一方、就寝中は汗が止まります。多汗症の診断では、本人の訴えがもっとも重要になります。病院を訪れた際に汗をかいているとは限らないため、診断のための確立した検査方法はありません。汗が多い部位を客観的にみるために、ヨード紙や発汗記録計を使用します。多汗症は、どの程度本人が困っているかという視点が重要視される病気であるといえます。しかし、なかには甲状腺機能亢進症や低血糖など何かしらの病気が隠れていることもあります。汗以外の症状があり、病気の存在が疑われる際には、原因となる病気に応じて検査が追加検討されることになります。多汗症では原因となる病気の有無によって治療法が異なります。続発性多汗症で、多汗の原因となっている病気が明らかであれば、その病気の治療を行います。原発性局所性多汗症に対する治療としては塩化アルミニウムの外用があります。これは古くから行われる治療法ですが健康保険が適用されず、どこの医院や病院でも出してもらえる薬ではありませんでした。しかし、最近では腋窩の多汗症に対して健康保険が適用となる抗コリン作用をもつ外用薬が登場しました。手のひらや足の裏の局所性多汗症に対しては、皮膚に電流を流して発汗を抑制する「イオントフォレーシス療法」という方法もあります。イオントフォレーシス療法で用いるのは微弱な電流なので痛みや副作用はありませんが、繰り返して治療する必要があります。
 また、ボトックス(ボツリヌス菌毒素)を注射する治療も行われています。この注射は1回打つと半年ほどの期間効果があります。さらに、腋窩多汗症に対しては電磁波であるマイクロ波を使って汗腺を破壊するという方法もあります。また重症の局所性多汗症に対しては、汗腺支配神経である「胸部交感神経」をブロックする「交感神経遮断術」があります。症状が出現する部位や日常生活への支障の具合を見極めつつ、治療法を選択することになります。多汗症はQOL(生活の質)に大きくかかわってくるのですが、何に困っていて、どの程度治したいのか、治療法にはどのような副作用があるのかなどを十分に認識し考えたうえで、治療法を選択することが重要です。

漢方と鍼灸

 ストレスやホルモン異常などによって交感神経が興奮し発汗することが多いようです。自律神経の調節やホルモンの安定をする漢方を選択します。また水分の摂りすぎも汗がでやすいので要注意です。尿の回数、量もチェックします。毛穴の調整、発散は肺の支配をうけています。気虚(疲れがひどいなど)も汗を止める力がないため漏れてしまいますね。漏れを防ぐ漢方を使います。また汗をかくのは体熱を発散して熱がこもらないように体を守っているためです。

爪甲剥離症

 爪甲剥離症とは、従来下の皮膚と付着しているはずの爪が先端から剥がれ、浮き始めてしまうことをいいます特に女性に多くみられることが特徴です。爪が付着している部分の皮膚を“爪床”、爪床の上に付着している部分の爪を“爪甲”といい、通常両者は強く付着しているため、剥がれることはほとんどありません。しかし、爪甲剥離症では爪甲が爪床から剥がれてしまい、剥がれた部分の爪甲は表面から見ると白や黄色に見えることが一般的です。時には爪床と爪甲の間にゴミやホコリが入って、内部が汚れて見えてしまう場合もあります。このような場合、無理に内部の汚れを取り除こうとすると皮膚に刺激が加わり、さらに悪化する可能性もあるため注意しましょう。爪甲剥離症では複数の原因が考えられる一方で、検査などを行っても具体的な原因が分からない場合もあります。また症状が現れる爪の本数も1本で済む場合もあれば、複数の爪に生じることもあります。特に手足の複数の爪に変化がある場合には、甲状腺機能亢進症などの全身疾患が疑われますので、速やかに医療機関を受診することが大切です。爪甲剥離症の多くは、原因の分からない特発性のものです。老化に伴う乾燥症状があり、爪の恒常性が保たれていないことが多いです。一方で甲状腺機能異常や強皮症などの全身疾患、乾癬などの皮膚疾患、不適切なマニキュアなどの使用による慢性の一次刺激接触皮膚炎、カンジダ菌への感染、末梢循環不全などさまざまなことが原因となって、爪甲剥離症が起こることが分かっています。爪甲剥離症を引き起こす全身疾患としては、甲状腺機能亢進症が代表的です。甲状腺機能亢進症とは、甲状腺の機能が活発になることにより甲状腺ホルモンが多く分泌され、食べても痩せてしまう、疲れやすい、眠れないなどの症状が現れる病気です。時に爪が平たくなったり、反り返ったりすることによって爪甲剥離症が生じます。このような症状を“プランマーズ・ネイル”と呼ぶことがあります。はじめは1本の爪から症状がみられますが、徐々に複数の爪に症状が現れるようになります。そのほか、強皮症、貧血、甲状腺機能低下症、糖尿病、肺がんなどの肺の病気でも爪甲剥離症を引き起こす場合があります。爪甲剥離症を引き起こす皮膚疾患としては、強皮症の強指症、乾癬、掌蹠多汗症などが挙げられます。これらの病気では先に皮膚症状などが現れ、診断に至ることが一般的です。爪と皮膚の間に棘など細いものが刺さることによって起こるものや、マニキュアや除光液、洗剤、有機溶剤、ガソリンなどに触れることによって起こるもの(接触皮膚炎)があります。爪甲剥離症を引き起こす主な感染症として、カンジダ症や爪白癬などが挙げられます。カンジダ症による爪甲剥離症(カンジダ性爪甲剥離症)の場合、剥がれた爪の下の皮膚がカサつくことが特徴です。紫外線を浴びることで症状が現れることがあります。太陽の光が強い5月ごろから夏場に悪化しやすく、冬は軽快しやすいことが特徴です。また、爪の症状だけでなく紅斑などの皮膚の症状も併せて現れる傾向があります。爪甲剥離症では、爪が先端から剥がれて浮き上がり、剥がれていない部分よりも白く、あるいは黄ばんで見えるようになります。症状が現れる爪の本数は原因によっても異なりますが、手足の複数の爪に症状が現れている場合には、全身疾患が疑われます。爪甲剥離症には、全身疾患、皮膚疾患、外部からの刺激、感染症などさまざまな原因が存在し、原因に応じた治療を行うことが大切です。そのため丁寧な問診などを行い、何らかの病気が疑われた場合には、疑われた病気に応じた詳しい検査を行うことが一般的です。たとえば、カンジダ性爪甲剥離症が疑われた場合、剥がれた爪甲をできる限り取り除き、爪床の角質を採取して、カンジダ菌が存在しているかどうかを顕微鏡で観察します。また、検鏡で検出されないこともあるので、真菌培養を行うことも大切です。全身疾患や皮膚疾患などが原因で生じている爪甲剥離症の場合、原因疾患を治療することで症状が軽快することが一般的です。またカンジダ性爪甲剥離症の場合は、抗真菌薬の飲み薬や塗り薬を使用することが一般的です。その際に、医師はカンジダ菌に有効な薬なのか、水虫菌に有効な薬なのかを、添付文書で確認することが必須です。原因がはっきり分からない爪甲剥離症の場合、ステロイド薬の塗り薬や角質に浸透しやすい保湿剤、末梢循環改善を期待してビタミンE類似のトコフェロールニコチン酸エステルなの飲み薬などによる薬物療法などが検討されることが一般的です。一般的に原因不明の爪甲剥離症は治りにくい場合も少なくなく、まずはマニキュアなどによるネイルケアと上述の治療を根気強く続けていくことが大切です。これらの治療をしてもよくならない場合、爪疾患の治療経験の多い皮膚科の医師にセカンドオピニオンを求めるのも大事です。

漢方と鍼灸

 まず原因疾患を問診からつかんで治療していきます。なぜ爪がはがれたり変形したり異常な状態になるのかを考えます。爪に栄養を送っているのは末梢の血流です。末梢の血流不全がないかをまず確認していきましょう。菌や真菌のチェックもします。異常な爪から最適な漢方食養生サプリ、軟膏、ツボを選択し治療していきます。
【症例】60歳 女性 夏になる頃、決まって爪の症状が出るという相談。漢方を出して毎年徐々に良くなっていき3年目からほとんど出なくなりました。