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急性肝炎・慢性肝炎

 肝炎とは、肝臓に炎症が生じることで肝臓の細胞が破壊され、肝機能が低下する病気のことです。原因はウイルス感染や薬の副作用、アルコールや高カロリーな食事の取りすぎといった好ましくない生活習慣、免疫機能の異常など多岐にわたります。また、肝炎は急激に炎症が生じて肝臓の機能が低下する“急性肝炎”と、弱い炎症が長期間続くことで肝臓の機能が徐々に低下していく“慢性肝炎”の2つに大きく分けられます。肝臓は“沈黙の臓器”とも呼ばれており、炎症が生じても自覚症状がないケースも少なくありません。しかし、適切な対処を講じず、肝臓に炎症が生じた状態を放っておくと肝硬変や肝臓がんに進行することがあるため注意が必要です。ウイルスに感染することが原因で肝炎が引き起こされることがあります。肝炎ウイルスにはA~E型があり、主にA型とE型は生肉や魚介類、汚染された水などを介して感染し、急性肝炎を引き起こします。一方、B型とC型は血液や体液を介して感染し、慢性肝炎になりやすいのが特徴です。そのほかにも、EBウイルスやサイトメガロウイルスなどが原因で肝炎を発症することもあります。常的にアルコールを大量に服用していると、肝臓に脂肪が蓄積されることで炎症が引き起こされることがあります。一方で、多量に飲酒をしない場合であっても、食生活の乱れや運動不足などの生活習慣の乱れによって肝臓に脂肪が蓄積する“脂肪肝”の状態になると、肝臓に炎症を起こすケースも少なくありません(非アルコール性脂肪性肝炎)。薬や薬が代謝される過程で生じた物質が肝臓にダメージを与えることや、薬に対するアレルギー反応により肝臓に炎症を引き起こすことがあります。肝臓は“沈黙の臓器”と呼ばれており、何らかの異常が生じても自覚症状がないケースも多いとされています。
ウイルス感染による急性肝炎は、急激に炎症が生じて肝臓の機能が低下するため、全身倦怠感、食欲低下、吐き気、発熱、黄疸( 皮膚や目の白い部分が黄色くなる)、皮膚のかゆみなどの症状が現れやすいことが特徴です。一方、慢性肝炎の場合は軽度な炎症が長期間続いているものの急性肝炎のような症状は現れにくく、発症に気付かず適切な治療をしないと肝硬変や肝臓がんに進行することも少なくありません。

 急性肝炎の多くは、重症化しない限り安静にして肝臓への血流を増加させること、タンパク質制限などの肝臓に負担がかからない食事制限、補液などの治療をすることで自然に改善していきます。しかし、炎症が強い場合にはステロイド薬を投与したり、B型肝炎やC型肝炎の場合は抗ウイルス剤の投与が行われたりすることもあります。

 慢性肝炎の治療は、食事療法や運動療法などのほか、肝臓の細胞を守る“肝庇護薬”や抗ウイルス薬などによる薬物療法が行われます。また、肝炎の治療は原因によってさまざまであり、薬の副作用による肝炎では原因薬の中断、自己免疫性肝炎ではステロイドや免疫抑制剤などの投与が必要となります。誤った治療を続けると悪化することもあるため、正しい診断を受けて医師の指示に従って治療を進めていくことが大切です。ウイルス性肝炎のうち、主に食品を介して感染するA型肝炎とE型肝炎はリスクのある食品の生食を避けることが大切です。そのほか、血液や体液を介して感染するB型肝炎とC型肝炎は、無防備に他者の血液や体液に触れないように注意し、性行為の際はコンドームを使用する必要があります。また、B型肝炎にはワクチンもあり、現在では新生児の定期接種に指定されています。飲酒や食生活、運動習慣などが原因で引き起こされる肝炎の場合は、生活習慣を整えることで予防することが可能だとされています。一方、薬の副作用による肝炎や自己免疫性肝炎の場合は、発症を予測することはできず予防法もありません。気になる症状があるときは、早めに医療機関を受診することが大切です。

漢方と鍼灸

・急性肝炎AST>ALT、LDH上昇、TTT上昇
・慢性肝炎AST<ALT
 炎症を止めることが大事。肝細胞が壊れて中から酵素が漏れ出ている状態。治ろうとするとき壊れそうだった細胞から酵素が出て一過性に数値が上がるのであらかじめ言っておく。
そして炎症が止まったら線維化した肝細胞をケアするもの、脂肪肝を減らしていけるものをおすすめいたします。肝臓、ウイルス、膵臓、脾臓、胆嚢、胆石のツボから経絡に落とし込んで漢方

食養生ツボを選択して良くしていきます。

便秘

 便秘症とは、本来出すべき便が十分に出ない、または快適に出ないために腹痛・便が出しづらい(排便困難感)・便が出切らない感覚がある(残便感)といった排便のトラブルが長く続く病気のことです。排便の回数や量、便の硬さなどには個人差があるため、どのような状態を“便秘”とするかはさまざまな定義があります。しかし、日本消化器病学会が定めるガイドラインでは“本来体外に排出すべき便を十分量かつ快適に排出できない状態”と定義され、その状態が6か月以上前から生じ、少なくとも最近3か月間はその状態が続いていることを“慢性便秘症”としています。便秘症は非常によく見られる病気の1つですが、20~60歳までは女性のほうが多いものの60歳以降は男女差が少なくなり、年齢を重ねるごとに有症率が高くなることが特徴です。原因は、加齢に加えて食物繊維の摂取不足、運動不足など生活習慣によるものや、内服薬の副作用によるもの(薬剤性便秘)、持病によるもの(症候性便秘)が多いですが、大腸がんやクローン病など重篤な病気が背景にあるケースもあります。大腸の病気による形の異常が原因でスムーズな排便ができなくなる便秘です。よく見られるのは、大腸がんやクローン病など大腸の内部が狭くなる病気によるものです。大腸の内部が狭くなると大腸内の便の通過に時間がかかり、結果として便秘を引き起こすのですが、ひどくなると大腸での便の流れが完全に詰まってしまう腸閉塞を生じる場合もあります。そのほかにも、大腸が異常に拡張する巨大結腸症、女性で排便時に直腸の前の壁が腟側に膨らむために直腸内の便をうまく出せない直腸瘤なども便秘の原因になります。大腸には形の異常がないにもかかわらず、その動く能力の問題で生じる便秘のことです。明らかな原因のない特発性と呼ばれるものがもっとも多いですが、食物繊維の摂取不足や運動不足などの食事・生活習慣の乱れ、大腸の運動を弱める副作用がある薬(薬剤性便秘)や持病(症候性便秘)が原因となることも少なくありません。そのほかに、排便時のいきむ力が低下する腹筋の筋力低下や排便時に緩めるべき肛門を逆に締めてしまう異常(機能性便排出障害)も排便能力低下の原因になります。“便秘”とは、“本来体外に排出すべき便を十分量かつ快適に排出できない状態”ですが、その便秘による症状が現れて検査や治療を必要とする場合に“便秘症”と呼ばれます。その症状としては、排便回数が少ないことによる腹痛や腹部の張り感(腹部膨満感)、便が硬いことによる排便困難感や強くいきむ必要性、軟便でも排便困難感や残便感を生じるもの(便排出障害)があります。つまり“便秘症”とは、排便の回数のみで判断されるのではなく、排便困難感や残便感などがある場合も便秘症と考えることが一般的です。基本的には、これらの症状が3か月以上続いている場合に慢性便秘症と呼びます。慢性便秘症は、甲状腺機能低下症といったホルモン分泌異常などの病気によって引き起こされることがあります。また、便秘の原因となる大腸がんのために貧血になっている場合もあります。

漢方と鍼灸

 便秘は原因が様々なのに下剤一辺倒では、逆に悪化させてしまうこともあります。便秘のツボだけでなく、大腸の異常箇所のチェック、自律神経、冷え性、生理関係、食事内容、甲状腺、胃と腸の運動、癌のツボを調べて経絡に落とし込んで漢方食養生ツボを選択していきます。便や放屁の臭いから腸内環境(悪玉菌が多い場合)を改善するだけですっきりでる方もいらっしゃいます。便が出てすっきりすると体が軽くなりますね。不思議と頭もすっきりします。脳と腸の関係でしょうか。手を大きく振って早歩きも腸が活発になります。膝腰に問題がある方はご自宅でツボ押しやストレッチをしましょう。

くる病・骨軟化症

 くる病とは、カルシウムやリンなどの電解質が骨に沈着する量が少ないため、骨が脆くなる病気のことです。子どもが発症する病気であり、骨が柔らかくなることで骨が正常に成長しなくなります。その結果、脚が曲がって成長したり、身長が伸びにくくなったりするといった症状が現れます。くる病の原因はさまざまですが、その1つは食生活の乱れなどによる骨を硬くするリンの吸収を促すビタミンDの不足です。また、ビタミンDは紫外線を浴びると皮膚で生成される性質があります。そのため、極端に紫外線を避けた生活を送るとくる病を発症しやすくなることが知られています。

 ビタミンD依存性くる病は、ビタミンDの体内での活性化を行う酵素や、活性化したビタミンDが結合して作用するはずの受容体を作るのに必要な遺伝子に異常があり、ビタミンDの正常なはたらきが起こらない病気です小児慢性特定疾患、難病の1つに指定されています。

 ビタミンD抵抗性くる病は、血液中のリンの濃度を一定に保つために必要なFGF23という骨で作られるホルモンが遺伝子の異常によって必要以上に多く作られるために、血液中のリン濃度が低下し、同時にビタミンDのはたらきも抑えられてしまう病気です。小児慢性特定疾患、難病に指定されています。日本ではくる病の原因としてこの“ビタミンD抵抗性くる病”がもっとも多いと考えられます。

 好ましくない生活習慣によるくる病の治療は、日光浴の推奨や食事療法が主体となりますが、重度なくる病や生まれつきの病気によるくる病の場合には不足したリンやビタミンDなどを補うための薬物療法や、リンの低下をもたらすホルモンのはたらきを抑える薬物療法が必要となります。治療が遅れると脚の変形や低身長など将来的に大きな問題となる症状を引き起こすことになるため、くる病が疑われる場合は速やかな病院受診が必要です。以前の理解はカルシウムでしたが、今では血中リン濃度が低下することで小児はくる病、成人では骨軟化症を発症することが分かっています。カルシウムは関係ありません。くる病は、骨を硬くするリンや食事から摂取したリンが腸で体内に吸収されるのを促すビタミンDが不足することによって引き起こされます。リンやビタミンDの多くは食事から体内に取り入れられるため、特にビタミンDが含まれている食品の摂取量が少ない状態が続くとくる病を発症しやすくなります。これを“ビタミンD欠乏症性くる病”と呼びます。一方、私たちの皮膚は紫外線の刺激を受けるとビタミンDを生成するはたらきがあります。つまり、体内で利用されるビタミンDは食事から摂取するものと体内で生成されるものがあり、紫外線を極端に避けるような生活を送っているとビタミンDが不足し、くる病を発症するケースも少なくありません。また、母乳にはカルシウムやリンが多く含まれるもののビタミンDの含有量は少ないため、特に母親がビタミンD不足の状態になると母乳に含まれるビタミンD量もさらに減少し、くる病を発症しやすくなります。そのほかに、さまざまな原因による腎臓の障害によって血液中のリンが低下するファンコーニ症候群などがくる病の原因となります。くる病を発症すると骨が柔らかくなるため、骨が正常に成長しなくなります。具体的には、脚がいわゆる“O脚”や“X脚”のように曲がって生育したり、身長の伸びが遅くなったりするといった症状が現れます。そのため、転びやすい、歩行開始が遅れるなど運動発達の面でもさまざまな影響を及ぼすことが特徴です。そのほかにも、頭蓋骨が柔らかくなっているため事故などで頭に衝撃を受けたときに重度な頭部外傷を引き起こしやすいとされていることや、歯の成長にも異常が生じるため虫歯になりやすくなるなど症状は多岐にわたります。さらに、ビタミンDの欠乏によるくる病や、上で述べた“ビタミンD依存性くる病”の場合には、これらの症状に加えて血中のカルシウム濃度が極端に低下するため、手足がこわばったり、けいれんを起こしたりするなどの神経症状を引き起こすことがあります。検査は骨の状態を調べるため、X線検査を行います。くる病では、大腿骨など脚を形成する骨の変形や骨の密度低下が認められるようになります。また、骨端線(骨の端の軟骨)が大きくなったり拡大したりして見える、骨の端がへこむなど、くる病に特徴的な所見が見られることも少なくありません。
血液中に含まれるカルシウムリン、骨の生成を促すアルカリフォスファターゼと呼ばれる酵素、カルシウムの代謝に関わるPTHと呼ばれるホルモンなどの量を測定するために血液検査が行われることが一般的です。また血液中のリン濃度が継続して低ければ、“ビタミンD欠乏症性くる病”“ビタミンD依存性くる病”“ビタミンD抵抗性くる病”ファンコーニ症候群”などの病気を区別するためにFGF2325水酸化ビタミンD1,25水酸化ビタミンDを測定します。これらの検査は病状を評価するためだけでなく、くる病のように骨の脆弱性に異常をきたすほかの病気との鑑別をする際にも役立つ検査となります。“ビタミンD欠乏症性くる病”は、上でも述べたとおり不適切な生活習慣に起因するものです。そのため、くる病を予防するにはカルシウムやリン、ビタミンDが含まれた食品をしっかり取り、適度な日光浴をすることが大切です。特に母乳のみで養育される乳幼児はビタミンD不足になりやすいため、母親は妊娠時期から多くのビタミンDを摂取する必要があるとされています。また、骨の成長などの様子を見てビタミンDが不足していると考えられる場合は、人工ミルクを追加することも1つの方法です。一方で、現在では遺伝子の異常による“ビタミンD抵抗性くる病”がくる病の原因としてもっとも多いことが知られています。この場合はなるべく早くに効果の高い治療を始めたほうが、足の変形や身長の低さを改善できることが分かっています。そのため、歩行開始の遅れ、歩き方がおかしい、足の変形、身長の伸びが遅いなどが見られる場合には一度小児科を受診し、原因を調べてもらうとよいでしょう。

漢方と鍼灸

 骨を丈夫にするのはビタミンDだけではありません。ホルモン、酵素、アミノ酸や微量ミネラルも大事です。
 あなたにぴったりの食養生をおすすめいたします。大腿骨からの波長をとって経絡に落とし込んで漢方食養生ツボを選択します。骨は腎と密接な関係により腎経もしくは膀胱経に反応が出ることが多いです。

やせすぎ(るい痩)

 「やせ」とはいうまでもなく体重が減少していることです。ある時点での体重も重要ですが、体重の急激な減少という変化があった場合には、その原因をしっかり考える必要があります。「やせ」が進むと脂肪量が減少するので、骨が突出し褥瘡(じょくそう;床ずれ)などの原因となります。また皮膚が弾力を失い、硬く乾燥し、冷たくなります。髪もパサつき、抜けやすくなります。病的な「やせ」のことを「るい痩」と呼びます。「るい痩」の場合、ベースに低栄養状態があることがほとんどです。低栄養が進むことによって、筋肉量の減少のほかにも倦怠感などの症状や貧血、血圧低下、浮腫、創傷治癒遅延(傷が治りにくくなること)、免疫能の低下などが起こります。 やせの原因は多彩ですが、(1)摂食の不足・障害、(2)消化吸収の障害、(3)内分泌・代謝障害、(4)体外への消失、などに分類することが可能です。高齢者の医療では重要な問題です。高齢者に起こる食事摂取に関する問題は「食べない」ことと「食べられない」ことに分けられます。「食べない」ということは、食欲の低下は訴えずに食物摂取をしない場合です。食物を口元に運んでも摂取しない、あるいは、口腔内に食物を含んでもその先に進めていかず、最終的には、口の外に出してしまう、いわゆる「拒食」の状態もあります。多くの場合、認知症に伴うものであるため、mini-mental state examination (MMSE)などを用いた認知能の評価が参考になります。またダイエットのし過ぎで拒食症になってしまった若い方もやせすぎです。「食べられない」とは、食欲が低下している場合や、食欲はあるものの、嚥下(えんげ:飲みくだすこと)しようとするとむせてしまう、あるいは飲み込んでも通過障害がある場合です。食欲低下を訴える場合は、消化器系の器質的疾患や代謝疾患、抑うつ状態やうつ病などの精神医学的問題の可能性があります。また、服用している薬物との関連を検討する必要もあります。消化管のがんや腸閉塞、慢性膵炎、寄生虫、吸収不良症候群、蛋白漏出性胃腸症など、消化器系の異常で「やせ」が起こることがあります。高齢者は便秘の方が多く下剤を常用されている方も多いと思われますが、行き過ぎた下剤の使用も「やせ」の原因となります。 代謝・内分泌系でやせの原因になるものとしては、血糖がコントロールされていない糖尿病、甲状腺機能亢進症、褐色細胞腫などがあります。またアジソン病などの副腎機能低下による食欲低下も「やせ」の一因となります。慢性の感染症などの消耗性疾患では、エネルギーを消費しやすくなります。身長と体重の比率をみるBMIで18.5を下回ると「低体重」と判定されます。病的な「やせ」である「るい痩(るいそう)」の診断基準は、主に標準体重を20%以上下回ること、もしくは6か月以内に10%以上の体重減少がある場合を指します。

漢方と鍼灸

 摂食の問題、消化吸収の問題、内分泌の問題、慢性感染症などの消耗性の疾患の問題なのかでお勧めする漢方も変わってきます。自律神経、胃腸、膵臓、各種癌、甲状腺、副腎、大腸などの機能が落ちている所を探し経絡に落とし込んで漢方ツボを探し治療していきます。
食事の回数を増やしたり、吸収率を上げるためによく噛む、歯の治療、吸収の良い食材など食養生を含め一緒に考えていきたいですね。

慢性下痢

 慢性下痢とは、1日に3回以上、3週間以上、下痢が続く状態を指します。下痢の程度や原因はさまざまです。原因として多いのは、ストレスや生活習慣などによって発症する過敏性腸症候群です。また、そのほかの原因として、クローン病や潰瘍性大腸炎といった疾患を含む炎症性腸疾患が挙げられます。これらの病気は、自分自身の免疫細胞が異常をきたす結果として、腸に対しての慢性炎症が生じる病気です。そのほか、感染症が原因となって発症することもあります。慢性下痢で問題になる病原体は、不衛生な環境での食物摂取、水分摂取などを原因として体内に取り込まれます。また、内分泌疾患(甲状腺機能亢進症や糖尿病など)、アレルギー(グルテンやミルクなどに対して)、薬剤なども慢性下痢の原因として挙げることができます。慢性下痢の原因は多岐に渡るため、効果的な治療につなげるためにはしっかりと原因を特定することが大切です。3週間以上下痢が続きます。下痢の回数はさまざまですが、1日に3回以上の排便がみられます。また下痢が起こるタイミングもまちまちであり、過敏性腸症候群ではストレスがかかる状況、トイレに行きにくいような状況(たとえば長距離移動中の電車のなかなど)でみられる傾向があります。下痢の性状として、水様性下痢が主体なこともある一方、下痢に血液が混じることもあります。下痢中に血液が混じるのは、炎症性腸疾患でみられることの多い症状です。慢性的な下痢が続くと、体力が消耗することから徐々に体重が減少することもあります。また、原因疾患に応じてそれに伴う症状が異なることもあります。たとえば、過敏性腸症候群では下痢だけでなく便秘の症状が出ることもあります。炎症性腸疾患では、発熱や貧血症状などが起こることもあります。下痢以外の症状に注目することは、原因となっている疾患を推定するうえでも重要といえます。

漢方と鍼灸

 慢性下痢の原因は多岐にわたることから、しっかり問診し証をつかむこと。自律神経、細菌、ウイルス、アレルギー、冷え、腸内環境のツボから経絡に落とし込んで漢方ツボを選択し治療していきます。10年以上慢性下痢だった方がたった2週間で下痢が止まった方が何人もいます。

過敏性腸症候群

 過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndromeの頭文字をとって「IBS」と表します)は、お腹の痛みや調子が悪く、それと関連して便秘や下痢などのお通じの異常(排便回数や便の形の異常)が数か月以上続く状態のときに最も考えられる病気です。およそ10%程度の人がこの病気であるといわれている、よくある病気です。女性のほうが多く、年齢とともに減っていきます。IBSになる原因は、まだはっきりわかっていません。細菌やウイルスによる感染性腸炎にかかった場合や、回復後にIBSになりやすいことが知られています。
 原因究明のため、腸や脳の機能異常を起こす物質を見つける研究や遺伝子の研究などが行われています。腸が精神的ストレスや自律神経失調などの原因で刺激に対して過敏な状態になり、便通異常を起こす病気です。過敏性腸症候群とは、通常の検査では腸に炎症・潰瘍・内分泌異常などが認められないにも関わらず、慢性的に腹部の膨張感や腹痛を訴えたり、下痢や便秘などの便通の異常を感じる症候群です。多くの場合で、頭痛、疲労感、倦怠感、うつ症状、不安感など、腹部以外の症状もみとめられます。腸の内臓神経が何らかの原因で過敏になっていることにより、引き起こされると考えられています。そのあらわれ方によって「慢性下痢型」「不安定型」「分泌型」の3つに大きく分けられます。慢性下痢型は、ちょっとした緊張や不安があると便意を催し、激しい下痢の症状があらわれます。別名「神経性下痢」と呼ばれます。不安定型は、腹痛や腹部の不快感とともに下痢と便秘を数日毎に繰り返します。このタイプの便秘は腹部が張って苦しく、排便したにもかかわらず出ない、また出てもごく小さな便しか出ないというものです。別名「交代制便通異常」と呼ばれます。分泌型は、強い腹痛が続いた後に大量の粘液が排出されます。対策としては、内臓神経が過敏となる原因が、ストレスであったり、暴飲暴食や過度の飲酒、不規則な生活などによることが多いため、食生活の改善・生活習慣の改善を行った上で、ストレスが原因と見られる場合は、その原因をはっきりとさせてストレスを緩和していくことが必要となります。規則正しい生活と十分な睡眠が推奨されます。刺激物摂取や、夜間の大量の食物摂取は避けることが望ましいです。さらに、特定食物で症状が起こりやすい場合は、その回避により症状が改善する場合がありますので、食生活を振り返ることが解決の鍵となることがあります。

漢方と鍼灸

 脳と腸の関係から起こる病気ですので、自律神経のツボ、腸のツボ、腹痛箇所から経絡に落とし込んで漢方ツボを選択します。腸を刺激する食物も控えた方がいいでしょう。

腹水

 腹水はおなかに水がたまった状態です。もともとお腹の中には腸がスムーズに動くために50ml程度の腹水が存在しています。しかしこの腹水が検査で目に見えるようになると腹水貯留といいます。通常、腹水は腹膜などで産生され、同じく腹膜や血管で吸収されてバランスを取っています。 腹水は少量であれば自覚症状はあまりみられません。大量になるとお腹が膨らんで蛙腹になったり、おへそが飛び出ることもあります。胃が圧迫されて食事がとれなくなったり吐き気が出ることもあります。腸が圧迫されると便秘になります。肺との境界である横隔膜を押し上げて肺が膨らみにくくなり息切れを感じることもあります。足に行った血液が心臓に戻りにくくなるため足首がむくむこともあります。腹水は「腹水が過剰に産生」されたり「腹水の排出が妨げ」られて発生します。特に腹水が増加するときに関係しているのは血管内圧の上昇(門脈圧亢進)とアルブミンです。

 血管内圧とは普段皆さんが腕で測定する血圧ではなく、特にお腹の中の血管の圧を意味します。不要になった腹水は血管に引き込んで排出されていますが、お腹の中の血管の内圧が高いとそれ以上の液体を引き込めなくなり、腹水の吸収ができなくなります。さらに圧が高いことで逆に血管から水がしみ出て腹水が増える原因にもなります。

 腹水の排出がうまくできないもう1つの原因がアルブミンの減少です。アルブミンはたんぱく質の1つです。アルブミンは血管の中の水分量を保ったり、余分な水分を血管に取り込む役割をしています。このアルブミンが不足すると腹水を血管内に取り込めなくなり、場合によっては血管内の水分が血管の外にしみだして腹水になるのです。アルブミンの基準値は3.9g/dL以上とされています。 また、3.7〜3.8g/dLは要注意、3.6g/dL以下は異常値とされます。

 この両方の原因がおきる代表の疾患が肝硬変です。肝硬変自体は大量飲酒、 脂肪肝、またはウイルス性肝炎に起因することが最も一般的です。肝臓は全身の血液を集めて栄養を蓄えたり解毒したりしていますが、肝臓が硬く変化してしまうと血液が肝臓に入りにくくなり、滞った血液がしみ出る形で腹水になります。さらに肝硬変の場合は肝臓で作られるアルブミンの量が減るため血管内に水分がとどまりにくくなり、水分が血管からお腹にしみ出やすくなります。また腹水を作ったり排出したりして調節している腹膜に炎症が起きるとこの調節が崩れて腹水が増加することがあります。腹水はたんぱく質がどれくらい含まれているかによって滲出液と漏出液に分類されます。非炎症性のものでは0.1~2.0g/dL、癌性では2.0~4.0g/dL、炎症性では4.0g/dL以上とされ、総蛋白量によりある程度原因疾患の鑑別が可能です。

 滲出性腹水は、腹膜の血管透過性亢進やリンパ流の鬱滞等により、蛋白質や細胞成分を多く含んだ血漿成分が腹腔内に滲出したものである。 癌性腹膜炎によるものが最も多いようです。滲出液は主に炎症が原因細菌性腹膜炎、癌性腹膜炎(大腸・肝・胆道・膵臓・胃・卵巣・子宮)、急性膵炎などで多くなります。

 漏出性腹水は、腹膜自体に病変がなく、低蛋白血症や門脈圧亢進症により血中の水分が腹腔内に漏出したものである。肝硬変によるものが最も多いようです。非炎症性で、主に血管内圧の上昇やアルブミン不足が原因で肝硬変、門脈圧亢進、うっ血性心不全、腎不全、ネフローゼ、卵巣刺激症候群などで多くなります。

腹水の合併症

 特発性細菌性腹膜炎(はっきりとした理由がないのに生じる腹水の感染)が起こることがあります。この病態は、腹水と 肝硬変がみられる患者によく起こり、アルコール依存症があると、さらに発生頻度が高まります。特発性細菌性腹膜炎を発症すると、通常は腹部に不快感が現れ、腹部に圧痛を感じることもあります。発熱や体調不良がみられるほか、錯乱や見当識障害に陥ったり、眠気を覚えたりすることもあります。治療しないと死に至ることがあります。生存の見込みは、適切な抗菌薬による早期の治療を行えるかどうかにかかっています。

 腹水の治療は安静と塩分制限、腹水を尿として排出するための利尿剤を使用します。低ナトリウム食と利尿薬によって、過剰な体液の排出を促します。安静にして横になっている時間を増やすことで、肝硬変の人の場合は肝臓に血液が入り込みやすくなり腹水の産生が減ります。また腎臓に血液が届きやすくなり余分な水分を尿として排出しやすくなります。塩分は体に水分をためやすくなり、利尿剤を使用していても効きにくくなってしまうため制限が必要です。病状によっては摂取する水分量も制限されることがあります。症状が強く、急いで腹水を減らす必要があるときにはお腹に針を刺してある程度の腹水を排出します。腹水には水だけでなく体に必要な栄養分も含まれているため、場合によっては抜いた腹水から水分を取り除いて点滴として体に戻す、腹水濾過濃縮再静注法とよばれる治療が行われることもあります。アルブミンの不足が腹水の原因である場合は、血液製剤であるアルブミンの点滴を行うこともあります。アルブミンの点滴は使用日数に制限があります。

漢方と鍼灸

 本治と標治にわけて漢方を選択します。例えば漏出性の肝硬変を良くする漢方、食養生は本治。門脈圧亢進、アミノ酸補充、腎機能改善、心機能改善などは標治。滲出性では癌に対して免疫力をあげる方法は本治。炎症を抑える、随伴症状をとる、抗菌漢方などは標治。
癌のツボ、腹水箇所、細菌やウイルスのツボ、門脈、心臓、腎臓など関係するところから波長をとって経絡に落とし込んで漢方食養生ツボを選択します。いい結果が出ないようでしたらご相談ください。

腹鳴

 お腹がぐるぐる鳴る現象は「腹鳴」と呼ばれており、消化管中の空気が腸の蠕動運動によって狭窄した管腔を通るときに生じる音と考えられています。特に空腹時は、消化管の蠕動運動が強くなります。これらの現象は、胃腸の働きを調整している「モチリン」(十二指腸から分泌されるホルモン)の血中濃度が上昇することで、胃が収縮するためと考えられています。お腹がぐるぐる鳴りやすい人の特徴は次の通りです。長時間座って作業する人は、胃腸が圧迫されている状態が長く、体内の空気が滞りやすい状態です。また、冷え症の人は、腸内にガスが溜まりやすくなり、お腹が鳴る場合があります。水を沢山取る人または水の代謝が悪い人早食い(食べ物を良く噛まずに早く食べてしまう人)、脂質の多い食生活を送っている人、アルコールを過剰に摂取している人、香辛料等の刺激物を好む人運動不足の人便秘の人は腹鳴になりやすいですね。食後、空腹、牛乳やヨーグルトの摂取、冷たい飲み物・刺激の強い香辛料の摂取、生理、妊娠中という場合は、心配する必要はありません。食後の胃は、食べた物を消化するためにモゾモゾと動き続けます。消化が行われて胃内が空の状態になると、次は強い収縮が起こり、お腹が鳴る場合があります。(食後期収縮)空腹時にお腹が鳴る原因は、胃が強く収縮するためです。(空腹時収縮)空腹時収縮が起こると、胃内の水分、空気、食品の残りカス等が拡販されて音が出る場合があります。発泡性のある炭酸飲料や小麦を使った食品(パン、麺 等)はガスが発生しやすいとも言われています。また、調理の過程で重曹を使ったものも、ガスが発生しやすいです。さらに、空気と食べた物が混合したものが小腸を通過する際にも音が出る場合もあります。牛乳やヨーグルトを摂取するとお腹がぐるぐる、ごろごろする場合、乳糖不耐の可能性があります。“乳糖不耐”とは、乳糖を分解するラクターゼという酵素が減少し、機能が低下するため、乳糖が消化されない状態をいいます。そのため、腸から吸収されずにガスが発生し、お腹が鳴ると考えられています。乳糖不耐は、先天的なものと後天的なもの両者あります。冷たい飲み物や刺激の強い香辛料を摂取した場合、腸に刺激が加わり活動が活性化されて、お腹が鳴る場合があります。
また、アルコールも腸に刺激を与え、お腹が鳴ることもありますが、どちらかというとアルコールの場合は、腸に刺激を与えすぎて下したり、ガス(おなら)が多くなったりします。生理が始まるとプロスタグランジンの分泌により子宮が収縮を起こし、下腹部痛を伴う下痢が起こりやすい状態になります。下痢を起こすと、体内の有害物質をいち早く排泄しようとすごい速さで収縮するため、お腹が鳴る場合があるようです。腸内ガスの動きや脈動によるものと考えられています。妊娠すると、血液循環が良好になるため、妊娠前よりも脈動を感じる場合が多いようです。また、腸の蠕動運動が低下している場合、ガスを体外へと排泄できずに溜まってしまい、お腹が鳴るケースもあります。

 次のような症状が出る場合は、注意が必要です。下痢や便秘を伴う、吐き気がある・気持ち悪い、おならの臭いが気になる場合は検査をしてもらいましょう。ストレスが溜まっている通常の下痢、便秘と区別するポイントはストレスが原因、腹部症状が現れる(下痢、便秘、お腹が鳴る、お腹が張る、腹痛、おならが多い等)、排便すると症状が軽減するまた、食中毒等の細菌性腸炎やノロウイル感染症等の場合には吐き気や嘔吐を伴う場合があります。腸が動き出す際に、お腹がぐるぐる鳴るような痛みが生じて、下痢症状やガスが出る等が起こる場合もあります。消化吸収時にお腹が鳴る場合、腸内でガスが生じている可能性があります。腸内にガス(空気)が生じていると、消化された物が腸を通過する際に音が鳴ります。また、食事等と一緒に空気も飲み込んでしまうとゲップやお腹の中のガスも増えてしまいます(呑気症)。胃腸は自律神経により機能しています。そのため、疲労過多や精神的・身体的ストレス過多、生活習慣の乱れ等があると腸の動きも乱れ、腹部に悪影響が生じる場合があります。お腹がぐるぐるしているときは、腹持ちが良い食品を食べる、お腹をマッサージするといった対処法を試してみましょう。腹持ちが良い食品(脂質が多いものや食物繊維が多いもの)を食べると消化管の中に長く留まるため、管腔が狭くなりにくくなり、腹鳴を抑制できる場合があります。手を握ってグーにして、おへそ周りに円を描くようにゆっくりマッサージするのもいいでしょう。

漢方と鍼灸

 気血水の物差しから気虚は蠕動運動の低下、気滞はガスの発生、お血は血行不良による蠕動運動不足、血虚は腸の潤い不足、水の過剰は腹鳴の発生、軟便や下痢、水の不足は便秘となります。また自律神経の乱れは腸の動きの乱れに連動しやすいのです。便秘や下痢のツボ、自律神経のツボ、既往の病気のツボの波長から経絡に落とし込んで漢方食養生ツボを選択します。

腹部膨満感

 おなかが張って苦しい、痛いなどの症状を腹部膨満感といいます。主に腸内にガスがたまったり、腸がむくんだりして起こります。稀ですが、腹水といっておなかに水がたまる場合もあります。ガスがたまる原因としては、口から飲み込んだ空気による場合と腸内細菌が産生するガスによる場合があります。また、ストレスや運動不足、特定の食べ物(小麦やキシリトール、清涼飲料水などの糖類)の摂りすぎが原因のこともあります。ストレスや自律神経が関与する機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群も代表的な疾患でしょう。しかし、大腸がんや腸閉塞などの病気や、心不全などでも腹部膨満感として自覚することもあります。また十二指腸と小腸の繋がる部分にある血管を上腸間膜動脈といいます。上腸間膜には、通常脂肪がありますが、急激に痩せると脂肪がなくなり、十二指腸が血管から圧迫を受けて腹部膨満感を起こします。その他、食後の胃もたれや腹痛などの症状も見られます。上腸間膜動脈症候群といい、特に仰向けの姿勢になると圧迫が強くなり、症状が強くなるため、うつ伏せ寝の状態になることで症状を軽減できます。腹部膨満感は身近な症状ですが重大な病気が関係していることもあります。
考えられる疾患は便秘、機能性ディスペプシア、呑気症、上腸間膜動脈症候群、過敏性腸症候群、慢性胃炎(ピロリ胃炎)、逆流性食道炎、感染性胃腸炎、胆石症、慢性肝炎、胃がん、大腸がん、腹水、腸閉塞、心不全などの心血管病変などがあります。

漢方と鍼灸

 まずどんな時にお腹が張るのか、持続しているのか随伴症状は何か、どんどんひどくなっているのかなど問診していきます。上記の疾患の中には検査が必要なものもあるのでまずは病院に行って原因を突き止めましょう。食事内容も見直さないといけない場合があります。腸を温めて動きを良くする漢方、腸の周りの血流を改善する漢方、腸内環境、ストレス対応漢方などを複数のツボから選択していきます。

腹痛・急性胃腸炎・急性虫垂炎・憩室炎・腸閉塞・虚血性腸炎

 急性胃腸炎とは、胃腸の粘膜が炎症を起こす病気です。急性胃腸炎になる原因で多いものは、ウイルスや細菌などによる感染とされています。主な症状は、下痢、吐き気、嘔吐、腹痛、発熱、お腹の張り、食欲不振などです。
 急性虫垂炎は虫垂に炎症が起きる病気で、いわゆる「盲腸」のことです。時間の経過とともに症状が変わることがあり、最初の自覚症状は食欲不振や吐き気、みぞおちの痛みなどが多いといわれています。次第に痛みの場所がみぞおちから右下腹部へ移動し、腹膜炎の状態になると高熱を伴うことがあります。
 下腹部が痛くなるその他の腸の病気には、憩室炎、腸閉塞、虚血性腸炎、過敏性腸症候群などがあります。憩室炎とは、大腸にできた憩室という袋が細菌に感染することで炎症を起こす病気です。主な症状は腹痛や発熱です。
腸閉塞とは、腸がふさがってしまい消化された食べ物などが肛門へと移動できない状態です。主な症状は、腹痛、お腹の張り、便通がない、嘔吐などですが、嘔吐以外の症状は出ないこともあります。以前おなかの手術をうけたことのある人はリスクが高く、他には大腸がんなどがしばしば原因となります。
虚血性腸炎は、大腸の粘膜に炎症や潰瘍ができる病気です。主な症状は、左下腹部の痛み、下痢、血便ですが、嘔吐や発熱が出ることもあります。しばしば便秘が原因となります。
尿管結石や腎盂腎炎ではわき腹や背中、腰の痛み、血尿がみられ、腎盂腎炎では高熱が出ることもあります。
 膀胱炎や前立腺炎では下腹の痛みがみられ、なかでも前立腺炎では高熱が出ることもあります。
卵巣炎、卵管炎、卵巣嚢腫茎捻転、子宮外妊娠、生理痛など、婦人科の病気が原因で下腹部が痛くなることもあります。
卵巣炎、卵管炎は、感染症が原因で卵巣や卵管に炎症が起きる病気、卵巣嚢腫茎捻転は、卵巣にできた腫瘍がお腹の中でねじれてしまった状態のことです。子宮外妊娠は、卵管や卵巣、腹膜など、子宮以外の場所で着床して胎児が育っている状態で、大量出血の原因となり命に関わる危険性もあります。女性が激しい下腹部痛を感じた場合には注意が必要です。
まれにお腹が痛くなる原因として、腹部大動脈瘤破裂や腹部大動脈解離、上腸間膜動脈血栓症など命にかかわる病気があります。突然にお腹の強い痛みがおこり、腹部大動脈瘤破裂や腹部大動脈解離では背中や腰が痛んだり、ショック状態になることもあります。上腸間膜動脈血栓症では血便がみられることもあります。

漢方と鍼灸

 腹痛の原因は様々です。上記以外にもストレスや腸が冷えたことによって腹痛を起こすこともあります。腹痛は下腹部が中心なのでお血の漢方や血虚の漢方、温める漢方、炎症を鎮める漢方、殺菌作用のある漢方などを腹痛箇所、大腸のツボから選択していきます。。