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肥大型心筋症

 肥大型心筋症とは、高血圧や弁膜症など心臓に負担をかけるような原因や全身性疾患などがないにもかかわらず、心筋(心臓の筋肉)が肥大(通常のサイズよりも大きくなること)する病気のことです。この病気は心筋が均一に肥大しないのが特徴であり、肥大した部位によって症状や重症度は大きく異なります。全身に血液を送り出すはたらきを担う左心室の血液の流れの障害となるような心筋肥大を生じるものは“閉塞性肥大型心筋症”と呼ばれ、左心室の血液の流れを障害しない心筋肥大が生じるものは“非閉塞性肥大型心筋症”に分類されます。肥大型心筋症は発症したとしても多くは自覚症状がないとされています。しかし、中には心機能の低下や左心室内の血流障害不整脈などの症状を引き起こす場合もあり、これらは突然死の原因になることも知られています。何らかの症状があるときは心筋肥大による血流障害を改善する薬物、不整脈の出現を抑制する薬物などを用いた薬物療法がまず行われます。薬物治療で制御できない場合には、肥大した心筋をカテーテルで焼灼、手術で切除したりする治療が必要です。肥大型心筋症は遺伝が関与していると考えられています。具体的には、心筋の細胞の中にある一種のタンパク質を作る遺伝子の変異が主な原因とされています。この遺伝子の変異は“常染色体性顕性遺伝”の形式で遺伝していくことが分かっています。しかし、肥大型心筋症の約半数は家族内にこの病気を発症している方がおらず、遺伝の関与は否定的など、はっきりした原因が分からないのが現状です。肥大型心筋症を発症したとしても、多くの場合は自覚症状がないとされています。しかし、この病気は心筋が不均一に肥大化する病気であり、全身に血液を送り出すはたらきを担う左心室の心筋が肥大化して硬くなると、心臓から送り出される血液が減少したり、肺からの血液が心臓に戻りにくくなったりすることでさまざまな症状が現れるようになります。具体的には、胸の痛み、動悸、息苦しさなどの症状、脳への血流が低下することによる立ちくらみ、失神などが挙げられます。また、肥大型心筋症では不整脈や弁膜症を引き起こすこともあり、特に不整脈は突然死の原因になることもあるため注意が必要です。

漢方と鍼灸

 血栓を溶かす漢方、心臓の機能を上げる漢方、不整脈を良くする漢方などを肥大箇所から経絡に落とし込んで漢方食養生ツボを選択します。少しでも症状が軽くなるようにもっていきます。

心臓弁膜症

 心臓弁膜症とは、4つに分かれた心臓の部屋を区切る役割を持つ“弁”に異常が生じて正常に機能しなくなる病気のことです。心臓には左心室・左心房・右心室・右心房の4つの部屋があり、左心室は大動脈につながって全身に血流を送る役割を持ちます。また、右心房は全身を巡った血液が戻ってくる部屋であり、右心房に流れ込んだ血液は、右心室を経て肺動脈に送り出され、左心房に戻って左心室を経てから大動脈に流れていきます。このように、順序よくスムーズに血液が流れて正常に拍動するよう、心臓には4つの“弁”が存在します。それぞれ、右心房と右心室を隔てる“三尖弁”、右心室と肺動脈を隔てる“肺動脈弁”、左心房と左心室を隔てる“僧帽弁”、左心室と大動脈を隔てる“大動脈弁”です。これらの弁は、血液が流れるときのみに開いて、流れ終わると血液の逆流を防ぐために閉じる仕組みになっています。しかし、加齢などが原因となって弁の機能が低下すると自在に開閉ができなくなり、心臓弁膜症を発症するのです。心臓弁膜症を発症すると心臓に過度な負担がかかりやすくなるため、心臓の機能は徐々に低下していき、全身にさまざまな症状を引き起こすようになります。心臓弁膜症は、心臓内に存在する弁の機能が低下することによって引き起こされる病気です。本来、弁は柔軟性のあるしなやかな組織で形成されていますが、加齢や感染症胸のけが心筋梗塞などによって弁の組織に変性が生じると、弁が十分に開かなくなったり、逆に弁が閉じなくなったりすることがあります。その結果、弁の機能は低下し、血液が通りにくくなったり、逆流したりといった心臓弁膜症に特徴的な症状が引き起こされると考えられています。また、生まれつきの心臓の奇形として心臓弁膜症を発症することも少なくありません。心臓弁膜症は、どの弁にどのような異常が生じるかによって現れる症状は大きく異なります。一般的に、弁が狭くなって血液が通りにくくなる状態を“狭窄症”、弁が閉じなくなって血液の逆流が生じる状態を“閉鎖不全症”と呼びます。心臓弁膜症は異常が生じる弁や状態の変化によって大動脈弁狭窄症・僧帽弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症・僧帽弁閉鎖不全症などいくつかの病気に分類されます。いずれも発症初期の頃は自覚症状がほとんどありません。しかし、弁の異常を放置したまま時間が経過すると心臓に過剰な負担が加わり続けるため、心臓の機能が徐々に低下して“心不全”の状態を引き起こすことになります。その結果、むくみ、息切れ、動悸、呼吸苦などさまざまな症状が生じます。また、心臓への過度な負担が続くことによって心房細動などの不整脈を合併することも少なくありません。そのほか、心臓弁膜症を発症すると心臓内では血液の逆流が起こるようになり、血液中に侵入して心臓に至った細菌が心臓内で繁殖して感染性心内膜炎を発症しやすくなることが知られています。また、細菌が弁に付着して増殖すると弁が破壊され、急激に重度な心不全を引き起こし、死に至ることも多々あります。心臓弁膜症の主な原因は加齢です。そのため、現在のところ心臓弁膜症の明確な予防法は確立していません。ですが、動脈硬化やそれに伴う心筋梗塞なども発症原因の1つです。したがって、食生活や運動習慣など日常生活を整えて動脈硬化の原因となる高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を改善していくことも1つの予防方法といえます。

漢方と鍼灸

 心臓や異常な弁から経絡に落とし込んで漢方食養生ツボを選択します。加齢が原因のことが多いので免疫力低下による菌の発生からの弁の損傷、筋力・腱の低下と思われます。
歯周病、腸内環境など有害な菌の発生を抑えていく予防策が大事です。

心房細動・心房粗動

 心房細動とは、本来は一定のリズムの電気活動で動く心房が、無秩序に電気活動をしてけいれんしている状態を指します。そのため、規則的な脈ではなく、不規則な脈となってしまいます。心房細動を発症すると、動悸やめまいなどの症状を自覚することがありますが、似た名前を持つ心室細動のように突然死のリスクと直結することはほとんどありません。しかし、心房細動を発症すると脳梗塞を引き起こす危険性が高くなります。心房細動に関連した脳梗塞は、心原性脳梗塞と呼ばれるタイプのものであり、脳梗塞のなかでも、脳の広い範囲に障害を引き起こす可能性のある危険な脳梗塞です。そのため、心房細動の治療では、不規則な脈をコントロールするという点以上に、脳梗塞発症を予防するという点が重要になります。心臓には、大きく分けて心房と心室の2種類の部屋があります。心房と心室は、それぞれさらに右と左に分けることができ、全体でみると左心房、左心室、右心房、右心室、の計4つの部屋に分かれています。心臓はこれら4つの部屋が規則正しい電気活動を介して適切に活動をすることから、全身や肺に血液を送るポンプとしての機能を果たすことができます。規則正しい電気活動は右心房に存在する洞房結節と呼ばれる部位から発生しており、心房から心室へと一方通行で電気が伝わっています。健康な人の脈拍数はおよそ1分間に60〜100回とされており、これは洞房結節が1回興奮することで、それに対応して心室が1回収縮することを示しています。心房細動を発症すると、洞房結節以外に心房内などで電気興奮が起こります。そのため、洞房結節を起源とする電気活動が機能せず、心房全体でバラバラに電気活動を起こします。心房で生じたバラバラな電気活動がランダムに心室に伝わることで、心室の脈拍も不規則になります。心房細動そのものは比較的よくみられる不整脈ですが、心房細動を引き起こす病気は多岐に渡ります。加齢に関連した弁膜症虚血性心疾患などの病気により発症することがあり、高血圧や生活習慣との関わりも指摘されています。若年の人であっても、たとえば甲状腺機能亢進症ストレスを抱えている人などでは発症する可能性が出てきます。

 心房細動と似たような病名に心房粗動があります。両者とも心房の運動が活発になっている状態ですが、両者には明確な違いがあります。心房細動では心房と心室が不規則に活動していますが、心房粗動では規則的に活動をします。つまり心房粗動では、心房と心室の収縮回数は3対1や4対1といったように一定であり、正常よりも早い心拍数でありながらも心室は規則的な脈を示します。両者の治療方法は類似していますが、脳梗塞の発生リスクや動悸などの症状は心房細動でより多くみられる傾向にあります。

 脈拍を整える抗不整脈薬を内服する目的は、心房細動を止めて正常な脈に戻すこと心房細動は止めずに速い脈を遅くすること、という2つに分かれます。前者の目的のためには、心臓の細胞の興奮を抑制するタイプの薬剤が用いられます。後者の目的のためには、交感神経(自律神経の1つで興奮時にはたらく神経)のはたらきを抑制するβ遮断薬や、心房と心室の電気伝導を抑制するカルシウム拮抗薬がよく用いられます。心筋細胞の興奮を抑える薬剤であるため、副作用として心臓の機能が低下し心不全を起こすこともあり、そのほかには細胞の興奮が不安定となり重症な不整脈を起こす可能性があります。適切な服薬指導や薬剤の適切な見直しが重要です。また心房細動のもっとも大きな合併症の1つである脳梗塞を予防するため、血液をサラサラにする抗凝固薬を内服します。高齢の患者や高血圧症・糖尿病などの基礎疾患を持っている患者では脳梗塞を引き起こすリスクが高いとされており、その場合には内服の適応となるでしょう。副作用として出血をしやすくなることがあるため、適切な服薬指導も重要です。

漢方と鍼灸

 脳梗塞にならないように血栓を溶かす漢方、心臓の不規則な運動を整える漢方が必要です(標治)。関連疾患が原因の場合、そちらの改善も必要です(本治)。脳血流のツボ、心臓のツボなどから経絡に落とし込んで漢方食養生ツボを選択していきます。

心筋梗塞

 心筋梗塞とは、心筋(心臓を構成する筋肉)に血流を送る“冠動脈”が閉塞することによって血流が途絶えることで、心筋が酸素不足の状態に陥る病気のことです。発症すると冷や汗や吐き気などを伴う強い胸の痛みや圧迫感が生じ、やがて心筋の細胞が壊死えしして死に至る可能性も少なくありません。また、冠動脈が閉塞する部位によっては広範囲な心筋の酸素不足が生じることで突然死に至るケースもあります。心筋梗塞の原因は冠動脈の動脈硬化であり、狭くなった血管に血栓(血液の固まり)が詰まることで完全な閉塞が生じると考えられています。突然発症する場合も多いですが、一般的には動脈硬化によって心筋への血流が低下することで、運動後など心筋が必要とする酸素が増えるときにのみ酸素不足の状態となって胸の痛みなどを引き起こす“狭心症”から進行することが多いとされています。動脈硬化とは、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病や喫煙習慣によって引き起こされる血管の変性であり、血管の内側の壁が傷ついてそこにコレステロールなどが沈着することで血管が硬く狭くなります。その動脈硬化が破綻(破裂)することにより血栓ができて、急激な血流低下から血管の閉塞を生じます。このため、心筋梗塞は好ましくない生活習慣の積み重ねによって生じると考えられています。心筋梗塞は、突然の胸の痛みや圧迫感を生じることが特徴です。痛みの程度は非常に強く、冷や汗や吐き気・嘔吐を伴うことも少なくありません。また、痛みは胸の一部分だけでなく、左肩、左腕、顎、歯、背中、上腹部など広い範囲に響くように放散します。なかには胸以外の部位にのみ痛みを感じることもあり、発見が遅れるケースも見られます。腹部痛で発症する心筋梗塞も多くみられ、見逃されるケースも多くみられます。また、まれですが、無症状もしくは極めて軽症の症状の人もいます。症状が軽いから軽症とは限りません。このような症状は長時間続き、酸素不足に陥った心筋が徐々に壊死し、心臓のポンプ機能は低下していきます。そして、全身への血流が滞ることでむくみや呼吸困難、意識消失などの症状を引き起こし、心室細動などの不整脈や心臓破裂を引き起こして最終的には死に至ることもあります。心筋梗塞の三大合併症は心不全、不整脈、心臓破裂です。

漢方と鍼灸

 怖い病気ですね。まずコレステロールが沈着しないように予防することが大事。また血管の中が傷がつかないよう活性酸素の発生を抑えるために食事、ストレス、飲酒、たばこなどの生活を見直しましょう。血栓を溶かす漢方、活性酸素を除去する漢方、血管を広げる漢方、詰まりを通す漢方など異常箇所から経絡に落とし込んで漢方食養生ツボを選択していきます。

動脈瘤

 動脈瘤とは、動脈(心臓から全身に血液を送る血管)の一部の壁が薄くなり、薄くなったところがこぶのように膨らんだ状態です。こぶの壁は薄いため、圧が掛かると破裂して血液が漏れ出し、それ以降の臓器に送られる血液が少なくなります。全身のどの血管にもできる可能性がありますが、脳・心臓などの重要な臓器や大動脈にできた動脈瘤が破れた場合には、大出血を引き起こし、死に至る危険性が高くなるため注意が必要です。動脈瘤の形成には、血管が固くなる動脈硬化やけが、血管炎(血管の炎症)で血管が傷つくことなどが関係していると考えられています。また、遺伝的に血管が弱いことも関与している場合があります。血圧が高いと血管の壁に掛かる力が大きくなります。血管が脆くなると、高い圧力に対応することができなくなり、徐々に血管が広がり、やがて動脈瘤が形成されるようになるのです。そのため、動脈瘤は血管の枝分かれ部分や物理的に力が掛かる部位にできやすいといわれています。動脈瘤だからといって必ず症状があるわけではなく、何も症状が現れないことも少なくありません。しかし、動脈瘤のできる位置や大きさによっては、さまざまな症状が現れることもあります。脳の血管にできる脳動脈瘤は目を動かす神経(動眼神経)の近くにできるため、大きくなると神経を圧迫するようになります。その影響で眼球の動きが制限されるため目の位置がずれ、物が二つに見えたり、まぶたが垂れて瞳が大きく開いたままになったりする場合もあります。また、脳動脈瘤が破裂して出血した場合にはくも膜下出血となり、頭痛・意識障害などを引き起こします。しかし、脳動脈瘤であれば必ず症状があるわけではなく、無症状のこともあります。胸部や腹部の大動脈という太い血管に大動脈瘤ができると、鈍い痛みを感じる場合もありますが、無症状のことも少なくありません。破裂すると強い痛みと共に大量の血液が体内に噴き出し、それ以降の血流がなくなるため、ショック状態になって意識を失い、死に至ることもあります。また、目の奥にある網膜に網膜細動脈瘤ができて破裂すると、眼球内部のスペースに血液が舞い飛ぶため、目の前を虫が飛んでいるように見えること(飛蚊症)があります。心臓の血管にできる冠動脈瘤は、川崎病など血管の炎症が起こった後、血管の壁が弱くなってできる場合が少なくありません。そのため、川崎病にかかった場合には、心臓のエコー検査や冠動脈造影(血管にカテーテルという管を入れ、管から造影剤を噴射して血管の内腔の形を見る検査)、CTやMRIを行って動脈瘤がないか検査します。網膜の動脈瘤は、人間ドックなどの眼底写真で見つかる場合もあり、眼科で眼底検査を受けて偶然発見される場合もあります。糖尿病を発症していると毛細血管瘤ができやすいため、症状がなくても定期的に眼底検査を行います。破裂して硝子体出血となり、手術で血液を取り除いて初めて見つかる場合もあります。

漢方と鍼灸

 止血作用、血管壁を丈夫にする、血液の粘度の改善、圧力の低下がポイントです。各疾患で異常血管の波長から経絡に落とし込んで漢方食養生ツボを選択します。

血栓性静脈炎

 血栓性静脈炎とは、血栓(血の塊)が原因となって静脈とその周囲の組織、皮膚に炎症を引き起こす病気のことです。皮膚の表層を走行する静脈に生じるものは、患部の痛みや発赤、腫れなどが見られるものの、数日で血栓が消退し大きな後遺症が残ることは基本的にありません。しかし、大腿静脈などの太い深部静脈につながる静脈に生じた場合には、血栓が心臓や肺へ移動する場合があります。このような血栓性静脈炎を特に上行性血栓性静脈炎と呼び、深部静脈血栓症や肺塞栓症などの重篤な病気に移行する可能性があるため、緊急的な治療が必要となるケースも少なくありません。血栓性静脈炎は主に下腿に発症します。炎症が重症化すると、発赤や腫れなどの症状だけでなく、皮膚に難治性の潰瘍を形成することもあります。血栓性静脈炎は、静脈内に血栓が形成されることが原因で発症します。血栓が形成される原因としては、血管自体にダメージが加わる病気(バージャー病、ベーチェット病など)血液が固まりやすい状態にある場合(がんや腎炎、肝疾患患者、妊婦、経口避妊薬服用中の方など)、長期間の静脈カテーテル留置、外傷などが挙げられます。
 また、下肢静脈瘤の患者さんは血栓性静脈炎を合併することが多々あり、静脈瘤が発症に関与している可能性も示唆されます。一般的な血栓性静脈炎では、血栓によって静脈が詰まった部位周辺に限局して痛みや発赤、腫れなどの症状が現れます。痛みは症状の程度によって異なり、押すと痛みが増すのが特徴です。多くは10日前後で自然とよくなりますが、病変部位の静脈が硬くなって皮膚の上からでもコリコリとしこりのように触れることがあります。このような変化を生じた静脈は血栓性静脈炎を再発しやすく、炎症を繰り返すことで皮膚に潰瘍を形成することも少なくありません。また、通常では血栓性静脈炎は大きな合併症を起こすことはありません。しかし、深部の静脈につながる部位に血栓が形成された場合は、血栓が深部静脈や心臓・肺などの体の中心部へ向けて血流に乗って移動することがあります。このような血栓性静脈炎を上行性血栓性静脈炎と呼びますが、大腿静脈や腸骨静脈での深部静脈血栓症や肺塞栓症を併発することがあり、場合によっては呼吸困難などを引き起こし、命にかかわることもあります。

漢方と鍼灸

 血栓を溶かす漢方、炎症を抑える漢方を中心に使います。血栓部位から波長をとって経絡に落とし込んで漢方食養生ツボを選択します。

下肢静脈瘤

 下肢静脈瘤とは、脚の表面近くを通っている静脈がこぶのようにボコボコと盛り上がる、あるいはクモの巣状または網目状に浮き上がる病気です。静脈弁自体に問題がある場合のほか、深部静脈血栓症などの病気が原因となり発症することもあります。また、妊娠が原因になるケースもあります。基本的に自然に治ることはなく、時間の経過と共にゆっくりと進行します。脚の静脈血が心臓に戻る際には、血液の逆流を防止する静脈弁が重要な役割を果たします。しかし、静脈弁の機能が低下し逆流する血液が多くなると、血液が脚の下のほうにたまり血管が拡張します。このように拡張した血管が表面に太く浮き出たり、こぶのように盛り上がったりする状態が下肢静脈瘤です。静脈弁自体に問題がある場合のほか、深部静脈血栓症や妊娠、骨盤内腫瘍など静脈以外に原因があり静脈瘤ができる場合もあります。症状としては血管がこぶのように盛り上がる、血管が浮き出る、重くだるいような疲労感、ほてり感、痛み、むくみ(浮腫)、足がつる(こむら返り)、かゆみ、湿疹、皮膚炎、色素沈着、潰瘍があります。こぶのように浮き上がった見た目に精神的苦痛を感じる方もいます。しかし、下肢静脈瘤そのものによる痛みを感じることは少ないといわれています。ドプラー血流系は血管に超音波を当てて、血液の流速の変化を音としてあらわすことで、血管内で逆流が起きているかどうかを調べる検査で探触子(プローブ)という器具を皮膚の上から当てて検査を行います。また超音波を利用して血液の流れをカラー画像で表示するもので、血液の逆流が視覚的に分かります。ドプラー血流計と同様に探触子を皮膚の上から当てて検査をします。血管の内径や、血流の流速を測定することもでき、ほとんどの下肢静脈瘤の診断はこの検査のみで可能です。

漢方と鍼灸

 盛り上がっている血管、機能低下した静脈弁からの波長を経絡に落とし込んで漢方食養生ツボを選択していきます。血管を柔らかく、血流をよくし、血液の質の改善、筋肉をつけて心臓に戻りやすくすることが早道ですし全身の血流が良くなります。血管は道路のようなもので一か所渋滞すると別の場所で渋滞が起こります。木をみて森をみよ  竹踏みや早歩きは足の裏の刺激で血管を柔らかくするNOという物質が出ます。同時に骨にも刺激がいくので骨も丈夫になります。自転車ばかりでは刺激が少ないですね。

動脈硬化症

 動脈硬化とは、動脈の血管が硬くなって弾力性が失われた状態のことを意味します。動脈は心臓から送り出される血液を全身に運ぶ役目を担うため、本来は弾力性があってしなやかな組織でできています。しかし、加齢による組織の変化や高血圧、糖尿病、脂質異常症などの病気によって血管の内膜(内側の壁)にダメージが加わり続けることで新しい細胞が作られなくなると、動脈は弾力性を失って硬くなっていくのです。また、ダメージを受けた動脈の内膜にはコレステロールなどが沈着しやすくなり、血管を細くして狭心症を引き起こすことが知られています。さらに、内膜に沈着した塊が剥がれると血管を詰まらせて、心筋梗塞や脳梗塞など命に関わる病気を引き起こすことも少なくありません。一方で、動脈硬化が進行して血管が脆もろくなると、血圧が上がったときなどに破けて脳出血を起こすリスクも高くなります。動脈硬化は高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満などのリスクが重なるほど発症率が高くなることが分かっています。10歳代から徐々に進行していくことも分かっており、発症を予防するためには生活習慣の改善と生活習慣病の適切な治療継続が必要です。動脈硬化の発症メカニズムは明確に解明されていない部分も多いのが現状です。しかし、動脈硬化は加齢による動脈組織の変化、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満などによって血管の内膜に長期間ダメージが加わり、血管の新しい細胞が作られなくなっていくことが原因と考えられています。そのほかにも動脈硬化のリスクとしては、喫煙、運動不足、過度なストレス、偏った食事、飲酒などが挙げられます。一般的には、これらのリスクが複数重なるほど動脈硬化を発症するリスクが高くなります。大動脈など太い血管に起こりやすいのは“粥状動脈硬化”と呼ばれ、ダメージを受けた動脈の内側の壁にコレステロールが沈着して塊(プラーク)を形成します。動脈の壁に沈着したプラークが剥がれると血管を詰まらせ、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こします。また、冠動脈にプラークが形成されると冠動脈が狭くなって血流が悪くなり、狭心症の原因となることも少なくありません。一方、脳や腎臓などの細い動脈に生じる動脈硬化は“細動脈硬化”と呼ばれ、動脈が脆くなることで血圧の変化などに柔軟に変化することができずに破れて脳出血などを引き起こすこともあります。そのほか、動脈硬化には動脈の中膜と呼ばれる血管壁の内部にカルシウムが沈着することによる“メンケルベルグ型硬化”があります。
細動脈硬化やメンケルベルグ型硬化は血管の中膜が硬くなり、動脈瘤や動脈解離を引き起こすリスクが高くなるとされています。基本的に症状はありませんが、大動脈瘤破裂や大動脈解離などを引き起こして死に至ることもあるため注意が必要です。一度、動脈硬化が生じた動脈を元の状態に戻す方法は残念ながら確立していません。そのため、動脈硬化と診断された場合は、進行を抑制して心筋梗塞や脳卒中などの合併症を予防することが治療の主体となります。

漢方と鍼灸

 漢方は治療が確立していない分野に強いと言えます。異常箇所がわかればそこから、疾患があればそのツボから反応を経絡に落とし込んで漢方食養生ツボを選択します。年単位の方もいますが固くなった血管が徐々に変化していきます。

心臓神経症

 心臓神経症とは、胸の痛みや呼吸苦、動悸など心臓に関わる症状があるにもかかわらず、検査などでは異常が認められず特定の身体疾患と診断できないものを指します。不安やストレス、抑うつ状態と関連していることが多く、不安神経症や身体表現性障害といった精神疾患に準じた治療が行われます。原因となるのは、心臓や肺などの臓器ではなく、日常生活や職場でのストレス、環境の変化などにより不安や緊張が高まっていたり、抑うつ状態であったりすることなどが発症の原因であるといわれています。胸の痛み、動悸、呼吸苦、めまいなど、狭心症や不整脈などの循環器疾患と同様の症状を自覚します。狭心症の症状は、運動時など体を動かしているときに起こることが多いですが、心臓神経症では安静にしているときに症状が起こることも多く、不安やストレスが強くなることに伴って症状が現れることもあります。狭心症や心筋梗塞などの冠動脈が狭くなって起こる虚血性心疾患の場合、心臓の筋肉から出てくる心筋逸脱酵素が上昇します。また、動脈硬化のリスクが高いかどうかを血液検査で調べることもあります。

漢方と鍼灸

 自律神経のツボと心臓のツボの合数が一致すれば自律神経が原因かもしれません。相談にいらっしゃる方のほとんどは検査をしても異常がないと言われて来ます。ストレスが続いて心労がたまるという言葉がありますが思慮深いですね。上記の反応穴から経絡に落とし込んで漢方食養生ツボを選択します。

狭心症

 狭心症とは、心筋(心臓を構成する筋肉)に血液を行き渡らせる“冠動脈”が狭くなることにより、一時的に心筋が酸素不足に陥って胸の痛みや圧迫感を引き起こす病気のことです。狭心症による症状は通常数分以内に収まりますが、放置すると冠動脈が完全に詰まる“心筋梗塞”を引き起こす可能性があるため、危険な病気の1つと考えられています。冠動脈に狭窄が生じる原因としてもっとも多いのは、“動脈硬化”です。動脈硬化は高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病によって引き起こされる血管の変化のことであり、血管の内側の壁にコレステロールなどが沈着することで血管が狭くなります。冠動脈に動脈硬化が生じると、当然ながら心筋へ流れる血液が減少します。次のようなリスク要因を抱えていると、発症しやすいと言われています。高血圧、肥満(外見には痩せていても内臓のまわりに脂肪が付いている内臓脂肪型肥満=メタボリック症候群=も、リスク要因の一つです)、糖尿病、高脂血症(コレステロール値が高い状態)、高尿酸血症(痛風などと言われたことのある方に当てはまります)、ストレス、喫煙、家族歴から3項目以上当てはまる、男性なら50歳以上、女性なら60歳以上の人は、狭心症や心筋梗塞を発症する可能性が高いので、要注意です。

 労作性狭心症は、運動後など心臓の拍動が増えて心筋により多くの酸素が必要になったときに、いわゆる“酸欠状態”となって胸の痛みや圧迫感などを引き起こすのです。階段を上がったり、重いものを持ったり、運動をしたり、心理的なストレスを受けたりしたときに、胸に痛みや圧迫感を覚えます。力仕事や運動をしたり、ストレスを感じたりすると、それに応じて、体内にたくさんの血液を送り出そうと心筋が活発に働き始めますが、血管が細っていて血液供給が追いつかず、胸の痛みなどの症状が出るのです。毎回、ほぼ同じ程度の運動やストレスで生じます。

 異型狭心症は、冠動脈が一時的にけいれんを起こして強く収縮することによって発症することもあります。夜、寝ているとき(特に明け方)や、昼間、安静にしているときに、胸が苦しくなる発作を起こします。多くの場合、冠動脈が一時的に痙攣を起こして収縮し(この状態を「攣縮と言います)、血流を途絶えさせることによって起こります。大した動脈硬化がないのに起こることがあります。このようなタイプの狭心症は、血管を広げる作用のある“一酸化窒素(NO)”と呼ばれる物質の合成が加齢とともに低下していくことが主な原因と考えられており、安静時にも発症することが特徴です。

 不安定型狭心症は労作狭心症と違い、痛みが強くなる、発作の回数が増える、少しの動作や安静状態でも発作が起こるといった、痛みや圧迫感のパターンが変化します。それまで症状が安定していた人にそうした変化が現われたら、危険です。冠動脈が急速に狭まりつつあることを示している可能性があるからで、こうした場合は、すぐに救急車を呼ぶか、医師に連絡をとってください。

 そのほか、狭心症は大動脈弁狭窄症や大動脈弁逆流症、肥大型心筋症などの病気によって冠動脈の血流が低下することを原因として発症することもあります。

 狭心症の特徴的な症状は、胸の痛みや圧迫感が引き起こされる“発作”が生じることです。特に胸の痛みは、1か所にとどまらず、左肩、左腕、顎、歯、背中、腹部などに響くように放散することが特徴で、なかには胸の痛みを感じずに別の部位のみに痛みが生じるケースもあります。また、冷や汗や吐き気、めまいなどの症状を伴うことも少なくありません。通常、運動後に発作が生じる“労作性狭心症”では、安静にしていれば数分以内に発作が治まりますが、冠動脈がけいれんを起こすタイプの冠攣縮性狭心症では症状が30分近く続くことがあります。また、発作が頻回に生じる“不安定狭心症”は冠動脈が完全に閉塞してしまう前触れの症状であると考えられています。使用される薬剤は、冠動脈を広げる“血管拡張薬”や心臓の活動を抑えて必要な酸素量を減らす“β遮断薬”などです。また、冠動脈の動脈硬化が強い場合には、心筋梗塞を予防するため血栓(血の塊)ができにくくなる抗血小板薬などの内服が必要になることも少なくありません。一方、発作が生じたときには冠動脈を速やかに広げる作用のある硝酸剤が使用されます。

漢方と鍼灸

 胸の真ん中から左腕内側の強い痛みには括呂薤白白酒や半夏湯、木防已湯や増損木防已湯などに牛黄製剤、食養生を合わせることが多いです。心臓、血圧、自律神経のツボから経絡に落とし込んで漢方食養生ツボを選択します。食養生で有名なのはらっきょうです。心臓の形に似てますね。