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変形性肩関節症

 変形性肩関節症とは、肩関節の軟骨がすり減り、関節が変形した状態をいいます。関節は骨と骨のつなぎ目のことを指し、肩関節は肩甲骨関節窩と上腕骨頭で構成され、これらの骨の表面は軟骨で覆われています。軟骨は骨同士がぶつからないようにクッションの役割を持っているほか、関節をスムーズに動かすうえでも大きな役割を果たしています。しかし、長年の過負荷などによって軟骨がすり減ることがあり、軟骨がすり減ることで炎症が生じ(肩関節炎)、軟骨の摩擦が進むとやがて骨棘形成がおき、肩関節が変形していきます。また、炎症などに伴って痛みや腫れが見られたり、肩の可動域が狭くなったりするようになります。変形性肩関節症が発生する頻度には人種差があり、東洋人は欧米人よりも少ないといわれていましたが、近年では日本でも増加傾向にあります。変形性肩関節症の原因は、明らかな原因がなく起こる“一次性”と、原因が判明している“二次性”に分けられます。一次性は原因が不明のもので、骨格的な問題などの内因的な要因と加齢変化、スポーツ、肉体労働などによる肩関節への過負荷などによる外因的な要因とが考えられています。一次性の“変形性関節症”は肩だけでなく、肘、指、股、膝などのあらゆる関節に起こりえます。その中でも特に膝や股の関節に発症することが多く、これらの関節と比べて肩の発生頻度はそれほど多くありません。その理由の1つとして、膝や股の関節は常に体重による負荷がかかるのに対して、肩関節は体重の影響を受けにくいことが挙げられます。また肩関節は周囲にある筋肉や靱帯、腱が発達していて、関節の中で可動域がもっとも広いことから、一定の部位に力が加わりにくい構造になっています。このような特徴から、肩関節はほかの関節よりも過負荷によって軟骨がすり減ることは少なく、一次性の変形性関節症に発展しにくいと考えられています。二次性は何らかの病気・病態に続発するもので、その誘因として腱板断裂、上腕骨頭壊死、関節リウマチ、上腕骨近位端骨折などが挙げられます。腱板断裂とは、肩にある腱板と呼ばれる4つの筋腱(肩甲下筋、棘上筋、棘下筋、小円筋)が断裂する病態を指し、肩の使いすぎや外傷などによって断裂が起きます。腱板断裂の初期では痛みや可動域制限といった症状がおき、断裂が進行し断裂サイズが大きくなると求心位が保持できなくなり上腕骨頭が上方化します。さらに病状が進行すると関節の変形が進行していきます。上腕骨頭壊死は、何らかの原因によって上腕骨頭が壊死してしまう病気です。その原因にはさまざまなものがありますが、上腕骨頭壊死による変形性肩関節症の原因としては、特にアルコールの大量摂取やステロイド薬の大量服用によるものが多いといわれています。変形性肩関節症を発症すると、肩関節の痛みや腫れ、肩の動かしにくさや可動域制限などが生じます。また痛みは肩を動かしたときだけでなく、安静時や夜間に見られることもあります。変形性肩関節症の診断は、主にX線検査によって行います。X線検査の所見として、関節裂隙(関節の隙間)の狭小化・消失、骨棘(骨の突出)形成、肩甲骨関節窩や上腕骨頭の変形などが見られます。より詳しく調べるために、CT検査やMRI検査などを行うこともあります。変形性肩関節症の治療には、薬や注射、リハビリテーションなどで痛みのコントロールを行う“保存的治療”と、外科的に治療を行う“手術的治療”の2つがあります。まず保存的治療を行い、それでも生活に支障をきたす場合に手術的治療を検討します。保存的治療で用いる薬として、内服薬(非ステロイド性抗炎症剤)、湿布剤、関節内注射(ステロイド剤、ヒアルロン酸ナトリウム)があります。一般的にはまず内服薬で痛みの軽減を図り、かぶれなど皮膚異常がない場合に湿布剤を用います。痛みが強い場合や夜間痛がある場合に、関節内注射を行うことがあります。薬物療法に加えて、運動療法(リハビリテーション)で肩関節の可動域の改善を図ることもあります。手術的治療としては人工関節置換術を行うのが一般的です。人工関節置換術とは、すり減った軟骨や傷んだ骨を外科的に切除して、金属とポリエチレンなどでできた人工関節に置き換える手術のことです。主な術式として、上腕骨頭だけを置換する人工骨頭置換術、肩甲骨関節窩と上腕骨頭を置換する人工肩関節置換術、本来の肩関節の形状と反転させた人工関節に置換するリバース型人工肩関節全置換術があります。どの手術法を用いるかは、患者の年齢、骨や腱板の状態によって異なります。

漢方と鍼灸

 まず炎症をとる漢方、軟骨の材料になる食養生、補腎・補血の漢方食養生を使います。変形し痛みのある個所(反応穴)から最適な漢方食養生サプリツボを選択し改善していきます。

肩こり

 肩こりと言えどもいろいろな原因があります。もんで楽になってもまた次の日には戻っているということはありませんか?人間は二足歩行をするために、もともと首や腰に負担がかかりやすい体をしています。首から肩にかけての筋肉が姿勢を保つために緊張し、血行が悪くなって、重く感じるのが肩こりです。首と肩の周辺には、さまざまな筋肉があります。これらは重い頭や腕を支えて立っているだけで、緊張し続けています。緊張が続くと筋肉が疲れて疲労物質がたまり硬くなります。それが血管を圧迫して血液の循環を悪くしたり、末梢神経を傷つけたりして、こりや傷みを起こします。また、血行不良になると、筋肉に十分な酸素や栄養が供給されず、筋肉に疲労がたまって、ますます筋肉が硬くなってしまいます。肩こりを引き起こす主な要因としては、筋肉疲労と血行不良、末梢神経の傷などが挙げられます。それらの要因が単独、または、互いに関連し合いながら肩こりを引き起こします。人間の背骨がゆるやかなS字カーブを描いているのは、重い頭や腕を支えながら二本足で歩けるように、姿勢を保つため。背骨の間には「椎間板」があって、衝撃をやわらげるクッションの役割を果たしています。年を取ると、このクッションがだんだんつぶれて硬くなり「頸部脊椎症」といわれる状態になり、これも首や肩の痛み・こりの原因になります。40歳ごろからみられはじめます。50歳前後に起こる肩の痛みは、「五十肩」の場合があります。「肩関節周囲炎」という病名が使われることもあります。腕を体の後ろに回すこと、例えば腰の後ろでエプロンのひもを結ぶ動作がしづらくなるなどが特徴で、腕を上げようとするときに痛みを感じます。原因は明らかではありませんが、肩関節をとりまく腱の組織が老化して、使いすぎによる炎症が起こっていると考えられています。頸肩腕症候群は、同じ作業を繰り返すなど、肩から手の指までの体の特定の部位を動かし続けることで発症するといわれています。症状は動かす部位によって異なり、肩こりのほかにも肘や腕、手の関節、手の指の痛み・だるさが現れる場合もあります。頚椎症とは、加齢などによって頚椎(首を構成する7つの骨)や、頚椎の骨と骨の間にある椎間板が変形し、首や肩などの痛みが現れる病気のことをいいます。頚椎や椎間板の変形は誰にでも起こるもので、変形しただけでは必ずしも症状が現れるわけではありません。変形が引き金となって頚椎の近くの脊髄や神経根が圧迫を受けると、主に首や肩、腕の痛み、手足のしびれ、手が動かしにくくなる、つまずきやすくなるなどの症状がみられるようになります。頚椎椎間板ヘルニアは、頚椎を構成する7つの骨の間にある椎間板の一部が何らかの理由で正しい位置から外れて飛び出てしまう病気です。飛び出した椎間板が近くの脊髄や神経を圧迫すると、首や肩、腕の痛み、手足のしびれ、手が動かしにくくなる、つまずきやすくなるなどの症状が現れる場合があります。肩こりは関節や筋肉の病気のほかにも、更年期障害や緊張性頭痛、血圧の異常、狭心症・心筋梗塞など、体の病気の一症状として現れる場合もあります。閉経前後の5年間を更年期と呼びますが、この期間に体や心にさまざまな症状が起こることがあります。その中でも日常生活に支障をきたすものが更年期障害です。症状はホットフラッシュ(ほてりやのぼせなど)、情緒不安定や不眠などが代表的ですが、肩こりや頭重感、腰痛、動悸などが現れることもあります。緊張性頭痛は、同じ姿勢が続くなど首や肩の筋肉の緊張が主な原因と考えられている頭痛で、頭の両側が締め付けられるような痛みが大きな特徴です。頭の痛みに加え、肩こりや目の疲れ、めまいなどの症状がみられることがあります。高血圧・低血圧など、血圧の異常でも肩こりが一症状として現れる場合があります。いずれも肩こりや頭痛、体のだるさ、めまい、耳鳴り、動悸などの症状がみられることがありますが、自覚症状がないことも少なくありません。動脈硬化などによって冠動脈(心臓をとりまく動脈)が狭くなり、心臓の筋肉に十分な血液が流れなくなった状態を狭心症、狭心症が進行して冠動脈がさらに狭くなって血管が完全に詰まった状態を心筋梗塞といいます。激しい胸の痛みや苦しさを伴う事が一般的ですが、肩こりや歯が痛むように感じられる関連痛といわれる症状が現れる場合があります。狭心症・心筋梗塞ともに放置しておくと生死にかかわる可能性がありますので、強い胸の痛みや圧迫感などの症状がある時には、すぐに病院を受診することがすすめられます。また猫背などの姿勢をとっていると、重い頭を支える肩や背中の筋肉が緊張し、血流が悪くなり、肩こりが起こるといわれています。姿勢を改善するためには、日頃から意識して正しい姿勢を保つことが大切です。姿勢が悪くなっていると感じるときには、胸を張る、腰を伸ばすなどして意識的に姿勢を正すようにしましょう。長時間のデスクワークや運転などで同じ姿勢が続くと、首や肩などの筋肉が過剰に緊張してしまい肩こりが起こるとされています。同じ姿勢を続けることがあれば、定期的に肩回りの軽いストレッチを行いましょう。筋肉の緊張が解消されると肩こりが軽減されることが多々あります。毛様体筋と呼ばれる目の筋肉は自律神経によってコントロールされており、眼精疲労によって毛様体筋が疲れることで首や肩の凝り、頭痛などの症状が現れることがあるといわれています。眼精疲労は、パソコンやスマートフォンなどの画面を長時間見続けることでも起こりますが、メガネやコンタクトレンズが合っていないことも原因の一つに挙げられています。画面の見過ぎなら時間を短くする、メガネやコンタクトレンズが合っていなければ合うものに変えるなど、原因に応じて対策をとりましょう。また、ビタミンB群が眼精疲労の改善に効果があるといわれています。食事などで積極的に摂取することも考えましょう。日頃から体を動かさないでいると、筋力が低下し体が重力に抵抗できなくなり姿勢が悪くなります。また、運動不足が続くと筋肉が低下し血流の悪化を招きやすくなります。その結果肩の筋肉の緊張や疲労が起こり、肩こりを引き起こしやすくなるといわれています。運動は筋力を増強するだけでなく血流をよくする効果もあります。運動不足を感じたら、定期的にウォーキングや体操などの軽い運動を行いましょう。ウォーキングの際には手を大きくふることで肩の筋肉をほぐすことができます。勉強や仕事、人間関係などでストレスがかかると、自律神経である交感神経と副交感神経のバランスが崩れてしまいます。そうなると体の調整がうまくできず、肩こりをはじめとする身体症状、イライラや情緒不安定などの精神症状が現れることがあります。ストレスを感じたら、まずは何が原因になっているのかを考え、その原因に対してストレス解消の手段があれば積極的に取り組むようにしましょう。また、生活習慣の改善や趣味の実践、軽い運動、怒りや不安感といった感情を周囲の人に聴いてもらうことも、ストレスを発散するために大切なことです。できることから始めていきましょう。

漢方と鍼灸

 それぞれの原因に対して向き合わないといつまでも辛い状況は変わりません。標治と本治で取り組むべき症状ですね。標治は肩の痛み、コリをとること。本治は再発しないように、もしくは軽くなることです。ちまたでは肩こりに葛根湯を常用しているようですが、麻黄が入っているので連用はできません。麻黄は発汗剤であり興奮剤ですので毎日飲んでいると副作用もでやすいですよ。肩こりのつらい箇所と各疾患の反応穴から本治と標治の漢方食養生やサプリツボを選択して治療していきます。肩こりの本当の原因を見つけましょう。

変形性股関節痛・特発性大腿骨頭壊死症

 脚の付け根(鼠径部)にある股関節は、脚と骨盤とをつなぎ体重を支える重要な関節です。太ももの骨の丸い先端部分(大腿骨頭)が、骨盤のお椀のようなくぼみ(寛骨臼)にはまった構造をしています。また、大腿骨頭・寛骨臼ともに表面は弾力のある関節軟骨で覆われていて、関節を動かしたり体重をかけたりしても、骨同士が直接ぶつからずにスムーズに動くようになっています。
 変形股性関節症は、股関節を構成する骨や関節軟骨に不具合が生じることで、関節軟骨の減少、骨の変形を来す病気です。病状の進行に伴い関節の痛みや動きに制限が生じ、日常生活にも支障が出るようになります。加齢とともに徐々に悪化することもあり、適切なタイミングで治療するかどうかを決定することが重要です。そのため、痛みがなくても定期的に専門医に受診し、経過を観察しながら、適切な時期に適切な治療を受けることが大切です。股関節は丸いボールのような大腿骨の骨頭と、骨盤側で受け皿となるお椀型の寛骨臼が組み合わさって構成されています。発育時に股関節のかみ合わせが悪かったり、加齢によって関節軟骨がすり減ったりすると、股関節のスムーズな動作が障害を受けて変形性股関節症が生じます。発育性股関節形成不全は日本においては変形性股関節症の発症の主な原因となっています。ただし、発育性股関節形成不全を生じたすべての方が、変形性股関節症を発症するわけではありません。加齢に従い軟骨が弱くなり、長年の負担が積み重なってすり減ることも変形性股関節症の一因です。社会全体の長寿・高齢化が進み、結果的に変形性股関節症の患者さんも増えています。また、近年の日本における変形性股関節症の増加と、食生活の欧米化との関連も考えられています。変形性股関節症は前股関節症・初期・進行期・末期の4段階に分類され、変形の程度に応じて症状も異なります。初期症状は足のつけ根やお尻、膝の上部にこわばりや重い感じがあり、歩き始めや長時間歩いたとき、階段の昇降時に痛みを感じるようになります。炎症が強い場合や股関節唇の損傷があると、初期でも強い痛みが出ることがあります。進行期から末期へ進むにつれて痛みが強くなります。日常動作の制限も増えるため、生活に支障を来すようになります。変形性股関節症は、症状の進行具合や既往歴などから疑われます。変形性股関節症の可能性が疑われる場合、レントゲン検査が行われます。ごく初期の段階では軽い変化がみられるのみですが、重症度が高くなるにつれて関節の隙間が狭くなる、軟骨下骨が硬くなるなど、より明確な変化がみられます。さらに進行すると関節軟骨も消失します。このような形態の変化はCT検査やMRI検査を行うことでより明確に確認できます。変形性股関節症の治療は、患者さんの年齢、原因となる病態、また病状の進行度によって適宜選択されます。発症初期であれば保存療法、病状が進行している場合は手術が行われます。発症初期は、痛みを緩和するために副作用の少ない消炎鎮痛剤を使いながら、運動療法を中心とした保存療法を行います。このとき、運動による筋力の増強、筋肉バランスや姿勢の改善、適正な体重の維持など、生活指導が行われることもあります。変形性股関節症の手術には大きく分けて骨切り術と人工股関節置換術があります。骨切り術は、関節近くの骨を切り、関節のかみ合わせをよくすることで軟骨のすり減りを防ぐ手術です。骨切り術のなかでも寛骨臼回転骨切り術という術式が比較的よく選択されます。この手術は、軟骨がすり減って病状が進行することを防ぐ目的で行われます。骨盤側の受け皿のかぶりが浅い場合に、受け皿の一部の骨を切り、外側にスライドさせ、しっかりとかぶせるようにします。骨切り術には、自分自身の関節を残せることに関連したメリットがあります。ただし、骨切り術にはデメリットもあるため、患者さんの病状に応じて人工股関節置換術を選択することもあります。人工股関節置換術を受ける際には、注意すべき合併症の説明や術後避けるべき姿勢を指導されることがあります。また人工股関節は、再手術(再置換)が必要になる場合があります。こうした注意点があることもあり、手術後は担当医の指示のもと、定期的にチェックを受ける必要があります。かつては20年経過するとおよそ6割にゆるみが生じ、そのうちの約半数が再置換を受けているとされていましたが、現在は摩耗に強いインプラントが開発されており、長期の耐用年数、インプラント寿命が期待されています。

 特発性大腿骨頭壊死症は、大腿骨頭への血流がなんらかの理由により障害され、骨の組織が死んでしまう(骨壊死)病気です。骨壊死を起こした部分が広がると、体重などの負荷よって大腿骨頭が潰れてしまい、股関節に痛みが起こるようになります。特発性大腿骨頭壊死症は、自己免疫疾患などの治療のためにステロイドを服用していた方やアルコールを多飲する方に認められることが多く、これに喫煙習慣が重なると発症リスクが高くなります。この病気は働き盛りの30~50歳代の方に多い傾向があります。
 関節リウマチは、免疫系の異常によって起こる自己免疫疾患の1つで、手足の関節を囲んでいる滑膜かつまくが炎症を起こし、これが関節の痛みや腫れ、動かしにくさなどを引き起こします。関節リウマチによる関節の炎症が持続すると、次第に関節の骨や軟骨も破壊されて症状が悪化します。30~50歳の女性に発症することの多い病気です。股関節は関節リウマチの影響を受ける関節の1つですが、多くの場合、同時に股関節以外の関節にも痛みや腫れなどの症状が認められます。そのため、股関節の治療に加えて、関節リウマチに対する薬物治療も必要になります。

 高齢の方は転倒などが原因で大腿骨を骨折しやすく、治療では骨折部分の骨の位置を修正し、プレートやボルトで固定して安定化させる手術が行われることがあります。しかしながら、高齢の方の骨は骨粗鬆症が進んで骨密度が低くなっていることが多く、術後にボルトがずれたり抜けたりして、それが股関節の痛みの原因になることがあります。
 股関節に異常がある場合、初期段階では椅子から立ち上がったときや歩き始めに痛みを感じるものの、歩いていると気にならなくなる程度の症状です。患者さんはさほど気にしていなくても、周りの人から「脚を引きずって歩いているよ」と指摘されることがあるなど、無意識に脚をかばって生活していることもあります。股関節の異常が進行すると、歩くときに常に痛みを感じるようになるほか、股関節を深く曲げる動作、たとえば“しゃがむ”“あぐらをかく”などの動きで痛みが誘発されます。また、足の爪を切る、靴下を履く、正座をするなどの行為も難しくなっていきます。さらに重症度が高くなると、じっとしていても痛みを感じるようになるため、立ち仕事がつらい、階段の上り下りに手すりが欠かせない、就寝時も痛みで目が覚めてしまうなど、日常生活に大きな支障をきたすようになります。股関節の異常を明らかにするために、ほとんどの患者さんでX線(レントゲン)検査を行い、大腿骨頭と寛骨臼のすき間の状態や骨棘・骨囊胞などの骨の変形、寛骨臼形成不全の有無などを評価します。変形性股関節症による股関節の異常の場合には、多くはX線検査のみで診断されます。X線検査で骨の変形があまり認められなかったにもかかわらず強い痛みがある場合には、特発性大腿骨頭壊死症などを疑いMRI検査を実施します。股関節の異常に対しては、主に保存療法と手術療法が用いられます。股関節の症状が軽度の場合は、安静にして鎮痛薬で痛みをコントロールしながら、杖や股関節を安定させるコルセットを用いて股関節への負荷を軽減します。若い方で杖を使うことに抵抗がある場合には、日傘を持ち歩いて必要なときに杖の代わりに使うとよいでしょう。また、股関節に大きな負荷をかけずに筋力を強化することのできる水中ウォーキングは、ダイエットにも効果があり、股関節痛のある患者さんに推奨される運動です。股関節鏡視下手術は、関節の変形などによって、寛骨臼の縁にある関節唇が損傷し、痛みを引き起こしている場合に行う手術です。股関節の周囲に小さな穴をつくり、そこから関節鏡と呼ばれる内視鏡や器具を挿入して関節唇を修復します。骨切り術は寛骨臼形成不全のある患者さんに用いられる手術で、寛骨臼の一部を切って回転・移動させることで、股関節への負荷を軽減する手術です。ただし、手術をするには関節の骨に関節軟骨が十分に残っている必要があるため、対象は早期の変形性股関節症で、比較的若い患者さんに対して実施されます。人工股関節置換術は、変形性股関節症、特発性大腿骨頭壊死症、関節リウマチ、大腿骨骨折後のトラブルなどによって損傷・変形した股関節を人工股関節(インプラント)に置き換える手術です。特に病状が進行して痛みが強く、日常生活への影響が大きな患者さんに対して用いられます。

漢方と鍼灸

 軟骨の再生や潤いには血流と材料(タンパク質、ビタミン、ミネラルなど)とホルモンの活性化が必要です。痛む箇所と異常箇所から最適な漢方食養生やサプリツボを選択し改善していきます。早期から始める方がいいでしょう。

【症例】48歳 股関節痛 漢方食養生で3か月で消失
【症例】65歳 股関節痛 漢方食養生鍼灸治療で4か月で消失

坐骨神経痛

 坐骨神経痛とは、坐骨神経に沿ってお尻から脚の後面や外側にかけて起こる痛みの総称を指します。坐骨神経は腰の辺りから足に伸びる神経で、この坐骨神経が何らかの原因で刺激されると痛みやしびれが生じます。坐骨神経痛を引き起こす病気としては、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などが例に挙げられますが、腫瘍などが坐骨神経痛の原因となることもあります。坐骨神経痛に対しての治療アプローチはさまざまです。腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症が原因であれば、まず安静や固定、薬物療法、理学療法などによる保存療法が行われます。症状によっては手術療法が選択されることになります。坐骨神経痛の主な原因としては、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症、梨状筋症候群、なかでも腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症は、坐骨神経痛の原因として代表的な病気です。また、頻度は少ないですが、骨盤内の腫瘍などが原因で発症することもあります。お尻や脚の後面または外側に痛みやしびれが生じます。冷感、灼熱感などを感じることもあります。症状は、脚の一部のみに現れることも、脚全体に現れることもあります。腰部脊柱管狭窄症が原因の場合、“間歇性跛行”という症状が生じることがあります。間歇性跛行はしばらく歩くことでお尻や太ももの後面に痛みが生じ、休むと治まり、歩き出すと再び痛むことが特徴です。検査では、坐骨神経痛の原因となっている病気を特定することが重要です。腰椎が原因であることが多いですが、帯状疱疹や子宮筋腫、変形性股関節症といった腰椎以外の病気が痛みの原因となっていることもあるため、疑われる病気に応じた検査が行われることになります。診断の流れとしては、まず問診や診察を行い、その後X線検査やMRIなどの画像検査が行われることが一般的です。原因疾患に応じた治療方法が選択されます。代表的な原因疾患である腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症の場合、薬物療法などの保存的治療が基本となりますが、症状によっては手術が検討されることもあります。まず非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)が使用されることが一般的です。神経障害性疼痛治療薬、筋緊張弛緩剤、血管拡張薬などが使われることもあります。痛みの緩和や日常生活の質の維持を目的として、運動、ストレッチ体操、歩行訓練などを行います。また装具(コルセット)をつけて痛みを緩和する方法もあります。神経ブロック療法は原因となっている腰椎の神経やその周辺に局所麻酔薬などを使用し、痛みを軽減する方法です。脊髄刺激療法は体に小さな電極を埋め込み、脊髄に微弱な電流を流すことで痛みを和らげる方法です。薬物療法など、ほかの治療法で効果が得られない場合に検討されます。保存的治療で症状が改善しない場合や、下半身の脱力や膀胱・直腸などに機能障害が現れた場合などは手術が検討されます。近年では、脊椎内視鏡を使った手術も行われるようになってきています。坐骨神経痛の予防には、生活習慣の改善も重要です。腰に負担をかけないために普段から姿勢を改善し、ストレッチなどを行いましょう。体重が増加すると腰に負担がかかるため、肥満にも注意が必要です。また、下半身の冷えが坐骨神経痛につながることもあるため、腰や足の保温も心がけるとよいでしょう。

漢方と鍼灸

 腰椎の異常箇所は触れなくても気功でわかりますので、そこから最適な漢方食養生やサプリツボを選択し改善していきます。腰椎周りや梨状筋のはりは鍼灸治療でとれます。

【症例】70歳 左足の痺れ 漢方食養生鍼灸治療で一か月で消失。痛みもなくなって歩けるようになる。
【症例】56歳 左足の痺れ 漢方食養生鍼灸治療で3か月で完治。
※症例多数

足の痛み・かかとの痛み

 歩き疲れたときなどに足が痛いと感じるのはよくあることかもしれません。しかし、何も心当たりがないのに痛みを感じる場合には、注意が必要なこともあります。そんなに歩いていないのに足に痛みを感じやすい、足の裏が痛くて体重をかけられない、足が慢性的にだるく、痛みを感じることもあるなどこのような場合に考えられる原因には、どのようなものがあるでしょうか。足が痛いときに考えられる病気は、足の痛みは、何らかの病気によって引き起こされていることがあります。大きく分けて骨や関節の病気、または体の病気が原因となっているケースがあります。足の痛みを引き起こす骨や関節の病気には、次のようなものがあります。産まれたばかりの子どもの足には土踏まずのアーチがありませんが、大人になるにつれてアーチが形成され、効率的に体重を支えることができるようになります。扁平足には、子どもの頃からうまくアーチが形成されなかった場合と、大人になってから何らかの原因でアーチが崩れてしまったものがあります。主な症状には内側のくるぶしの下の腫れ、足の痛みなどがあります。変形が進むにつれ、歩きにくくなることもあります。足底腱膜炎は足底腱膜という、足裏のアーチを支えるために重要な役割を果たしている腱が炎症を起こし、かかとの下側からつま先にかけて痛みを感じる病気です。朝起きたときや、長時間休憩した後に最初に体重をかけたときに強い痛みがはしることがあります。種子骨障害 ・ 種子骨炎は、足の親指の付け根にある種子骨が骨折や炎症を起こし、足の裏に痛みが発生している状態です。走る・踏み込む動作が多いスポーツなどの負荷により発生するといわれています。踵骨骨端症(シーバー病)は、かかとの骨にはアキレス腱や足底筋膜など、足のはたらきに大切な腱が付着しています。走る・跳ぶなどの動作でかかとの軟骨が引っ張られて炎症が起こり、痛みが起きる病気です。運動をした後、朝起きたときなどに痛みを感じることが多いといわれています。また、踵の骨に背が伸びる成長軟骨の残っている小学生、特に男児に多いといわれている病気です。捻挫・骨折は関節に無理な力が加わり、骨と骨をつなぐ靱帯が伸びたり切れたりする捻挫、骨が折れたり欠けたりしてしまう骨折はいずれも強い痛みの原因となります。捻挫の場合、内側に足をひねってしまうことが多いですが、靱帯が強く引っ張られることで靱帯の付け根が骨ごと剥がれ、裂離骨折といわれる一種の骨折を起こすことがあり、特に子どもの場合の多くが裂離骨折となります。痛みや腫れが強いときには、ただの捻挫だと思わず、一度受診するようにしましょう。血管や皮膚、体の病気によって足の痛みが起こることもあります。代表的な病気には、以下のようなものがあります。

血管の病気により足が痛むこともあります。たとえば、足に血栓ができるエコノミークラス症候群、動脈硬化によって血管が狭くなる 閉塞性動脈硬化症、足の静脈が浮き出たり盛り上がったりする 下肢静脈瘤 です。足の皮膚の色が悪い、足が片方だけむくむ、特にふくらはぎの血管が盛り上がり瘤のようになっているなどの場合には注意が必要です。 蜂窩織炎は皮膚の深部が細菌感染して炎症を起こす病気です。足は比較的発症することが多く、痛みのほかに皮膚が赤みを持って腫れる場合がほとんどです。また、程度によっては熱が出たりすることもあります。痛風は尿酸の結晶が関節や腎臓にたまり、関節痛や腎機能障害を起こす病気です。特に、足の関節や足の親指の付け根は痛みが起こりやすい場所として知られています。いったん痛み発作が起こると、激痛を伴って赤く腫れますが、数日で徐々に治っていきます。発作時は尿酸値が低下することもあり、そのときの血液検査では診断がつかないこともあります。痛みのあるときだけでなく、長期的な治療が必要な病気ですので、痛みが自然に治っても一度受診しておくことが大切です。足に痛みが生じるまれな病気としては、ファブリー病 などが挙げられます。症状は、手足の先がよく痛くなる、汗をかかない・または汗をかきにくい、熱いお湯に手足をつけるのが苦手、皮膚に赤いぶつぶつがある、家族や親戚の中に、若い頃から、腎臓や心臓の病気がある人や、脳の血管が詰まったことのある人がいるなどがあればファブリー病かもしれません。

漢方と鍼灸

 各原因が違うので治し方も様々です。患部から最適な漢方食養生やサプリツボの治療いたします。

脊椎分離症

 腰椎分離症とは、過度のスポーツや腰部の回旋(ひねる動き)などの負担によって、腰椎の後方部分が疲労骨折(分離)する病気です。主に10代の成長期にみられ、発症すると腰痛や下肢かしのしびれなどが引き起こされます。一般の人では5%程度が分離症を発症しますが、スポーツ選手では30~40%の人が発症します。腰椎分離症は、早期発見により手術を避けて治療することが可能です。初期の段階であればコルセットなどで固定したり、対症療法として鎮痛剤を投与したりします。また、スポーツや負担がかかる運動は2~3か月程度中止し、医師の指導に基づいたストレッチなどを行います。原因は疲労骨折であるため、初期治療をきちんと行えば治ります。しかし、初期治療をおろそかにすると、骨折した分離部が癒合せず、分離症のままとなってしまいます。分離症は10歳代で起こりますが、その後徐々に分離すべり症に進行していく場合があります。十分な治療を続けても生活が改善されない場合には、分離した部分を外科手術で固定します。腰椎分離症は運動に関連して発症することが多く、スポーツをしている子どもに多い病気です。物理的な負担がかかる行動(ジャンプや腰が回旋する運動)を繰り返すことで、椎弓狭部(関節突起間部)に疲労骨折が生じて、腰椎分離症が引き起こされます。分離を起こす部位は、5つの椎体で構成される腰椎のうち第5腰椎であることがほとんどです。腰椎分離症が治療されず長期間経過すると、徐々に脊柱管内部の馬尾神経などを圧迫するようになり、下肢痛やしびれを生じることがあります。また、腰椎分離症が原因ですべりが生じることがあり、分離すべり症と呼ばれています。腰椎分離すべり症を発症すると、さまざまな神経症状が起こります。腰椎分離症の多くは、腰痛がきっかけで発見されます。腰痛そのものは誰もが感じるようなありふれた症状ですが、腰椎分離症は体勢によって症状が変動することが特徴です。腰椎後部の神経組織を保護している椎弓の一部が分離するため、上体を後ろに反らす動作をすると、痛みを感じるケースが多くみられます。また、腰椎分離症に続発して腰椎分離すべり症が起こることがあります。腰椎分離すべり症では馬尾神経や神経根が圧迫され、神経症状のしびれを感じます。腰椎分離症では、レントゲン、CT、MRIなどの画像検査が行われます。レントゲン写真では、病状が進行していると椎弓の分離が確認できます。分離部分は、症状が進むと犬の首輪のような「スコッチテリアサイン」と呼ばれる像を呈します。MRI検査では、レントゲンではわからない疲労骨折の初期を発見できます。この状態で治療を開始することが勧められます。画像検査を組み合わせることで、より詳細に腰椎分離症の状況を評価することが可能です。腰椎分離症は、初期の段階であれば局所の安静や鎮痛剤などの保存療法(手術を避ける治療)が有効です。そのためには早期に発見することが重要で、スポーツに伴って発症し、上体を後ろに反らすと誘発される腰痛が続く場合には、MRIなどによる精査が必要です。腰痛分離症は発症後早期であれば、多くの場合、保存療法のみで治癒することが期待できます。激しいスポーツに伴って発症することから、まずは原因である運動を一時的にやめることが求められます。加えて、腰部の安静を保つため硬性コルセットを使用します。こうした治療により、分離した腰椎の癒合と痛みの消失が期待されます。そのほか、骨盤周囲の筋肉を伸ばすストレッチと筋肉の強化を行うことが有効です。治療後は症状や画像所見を確認しながら安静解除や運動の開始を検討していきます。分離症が治っていなくても強い痛みが持続することは多くありません。腰痛を繰り返すことがありますが、ほとんどは保存治療で改善し、日常生活に支障が出ることは少ないようです。腰痛予防には、腹筋・背筋の強化などが大切です。保存療法を行っても痛みが治まらない場合や神経症状がある場合には、手術的な治療介入を行います。腰椎分離症から腰椎すべり症まで病状が進行している場合には、脊椎固定術を行います。

漢方と鍼灸

 骨折をしていてもたいていは痛みや痺れは改善されます。腰椎5番の箇所から最適な漢方食養生やサプリツボの治療を行います。

脊椎すべり症

 背骨(脊柱)は、椎骨と呼ばれる骨がいくつも連なって構成されています。椎骨には椎孔という穴があいていますが、椎骨がいくつも縦に連なることにより、椎孔も連なり、一本のトンネルのような脊柱管と呼ばれる空間が形成されます。脊柱管の中には神経(脊髄、馬尾)が通っています。腰椎すべり症とは、腰の部分で椎骨が正常な位置からずれた状態をいいますが、椎骨がずれる(すべる)ことにより脊柱管が狭くなります。それにより、脊柱管の中にある神経組織が圧迫され、さまざまな症状が現れます(主な症状は脊柱管狭窄症と同じです)。具体的には、長い距離を歩いたり、長時間立っていたりすると腰から足にかけて痛みを生じるようになります。また、足のしびれや麻痺まひ、排尿障害を生じることもあります。
 腰椎すべり症は大別して、腰椎変性すべり症と腰椎分離すべり症の2種類に分けられます。このうち頻度が高いのは変性すべり症です。変性すべり症は加齢に伴い生じ、中年以降の女性に多い傾向があります。腰椎変性すべり症・腰椎分離すべり症ともに、画像上ずれ(すべり)を認めても、症状がない場合には積極的な治療は行いません。痛みがある場合は、まず、理学療法、薬物療法、装具療法、ブロック注射などを行います。これらの治療で思わしい結果が得られない場合、手術を選択する形が一般的です。脊柱管の中には重要な神経である脊髄が入っています。腰のあたりになると脊髄はバラバラにほどけた形態をとるようになり、見た目の様相が馬の尻尾のような形態をしていることから馬尾神経と呼ばれます。腰椎すべり症では椎骨がずれることによって脊柱管が狭くなり、馬尾神経や神経根などが圧迫されます。腰椎すべり症は大きく分けて、腰椎変性すべり症と腰椎分離すべり症の2種類にわけられますが、先天的な要因から発症する形成不全性すべり症もあります。
 腰椎変性すべり症加齢に伴って椎間板(腰椎の間にあるクッションとなる組織)や椎間関節が変性し、腰椎が正常な位置からずれてしまいます。特に第4腰椎と第5腰椎の間に生じることが多いといわれています。腰椎分離すべり症は腰椎分離のための力学的脆弱性と長期間かけて腰椎の変性が進むことによって起こります。第5腰椎の分離症が多く、その場合、第5腰椎とその下の仙椎の間ですべりが生じます。形成不全性すべり症生まれつき骨の形成の状態が悪いために起こるすべり症です。腰椎の分離も伴っていることが多く、高度なすべりに進行する可能性があります。一定の距離を歩くと足にしびれや痛みが生じ、休む(しゃがむ・座るなど)ことにより再び歩けるようになる間欠跛行が代表的な症状です。似たような症状を呈する病気に脊柱管狭窄症や下肢の血流障害(閉塞性動脈硬化症など)があります。そのほかにも、下肢のしびれや麻痺、尿の出が悪くなるなどの症状がでることがあります。腰椎すべり症では、レントゲン写真やMRIなどの画像検査を行います。レントゲン写真では腰椎のずれ具合を確認することができます。MRIでは神経の圧迫具合を確認できます。形成不全性すべり症では、仙骨と呼ばれる背骨の一番下の骨(背骨と骨盤を連結する)の形が正常と異なります。仙骨の上縁が丸い形をしており、すべりが進行しやすい状態となっています。一般的な腰椎すべり症(腰椎変性すべり症や腰椎分離すべり症)では、最初は間欠跛行や疼痛、しびれが主な症状で、運動麻痺をみとめることは多くありません。そのような場合、まず、理学療法、薬物療法、装具療法などによる治療を開始します。こうした治療が奏効しない場合にはブロック注射を行います。保存療法で十分な効果が得られない場合、筋力低下がある場合、形成不全性すべり症などでは手術的な治療が行われます。
 初期治療としては、腰痛に対して消炎鎮痛薬や筋弛緩薬などを処方し、症状の軽減を図ります。脊柱管狭窄によって馬尾神経が圧迫されて生じる下肢痛やしびれなどの症状に対しては、馬尾神経の血流を促進する末梢循環改善薬や神経障害性疼痛治療薬が処方されます。その他の保存療法として温熱療法や牽引けんいん療法、また痛みに対して神経ブロック療法を行うことがあります。

温熱療法:腰部の筋肉を温め、さまざまな症状の改善を図る治療です。
牽引療法:縦方向に腰部を引っ張る医療機器で腰部を伸ばし、さまざまな症状の改善を図る治療法です。
神経ブロック療法:原因となっている神経や部位に薬剤(局所麻酔薬)を投与し、痛みの軽減を図ります。長期間にわたり疼痛とうつうが消失することもあります。
 
 薬物療法、理学療法(腰椎の牽引・温熱療法)、神経ブロック療法などを行っても症状が改善しない場合には、手術療法が選択できます。

 具体的な手術療法は、腰椎の「ずれ」の程度や「動き」(不安定性)の程度を考慮し、決定します。神経の圧迫を解放する方法(除圧術)と、除圧に追加してずれ(すべり)を矯正し、腰椎を固定する方法(固定術)があります。手術介入のタイミングや手術方法については、症状や生活への影響を考慮し、慎重に検討する必要があります。

漢方と鍼灸

 ズレを生じた箇所から最適な漢方食養生サプリツボを選択して治療すれば良くなります。一度ご相談ください。

骨端症・ケーラー病・シーバー病

ケーラー病

 原因は完全には明らかになっていませんが、舟状骨の外傷や慢性的な圧迫がきっかけになることが指摘されています。骨の外傷の治癒過程に異常が生じることで病気の発症に至る可能性があります。ケーラー病は「骨端症」といわれる、小児に特有の骨の病気の一種です。骨端とは骨の端の軟骨で、骨の成長が起こる部分です。骨よりは強度が弱いので荷重などの負荷や外傷の際に傷つきやすい場所です。舟状骨は足のアーチ(土踏まずのカーブ)の頂点に位置するため荷重するときに負荷がかかりやすい場所です。骨の成長に伴って徐々に骨端が固まり骨が強くなっていきますが、舟状骨はこの過程が他の骨に比べて遅い傾向があります。舟状骨への血液の供給が十分でないこともあり、骨がうまく成長できずに徐々に腐ってつぶれてしまい、ケーラー病の発症に至るとも考えられています。土踏まずに当たる部分(舟状骨が存在する部分)に痛みや腫れを生じます。痛みは徐々に進行し、足に体重をかけることが難しくなることもあります。痛みにより、足を引きずるなど上手に歩くことができなくなります。ケーラー病では舟状骨への血流が障害され、骨の形が徐々に変形します。しかし、時間経過とともに血流が元通りになり、骨の変形が改善することも期待できます。ケーラー病による症状は、両側に生じることもありますが、片側に障害をみることのほうが多いです。ケーラー病は、足のレントゲン写真により診断されます。罹患した側と罹患していない側を比べると、進行の程度の評価に役立ちます。レントゲン写真では、舟状骨の硬化(レントゲン上白い色が濃く見える)や変形が確認されますが、この変形は時間経過とともに改善することも期待できます。レントゲン写真を継続的に撮影することで、骨の形が戻る様子を確認することができます。ケーラー病は、足に体重をかけることで症状が増悪することが懸念されます。そのため、足への荷重を避けるために、靴の中敷き(土踏まずを盛り上げることで体重を分散)やギプスを着用することが検討されます。症状が強くない場合には、こうした処置を行うことなく、経過観察にとどめることもあります。経過中に運動制限をかけることもあります。症状に合わせた治療を行うことで、ケーラー病の症状は1年ほどで改善することが期待できます。

シーバー病

 シーバー病とは、発育期の成長途上のかかとの骨の端(踵骨骨端部)に負荷がかかることで、骨の壊死えしや骨軟骨炎が生じ、痛みなどの症状を引き起こす病気のことです。踵骨骨端症と呼ばれることもあります。かかとを押したときの痛みや軽度の腫れ、歩行時の痛みなどがみられることがあります。10歳前後の男児によく起こる病気で、頻度は高くありませんが女児に起こることもあります。スポーツによる負荷によって発症しやすいためスポーツ障害の1つともされており、激しい運動の後にかかとの痛みを訴えるときはこの病気が疑われます。シーバー病は一般的に予後良好で、骨の成長が終われば自然治癒します。シーバー病は、発育期の子どもの踵骨骨端部と呼ばれる部位に負荷がかかることで起こります。発育期のかかとの骨は完全に骨化しておらず、骨端軟骨(成長板)と呼ばれる軟らかい組織が存在しています。この状態のかかとに運動などで負荷がかかったり、アキレス腱がかかとを引っ張る力が持続的にかかったりすることで踵骨に血流障害が起こり、軟骨の炎症や骨端軟骨より先の踵骨骨端核と呼ばれる部分に壊死がみられるようになります。シーバー病の主な症状はかかとを押したときの痛み、かかとの軽い腫れ、歩行時の痛みなどです。症状は激しい運動をした後に起こることが多いでしょう。また、症状は片足のみにみられることも、両足にみられることもあります。症状が軽い場合は、1日程度で痛みが治まり歩行にも支障をきたしませんが、痛みが続いたり、症状を繰り返したりする場合もあります。たとえば、かかとが痛いためにかかとを地面に着けられず、つま先歩きになることがあります。また、慢性化してしまうと、1年〜数年単位で症状が続くこともあります。シーバー病は、症状を基に診断されることが多いです。シーバー病を発症しやすい10歳前後の男児(まれに女児)が激しい運動の後にかかとの痛みを訴える場合は、この病気を疑うことがあります。X線検査で、踵骨骨端核に硬化像や分裂像が認められれば診断がつきます。なお、シーバー病はかかとの骨の局所的な骨壊死であり、一般に血液検査では異常はみられません。シーバー病の治療は局所の安静が基本です。激しい運動を行っている場合は中止します。痛みが強い場合や痛みが続く場合は、かかとに負荷がかからないようにするため、靴の中敷きを使ったり、かかとにシリコン製のクッションを置いたりするようにします。症状が軽ければ自然に軽快しますが、症状が治まったからといって運動を続けると症状を長引かせる原因となります。シーバー病はスポーツ障害の1つであるため、運動前の十分なウォームアップやストレッチングが大切です。また、シーバー病を含むさまざまなスポーツ障害を予防するためにも、スポーツ後のアイシング、足に合ったシューズの使用、足底装具(足の負担を軽減する中敷きのような治療用装具)の使用などを実践するとよいでしょう。シーバー病はそれほど強い負荷でなくても、繰り返し同じ場所に負荷がかかることで発症することがあります。腫れや関節機能障害などの明らかな異常がないことも多いため、病気に気が付かずに運動を続ける原因となることも少なくありません。子どものスポーツ障害は周りの大人が異常に気付くことが重要なため、シーバー病にかかりやすい10歳前後の子どもがかかとの痛みを訴えたときには、運動を休ませて安静にし、症状が改善しない場合は早めに医療機関を受診することが大切です。

漢方と鍼灸

 骨化するまでは軟骨の状態なので痛みがでます。痛みの部分より最適な漢方食養生サプリ、痛みを緩和するツボを選択して改善を促します。

骨髄炎・化膿性骨髄炎

 骨髄炎とは、骨の中に存在する「骨髄」と呼ばれる組織に炎症が生じる病気です。黄色ブドウ球菌などの病原体の侵入により、上腕骨や大腿骨などに炎症が生じます。発症すると、発熱や全身倦怠感(全身のだるさ)、炎症が生じた骨の痛み、皮膚の発赤、腫れなどが出現します。治療では、原因となる病原体に効果が期待できる抗生物質などが用いられます。薬剤での治療効果が不十分と判断される場合には、手術も検討されます。慢性化すると極めて治りにくくなってしまいます。小児の場合は全身的な感染症(敗血症)に伴う事が多いです。また、骨髄炎は化膿性骨髄炎と呼称される場合もあります。本来無菌状態である骨髄の中に病原体が侵入することで骨髄炎が発症します。黄色ブドウ球菌を始めとして、抗酸菌や真菌なども原因となりえます。骨髄へ病原体が侵入する状況としては、いくつか知られており、体の他の部位に存在する病原体が、血液を介して骨髄へ入り込む。虫歯や歯科処置、肺炎・尿路感染や感染性心内膜炎など内臓の感染症等が原因になりえます。虫歯から直接的に下顎骨へと病原体が侵入する、骨折(開放性骨折といって骨折に皮膚の傷を伴うもの)により骨髄が空気にさらされ、環境中の病原体が侵入する、人工関節など、手術に関連して病原体が侵入するなどが考えられます。骨髄炎は、糖尿病の罹患やステロイドの長期間使用、抗がん剤などにより免疫力が低下すると、発症するリスクが高くなります。その他、自己免疫の異常により骨髄に炎症が生じることもあります。このようにして発症する骨髄炎を慢性再発性多発性骨髄炎といい、難病指定を受けています。骨髄炎の好発部位は、上腕骨や大腿骨、椎骨などです。発症すると、典型的には発熱や全身倦怠感、炎症が生じた骨の痛みや皮膚の発赤、腫れなどが出現しますが、痛み止めの薬などの影響で熱が押さえられて典型的な症状が出ないことも珍しくありません。骨の強度が障害を受けて、周囲の臓器・器官にも障害が及ぶことがあります。たとえば椎骨で異常が生じた場合には、手足のしびれや運動障害につながることがあります。骨髄炎は、比較的ゆっくりと病気が進行することもあります。この場合には、数か月以上に渡り骨の痛みを感じることになります。骨髄炎では、下記のような検査により診断を行います。血液検査:白血球数やCRP、赤沈などを確認する。画像検査:レントゲン写真やMRI検査、骨シンチなどを行う。培養検査:血液や排泄された膿うみ、生検(針などで感染部位から組織をとる)・手術で得られた検体などを用いる。病原体が培養検査で特定できる場合には、抗生物質に対する効果を判定するための薬剤感受性検査も行います。原因となる病原体に対する効果が期待できる抗生物質や抗真菌薬などにより治療します。原因が特定できない場合もあるので、その場合は頻度の高い病原体に対する抗菌薬を使用することになります。数週間に渡る治療が必要となります。痛みを緩和するためには、局所の安静を保ったり、痛み止めを使用したりします。薬剤での治療効果が不十分と判断される場合には、手術も検討されます。自己免疫の異常により発症するタイプの骨髄炎(慢性再発性多発性骨髄炎)の場合、治療方法は完全には確立されていませんが、非ステロイド性抗消炎剤などにより治療を行います。

漢方と鍼灸

 菌や真菌に対して効果のある抗菌、抗真菌漢方を使います。自己免疫異常の場合、免疫を調整するものを選びます。炎症を起こしている部位から最適な漢方食養生サプリツボを選択し改善していきます。

骨粗鬆症

 骨粗鬆症とは、骨の強度が低下してもろくなり、骨折しやすくなる病気です。骨の強度が低下する主な要因としては、主に女性ホルモンであるエストロゲンの欠乏、加齢、運動不足などの生活習慣が考えられます。一般的に広く認識されている“原発性骨粗鬆症”に関しては、加齢ならびにエストロゲン欠乏のために、とりわけ閉経後の女性が発症しやすいことが知られています。骨粗鬆症は骨折しやすくなるだけでなく、体全体の不調を招きかねない病気です。骨粗しょう症は、骨の強度が低下することで引き起こされます。骨の強度(骨の強さ)は、骨の量の指標となる骨密度と骨の質 (骨質)の2つの要因によって決まります。骨の強度に関しては、70%が骨密度、残りの30%は骨質に影響されるといわれています。骨粗鬆症には、原発性と続発性の2つがあります。原発性骨粗しょう症は、原因となる明らかな病気などがなく、主に女性ホルモンの低下や加齢によって引き起こされるものです。一般的に広く認識されている骨粗鬆症です。健康な骨の維持には骨の形成や吸収といった代謝のバランスが鍵となります。加齢に伴うビタミンDや副甲状腺ホルモンのはたらきの変化により骨代謝のバランスが崩れていきます。さらに女性の場合、閉経や加齢により、骨の分解を抑制するエストロゲンというホルモンの分泌が急速に低下します。その結果、骨の形成が吸収に追いつかなくなり、より骨を壊す方向へと傾いてしまいます。このほか、無理なダイエットや偏食により栄養バランスが偏ると、カルシウムやタンパク質、ビタミンD、ビタミンKなどが不足し、骨量が減りやすくなります。また、遺伝的要因が関わっていることも知られています。続発性骨粗しょう症は、特定の病気や薬の影響によって二次的に起こります。甲状腺機能亢進症やクッシング症候群などの内分泌疾患、胃切除や吸収不良症候群など栄養に関連した病気、ステロイドなどの薬剤、糖尿病などの生活習慣病、先天性疾患などさまざまな原因が挙げられます。前述したように、骨の強度は骨密度と骨質によって規定されます。骨粗鬆症は自覚症状がほとんどありません。1番問題となるのは、転倒やくしゃみなどのわずかな衝撃でも骨折しやすくなることです。骨粗鬆症で骨折しやすい骨の部位としては、背骨の柱となる“椎体”や太股の付け根にあたる“大腿骨近位部”、手首の骨である“前腕骨遠位部”、腕の付け根にある“上腕骨近位部”などが挙げられます。骨が折れると痛みが生じ、体が動かしにくくなることがあるほか、変形によって全身にさまざまな悪影響が及ぶことがあります。たとえば、椎体が押しつぶされるように折れると、背中が丸くなることがあるほか、それによって消化器や呼吸器などの機能障害が現れる恐れがあります。また、そのほかの部位の骨折でも活動性が低下し、運動不足になりがちです。運動不足により、ますます骨が弱くなることがあるため注意が必要です。国が実施している骨粗しょう症の検診では、生活習慣や食生活に関する問診と測定機器を用いた骨密度の測定が行われます。検査の結果によっては、より詳細な検査のために医療機関の受診をすすめられる場合があります。骨評価や骨密度測定の検査にはDXA (デキサ) 法が標準的に用いられています。DXA法は、エネルギーの低い2種類のX線を使って骨量を測定する方法です。骨粗鬆症の診断時には、背骨の腰に近い部分 (腰椎)と大腿骨近位部の2つの部位を測定することが推奨されています。定量的超音波測定法であるQUS法では、超音波が骨の中を通過する超音波伝播速度と、減衰する程度を示す超音波減衰率を測定して骨評価を行います。この検査のみでは骨粗鬆症の診断をすることはできませんが、人間ドックや検診などでスクリーニング検査として広く用いられています。MD法が用いられることもあります。このほか、X線やCT、MRIといった画像検査、血液検査や尿検査による骨代謝マーカーの測定、身長測定が実施されることがあります。骨粗しょう症では薬物治療が中心に行われます。骨粗鬆症の治療に用いられる薬は、骨吸収を少なくする薬 (骨吸収抑制薬)、骨形成を助ける薬 (骨形成促進薬)、痛みを取り除く薬などさまざまな種類があります。また、ホルモン剤やビタミン剤など不足したものを補う薬が処方されることもあります。将来の骨折予防のためにも、自己判断で服薬を中止することなく、医師の指示に従うようにしましょう。骨粗鬆症の予防には、バランスのよい食事と適度な運動が効果的です。食事では、牛乳などに多く含まれるカルシウムや魚に豊富に含まれるビタミンD、納豆や海藻などに含まれるビタミンK、そのほかリンやマグネシウムなどを積極的に取るとよいでしょう。適量のタンパク質も大切です。喫煙や過度な飲酒は骨粗しょう症の危険因子となるため、控えましょう。そのほか転倒に注意しながら、適度な運動や日光浴を心がけるとよいでしょう。

漢方と鍼灸

 大腿骨、腰椎、腸骨、骨密度の値の低い箇所、女性ホルモンの反応穴などから最適な漢方食養生サプリ、ツボを選択して治療や予防をしていきます。閉経されてから食事以外に天然のタンパク質、ビタミン、ミネラル、コラーゲン、エラスチンの摂取を継続しているとお元気な方が多いですよ。自分と相性のいい物を摂ることが大切ですので、ご相談ください。