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間質性肺炎・肺線維症

 間質性肺疾患(間質性肺炎)とは、肺の間質と呼ばれる部分を中心に炎症が起こる病気の総称です。肺は肺胞という小さな袋の集まりで、口や鼻から吸い込んだ空気は気道を通って肺胞に運ばれ、肺胞の壁を通して酸素が取り込まれます。肺胞は大きく実質と間質に分けられ、肺胞の中を実質、肺胞の壁や周囲の組織を間質といい、この間質に炎症が起こる病気が間質性肺炎です。間質性肺炎では、炎症によって徐々に肺胞壁が厚く硬くなります(線維化)。そうなると肺がうまく膨らまなくなるため、息苦しさを感じたり咳が出たりします。進行すると呼吸不全になることもあります。線維化が進むと、蜂巣肺といわれるような多数の穴(のう胞)がCTなどで確認できます(肺線維症)。
 間質性肺炎には原因や病態に応じてさまざまな種類がありますが、特に多い特発性肺線維症は50歳以上の男性に多いとされています。間質性肺炎は、原因が特定できるものと原因が特定できないものに大きく分けられ、原因が特定できるものとして“自己免疫性間質性肺炎”、“職業環境性間質性肺炎”、“医原性間質性肺炎”などがあります。一方、原因が特定できないものを“特発性間質性肺炎”といい、全体の半数以上を占めます。特発性間質性肺炎は病態に応じてさらに細かく分類され、特発性肺線維症、特発性非特異性間質性肺炎、特発性器質化肺炎、急性間質性肺炎、剥離性間質性肺炎など、さまざまな種類があります。これらのうち、特発性肺線維症が大半を占めるといわれております。間質性肺炎は原因や病態に応じてさまざまな種類がありますが、原因を分かりやすく分類すると、免疫異常によるもの(自己免疫性間質性肺炎)、異物の吸入によるもの(職業環境性間質性肺炎)、薬や放射線治療によるもの(医原性間質性肺炎)、感染症によるもの、原因を特定できないもの(特発性間質性肺炎)の5つに大きく分けられます。
 初期には無症状であることが多く、病状がある程度進行すると咳や息切れが見られます。多くの場合、痰を伴わない乾いた咳が出ます。息切れは主に運動時や坂道・階段の昇り降りなど一定の負荷がかかるときに見られますが、進行すると着替えなどの軽い動作でも息切れや呼吸困難が起きるようになります。手足の指先が膨れ、太鼓のバチのように変形することもあります(ばち指)。また、間質性肺炎は風邪やインフルエンザなどの身近な感染症をきっかけとして、病気が急激に悪化することがあります。この際には咳や呼吸困難が急速に悪化するため、風邪などの感染症にかからないよう注意する必要があります。血液検査では、肺組織の線維化の程度を確認するためにSP-A、SP-D、KL-6などを測定します。これらが高値を示すのは間質性肺炎に特徴的であるため、間質性肺炎の活動性や治療効果の判定に有用です。

 まず炎症を止めること、次に線維化を改善すること。肺を乾かさないことが大事ですね。
炎症を取る漢方、線維化を改善する漢方、肺を潤す漢方食養生もとても大切です。
肺のつぼから状態を把握して漢方ツボを選択します。実際線維化を改善しKL-6も大幅に下げています。

肺マック症(非結核性抗酸菌症)

 非結核性抗酸菌症とは、結核菌以外の抗酸菌によって生じる病気のことです。非結核性抗酸菌症の原因となるものとしては、Mycobacterium avium-intracellular(MAC症)とMycobacterium Kansasii症の発症が多く、これらが大半を占めています。非結核性抗酸菌症では、結核のようにヒトからヒトへの感染や、数年で死に至ることはほとんどありません。しかし結核が減少しているのとは対照的に、発病者が増加しています。症状としては、体重減少、微熱が出る、血痰などがありますが、いずれも結核と比べると軽く、慢性の呼吸器感染症の症状を呈します。病状の進行は非常に緩やかであり、10~20年という年月をかけて進行していきます。感染者数は年間8,000人程度、死亡者数はそのうち1,000人強程度とされています。なお、閉経後の女性に多く発症していることも確認されています。進行は緩やかなのですが、菌を体内から完全に排除することは困難です。治療期間も年単位となるため、長期的な経過観察が必要不可欠な病気です。非結核性抗酸菌は、水回り、水道、浴室のシャワーヘッドなど、ぬめり気のあるところに多く生息しています。一説では、日本では女性の発症者数が多いのは、家事の最中に蒸気にのった病原菌を吸い込んでしまうことが関係しているのではともいわれています。また、非結核性抗酸菌症は庭でガーデニングをする方に多いという報告もあります。これらの環境中に長い時間を過ごし、空気中に漂う病原体を吸い込むことで感染が成立するのでは、と考えられています。抗酸菌の増殖スピードは非常に遅いため、非結核性抗酸菌症はゆっくり緩徐に進行する慢性の呼吸器感染症になります。原因菌の増殖が速ければ速いほど薬による効果が高いですが、非結核性抗酸菌症はゆっくりと増殖するため、薬の効果が得られにくいのが現状です。
非結核性抗酸菌症の治療の基本は薬物療法です。MAC症に対してはリファンピシン、エタンブトール、クラリスロマイシン、ストレプトマイシン、といった薬剤が用いられます。一方、Mycobacterium Kansasiiに対してはイソニアジド、リファンピシン、エタンブトールといった薬剤が使用されます。これらの薬剤を駆使しながら併用療法を行うことが、治療の主体になります。しかしながら、非結核性抗酸菌症の病原体の増殖スピードは遅く、現行の内服薬での治療効果は必ずしも高くなく、病原体を身体から完全に排泄することは困難です。かつ長期間内服が必要になることもあり、副作用も懸念される部分もあります。また結核性抗酸菌症では、肺に空洞性病変が形成されることもありますが、一度空洞が形成されると、その部位が巣となり病原体はより一層増殖することになります。空洞に居座った病原体に対して、薬の効果はそれほど強く期待できません。そのため、こうした空洞性病変に対しての治療アプローチとして、内服薬での治療に加えて外科的な治療方法がとられることがあります。ただし、現在空洞化に対する手術療法に関しては、医師間や診療科間でも大きく意見がわかれています。非結核性抗酸菌症の治療方法は必ずしも確立されているとは言えず、治療期間も年単位におよびます。日常生活における制限はないとはいえ、症状増悪時には早期受診をすると言った心構えが必要です。

漢方と鍼灸

 抗生物質の副作用で継続できない、効かなかった時の耐性菌の出現などで思うような効果でないなど悩まれている方がいます。肺のつぼ、菌やウイルスの反応が出るつぼから経絡に落とし込んで漢方ツボを選択していきます。体重減少は免疫をあげる漢方により脾も丈夫になり徐々に改善していきます。喀血や痰に血が混ざる場合、止血の漢方を使い出血を止めます。また菌をたたく漢方があります。抗生物質が効かないものに有効です。微熱は菌による炎症なので鎮めていけば収まります。また炎症が進んで線維化してしまった肺にも食養生としてお勧めしているものがあります。咳や痰なども随時漢方で対応し本治に力を入れていきます。

肺炎

 肺炎とは、気道を通して侵入した細菌やウイルスなどの病原体が肺内で増殖し、炎症が引き起こされた状態です。肺炎は呼吸器の病気の中でも比較的よく見られます。肺内に病原体が侵入し、増殖することが原因です。肺炎にかかりやすくなったり治りにくくなったりする要因として次のようなものが挙げられます。脳血管障害、呼吸器疾患(肺気腫、肺結核後遺症、間質性肺炎など)、心疾患、腎疾患、糖尿病、悪性腫瘍、先天的に免疫が不全の状態(原発性免疫不全症候群(PID))、後天的に免疫が抑制された状態(ステロイドや免疫抑制剤、抗癌剤を使用中)、誤嚥(飲食物や唾液が誤って気管に入ってしまう状態)などです。病原体として、市中肺炎の原因となる頻度が高い微生物は、肺炎球菌、インフルエンザ菌、肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミジアなどです。肺炎球菌とインフルエンザ菌は先に述べた細菌性肺炎の原因となる病原体で、肺炎マイコプラズマと肺炎クラミジアは非定型肺炎の原因となる病原体です。また頻度は少ないですが、ウイルスも原因となる場合があります。院内肺炎では、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)や緑膿菌などの抗菌薬が効きにくい細菌が原因になることが多くなります。肺炎球菌、インフルエンザウイルス、レジオネラによる肺炎は重症化する場合があることが知られています。また、免疫が抑制された状態にあると、ニューモシスチス・ジロベチ(真菌の一種)やサイトメガロウイルスといった病原体でも肺炎になることがあります。症状は多彩ですが、発熱、咳、膿性痰が主な症状です。肺から胸膜まで炎症が広がることにより胸痛が生じる場合もあります。重症になると呼吸が困難になったり、意識が悪くなったりすることがあります。また病原体によっては、筋肉痛や腹痛・下痢といった一見肺炎とは関連がなさそうな症状が出たり、高齢者では典型的な症状が目立たず、食欲低下や全身倦怠感などが主な症状となったりする場合があるため注意が必要です。非定型肺炎は、頑固な咳がある、痰がない、基礎疾患がないあるいは軽い、年齢が若い、血液検査で白血球数が上がらないなどが特徴とされています。肺炎が治った後も、咳はしばらく続く場合があります。これを感染後咳嗽といいます。血液検査では体内で炎症が起こったときに上昇する白血球やCRPの値を参考にします。胸部X線写真や胸部CTでは、肺炎はスリガラス影や浸潤影と呼ばれる肺内の白い影として写ります。

漢方と鍼灸

 風邪をこじらせて肺炎にならないようにする。風邪のコラム参照。肺炎になりやすい、治りにくい人は基礎疾患の改善も大事ですね。肺と大腸は裏表の関係です。腸に異常がないかも問診しておくといいでしょう。おならが臭い場合、悪玉菌が多い場合があります。肺に回らないよう腸内環境にまで配慮が必要です。歯周病も要注意です。風邪のツボ、肺のツボから経絡に落とし込んで漢方を選択します。

気管支拡張症

 空気は鼻や口から気管支という管を通って肺に運ばれます。気管支は気管から枝分かれして、肺の中に空気を運ぶ通路の役割を担っています。何らかの原因で、気管支の内腔が異常に広がってしまい、慢性の咳や痰など呼吸器症状がみられる病気をひとまとめにして気管支拡張症といいます。一般人口における気管支拡張症の頻度については不明ながら、男性よりも女性に多いとされています。原因となる結核、びまん性汎細気管支炎や重篤な小児期の肺感染症は、抗菌薬の普及や少量マクロライド療法、小児へのワクチン接種によって、その頻度は減少しました。しかしながら、CTの普及や非結核性抗酸菌症の増加も影響しているかもしれませんが、近年は気管支拡張症の発症頻度の増加が指摘されるようになり、再び世界的に注目され重要な病気と位置付けられています。生まれつきの異常や幼小児期の肺炎、繰り返す肺感染などにより、気管支の構造が改変、破壊されることにより起こります。気管支拡張症の原因となる病気には、肺結核、非結核性抗酸菌症、一般細菌やウイルスの肺炎、肺炎感染症などの感染症を繰り返すことが特徴の原発性免疫不全症候群(PID)、先天性の気管支壁の異常、異物を排除するための線毛運動という機能が障害された先天性の病気(Kartagener症候群)、膠原病などがありますが、原因が特定できないこともあります。
また、本症に合併しやすい病気として、緑膿菌などによる慢性気道感染症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息、アレルギー性肺アスペルギルス症、炎症性腸疾患、アミロイドーシスなどがあります。逆に気管支拡張症がきっかけでこれらの原因となる病気が明らかになることも珍しくありません。気管支が拡張すると、気管支の壊れた部分に細菌やカビが増殖(慢性気道感染)して炎症を起こし、気管支が壊れることにより気管支拡張が進行します。さらに、増殖した細菌やカビはそのほかの肺の中にも広がり、肺炎を起こせば肺・気管支の破壊が進行することがあります。そうなれば、より肺の機能も低下することになります。
気管支拡張症の症状として多いのは、咳や痰です。また急に咳・痰の量が増えたり、粘度が増したり、膿のような痰が出てきたり、息苦しさ、倦怠感などが増加する“増悪”状態が生じることがあります。また、肺炎も起こしやすいです。気管支拡張が起こっている部位は、炎症に伴って血管が増え血管の壁が弱くなっているために、血痰や喀血(血を吐くこと)もよくみられます。時に大量の喀血を起こすこともあります。気道の感染を繰り返すことで肺や気道の構造が破壊され、気管支拡張がさらに進行すると考えられています。胸部X線検査やCTで気管支拡張の有無を診断可能です。高分解能CT(High-resolution CT、HRCT)において気管支に並んで走行する肺動脈という血管よりも気管支の内径が拡大しているかどうかで判断を行います。

漢方と鍼灸

 出ている症状に合わせて漢方を出します。出血が起きているなら止血の漢方を、咳や痰が出ているならその漢方を、潤いがないなら潤う漢方を、抗菌作用の漢方などを肺のツボから選択します。気管支炎のところでも書きましたが、免疫反応のツボから経絡に落とし込んで選択します。風邪をひかない体力づくりも必要ですね。活血剤を使うこともあります。

気管支喘息・喘息

 気管支喘息(喘息)とは、空気の通り道である気管支(気道)が慢性的に炎症を繰り返すことで気管支が狭くなり、呼吸時にヒューヒュー、ゼーゼーといった音が聞こえる喘鳴や呼吸困難などの発作が生じる病気です。発症年齢は幼児期と40~60歳代に2つのピークがあり、子どもから大人まで幅広い年齢層の方に発症します。小児喘息の多くは思春期の頃には症状がよくなっていきますが、そのうちの約30%は成人喘息に移行するといわれています。また、大人になってから初めて症状が現れる成人喘息は40~60歳代に多く、成人喘息の発症年齢の半数以上を占めています。アトピー性素因、気道の粘膜がさまざまな刺激に対して敏感に反応しやすいことなど、いくつかの遺伝的素因が重なって発症すると考えられています。ハウスダストやダニなどの特定のアレルゲン吸入によるアレルギー反応の症状として、気管支喘息を発症することがあります。アスピリンが原因となるアスピリン喘息のほかに、高血圧の治療などに使用されるβ遮断薬、ヨード造影剤、アルコールなどが原因となることもあります。気管支喘息の症状としては、呼吸困難を伴う咳が挙げられます。特に、就寝後に咳や息苦しさで目が覚める、あるいは朝方に咳が出て目が覚めることが多いのも気管支喘息の特徴です。そのほか、運動した直後や笑った後などに咳が誘発されることもあります。喘息の程度が強くなると、安静時であっても咳が出たり、呼吸をするとゼーゼーと雑音を発する喘鳴を生じたりします。重症例では気道が狭くなり、気道に喀痰が詰まるため十分な酸素を取り込むことができず、チアノーゼ(皮膚や粘膜などが青みがかった紫色になること)や意識障害が起きることもあります。体内に二酸化炭素がたまることもあります。咳喘息と呼ばれる、咳のみが主症状である喘息が近年多くみられます 。咳は出るものの呼吸機能は正常で、呼吸困難も喘鳴もなく軽い喘息といえます。しかし、咳喘息の方が気管支喘息になってしまう場合がありますし、その逆が起こることもあります。発作を繰り返すと、気道の粘膜が徐々に厚くなり、狭くなった気道が元に戻らなくなるため治療が難しくなります。喘息の治療薬は吸入薬や飲み薬、点滴とさまざまなタイプの薬が使われますが、発作が起きないようにコントロールする薬をコントローラー(長期管理薬)、発作が起きたときに緊急的に使用するリリーバー(発作治療薬)の2種類に分けられます。

漢方と鍼灸

 気管支の慢性炎症が原因です。気管支には大気汚染による化学物質、細菌、ウイルス、花粉、ほこりなど外の空気が絶えず入ってきて、また体からは二酸化炭素を吐き出しています。それ以外の誘発因子にはストレス、疲れ、激しい気温の変化、冷暖房による乾燥した空気、食生活の乱れ、たばこなどです。しかし何も起こらない方もいるわけですから機能を正常化する方法をとらなければ対症療法に終わってしまいます。慢性炎症を止めるには免疫の正常化(寛容)。食生活の見直し、ストレスからの回避でしょうか。出ている症状は証に従って選択した漢方薬であれば良くなります。肺・気管支のツボから経絡に落とし込んで選択していきます。また免疫の反応を捕えその方に合うものを選択することが近道となります。食養生ももちろん大事です。炎症が起きているのに刺激物や脂ものは火に油を注ぐようなものですね。一緒に見直していきましょう。

気管支炎・慢性気管支炎・細気管支炎・閉塞性細気管支炎

 気管支炎とは、下気道(気管、気管支)に炎症を起こす病気の総称です。いわゆる“かぜ”が上気道(鼻、咽喉頭)に感染し、炎症を起こす病気の総称であることに対して用いられます。数日から数週間で治癒する急性気管支炎と、3か月以上症状が続く慢性(遷延性)気管支炎に分けられます。さらに、気管支の末梢である細気管支という部分に炎症を起こす病態を細気管支炎といいます。原因としてはウイルス、細菌などによる感染症・アレルギー・喫煙・大気汚染・化学物質などがあります。気管支炎はさまざまな原因により生じますが、原因の多くはウイルスによる感染症です。原因となるウイルスは、ライノウイルス・コロナウイルス・アデノウイルス・RSウイルス・インフルエンザウイルスなど、かぜの原因にもなるウイルスです。また、細菌感染も急性気管支炎の原因となることがあり、マイコプラズマやクラミジア、インフルエンザ菌、肺炎球菌、百日咳菌などが挙げられます。慢性、または短期間で繰り返す気管支炎の場合は、生まれつき免疫の一部に欠陥が生じており、免疫機能がうまくはたらかない “原発性免疫不全症候群(PID)”が原因であることも考えられます。そのほかの原因としては、アレルギー・喫煙・大気汚染・化学物質などが挙げられます。びまん性汎細気管支炎は、日本や東アジアの国々に多く、40~50歳代に好発する病気です。慢性副鼻腔炎(蓄膿症)を併発し、鼻汁や嗅覚障害などの症状がでることもあります。びまん性汎細気管支炎では、ヒト白血球抗原(HLA)がB54というタイプを持つ人が多いことが知られています。閉塞性細気管支炎は、細気管支が炎症により狭くなり、空気中から十分な酸素を肺に取り込めなくなる病気です。感染や化学物質の吸引などで起こりますが、原因不明の場合に特発性と呼びます。免疫学的な機序が病気の発症に関係していることもあります。感染症が原因となる気管支炎の症状は炎症による発熱、咳、痰です。また、全身倦怠感、食欲不振、胸の痛みが起こることもあります。小児の場合には元々気道が狭いため炎症でさらに狭くなり、「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という喘鳴が聞こえることがあります。このような状態を喘息様気管支炎といいます。慢性気管支炎では、咳や過剰な痰が長期間続きます。疫学調査では、これらの症状が少なくとも2年以上にわたり、毎日または少なくとも連続して3か月以上続くときに慢性気管支炎と診断します。もっとも多い原因は喫煙です。

漢方と鍼灸

 気管支の一番炎症の強い箇所からの反応を取って経絡に落とし込んでツボ漢方を選択します。炎症をおこしているわけですから刺激物は禁止です。上焦の熱なので柴胡・オウゴン麻黄・杏仁 麦門冬 甘草 桔梗などを使うことが多いですが桑白皮、竹葉、石膏、生地黄なども考えて使います。気管支の粘膜の炎症を止め修復させることが大切です。気管支は肺と鼻を結ぶホースなのでゴミが付着しやすく、常に潤いと洗浄作用が働いていないといけません。

インフルエンザ

 インフルエンザとは、インフルエンザウイルスにより引き起こされる急性ウイルス性疾患です。例年、11月頃から徐々に患者が増え始め、1月頃に流行がピークに達し、4月過ぎに収束する傾向があります。インフルエンザは基本的には自然に治癒をする病気ですので、必ずしも抗インフルエンザ薬が必要になる病気ではありません。しかし、肺炎や脳症を発症するリスクもあるため、風邪とは区別して考えるべき病気といえます。インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型の3つの型があります。このうち、冬に流行する「季節性インフルエンザ」を引き起こす型は、A型とB型です。インフルエンザウイルスにはさまざまな種類があるため、一度かかっても同じ年でも、違うインフルエンザウイルスに感染することがあります。インフルエンザには、季節性インフルエンザ以外にも新型インフルエンザなど、世界的な大流行を引き起こしうるものが存在します。新型インフルエンザとは、季節性インフルエンザと抗原性が大きく異なるインフルエンザで、一般の多くの方が免疫を獲得していないことから、全国的かつ急速なまん延により多くの方の生命および健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるものを指します。季節性インフルエンザと異なり、ほとんどの方が初めて直面するタイプであるため有効な免疫を持っていません。そのため、世界的な大流行を引き起こし、ウイルスの性質によっては死亡率も高くなる可能性があります。インフルエンザは咳や鼻水を介する飛沫感染によって感染し、1〜2日程度の短い潜伏期間の後に発症します。典型的なインフルエンザは、悪寒戦慄、急激な高熱と共に発症します。同時に、筋肉痛や咳、鼻水などの上気道の症状が現れることもあります。発熱期間は3〜5日ほどであることが多く、38度以上の高熱が持続した後に解熱傾向に向かいます。一度解熱してから再度発熱する「2峰性発熱」と呼ばれる熱型をとることもあります。2峰性発熱の場合は、インフルエンザの自然経過なのか、肺炎などの合併症による発熱なのか、医療機関で正しく判断を受けることが重要です。新型インフルエンザでは、下痢や嘔吐などの消化器症状が生じることもあります。また、肺炎や脳症などの合併症にも注意が必要です。インフルエンザウイルスの感染に合併症を発症している場合、発熱の期間が典型的なインフルエンザの例よりも長くなる、咳がひどくなり呼吸が苦しくなる、意識状態がおかしく、けいれんを起こすなどです。重症の肺炎を発症している場合、呼吸のサポートが必要となることがあります。また、重症度が増した場合には、通常の呼吸管理が難しくなり、ECMO(体外式膜型人工肺)を用いた呼吸管理が必要になることもあります。特に、気管支喘息や心臓疾患、腎臓疾患などを抱えている患者さんの場合、インフルエンザが重症化するリスクが高くなります。

漢方と鍼灸

 インフルエンザも新型コロナ感染症と同じく風邪の進行のスピードが速いです。48時間以内に抗ウイルス剤を使いましょう。もしそれが何らかの状況でできない場合に太陽病期の麻黄湯、葛根湯、少陽病期の小柴胡湯、大柴胡湯、少陽病期と陽明病期の麻杏甘石湯、竹葉石膏、白虎加人参などの石膏剤を正しい方法で使っていきます。風邪かな?おかしいな?と思ったらまずすぐ飲んで発汗させること。免疫の食養生もおすすめいたします。高熱の時の牛黄も有効です。脳症の予防も必要ですね。不安な時はご相談ください。

【コロナ感染・後遺症】でお悩みの方に

 「もしも、身近な人、あるいは自分自身が【コロナ感染・後遺症】になったらどうしよう…」そんな不安を抱いたことはありませんか。
 コロナ感染・後遺症として臭覚異常味覚異常ブレインフォグなどの増加が問題となっています。コロナ感染は感染症法上でも5類扱いとなりましたが、社会において、コロナ感染・後遺症の改善は非常に重要です。

 当院の【コロナ感染・後遺症】の病気へのこだわりは漢方薬の選薬鍼灸の施術食養生を大切にしていることです。どこに行っても良くならなかった方の最後の砦になりたい、そんな気持ちでアドバイスさせていただきます。

【コロナ感染・後遺症】と漢方東洋医学

<主な症状>

コロナ感染症・後遺症・ワクチン副反応臭覚異常味覚異常ブレインフォグ】など

<ご相談窓口>

 自分自身や家族・同僚、友人など周りの人について「コロナ感染・後遺症」と思われる症状に気づいたら一人で悩まず、不二薬局にご相談ください。

■漢方の不二薬局、はりきゅう治療院 藤巻一心堂へのアクセスはこちら

※遠方の方は、オンライン(電話)でご相談いただけます。

風邪

 かぜ症候群は、患者様のくしゃみなどによる飛沫に含まれるウイルスなどの病原体が鼻や喉といった上気道から感染することによって起こります。ウイルスはまず上気道の粘膜に付着し、付着部分から体内に侵入して増殖します。ウイルスが体内に入っても免疫によって排除されて発症に至らないこともあり、その人の体調や免疫力に左右されます。かぜ症候群を引き起こす病原体は80~90%がウイルスです。頻度が高いものがライノウイルスで、ほかにコロナウイルス、RSウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルスなどがあります。ウイルス以外にも、一般細菌、肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミドフィラといった細菌もかぜ症候群の原因となることがあります。主な症状は鼻の症状(鼻水、鼻づまり)と喉の症状(喉の痛み)で、そのほかに発熱、頭痛、倦怠感、咳、痰などの症状が現れることがあります。症状は病原体の感染から1~3日程経ってから現れることが多く、喉の痛みや鼻の不快感から始まり、鼻水やくしゃみが出るようになります。鼻水は、出始めはさらさらとしていますが、次第にどろどろとした黄緑色に変化することが多いです。発熱はある場合とない場合がありますが、小さな子どもは熱が出やすく、38~40℃の高熱が出ることもあります。ただし、これらの症状の出方は個人差が大きく、いつも決まった症状が見られるとは限りません。また、これらの症状はかぜ以外の病気でも見られることがあり、治療の有無にかかわらず7~10日程度で軽快しますが、咳だけ数週間残ることもあります。自然に軽快しない場合はほかの病気を疑うこともあります。かぜ症候群の検査・診断で重要なことは抗菌薬が必要な細菌性肺炎、溶連菌性咽頭炎、細菌性急性副鼻腔炎などと区別することと、心筋炎や急性喉頭蓋炎や髄膜炎などかぜ症候群と似ている症状で重篤になる可能性のあるものを見落とさないことです。3日以上の高熱、膿の混じった痰や鼻水、扁桃の腫れなどが見られる場合は細菌感染が疑われるため、抗菌薬による治療が行われることがあります。

漢方と鍼灸

 原因となるのはウイルスなので、免疫力が落ちているとかかりやすいですね。十分休息を取り油を控えた和食(熱いおじやに生卵をおとしたものがおすすめ)を腹5~6分ぐらいがベストです。漢方は即効性がないとよく聞きますが、正しく服用すると即効性を感じてもらえることが多いですね。西洋医学と違うのは、熱を下げる方法と病気のステージごとに漢方の種類が変わるということ。解熱鎮痛剤は熱を下げる作用ですが、葛根湯や麻黄湯はいったん熱を上げて発汗させて下げるものです。また汗が出ていたり咳が出ていたり食欲が減少している場合、葛根湯のステージではないこともあり証を間違えると効きません。体が弱っていて汗をかきやすい高齢者に葛根湯を上げたら副作用もでやすくなりますので要注意です。風邪の引き終わり、食欲減退、咳などは柴胡桂枝湯、小柴胡湯のステージです。もっと高熱になり口渇もひどくなると石膏の入った薬方のステージになります。白虎加人参湯(石膏)もそのステージです。また各ステージをまたいでいるケースも多く葛根湯加桔梗石膏、葛根湯と小柴胡湯、小柴胡湯加桔梗石膏、小柴胡湯合麻杏甘石湯などがあります。飲み方も冷たい水で飲んでいると聞くとびっくりします。また1日3回という飲み方も変ですね。効かないわけです。なかなか発散しない方、免疫が落ちている方、疲れが溜まっている方に食養生をお勧めすると喜ばれます。

ブレインフォグ

 新型コロナウイルス感染症にかかった後,ほとんどの人は時間経過とともに症状が改善しますが,一部の人は症状が長引くことがあり,これらの罹患後症状はいわゆる“後遺症”と呼ばれています。新型コロナウイルスはオミクロン株へ変異してから感染力を増し,日本でも流行の第6~8波を起こしました。現在,第8波は収束に向かい,5月からは感染症法上でも5類扱いになることが決まっていますが,未だに後遺症で苦しむ患者さんは後を絶ちません。後遺症の代表的な症状には,疲労感・倦怠感,関節痛,筋肉痛,咳,息切れ,胸痛,脱毛などが知られていますが,最近では,記憶障害,集中力低下,抑うつなどの精神神経症状を訴えるケースも多く,“ブレインフォグ”と呼ばれています。新型コロナ後遺症のうち,咳,息切れなどの呼吸器症状については,肺の線維化による可能性が指摘されています。一方で,ブレインフォグについては,ウイルスの直接浸潤や脳血管の凝固異常のほか,最近では,自己抗体など免疫系の異常が関与している可能性が明らかになってきました。さらに,ブレインフォグを起こした患者さんの脳内では,ミクログリアやリンパ球とよばれる免疫細胞のはたらきが活発になっていることにより,脳に“慢性炎症”がおきていることも明らかになりました。

漢方と鍼灸

 免疫亢進による慢性炎症ですので、免疫の調整が必要です。また血栓によって血流不全、上咽頭、各症状の出ている箇所の波長をとって経絡に落とし込んで漢方鍼灸治療をしていきます。有酸素運動、EPA,DHA、休養、睡眠の質の向上、食生活の見直しも大事ですね。