糖尿病
糖尿病とは、血糖値(血液中に含まれるブドウ糖)が慢性的に高くなる病気のことです。
糖尿病診断基準(2023)
●“糖尿病型”の判定基準:以下のいずれか 1 つを認めた場合
① 血糖値 空腹時血糖値≧126mg/dl
② 血糖値 75g 経口負荷試験(OGTT)2 時間値≧200mg/dl
③ 随時血糖値 ≧200mg/dl 以上
④ HbA1c≧6.5%
●糖尿病の診断
1. 上記の血糖値(➀②③のいずれか)と④HbA1c が同一採血で“糖尿病型”を示せば、初回検査だけで「糖尿病」と診断。血糖値と HbA1c の同時測定を推奨。
2. 血糖値の➀②③いずれかが“糖尿病型”を示し、かつ以下のいずれかを満たす場合には、初回検査だけで「糖尿病」と診断。血糖値が“糖尿病型”に加えて、糖尿病の典型的な症状(口渇、多飲、多尿、体重減少)または確実な糖尿病網膜症。
3. ➀~④のいずれかが“糖尿病型”と認められた場合、別の日(なるべく 1 ヶ月以内)の再検査で再び血糖値➀から③の“糖尿病型”が確認されれば「糖尿病」と診断。HbA1c のみ反復検査では糖尿病と診断できない。
4. “糖尿病型”のいずれかを認めるが「糖尿病」と確定できない場合は、「糖尿病疑い」として 3-6 か月以内に「血糖値と HbA1c と同時に測定」して再判定する。
私たちは食事をすると血糖値が上がります。そして、血糖値の上昇が感知されると膵臓から“インスリン”と呼ばれるホルモンが分泌され、肝臓や筋肉ではブドウ糖を“グリコーゲン”と呼ばれるエネルギー源に換え、脂肪組織では“脂肪”として、蓄える仕組みが作動します。この仕組みが備わっているため、私たちの血糖値は飲食しても一定に保たれているのです。一方、糖尿病ではインスリンの分泌量が減少したり、インスリンのはたらきが弱くなったりするため、血糖値が高い状態が続くようになります。この状態が長期間に及ぶと全身の血管に障害が起こるようになり、重症化すると失明・腎不全・足の切断などQOL(生活の質)を大きく低減させるような合併症や心筋梗塞や脳梗塞などの病気を引き起こすことがあります。日本では1,000万人ほどが糖尿病に罹患していると推定されており、注意すべき病気のひとつです。しかし、昨今の糖尿病の負の面を強調した情報が社会における糖尿病に対する偏見を助長してしまった面は否めません。誤った情報により糖尿病に対する負のイメージが定着してしまったことから、周囲に病気のことを話せない、幼稚園や保育園の入園を断られる、生活に必要なサービスが受けられないといった事例も報告されています。このような、社会の糖尿病に対するスティグマ(負の烙印)に多くの患者がストレスを感じています。この現状を受けて日本糖尿病学会と日本糖尿病協会は、糖尿病をもつ人が病気を隠したりせずに安心して生活を送れる社会の実現を目指す活動(アドボカシー活動)を始めました。アドボカシー活動では、一般の人に向けて糖尿病に関する正しい知識を広めるために、新聞へ意見広告を掲載するなど偏見や差別をなくすための活動を行っています。糖尿病は、治療の継続により良好な血糖コントロールができていれば普通の人と変わらない健康な生活を送ることができます。糖尿病の治療には周囲の病気や治療への正しい理解やサポートが得られる環境づくりも大切です。糖尿病の原因は、血糖値を降下させる作用のある“インスリン”と呼ばれるホルモンの分泌量が低下したり、はたらきが悪くなったりすることです。インスリンの分泌量やはたらきに異常が生じる原因としてもっとも多いのは、高脂肪・高カロリー・食物繊維不足などの食生活や、運動不足、ストレス、睡眠不足、喫煙習慣などの生活習慣の乱れが挙げられます。このような生活習慣の乱れによる糖尿病を“2型糖尿病”と呼び、全ての糖尿病患者の9割以上を占めるとされています。一方、糖尿病の中には免疫のはたらきの異常により、インスリンを産生する膵臓の細胞が破壊されることで発症するタイプのものもあります。このようなタイプの糖尿病は“1型糖尿病”と呼ばれ、生活習慣の乱れなどは発症に関与しないものの、明確な発症メカニズムは解明されていません。そのほか、妊娠をきっかけに発症する糖尿病、膵炎・膵がんなど膵臓の病気で発症する糖尿病などもあります。糖尿病の根本的な病態は“慢性的に高血糖が続く”ことです。そのため、中には糖尿病を発症すると、喉の渇き、尿量の増加、倦怠感、体重減少などが現れるケースもありますが、多くは自覚症状がないとされています。一方、血糖値が高い状態が続くと、血液中に多量に存在するブドウ糖が血管を傷つけることが分かっています。その結果、目や腎臓、神経などにも十分な血液が流れにくくなることで網膜症、腎不全、末梢神経障害などいわゆる“三大合併症”を引き起こすことも多々あります。そして最終的には、失明、人工透析、足の切断など、日常生活に極めて大きな支障をきたす状態に陥る可能性も生じます。また、心筋梗塞や脳卒中などの病気の発症リスクも高くなります。そのほかにも糖尿病を発症すると免疫力が低下していくため、風邪をはじめとした感染症にかかりやすくなり、高齢者では肺炎や尿路感染症などが重症化して命に関わる状態に陥るケースも少なくありません。血液検査では血糖値や過去1~2か月の血糖値の状態を反映するHbA1c値を調べるほか、インスリンの分泌能力などを評価することも可能です。また、1型糖尿病が疑われる場合は、GAD抗体などの“抗体”と呼ばれるたんぱく質の有無を調べる検査も行われます。経口ブドウ糖負荷試験では、早朝の空腹時に一定量の糖分が含まれた飲料を摂取し、摂取前後の血糖値の変化を調べる検査です。糖尿病を発症すると空腹時の血糖値が高くなったり、摂取後の血糖値の下がりが悪くなったりするといった特徴的な結果が見られるため、糖尿病の確定診断に用いられる検査のひとつとなっています。糖尿病が疑われるときや糖尿病と診断された場合は、網膜の状態を調べる眼底検査、腎機能検査、腱反射、動脈硬化の程度を調べる検査などが必要に応じて行われます。糖尿病と診断された場合は次のような治療が行われます。
生活習慣の乱れが発症に大きく関与している2型糖尿病では、第一に原因となる食生活や運動習慣の乱れを正す生活指導が行われます。発見された時点で早急な治療を要する重症な場合を除き、1~2か月ほど生活改善を行ったうえで薬物療法など次のステップの治療に進むか否かを判断するのが一般的です。生活改善などを行っても血糖値が十分に下がらない場合は、血糖値を下げる薬による薬物療法が行われます。血糖値を下げる薬にはいくつかの種類の飲み薬や注射薬(GLP-1受容体作動薬)があり、自身に合うタイプや量を決めていきます。薬物療法の効果が十分にない2型糖尿病、インスリンの分泌量が大幅に低下している1型糖尿病、胎児への影響により血糖値を下げる薬を使用できない妊娠糖尿病では、人工的にインスリンを補う“インスリン治療”が行われます。インスリンの投与は“自己注射”によって行われ、治療のほかにも厳密な食事管理なども必要です。上でも述べたとおり糖尿病にはいくつかのタイプがあり、免疫の異常による1型糖尿病を予防する方法は現時点ではないとされています。一方、生活習慣が関わる2型糖尿病や妊娠糖尿病は問題となる生活を改善することで発症や悪化をある程度予防することが可能です。規則正しい食生活、運動を心がけ、ストレスや喫煙習慣など生活上の習慣に注意するようにしましょう。
漢方と鍼灸
美味しい物が好きな方が多いですね。遺伝性もありますがなかなか食養生がうまくいきません。口渇が激しい、頻尿、体重減少、免疫低下による感染症になりやすい、神経障害に痛みや神経痛、血流障害による循環器疾患、眼科疾患など多岐に及ぶので気を付けていきたいですね。食事は朝多目、夕は軽めが基本。アルカリ性食品、根菜類、種子類、海産物をバランスよく食べましょう。膵臓、糖尿病の反応穴、症状が出ている箇所から最適な漢方、食養生やサプリ、ツボを選択し治療していきます。
【症例】HbA1c8.3 漢方と食養生を6か月、5.9まで改善 手の痺れも消失
【症例】HbA1c7.8 漢方と食養生を3か月、6.2まで改善 後頭部の痛み消失
【症例】HbA1c8.0 漢方と食養生を3か月、6.0まで改善 血圧も下がる
【症例】HbA1c7.5 漢方と食養生を5か月、5.9まで改善 眼圧も下がる
※症例多数
網膜色素変性症
網膜色素変性とは、目の中の網膜に異常が起こる遺伝性の病気です。厚生労働省により難病に指定されており、国内での発症頻度は4,000〜8,000人に1人程度と報告されています。網膜は目の内側に位置し、目に入る光を電気信号に変えて脳に伝える役割があります。目に入った光は角膜や水晶体、硝子体を通って網膜に到達し、視細胞によって電気信号に変換され、視神経を通じて脳へと伝わります。この一連の流れにより、私たちは初めて光を感じることができます。視細胞は、大きく2つに分けられ、視野の広さや暗いところでの見え方に関わる杆体細胞と、色覚や視力に関わる錐体細胞があります。網膜色素変性では、発症早期には杆体細胞が障害され暗いところで物が見えにくくなったり、見える範囲が狭くなったりします。病状が進行すると、錐体細胞が障害され視力の低下や色覚異常が現れます。網膜色素変性には遺伝性が疑われるケースがあります。一方で、家系内に患者がいない孤発型も多く見受けられます。いずれにしても、ほとんどのケースは遺伝子に何らかの異常があることで発症すると考えられています。網膜色素変性の一般的な症状として、暗いところで物が見えにくい“夜盲”、視野が狭くなる“視野狭窄”、視力低下が挙げられます。発症初期には、杆体細胞の障害に伴い夜盲の症状が生じるケースが多くみられます。続いて視野狭窄によって見える範囲が狭くなるなどの症状が現れ、さらに病状が進行して錐体細胞が障害されると、視力の低下や色覚異常の症状がみられます。しかし、進行の程度には個人差があるため、発症初期から視力が低下するケースや、数年から数十年かけて進行するケース、生涯において生活に必要な視機能が保たれるケースもあります。遺伝性の疾患は、基本的にひとつの病気に対してひとつの遺伝子異常が原因となります。一方、網膜色素変性は多数の種類の遺伝子が原因となって同じ「網膜色素変性」という病気を生み出すため、進行程度もまちまちであり、原因の特定も困難であれば経過の予測も容易ではありません。また遺伝性疾患の場合、遺伝子治療は必ず検討される方法ですが、網膜色素変性の場合は原因遺伝子がたくさんあるため、遺伝子治療のアプローチがしづらいという難点があります。網膜は光を電気に変える働きを持ちます。光が網膜に当たってから電気信号になるまでに、たくさんの蛋白質が絡んできます。関与する蛋白質が多いほど、勿論そこに関わる遺伝子も多くなります。どの遺伝子が異常を起こしても網膜色素変性を発症するため、たくさんの遺伝子が原因になりうるのだと考えられています。人によって網膜色素変性の進行速度は全く異なり、進行が速い場合は、物心ついたときから見えづらい方もいます。一方、徐々に進行し、60代くらいになってから顕著に見え方が悪くなり、年齢を考えて白内障を疑い、検査してみたら網膜色素変性であったというケースもあります。これだけ進行速度の差が出る理由はよくわかっていません。同じ遺伝子の異常でも進行速度が異なる場合がありますが、同じ遺伝子なのに何が影響しているのかも現在、原因は不明です。とはいえ、基本的に網膜色素変性は緩やかに進行する疾患であり、突然目が見えなくなるようなことはありません。根治治療を急ぐよりは、進行スピードを少しでも緩めるような治療が望まれます。網膜色素変性の初期症状は夜盲や羞明、視野狭窄です。杆体細胞が障害されるため、夜盲が初発症状であることが多いといわれています。その後、病状が進行すると視力低下や色覚異常が生じます。羞明とは夜盲(やもう:暗いところで目が見えづらい)の真逆の状態であり、「眩しくないと感じるレベルが狭まる」のが特徴です。網膜色素変性の患者さんは夜盲となる暗さの程度が通常の方よりも低い(通常の方が暗いと感じないレベルでも暗く、見えづらい)のですが、これに羞明の症状を伴うと、暗いところでは見えず、明るいところでも眩しくて見えないということになります。網膜色素変性の患者さんは白内障や緑内障を合併しやすいことが知られています。しかし、白内障の合併が多い理由はよくわかっていません。白内障を合併した場合、白内障手術を受けていただくことがあります。ただし、網膜色素変性の合併症としての白内障手術は、網膜色素変性に伴う白内障手術をしっかりとやっている施設で受けることをおすすめしています。そういった施設は網膜色素変性の合併症対策も経験豊富だからです。
診断では、眼底検査や視野検査、網膜電図検査、蛍光眼底検査、眼底自発蛍光検査などが行われます。眼底検査は網膜や視神経の状態を調べる検査です。瞳孔を散大させる点眼薬を投与した後、眼底カメラなどの機器を使って眼底の状態を撮影します。視野検査は、物が見える範囲を調べるための検査です。片目ずつ正面の固視点を見た状態で、見える範囲に光指標があるかどうかを確認します。網膜電図検査は、網膜色素変性では、発症初期から電気信号が微弱になるため、網膜が正常にはたらいているかどうかを検査します。角膜に電極を乗せ、目に光を当てたときに網膜からの電気信号を確認します。蛍光眼底検査では、網膜の萎縮の程度などを評価する検査です。造影剤を腕から点滴で投与しながら眼底カメラで撮影します。眼底自発蛍光検査は、専用の撮影装置を使い、造影剤を投与せずに網膜の状態を調べる検査です。白内障の合併により視力の低下が悪化している場合は、手術で濁った水晶体を取り除いて眼内レンズを挿入しますが、網膜色素変性に対する根本的な治療方法は確立されていません。しかし、治療法の開発に向けて遺伝子治療や人工網膜、網膜移植などの研究が世界中で進められており、今後の実用化が期待されています。中でも遺伝子治療は、原因遺伝子の機能を補う新しい治療法です。薬剤を目に直接注射することで、暗いところで見えにくいなどの症状の改善が期待できます。このほか、現在はそれぞれの患者の症状に応じて現在残されている視機能を生かし、社会生活を送りやすくするための“ロービジョンケア”が中心に行われます。ロービジョンケアの主な取り組みとしては、遮光眼鏡で眩しさを和らげたり、ルーペを使って文字を読みやすくしたりといったことなどが挙げられます。
漢方と鍼灸
水晶体、網膜の異常細胞に働きかける漢方、食養生やサプリ、ツボを選択し少しでも進行を遅らせる方向でやっていきます。
再生不良性貧血
再生不良性貧血とは、造血幹細胞と呼ばれる血液細胞の減少により、白血球、赤血球、血小板といった血液成分が減少する病気です。白血球の減少による感染症、赤血球の減少による貧血症状、血小板の減少によるあざや出血など、さまざまな症状がみられます。再生不良性貧血には先天性と後天性があり、ほとんどが後天性です。また、その中でも原因不明の“特発性再生不良性貧血”が90%を占めるといわれています。先天性の再生不良性貧血はファンコニ貧血と呼ばれることもあります。国の指定難病の1つで、年間100万人あたり約8人が再生不良性貧血と診断されています。男女比は同じくらいで、どちらも10~20歳代と70~80歳代で頻度が高くなります。再生不良性貧血は、造血幹細胞が障害され、減少することによって起こります。造血幹細胞とは赤血球、好中球、血小板といった血液細胞の元となる細胞のことで、通常は骨髄中にあり、これらの血液細胞を補給し続けています。造血幹細胞が障害される原因はいくつかあり、生まれつきの染色体の異常によって起こる場合があります(ファンコニ貧血)。後天性の場合は薬剤・薬物、放射線などが原因になることがありますが(二次性再生不良性貧血)、多くは原因不明です(特発性再生不良性貧血)。特発性再生不良性貧血の多くは、免疫細胞が自分自身の細胞を攻撃する自己免疫的な異常によって起こるのではないかと考えられています。再生不良性貧血では赤血球、好中球、血小板が減少することによって、さまざまな症状が現れます。赤血球減少による症状では赤血球による酸素運搬が障害されるため、全身のさまざまな臓器で酸素が欠乏します。脳の酸素欠乏によるめまい、頭痛、筋肉の酸素欠乏による倦怠感、疲れ、心臓の酸素不足による胸の痛みが現れることがあります。また酸素不足を解消するために、息切れや動悸などがみられることもあります。好中球とは、白血球のうち細菌を殺す役割を持つ細胞です。好中球が減ることで細菌感染症にかかりやすくなり、感染による発熱がみられたり、肺炎や敗血症といった重い細菌感染症にかかりやすくなったりします。血小板は出血を止めるはたらきがあり、血小板が少なくなることで出血傾向がみられるようになります。出血しやすくなると、皮膚の点状出血、紫斑(青あざ)、鼻出血、歯肉出血がみられるようになり、さらに症状が進むと眼底・脳出血、血尿、下血などがみられることもあります。血液検査によって赤血球、好中球、血小板が減少する汎血球減少と呼ばれる症状がみられた場合に、再生不良性貧血が疑われます。確定診断として行われる検査には骨髄検査があります。また、再生不良性貧血と同様に汎血球減少がみられる病気との鑑別のために、骨髄の染色体検査や脊椎MRI検査などが行われることもあります。再生不良性貧血の治療は、重症度に応じて免疫抑制療法、造血幹細胞移植、タンパク同化ステロイド療法、トロンボポエチン受容体作動薬、支持療法といった治療が行われます。軽症で汎血球減少が進行していなければ治療をせずに様子を見ることもあります。造血幹細胞を攻撃しているリンパ球のはたらきを抑えて血液細胞をつくる機能を回復させる治療法です。抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとシクロスポリンと呼ばれる治療薬があります。造血幹細胞移植とは、健康な人の造血幹細胞を点滴投与して、患者の造血力を再生する治療です。一方で、移植は体への負担が大きいため、重症の場合やほかの治療法による効果がない場合に行われます。通常、HLA(ヒト白血球抗原)と呼ばれる白血球の型が合うドナーが家族内や骨髄バンクにいることが条件となります。タンパク同化ステロイド療法は、赤血球を増やすはたらきや造血幹細胞の増殖を促す効果があるともいわれています。トロンボポエチン受容体作動薬は、造血幹細胞に作用し、造血力を回復させる治療です。支持療法とは、病気の症状を改善する治療のことです。貧血や血小板減少に対する輸血や、白血球を増やすホルモン(G-CSF)の使用、感染症に対する抗菌薬治療などがあります。
漢方と鍼灸
免疫の狂いから造血幹細胞が減少することから骨髄の反応穴、脾の反応穴、各症状部位から最適な漢方、食養生やサプリ、ツボを選択し改善していきます。補血の漢方を中心に組み立てます。
打撲・骨折と予後神経痛
皮膚やその下の軟部組織(筋、脂肪、血管など)が損傷をうけるため、筋肉組織のあいだに出血や炎症がおこります。「打ち身」と呼称されることもあります。打撲したときの内出血がひどい場合、患部周辺の血管や神経が圧迫されて、しびれを感じることがあります。神経が損傷すると痺れが残る場合があります。強い痛み、しびれ、腫れなどの症状がどんどん悪化していく場合は、打撲ではなく、骨折している恐れがあります。骨折を見逃すと、治療が遅れ、治癒に時間がかかってしまうことがありますので注意しましょう。痛みが続いているのに放置していると、骨挫傷(強い衝撃により、骨内側に傷が生じている状態)を見逃してしまうことがあります。それにより、痛みが長期間続く場合があります。打撲によって筋肉が損傷を受けて、内出血や腫れが重症化すると、血管が圧迫されて血行障害が起こります。すると、筋肉が壊死する、神経障害が生じるなどの症状があらわれる「コンパートメント症候群」を併発する場合があります。首や背中を強打した場合、打撲による衝撃で首や背中にある神経を損傷することがあります。その状態を治療しないまま放置すると、手足の麻痺、しびれ、呼吸障害等の症状が残ってしまう恐れがあります。
打撲したところには、皮膚の変色が現れます。これは内出血がおきているためです。最初は青紫色であることが多いですが、時間が経つにつれて茶色、黄色、緑色などに変化していきます。打撲は体のどこにでも起こる可能性があり、受傷したときの対処法も部位によって違います。特に頭や目といったところに衝撃をうけると、より重症な症状になる可能性もあるため注意が必要です。打撲は以下のような状況で起こりやすいといえます。転倒したとき、ものにぶつかったとき、スポーツをおこなうとき、けんかやふざけ合いのとき、暴力をうけたときなどが挙げられます。スポーツを行うときには、転んだり、地面に体を打ち付けたり、ほかの選手とぶつかったり、ボールなど競技で使用する用具が体にぶつかることがあります。また、子どものふざけ合いや、けんかなどのときには顔面に衝撃をうけやすいといえます。こうした場面でなんらかの衝撃をうけると、打撲が起こることがあります。
目の打撲、目の痛み、目がかすむ、見えにくい、視力の低下、目からの出血、液体の流出などが挙げられます。目に打撲を負った場合には、眼球自体に損傷を受けている可能性が高まります。危険な状態になりやすいため、専門医のもとで診察をうけることが望ましいです。直接ではないものの、目の周りに衝撃を受けた場合も注意が必要です。目の周りには眼窩とよばれる骨の部分があります。この部分が衝撃を受けると、その奥の眼神経管という薄い骨が骨折するケースがあります。眼神経管が骨折すると、その破片で目の神経が傷つき、視力に影響をおよぼすこともあります。またあたまの打撲(頭部打撲)、あたまの痛み(頭痛)意識障害、記憶がはっきりしない(健忘・記憶障害)、めまいやふらつき、麻痺・しびれ、脳震盪(頭への衝撃で脳内に小さな出血やむくみなどをおこした状態)、頭蓋内出血、頭の打撲では、致命的な事態につながってしまうケースもあるため注意が必要です。1分以上、意識が戻らないときには重度の衝撃を受けたと捉えられます。いったん意識が戻っても、十分に回復していないことがあります。明らかな意識障害があるときには専門医の診察を受けましょう。また、頭部に衝撃を受けたときには脳震盪をおこすことがあります。一度だけの場合には症状を残さずに回復することが一般的ですが、何度もくりかえす認知障害などがあらわれると、回復しにくくなります。症状だけから脳の損傷の度合いを推測することはむずかしいので、症状が強く、長引き、いつもと違うと感じる場合には病院への受診が望ましいです。目の打撲は、腫れや、軽い痛みといった症状であれば、冷却パックなどで冷やします。ただし、目を圧迫しすぎないように注意が必要です。また充血や出血がある、ものがふたつに見える、飛蚊症(ものを見ているときに黒い虫のようなものや、薄い雲のようなものが見える症状)があらわれる、視力の低下がみられるなどがあります。特に眼球破裂(眼球から血液や液体の滲出がみられるとき)には、目を圧迫しないようにしながらすぐに眼科専門医のもとを受診してください。頭を打っても、症状がすぐに回復するときはそのまま経過をみることもあります。一方で、以下のような症状があるときには重症だと考えられます。意識障害が治らない、悪化するとき、手足に麻痺がみられるとき、ことばを流暢に話せないとき、けいれんがあるとき、何度も繰り返す吐き気や嘔吐があるとき、瞳の大きさが左右で違う(瞳孔不同)、呼吸障害などの症状があるとき、症状の確認をおこなうときには、決してすぐには立たせずに寝かせた状態でチェックします。受傷直後は症状がみられなくても、しばらくして悪化することもあるので、様子をみているあいだにこのような症状みられたら、すぐに救急搬送する必要があります。
漢方と鍼灸
上記のような危険な症状がないことを確認したら、腫れと痛み、しびれ、内出血の状態を早く改善できます。患部から最適な漢方、食養生やサプリ、ツボを選択し改善へと促します。
残った神経痛にも対応できます。
むち打ち(外傷性頚部症候群)
外傷性頸部症候群とは、交通事故や転倒などをきっかけとして生じる症候群を指します。肩こりや首の痛みなどが生じ、いわゆる「むち打ち」として認識されます。発症した場合には、2~4週間安静にし、その後は通常通りに生活します。痛みに対して鎮痛薬が用いられることもあります。必要に応じて運動療法や心理療法なども行われます。交通事故や転倒などの際に、首に踏ん張ろうとする力がかかり、突発的に大きな力が加わることがあります。このような場合に、首周囲に存在する組織に傷が加わることで、外傷性頸部症候群が発症すると考えられています。また、外傷によって脳での痛みの感じ方や、姿勢や眼球の調節状況などが変化することも、発症に関与していると考えられています。外傷直後から症状が生じることもありますが、数時間から数日の間をおいてから症状が明らかになることもあります。具体的には、首の痛みや肩の痛み、頭痛など、首を中心としてその周囲に痛みが生じます。痛みのために首の運動が制限されることもあります。痛み以外にもめまいや手のしびれ、吐き気、手足の脱力などが出現することもあります。その他にも、耳の聴こえの低下や耳鳴り、気分の変調や不安、抑うつ気分、疲労感、集中力の低下、睡眠障害などを生じることもあります。基本的には自然治癒が期待できますが、慢性化することもあります。また、心的外傷後ストレス障害(Post Traumatic Stress Disorder:PTSD)の発症につながることもあります。外傷性頸部症候群では、問診にて、首や肩の痛みなどの症状や、交通事故に遭遇した、首を強打した、といった発症時の状況を確認します。また、首に対するレントゲン検査やCT検査、MRI検査といった画像検査を行います。こうした画像検査により、骨折や脱臼、ヘルニアなどが生じていないかどうかを確認することで、診断を確定します。首の固定などを行い、2~4週間安静にします。痛みに対しては鎮痛薬の使用も検討します。運動療法や心理療法などを行うこともあります。外傷性頸部症候群は、基本的には自然治癒が期待できる疾患です。安静にする期間が長すぎると、逆に症状が遷延することも懸念されるため、一定期間が過ぎた後は、通常通りの生活に戻ることが大切であると考えられています。
漢方と鍼灸
後遺症が残らないようにしておくことが大事です。まず痛みを早くとることが大切です。頚椎の異常箇所と症状から最適な漢方、食養生やサプリ、ツボを選択し改善して行きます。
悪性関節リウマチ
関節リウマチは自分自身の体に免疫反応が起こることにより、関節の内面を覆っている滑膜に炎症が起こる自己免疫疾患です。滑膜に炎症が起こると、滑膜が増殖して周囲の軟骨や骨を溶かし関節に長期間にわたって炎症が起こるため、結果として関節が破壊され関節の変形、脱臼、癒合など体の機能に障害が現れることがあります。日本では人口の0.5〜1%がかかる比較的頻度の高い全身性免疫疾患で、男女比は1:3〜4であり女性の患者が多い病気です。関節リウマチでは、本来細菌やウイルスなどから自分を守るはずの免疫機能が、何らかの異常により自分の体の一部である関節に対してはたらき、痛みや炎症を引き起こすと考えられています。発症にいたる詳しい原因は明らかになっていませんが、遺伝的要因と環境的要因が組み合わさって発症するものと考えられています。近年の研究では、関節リウマチの発症に遺伝的要因が10〜15%関与していると考えられています。遺伝的要因としては、リウマチになりやすい遺伝子が100種類程度あると考えられており、その代表例として白血球の遺伝子であるHLA-DRB1などが挙げられます。一方、環境的要因として確実視されているのは喫煙です。また、可能性のある要因として、歯周病、腸内細菌の乱れ、慢性の呼吸器感染症など免疫系が活性化される要因が挙げられています。関節リウマチの主な症状は、関節のこわばりや関節の痛み・腫れです。関節のこわばりとは、関節が思ったように動かないことを指し、更年期の人やほかの病気の人でもみられることがありますが、関節リウマチでは通常1時間以上と長時間続くことが特徴です。痛みは全身のどの関節の部位にも生じる可能性があります。特に手首や手指の関節に起こることが多く、ほとんどの場合、1つの関節にとどまりません。関節の炎症が長期間続くと関節の軟骨・骨が少しずつ破壊され、関節の変形や脱臼、関節が硬くこわばる強直、関節の曲げ伸ばしが難しくなる拘縮を引き起こし、日常生活に大きな支障をきたします。また、炎症が強ければ発熱、全身倦怠感、体重減少、食欲不振といった全身症状を伴うこともあるほか、間質性肺炎や血管炎などを合併するケースもあります。特に間質性肺炎はレントゲンで7〜10%、CT検査で20〜30%みられる頻度の高い合併症です。関節リウマチの血液検査では、自己抗体の様子と炎症反応の様子を調べます。自己抗体ではリウマトイド因子や抗CCP抗体の検査が行われます。保険診療の場合、先にリウマトイド因子を調べ、これが陰性の場合でも関節リウマチが疑わしい場合に抗CCP抗体の検査を行うことが一般的です。一方、炎症反応では赤血球沈降速度(赤沈CRP〈C反応性たんぱく〉)の検査が行われます。しかし、血液検査が陽性でも必ず関節リウマチというわけではありません。特にリウマトイド因子は健康な方でも陽性になることが多いため、注意が必要です。また、リウマトイド因子や抗CCP抗体が陰性の関節リウマチもあります。症状や経過から総合的に診断する必要があります。画像検査は単純レントゲンを中心に行われ、追加で関節超音波検査やMRI検査が行われることがあります。単純レントゲン検査では手足を撮影し、骨の表面がかけた状態である骨びらんの有無や軟骨が障害された場合に起きる骨と骨との隙間が小さくなる状態がないかどうかを確かめます。関節超音波が行える医療機関では、関節の腫れや炎症を確認するために関節超音波検査が行われることもあります。また、より詳しく調べる必要がある場合に、MRI検査によって滑膜の腫れや骨びらんを確認します。関節リウマチの治療の原則は基礎療法・薬物療法・リハビリテーション・手術療法です。治療の選択は、病気の重症度・合併症・日常生活の不自由さなどを総合的に判断して行います。関節リウマチの関節の破壊は、発症して2年以内に急速に進行することが分かっています。一度破壊された軟骨・骨・関節は元に戻すことができないので、早期診断・早期治療が重要になります。基礎療法は関節リウマチという病気を理解し、適度な運動と安静、食生活など規則正しい生活を送ることです。そのほか、喫煙や歯周病が関節リウマチの活動性に関与していると考えられているため、禁煙などの指導が行われることもあります。薬物療法は治療の中心的存在であり、リウマチによる関節の炎症や破壊を抑え、寛解を目指す目的で行われます。治療薬としてはまず抗リウマチ薬が検討され、薬の効果が不十分な場合に生物学的製剤やJAK(ジャック)阻害薬の使用が検討されます。第一選択薬は抗リウマチ薬のメトトレキサートですが、間質性肺炎を合併している人などには使用できないため、その場合には別の抗リウマチ薬が処方されたり、抗リウマチ薬を使用せずに生物学的製剤やJAK阻害薬が処方されたりすることもあります。生物学的製剤とは生物が産生するたんぱく質などの物質を改良して作られた比較的新しい薬のことです。現在、関節リウマチの治療薬として使用できる生物学的製剤は8剤あります。また、JAK阻害薬とは炎症に関わるヤヌスキナーゼ(JAK)という酵素のはたらきを阻害することで関節リウマチの炎症を抑える治療薬です。現在、関節リウマチの治療薬として使用できるものは5種類あります。また、関節の痛みを和らげる目的で非ステロイド性抗炎症薬による補助療法が行われることもあります。関節の機能(関節の動く範囲と筋力)を保つためのリハビリテーションも有用です。関節の変形や保護、日常動作の助けのために頸椎カラーや足底版などの装具を使用することもあります。また、薬物療法やリハビリテーションによる治療を行っても、変形等による関節の障害が残ってしまう場合、手術療法が選択されることもあります。具体的には、人工関節置換術、滑膜切除術、関節固定術、腱断裂・手指・足趾の手術、頸椎の固定術などが行われます。
漢方と鍼灸
本治は慢性炎症を止めるために免疫の亢進を緩めていきます。標治は各症状に対して行います。まず痛みを緩和することです。ステロイドや痛み止めの長期連用は胃にも体にも負担がかかります。関節ばかりに目が向けられますが免疫の異常を引き起こした原因にも注意を図るべきです。冷え症、お血、睡眠など発症する直前の身体の状況について考えて改善することも大切ですね。自己免疫の反応穴、関節の反応、脊髄の異常箇所、副腎、上咽頭などから最適な漢方、食養生やサプリ、ツを選択し改善していきます。
変形性膝関節症
変形性膝関節症とは、体重や加齢などの影響から膝の軟骨がすり減り、膝に強い痛みを生じるようになる病気です。女性に発生することが多く、加齢、肥満、外傷なども変形性膝関節症の発症に関与していると考えられています。
【変形性膝関節症の分類と症状】
・初期:歩き始めや椅子から立ち上がるとき、または階段の上り下りで痛みを感じる。
・中期:膝の曲げ伸ばしや立ち上がり、歩行時に常に痛みを感じる。膝に水がたまる、腫れるなどの症状が現れる場合がある。
・進行期:膝を動かす度に強い痛みが生じる。立ち上がることができなくなる、正座ができなくなる。
膝は体重負担が大きくかかる部位であり、変形性膝関節症の発症を防ぐためには体重を増やしすぎないようにコントロールすることが重要です。体重60kgの方でも、歩行時は瞬間的に体重の3倍の180kgもの圧力が膝にかかるといわれています。さらに、膝周囲の筋力をしっかりと保持することも、膝への負担を軽減させるためには有効だと考えられています。また、病状が進行すると歩行が困難になることもあり、そのような場合には手術が検討されます。膝関節とは、太ももにあたる大腿骨と脛にあたる脛骨の継ぎ目にある関節で、歩くときに重要な役割を果たします。膝の前方には膝のお皿と呼ばれる膝蓋骨しつがいこつがあり、これら3つの骨から成り立っています。これらの骨同士が互いに直接接触すると、大きな摩擦が生じ骨の摩耗につながってしまいます。膝関節内の骨の表面を覆う軟骨は、この摩擦を防ぎ、スムーズな関節の動きを実現しています。さらに、大腿骨と脛骨の関節面の間には半月板があり、主にクッションの役割を果たします。この半月板は、アワビの刺身のような硬さで、コラーゲン繊維からできています。膝を曲げ伸ばしすると半月板が動き、そのおかげでスムーズに膝を曲げることできます。加齢や肥満、若いころの膝への外傷などが原因となります。日本人はO脚の人が多く、膝の内側に負担がかかります。日本人のO脚は、世界のなかでもかなり独特であるといわれています。脚のすねにあたる脛骨は、ヨーロッパやアメリカなど海外の方は真っすぐであることがほとんどなのですが、日本人は膝から下で曲がっていることが多く、そこには日本人の生活習慣や食生活が関係していると私は考えています。まず、日本人は、畳や床の生活によりふとんの上げ下ろしや、あぐらをかいたり正座をしたりなど膝を大きく曲げることが多く、膝に負担がかかった結果、この病気になりやすいという背景があります。また、これはまだ推測の域を出ませんが、水にも注目しています。日本は島国ということもあり、水道水は主に軟水です。軟水は、カルシウムやマグネシウムの量が少ないといわれています。日頃から軟水を飲んで生活しているために、日本人の骨は軟らかく曲がりやすく、O脚になりやすいのではと思います。半月板も徐々に質が変化して、少しのストレスで切れてしまうこともあります。半月板が切れるとその位置がずれてクッションの役目を果たさなくなり、軟骨が減ってゆく原因ともなります。変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減ることにより慢性炎症や変形が生じ、膝に痛みが現れる病気です。膝の痛みは、加齢や体重によって徐々に進行します。膝関節には体重がかかるので、過度な体重増加は軟骨損傷を進行させる大きな危険因子といえます。膝の軟骨や半月板そのものには感覚神経はないのですが、関節包や滑膜など、主に神経が集中しているところから痛みが発生します。症状としては、膝を動かしたときに生じる膝の痛みがあります。特に、歩行時の最初の数歩や椅子から立ち上がるときに痛むことが多いです。変形性膝関節症の方には、ラテラルスラストという現象が起こることがあります。これは、体重がかかったときに瞬間的に膝がガクッと外側に動く現象をいいます。膝を包んでいる関節包には神経が集まっているので、ラテラルスラストにより関節包が繰り返し引っ張られた結果、さらに痛みが出るという状態になります。病気が進行すると痛みは強くなる傾向にあります。痛みが生じることで自然と関節の可動域も狭くなり、結果、日常生活に大きな影響を及ぼすようになります。変形性膝関節症では炎症反応が生じ、膝に水がたまる(関節水腫)こともあります。通常、人は立ち上がると膝のお皿と呼ばれる膝蓋骨の形がみえますが、関節水腫になると、たまった水のせいで膝のお皿が見えなくなります。また、関節水腫は膝の曲げ伸ばしにも影響します。変形性膝関節症では、病気に関連した膝の痛みなどの症状や、膝のO脚所見、滑膜の炎症反応である関節水腫がみられるかなどを確認します。まずはレントゲン写真で判断します。その後、必要に応じてMRIといった画像検査を行うこともあります。最新の画像検査を行うことによって、軟骨や半月板、靱帯などの損傷具合や骨の変形具合などをより詳細に評価できるようになります。変形性膝関節症で発症した軟骨や半月板の損傷は、2020年現在の医療技術をもってしても完全には元に戻せません。そのため、治療は大きく以下3つのアプローチになります。痛みに対しての対症療法(痛み止めの内服、ヒアルロン酸の関節内注入など)、残された膝関節の機能を最大限活用させるための手術、人工関節に置き換える手術があります。対症療法としては、筋力保持のためのトレーニングやリハビリテーション、適切な装具を利用するといったアプローチも重要です。また外科的な治療法には、主に3つの手術があります。膝に与える影響が小さいものから順番に並べると、以下のようになります。
関節鏡とは、膝の周囲に小さな傷をつけて内視鏡を膝に入れ、膝の内部をきれいにする手術です。これは、膝の内部の掃除と半月板の修復を目的としています。
膝周囲骨切り術は、膝の上または下で骨の形を矯正することで膝の一部に偏ったストレスを改善しようとするものです。変形性膝関節症はO脚があることで症状が増悪しやすいので、骨を矯正することで膝周囲の骨の荷重を調整します。
人工関節に置き換える手術は、合併症や置換後の日常生活やスポーツ活動などへの制限も生じることがあるため、病気がかなり進行している人に対して実施されます。膝関節はなくなってしまう手術であるため、実施には十分な検討が必要でしょう。
漢方と鍼灸
関節包や滑膜の炎症や関節に溜まった水腫を取ることがまず大事ですね。軟骨の再生は難しいと言われていますが、相性のいいものは完全に戻らないですが痛みも取れ、歩けるようになる可能性があります。また靱帯の弾力強化にエラスチンペプチドがあります。日々膝周りの筋力をつけることも大事です。女性は閉経してから女性ホルモン減少により骨粗しょう症や骨の変形が顕著になってきます。そのケアも大切です。悪くなった膝関節から最適な漢方、食養生やサプリ、ツボを選択し治療していきます。
【症例】56歳 階段を降りるとき痛みがでるご相談。漢方をお出しして1か月、痛みが減ってきて3か月後痛くなくなったそうです。
【症例】70歳 長時間歩くと膝が痛くてつらいというご相談。漢方を飲み始めて1週間。痛みが大分軽減。継続中。
【症例】83歳 膝に水が溜まって抜くけれどまた溜まってしまう。漢方を3種類飲んでもらう。水は溜まらなくなり痛みも軽減し喜ばれる。
※症例多数
四十肩・五十肩・六十肩(肩関節周囲炎)
五十肩とは、肩関節の運動障害と痛みが現れることです。ちなみに、五十肩という名前で呼ばれるようになったことのルーツは江戸時代の中期にあります。その頃から巷では「人生五十にして肩など痛くなるものなり」と言われており、加齢と共に肩に起こる変化を「五十肩」と言っていたようです。ただし、現在の整形外科医は基本的に五十肩という呼びかたはせず、医学的には”肩関節周囲炎”と呼びます。五十肩は、50歳代を中心とする40〜60歳代に多くみられ、特別な原因がなく発症するとされています。主な症状は片側の肩のみに痛みや運動障害がなどで、ときに日常生活に支障が生じるほどの強い痛みが現れることがあります。多くの場合は運動療法や薬物療法などの保存療法によって改善することができます。自然に治ることもありますが、進行すると肩関節の動きが悪くなる肩関節拘縮や凍結肩といわれる状態になることがあります。五十肩の明らかな原因は分かっていませんが、加齢に伴い骨・軟骨・靱帯・腱など関節の組織に炎症が起こることによって生じると考えられています。そのほか、運動不足や寒さによって血液の循環が悪くなると、五十肩が発症しやすくなると考えられています。五十肩の症状は、五十肩の進行に応じて急性期、慢性期、回復期の症状に分かれます。五十肩が発症してから約2週間までを急性期といいます。急性期では、運動時だけでなく、安静時や夜間でも肩に痛みが現れます。このとき、肩の痛みを気にしてあまり動かさないようにすると、肩の動く範囲が徐々に狭くなる原因になります。急性期を経て慢性期には、肩の痛みは徐々に軽減します。しかし、この時期はまだ肩の動く範囲が狭いままで、この状態は約6か月続くといいます。慢性期が約半年ほど経過すると、回復期に入ります。回復期に入ると、関節の痛みや動きが徐々に軽快していきます。自然治癒の場合、この3つの段階を経て回復するまでには、通常約1年前後かかるといわれています。しかし、半数の患者は、痛みや可動範囲が制限されることが平均して7年も続くといった報告もあります。五十肩の診断では、問診のほか、X線検査やMRI、超音波検査といった画像検査を実施します。これらの検査によって、ほかの病気の可能性がないことを確認したうえで最終的に診断します。五十肩の治療には、保存療法と手術があります。保存療法は関節の痛みを和らげ、可動範囲を広げることを目的に行われます。薬物療法・運動療法・理学療法が一般的で、薬物療法では消炎鎮痛剤やテープ状の外用薬などが検討されることが一般的ですが、痛みが強い場合にはステロイド剤と局所麻酔剤を混ぜた薬、高分子ヒアルロン酸ナトリウムなどの注射が検討されることもあります。また運動療法や理学療法では、痛みを和らげるための生活習慣を指導するほか、可動範囲を広げられるようリハビリテーションなどが検討されます。これらによって改善しない場合は、手術が検討されることもあります。肩の血液の循環をよくするために、肩を温め、適度に動かすことが大切です。具体的には、入浴時などに肩をしっかり温めることを心がけるほか、肩掛けを使うなどして日常的に肩を冷やさないよう工夫しましょう。また、腕を振ってウォーキングをしたり、ストレッチを行ったりすることも効果的です。ただし、すでに痛みが強く生じている場合は無理に動かさず、病院の受診を検討しましょう。
漢方と鍼灸
痛みの部分から波長をとって経絡に落とし込んで最適な漢方、食養生やサプリ、ツボを選択し治療していきます。
【症例】48歳 左側の腕があがりにくくなり来院。肝経のツボに置鍼をし、その後患部に一本さして終了。大分上がるようになりました。5回の治療で終了。
【症例】40歳 右腕をあげると痛みが出て本来のところまで上がらないという相談。小腸経のつぼに置鍼しながら腕をあげていくと少しずつ上がり始め、その後ロックする箇所に一本打って終了。4回で治療終了。
【症例】55歳 腕があがりにくい相談。漢方と鍼灸を希望。2週間で治療終了。
痛風・高尿酸血症
痛風
痛風とは、血液中に溶けきれなくなった尿酸が結晶化し、関節などの組織に炎症を引き起こす病気のことです。結晶化した尿酸が関節にたまって炎症が起こると、急激な痛みや腫れを伴う痛風発作を引き起こします。足の親指の付け根が赤く腫れて痛くなることが多く、風が吹いただけで痛みが生じるほど激烈な痛みを生じます。痛風発作は足の親指の付け根だけでなく、足・膝・手などのさまざまな関節にも生じます。また、痛みや腫れの症状以外にも、関節や耳にこぶのようなものができる痛風結節、腎臓のはたらきが悪くなる痛風腎や尿管結石を起こすこともあります。痛風は、血液中の尿酸の濃度が高い状態が続く高尿酸血症に起因する病気です。尿酸は、プリン体(プリン環の構造を持つものの総称。核酸の代謝によってつくられるもの)が分解されることでできる物質です。プリン体を多く含む食べ物を取り過ぎたり、代謝経路のどこかに異常ができたりすると、体内のプリン体は少しずつたまっていきます。尿酸は、腎臓や腸管から排出されます。血液中の尿酸値は、体内でつくられた量と排泄された量のバランスによって決まります。血液中の尿酸値が上昇(7.0以上)すると、高尿酸血症が現れます。痛風発作の痛みは耐え難いほどの激痛で、日常生活が困難になる人もいるほどです。通常、24時間以内に痛みのピークを迎えますが、強い痛みが数日間続き、7~10日間で症状は治まります。さらに、高尿酸血症を放置しておくと、手足の関節や耳たぶの皮膚の下にも尿酸塩の結晶が沈着してこぶのようになります。これを痛風結節といいます。痛風結節は、痛風発作と違い痛みが生じることはありません。しかし、進行すると関節が変形したり、骨の破壊が起こったりして日常生活に影響が出ます。痛風の検査では、はじめに痛風関節炎(痛風で生じる関節の炎症)や痛風結節の有無が診察で確認されます。また、血液検査や尿検査を行うことで、血清尿酸値や尿中尿酸排泄量といった数値も調べるのが一般的です。診断が困難なケースでは、関節滑液中の尿酸塩結晶を調べることがあります。また、骨の状態を確認するためにX線撮影による検査が行われることもあります。尿酸結晶の沈着状態を超音波検査や特殊なCT検査(dual energy CT)で調べることもあります。治療では、高尿酸血症の改善が重要です。痛風発作の急激な痛みに対しては、消炎鎮痛薬を使って速やかに痛みを和らげます。痛風発作が治まったら、血中の尿酸値を下げるために尿酸降下薬の服用を開始します。薬物療法のほかに大切なのが、生活習慣の改善です。尿酸値が高い高尿酸血症の状態が続くと、痛風発作を繰り返す原因となります。尿酸を増やさないためには、尿酸の元となるプリン体が多く含まれる食品(肉や魚の内臓など)やアルコールを控えるとよいでしょう。肥満の解消も尿酸の低下につながります。
高尿酸血症
高尿酸血症とは、血液中の尿酸値が通常よりも高い状態のことです。尿酸*が過剰になると、体内で析出して結晶を作り、痛風と呼ばれる病気を発症することがあります。尿酸の結晶は足の親指の付け根に形成されることが多く、激烈な痛みや発赤、腫れなどの痛風関節炎(痛風発作)を引き起こします。そのほか、腎臓にも結晶を作ることもあり、腎臓結石の原因にもなります。高尿酸血症は、アルコールや肉を多く摂取する、といった生活習慣と密接に関連していると考えられています。こうした生活スタイルは、高血圧や脂質異常症、糖尿病、肥満などとも関連しており、動脈硬化を進行させないという観点からも治療を行う必要があります。日本人の原因としてもっとも多いタイプです。尿酸を腎臓から十分に排出できないために高尿酸血症を生じます。腎疾患により腎臓の機能が低下していたり、尿酸の排出に関与する利尿薬などの薬剤を使用していたりする場合には、尿酸の排出が低下するために血中の尿酸値が上昇しやすくなります。肥満のひとつである内臓脂肪型肥満ではインスリン抵抗性を介して腎臓からの尿酸排泄が低下するため血清尿酸値が上昇しやすくなります。内臓脂肪型肥満では尿酸の産生も高まるといわれています。乳酸が体内に過剰に存在すると尿酸の排出を阻害することが知られています。アルコールを摂取すると肝臓でのプリン代謝が増進されますが、乳酸はその過程において産生されます。アルコールは尿酸を増加させ、排出も低下させるため、過剰摂取には注意が必要です。尿酸が通常よりも過剰に産生されることで高尿酸血症を生じます。溶血性貧血、白血病、リンパ腫といった血液系の病気や乾癬などの炎症性疾患が原因となります。これらの病気では核酸の代謝が活発となり、老廃物としての尿酸を大量に産生する傾向があります。尿酸のもととなるプリン体を大量に摂取することも、高尿酸血症の原因になりえます。プリン体は、ビールやレバー類などに多く含まれています。したがって、こうしたものを多く摂取する生活習慣スタイルは高尿酸血症の原因となりえます。最近の研究では、遺伝的要因として尿酸の排出に関わるABCG2遺伝子の変異が発症リスクを上昇させることも報告されています。ABCG2の機能が低下すると腸管からの尿酸の排泄が低下するため血清尿酸値が上昇しやすくなります。高尿酸血症そのもので症状が生じることはありません。しかし、高尿酸血症に関連して、痛風や腎臓・尿管結石を発症すると症状を自覚するようになります。痛風関節炎は足の親指の付け根など小さい関節に生じることが多く、激烈な痛みや発赤、熱感、腫脹といった炎症反応をみることがあります。そのほか、くるぶし、膝、アキレス腱などにも起こります。通常は数日で治まりますが、背景に存在する高尿酸血症に対して適切な治療が行われないまま放置されると、何度も発作を繰り返すことがあります。さらに関節の変形や運動制限などにつながることもあります。また、痛風結節と呼ばれる、黄色っぽく固いできものをみることもあります。好発部位は指、手、アキレス腱周囲などですが、腎臓など内臓に形成されることもあります。通常、痛みなどはありませんが、関節の変形につながったりすることもあります。高尿酸血症では、腎臓に結石を作ることもあります。この場合は、背部痛の原因となることもありますし、腎障害が進行することもあります。さらに、高血圧や脂質異常症、肥満、糖尿病などの生活習慣病を合併することもまれではありません。高尿酸血症の診断は、血液検査で尿酸の値が高いことからなされます。一般的には尿酸値が7.0mg/dlを超えると高尿酸血症と診断されます。痛風では尿酸の結晶が形成されていることを確認するために、関節穿刺(関節内に注射針を刺し、関節液の一部を採取すること)や関節超音波検査、特殊なCT検査(dual energy CT)などを行うことがあります。腎臓・尿管結石の確認のために、尿検査や超音波検査、CTなどといった画像検査が行われることもあります。また、痛風に類似した症状をきたす病気との鑑別を行うために、血液検査や画像検査などが併用されることもあります。感染性関節炎や偽痛風、関節リウマチ、骨折など、多くの病気において痛風関節炎に類似した痛みをきたす可能性があります。高尿酸血症の治療は、大きく生活習慣の改善と薬物療法の2つに分けることができます。痛風関節炎に対しては非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)が使われます。プリン体を多く含む食品(動物の内臓など)やアルコールの摂取を控えることが重要です。また、肥満を併発していることも多いため減量を行うことも求められます。高血圧や糖尿病、脂質異常症などの動脈硬化のリスク因子があれば、それらに対しての治療も必要です。尿酸が産生されにくくする薬や体外への排泄を促す薬などの尿酸降下薬を使用することになります。尿酸降下薬の開始時には痛風発作が生じることもあります。その場合においては、NSAIDsが併用されます。予防には、尿酸のもとなるプリン体の摂取を減らすことが大切です。プリン体を多く含む食品にはビール、レバー、肉、魚などが挙げられます。また、アルコールは尿酸値を上昇させるため、アルコール自体の摂取を控えることも有効です。
漢方と鍼灸
プリン体を多く食べても痛風にならない人もいます。またお酒を沢山飲まない人でも尿酸値が高い人がいます。なぜでしょう。肝臓の代謝が落ちていると考えられます。肝臓の代謝が落ちる理由は、アルコールだけでなくストレスや偏食、目の使い過ぎなども関係してきます。次に腎臓の排泄能力の低下、消化能力の低下による腸からの排出低下が考えられます。これらは血液検査であまりひっかかりません。疲れている状態ですので元気にしてあげましょう。また食べ過ぎ、飲みすぎは、やはりいけませんので食事も見直しましょう。痛みや結節の場所、肝臓、脾、胃、腎臓などから最適な漢方、食養生やサプリ、ツボを選択し治療していきます。
【症例】40歳 尿酸値7.8でご相談。脾が弱っていたので1か月飲んで頂きました。結果6.9まで下がり終了。
【症例】56歳 尿酸値8.5でご相談。肝臓の代謝と腎臓の排泄能力が低下していたので2種類の漢方をお出しして2か月で7.0まで下がり継続中。
【症例】55歳 尿酸値8.0でご相談。肝臓の代謝と膵臓の代謝が落ちていて3種類の漢方を4か月飲んで頂き6.8まで改善
※症例多数
ぎっくり腰(急性腰痛)
急性腰痛症は、腰痛が発症してから4週間以内のものを指します。一般に“ぎっくり腰”と呼ばれている状態はこれに含まれ、重いものを持ち上げたときや腰をひねったりしたときなどに突然生じます。痛みの原因は、主に腰の関節やその周りの筋膜や靱帯にあると考えられていますが、原因がはっきりとしないこともあります。安静にしていると自然に治ることも多く、必要に応じて鎮痛薬などの薬物療法や、痛みを和らげるための神経ブロック療法などが行われます。急性腰痛症の中には、骨折や感染症、腫瘍などほかの病気が原因となっていることもあり、この場合はそれぞれに対応した治療が必要となります。厚生労働省による自覚症状の調査(平成28年度)によれば、腰痛は男性で1位、女性で2位と高く、日本人にとってもっとも一般的な症状であるといえます。急性腰痛症の予防のためには日常生活から姿勢に気を付け、腰回りの筋肉を鍛えることが大切です。急性腰痛症の痛みの原因はさまざまで、原因がはっきりしない場合もあります。老化、姿勢の悪さ、無理な力がかかることなどによる腰の関節のずれ、椎間板という腰の軟骨の損傷、腰を支える筋肉や腱、靱帯の損傷などが原因として多いと考えられています。そのほか、特別な病気として椎間板ヘルニア、脊椎分離症、すべり症、腰部脊柱管狭窄症などが原因となっていることもあります。また、ときに圧迫骨折やがんによる背骨の病的骨折、感染症による背骨や椎間板の化膿などが原因となって腰痛を引き起こす場合があるため、自己判断せず専門家の診断を受けることが重要です。腰に強い痛みが生じ、腰を前後に曲げることが難しくなります。症状が重い場合は痛みで動けなくなることがあります。臀部や下肢に放散するような痛みやしびれを伴う場合もあります。安静にしていると痛みは和らぎますが、過度な運動制限は筋力低下を招き腰痛を悪化させる可能性があるため注意が必要です。症状は、重いものを持とうとしたときだけでなく、起き上がろうとしたときや咳・くしゃみをしたときなどに生じる可能性もあります。痛みは1日以上続き、1か月以内に治まる場合を急性腰痛症と呼びます。いわゆる“ぎっくり腰”とは異なり、感染症や腫瘍などが原因となっている場合は発熱や腰以外の痛みなど、ほかの症状が出る場合があります。腰痛にはさまざまな原因があり、また原因によって治療法が異なるため、必要な検査を行い正確に診断することが重要です。診断で重要となるのは問診・身体診察と画像診断です。診断では、まず問診と身体検査によって、痛みの範囲、悪性度、慢性化の可能性、進行性かどうかなどを注意深く評価し、腫瘍や感染症、骨折などの重要な病気が隠れている可能性を慎重に検討します。必要に応じて、腰椎(背骨のうち腰の部分にある骨)の状態を調べるために、画像診断も行われます。もっとも多く行われるのはX線検査(レントゲン検査)です。より詳しい情報を得るために、MRI検査やCT検査が行われることもあります。また、ほかの原因が隠れていないか探すために、血液検査、尿検査、骨密度検査、筋電図検査、骨シンチグラフィー検査、PET検査などが行われる場合もあります。急性腰痛症は安静にしていると数日から数週間で自然に治ることもあります。治療としては、薬物療法、神経ブロック療法、装具療法などがあります。腰痛の背景に骨折や腫瘍、感染症など特別な病気が関わっている場合には、それぞれに対応した治療を行うことが重要となります。腰の痛みや炎症に対しては通常、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)が処方されます。痛みによる筋肉の緊張や精神的な緊張を和らげる目的で筋弛緩薬や抗不安薬を使用することもあります。神経症状がある場合は、神経障害性疼痛薬を用いることが多いです。また、心因性の腰痛が疑われる場合は、抗うつ剤などの薬剤が用いられることもあります。脊髄(背骨の中を通る神経の束)を囲む硬膜という膜と骨の間の空間に局所麻酔薬を注射し、一部の神経を遮断(ブロック)することで痛みを軽減する方法です。痛みを感じる神経のブロックと、運動神経や交感神経の遮断で筋肉が緩み血行がよくなる効果によって腰痛が緩和されることが期待できます。コルセットなどを用いて痛みの出ている部分を安静に保つことで、痛みの軽減や早期の回復を目指す方法です。急性腰痛では、安静を続けるよりも無理のない範囲で日常生活を維持したほうが早く回復するという報告もあり、どの程度運動を制限すべきかについては医師との相談が必要となります。急性腰痛症を予防するには、普段から腰に無理な負担がかからないよう姿勢に注意するとともに、腰回りの筋肉を鍛えることが大切です。また、日頃から腰の筋肉のバランスを整えることは腰痛の再発予防にもつながります。精神的な落ち込みは腰痛を悪化させ、急性腰痛から慢性腰痛へと移行するリスクを高めることが分かっています。
漢方と鍼灸
まず痛みを和らげることが大切です。鍼灸では痛いところに針を打つと悪化することが多いので手や足、腹部、頭部で痛みをとることもできます。漢方でも早く痛みをとるものがありますのでご紹介いたします。患部から痛みの波長を取って最適な漢方、食養生やサプリ、ツボを選択して治療していきます。漢方と鍼灸の組み合わせもできます。
【症例】50歳 急にぎっくり腰になり歩けなくなる。ご家族に連れられて来院。鍼灸治療をして帰る頃には大分楽になり次の日には仕事に行けたそうです。3回通院で終了。
【症例】68歳 重たいものを持ってから腰が痛くてつらい。病院の痛み止めが効かないと言って来院。1回の治療で楽になり2回で終了。
【症例】71歳 年末31日に電話で往診に来て欲しいと言われ、元旦に病院にお見舞いに行きました。痛み止めが効かないらしい。当然治療はできないので手を握ってツボを刺激して40分。すると楽になったからまた来てと頼まれ2日3日と通い、その後電話をもらい、あれから腰の痛みが楽になりリハビリができるようになりすぐ退院が出来ましたと感謝されました。
※症例多数