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脳卒中・脳卒中後遺症

 脳卒中とは脳血管に障害が起こる病気(脳血管障害)の総称で、代表的なものには脳血管が詰まる脳梗塞と、脳血管が破れる脳出血、くも膜下出血があります。脳卒中の主な原因は高血圧で、ほかに喫煙や飲酒などの生活習慣が発症に関わっていると考えられています。
症状は病気の種類によって異なり、脳梗塞や脳出血では意識障害や半身麻痺、言語障害、感覚障害。視野障害などが、くも膜下出血では激しい頭痛や意識障害などが突然現れますが麻痺はあまりみられません。また、脳卒中は一命をとりとめたとしても後遺症が残ることが多く、日本で介護が必要になる人のうち約2割が該当するとされています。

 脳卒中は大きく脳梗塞と脳出血に分けられます。病気の種類により発症するメカニズムは異なりますが、どちらも高血圧が最大の原因です。脳梗塞とは脳の血管が詰まり、その先に血液が送られなくなることで脳の細胞が壊死してしまう病気で、高血圧が続き動脈硬化が進行することで引き起こされます。脳出血は特に脳の深い部分にある細い血管が破れ、脳の中に出血してしまう病気で、高血圧の程度が強い場合に血管が破れることで発症します。高血圧のほかにも、脳梗塞の発症リスクを高める原因としては不整脈(心房細動)、糖尿病、脂質異常症、喫煙、肥満などが、脳出血やくも膜下出血の発症リスクを高める原因としては喫煙、飲酒などがあります。症状は突然現れることが多いですが、前兆症状として頭痛、めまい、舌がもつれる、手足が動かない・しびれるなどの症状が一時的に現れることもあります。

漢方と鍼灸

 脳梗塞や脳出血、クモ膜下出血が起きたらためらわず一刻も早く病院での治療を行ってください。予防で止血漢方を持っていたい、飲んでいたい方はご相談ください。術後のリハビリや後遺症でご相談に来る方が多いです。

脳動脈瘤

 脳動脈瘤とは、動脈に発生する、瘤状あるいは紡錘状(両端がすぼまったつぼみのような形)に膨れたコブのことです。大きな血管の枝分かれの部分にできることが多いですが、枝分かれとは関係ない部分にできることもあります。脳動脈瘤が破裂すると、脳を包んでいるくも膜と呼ばれる膜の内側に出血をきたし、「くも膜下出血」と呼ばれる病気になります。脳動脈瘤は、先天的要因と後天的要因が重なって発生すると考えられていますが本当の原因は不明です。先天的なものでは、もともと動脈の壁が脆弱ぜいじゃくなこと、後天的なものでは、高血圧・糖尿病・動脈硬化・喫煙などで血管が慢性的にダメージを受けていることが挙げられます。感染性心内膜炎と呼ばれる心臓の病気では、まれな形の脳動脈瘤を形成することがあります。破裂していない動脈瘤は未破裂動脈瘤と呼ばれ、なにも症状が現れないことも少なくありません。しかし、大きくなっていくものや動脈瘤の位置や大きさによっては、まわりの神経や脳を圧迫してしまい瞳孔の異常などの症状が現れることもあります。また、特に大きな動脈瘤の場合には、瘤の内部に血の塊が生じることによって、脳梗塞の原因になることもあります。脳動脈瘤の治療は、慎重な経過観察、クリッピング手術(開頭して行う外科手術)、血管内治療(血管内にカテーテルを通して行う手術)を、瘤の大きさや形、家族歴の有無、生活習慣など複数の因子を考慮したうえで決定されます。

漢方と鍼灸

 まず破裂させないことが大事になってきます。漢方も強いお血剤はまず使いません。脳にかかる圧力を抜くことも大事です。水圧、熱の圧力など高まらないように漢方を使い、鍼灸でも患部から経絡に落とし込んで究極のつぼを探して治療いたします。7ミリから少しずつ大きくなっていき20ミリまで最終的になった方がいますが、漢方食養生鍼灸で消失した例がございます。

顔面神経麻痺

 顔面神経麻痺とは、顔面の表情筋(表情を作る筋肉)を支配する顔面神経が麻痺し、顔面の動きが悪くなる病気のことです。通常は片側だけが麻痺し、両側が麻痺することはまれです。人間の複雑な表情は約20種類ある表情筋によって作られ、各筋肉が個別に動くように指令を送っているのが顔面神経です。顔面神経は脳から出て側頭骨内という耳の後ろの骨の中を通り、耳の下から出てきて枝分かれしながら各表情筋に分布しています。この顔面神経経路のどこかが障害されると表情筋の動きが悪くなり、まぶたが閉じない、食べ物が口からこぼれ落ちるなどの症状が現れます。顔面神経の一部は涙腺や味覚、中耳の筋肉(アブミ骨筋)などを支配しているため、顔面神経が麻痺した場合には目が渇く、味がしない、音が響くといった症状が現れることもあります。そのほか、ラムゼイ・ハント症候群では耳の痛みや口内炎、耳介の帯状疱疹、耳鳴り、難聴、めまいなどの症状を伴うことがあります。

 顔面神経麻痺は、障害される部位に応じて大きく中枢性と末梢性に分けられます。脳の一部である脳幹を基準として、それよりも上位の障害によるものが中枢性、下位の障害によるものが末梢性で、それぞれで原因が異なります。中枢性の顔面神経麻痺は、脳梗塞や脳出血といった脳血管障害、生まれつきの病気であるメビウス症候群などによって起こります。ただし、頻度としては1%以下で、ほとんどが末梢性によるものとされています。末梢性の顔面神経麻痺の原因は多岐にわたり、①ウイルスによるもの(ベル麻痺、ラムゼイ・ハント症候群)、②外傷性(交通事故などによる頭部・顔面の損傷、手術による損傷)、③腫瘍性(小脳橋角部腫瘍、耳下腺腫瘍など)、④耳炎性(中耳炎など)、⑤全身疾患(糖尿病、白血病など)、⑥自己免疫疾患(ギラン・バレー症候群など)が考えられます。これらの中で特に多いのがベル麻痺とラムゼイ・ハント症候群です。ベル麻痺は末梢性顔面神経麻痺の約6割を占め、性別に関係なく40歳代に多いといわれています。多くは単純ヘルペスウイルスが原因と考えられています。一方、ラムゼイ・ハント症候群では水ぼうそうを引き起こす水痘・帯状疱疹ウイルスが原因で、体の免疫が低下しているときに再度増殖し(再活性化)、顔面神経に炎症を起こすことが原因と考えられています。

漢方と鍼灸

 ウイルスや免疫の低下が原因の多くを占めるので、免疫力を高める漢方と各症状の部位から漢方を選択します。鍼灸も免疫を高める究極のツボを治療していきます。

脳動脈硬化症

 動脈硬化は、どこで起こるかによってさまざまな疾患を起こします。心臓に酸素や栄養素を送る冠動脈の硬化が起こると狭心症、心筋梗塞、心不全を起こしますし、腎臓に起こると萎縮腎を起こします。そして、脳動脈に硬化が起こった状態は、脳動脈硬化症と呼ばれます。
脳動脈硬化症では、頭痛やめまい、耳鳴りなどの症状が現れることがあります。記憶力低下や不眠などを起こすこともあります。脳動脈硬化症を放置していると、脳梗塞を起こします。そのため、頭痛で受診して脳動脈硬化症を発見して適切な治療を受けることで、その後の脳梗塞の予防につなげられる可能性があります。また、脳梗塞を起こす前には、一過性脳虚血発作を起こすこともあります。一過性脳虚血発作では、手足に力が入らない、体の片側麻痺、呂律が回らない、めまいやふらつき、視覚障害といった脳梗塞と同様の症状が起きて、24時間以内に症状がなくなります。ほとんどは1時間以内で症状がなくなりますが、脳梗塞の前触れとして現れることが多いため、こうした症状があったらできるだけ早く受診する必要があります。

漢方と鍼灸

 脂質異常症(HDLが低い LDLが高い 中性脂肪が高い 総コレステロールが高い)があれば血管は狭窄や閉塞し動脈硬化を進行させます。抗酸化力・DHA/EPAなど食養生をしっかりする、ストレスを発散する方法を見つける、高血圧、糖尿病などの生活習慣病があればきちんと管理するなど予防が大事です。脳動脈硬化症と診断されれば、上記の食養生をしながら血管を柔らかくする漢方がおすすめです。血液と血管を大掃除する漢方をおすすめします。鍼灸も経絡に落とし込んで究極のツボで治療していきます。

くも膜下出血

 くも膜下出血とは、脳を覆う3層の膜の隙間である“くも膜下腔”に出血が生じる病気です。脳は外側から硬膜・くも膜・軟膜と呼ばれる三つの膜で重なるように包まれており、くも膜下腔はくも膜と軟膜の隙間を指します。発症原因は多々ありますが、多くはくも膜下腔を走行する動脈の分岐部に“動脈瘤”が形成され、それが破裂することによって発症します。くも膜下出血の原因の8~9割は脳動脈瘤の破裂とされています。脳動脈瘤とは、くも膜下腔を走行する動脈にできる風船のように膨らんだ“こぶ(瘤)”のことです。動脈瘤の壁は薄くなっており、血圧が一時的に上昇したときなどに破裂するリスクが高くなります。そして、動脈瘤が破裂すると圧力の高い動脈の血液がくも膜下腔内に流れ込むことでくも膜下出血を発症するのです。

 40歳以降から発症者が増え始めるといわれています。また、動脈瘤以外にも頭部外傷や先天的な血管の形態異常などが原因で引き起こされることも少なくありません。発症すると、意識のある場合は突然バットで殴られたような激烈な頭痛や吐き気・嘔吐を生じることが特徴です。また、出血量が多い場合は脳が圧迫されることで意識を失うことも多く、突然死の原因となり得ます。また、脳内に出血を伴う場合には手足の麻痺や言葉が出ないといった神経症状を伴います。さらに、手術などの治療によって救命できた場合でも後遺症が残るリスクが高く、非常に恐ろしい病気のひとつとされています。脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血は、発症すると3割近くがそのまま命を落とすとされています。また、命を落とさない場合でも、くも膜下腔内の出血が脳を圧迫する状態が続くと脳にダメージが加わって重篤な後遺症を残すことも少なくありません。無事に治療を終えたとしても、続発する脳血管れん縮(くも膜下腔の出血がそこを通る脳動脈を収縮させ、脳の血流が乏しくなる現象)、水頭症などのリスクもあるため、発症する前とほぼ変わらない状態で社会復帰できるのは4人に1人とされています。
 くも膜下出血の主な症状は次のとおりです。
・今まで経験したことのない突然の激しい頭痛
・極度の疲労感や気分不良
・睡眠の問題
・感覚や運動障害
・光に対する過敏症(羞明)
・かすみ目、または複視
・脳梗塞のような症状(ろれつが回らない、体の片側の麻痺など)
・意識消失、または痙攣

 くも膜下出血の原因は、特にお酒の飲み過ぎは危険と言われています。また、他の病気でも危険因子と言われている高血圧や喫煙習慣は、くも膜下出血でも危険因子となっていますので、改善していくことが大切です。逆に、コレステロール値や心臓病、糖尿病などは、くも膜下出血を起こす直接的な危険因子であるかどうか、まだ明らかになっていません。また、肥満については、やせ型の人のほうが発症しやすいという報告があり、肥満でないから大丈夫といった過信はよくありません。たばこを吸っていてやせている人、高血圧でやせている人は、くも膜下出血を発症しやすいという報告もあります。

<くも膜下出血後の後遺症>
 くも膜下出血は治療後の回復も、時間がかかるものであり、次のような後遺症が発生するのが一般的です。右か左の手足が動かしづらくなる、痺れや脱力感、物が飲み込みづらい、半分の空間がうまく認識できない、言葉がうまく話せない、理解がうまくできないなどの失語症、注意・集中ができない、物事をうまく実行できない、最近の出来事を直ぐ忘れてしまう
などが挙げられます。その他にみられる後遺症は、歩行不安定、尿便失禁、てんかんを繰り返す発作、記憶などの認知機能障害、うつ病などの気分の変化です。記憶の問題に関しては、発症前の記憶は通常影響を受けませんが、新しい情報や事実を思い出すのが難しくなります。気分や思考にみられる後遺症は、気分が落ち込み、希望がなく、人生を楽しむことができない、何か恐ろしいことが起こるのではないかという絶え間ない不安と恐怖感、人は悪夢やフラッシュバックを通じて以前の外傷的出来事を追体験することが多く、孤立感、過敏性、罪悪感を経験することがある。このような後遺症は、長期化するケースも稀ではなく、治療後のリハビリなどが重要になります。特に、認知機能障害はくも膜下出血の一般的な後遺症であり、ほとんどの人がある程度影響を受けます。

漢方と鍼灸

 まず脳動脈瘤が見つかった場合、それ以上大きくしないようにまた小さくする漢方鍼灸治療をおこないます。後遺症の治療は、各症状によって治療をおこなうのを標治、本治は、出血後による神経の損傷で腎気丸、四物湯をベースに加味合方していくことが多いです。

脳梗塞

 「脳梗塞」とは、何らかの原因で脳の動脈が閉塞し、血液がいかなくなって脳が壊死してしまう病気です。片方の手足の麻痺やしびれ、呂律が回らない、言葉が出てこない、視野が欠ける、めまい、意識障害など様々な症状が突然出現し、程度は様々ですが多くの方が後遺症を残します。わが国には高齢者などの介護にかかる負担を社会全体で支援する介護保険制度というものがあります。この制度で要介護認定を受けている方の原因疾患で最も多いのは、脳梗塞、脳出血やくも膜下出血などの「脳卒中」の後遺症で、実に20%以上を占めます。2位には認知症が続きます。一方、日本国内の死因の順位は、脳卒中は悪性新生物(がん)、心疾患、肺炎に続き国内死因の第4位です。脳の病気は、他臓器の疾患よりも日常生活に支障をきたしやすく、介護の必要性が非常に高いことを反映しています。

 発症を防ぐためには、その原因を知ることが重要です。まず高血圧・糖尿病・脂質異常・高尿酸血症・メタボリックシンドロームなどの生活習慣病や、慢性腎障害があげられます。これらは動脈硬化を少しずつ進行させ、やがて動脈が詰まったり細くなったりして脳梗塞を引き起こします。生活習慣病は自覚症状がほとんどなく、検査をしないと見つかりません。定期的に健康診断を受け、異常を指摘されたら放置せず、積極的に治療を開始することをおすすめします。喫煙や多量の飲酒も動脈硬化を促進させます。また、運動や入浴・サウナなどでの脱水が脳梗塞の原因になることがありますので、汗をたくさんかくときにはこまめな水分摂取も重要です。特に夏場は要注意です。

 心房細動という不整脈も、脳梗塞の原因となります。心臓内の血流のよどみによって血栓がつくられ、それが脳などに流れて様々な臓器で動脈塞栓を引き起こします。ただ、この不整脈も自覚症状に乏しく、塞栓症を起こして初めて気づかれる方も多いのが現状です。心房細動がみつかった場合は、塞栓症を起こしたことがなくても、年齢や合併症によって抗凝固療法の開始が推奨されています。心房細動からの塞栓予防には、少し前までワルファリンという薬しかありませんでした。今でも内服している方はたくさんいらっしゃいますが、納豆を食べられない、個々に内服量が違う、原則として月1回の採血が必要、出血性合併症が多い、他の薬と相互作用が多いなどの問題があります。2010年以降、DOAC(direct oral anticoagulant)とよばれる新しい抗凝固薬が次々登場し、導入が非常に簡便になりました。ワルファリンとの大きな違いのひとつは、脳出血が少ないという点です。また動脈硬化やそのリスクとなる疾患・生活習慣があるという場合に、予防的な抗血栓療法(アスピリンなど)は慎重であるべきと考えます。一度でも脳梗塞や心筋梗塞を発症した方の再発予防としては必須ですし、血管に強い狭窄があるなど特殊な事情によっては必要かもしれません。しかし、日本人は脳出血が多い人種であり、予防のつもりがかえって脳出血を助長し事態を悪化させかねず、現時点では積極的には勧められません。その他に動脈の壁が裂けてしまう解離や、心臓に空いた穴から塞栓が飛んでくる奇異性塞栓、血管の炎症を惹起したり血栓を形成する自己免疫疾患、血管の先天的/後天的異常、遺伝性脳梗塞やピルやコカインなどの薬剤によるものなど、様々なものが隠れていることがあります。これらは自分で予防することは難しく、もし発症してしまったらよく検査することが大切です。

漢方と鍼灸

 まず予防が大事と言えるでしょう。動脈硬化をなるべくおこさない、血流のよどみをおこさせない、基礎疾患を改善したくさんの薬に頼らない。適度な運動や質の高い睡眠、自分の体にあった食生活や食材、ストレスを発散する方法をみつけるなど、まずは自分の体に関心を持ち、気遣いましょう。わからない場合はご相談ください。ある程度の年齢の方に出す血流漢方も注意が必要で、止血効果もあり補の作用が強いものを使う方が安全です。血栓や血管が狭くなっているなどご心配な方は、あなたに合った食養生をおすすめいたします。脳梗塞を起こしてしまい、後遺症がなかなか良くならない場合も漢方はいいですよ。漢方や鍼灸も改善を早めます。

結膜結石

 まぶたの裏の粘膜(=眼瞼結膜)にできる、白色ないし黄色の小さな点状の固まりのことをいいます。結膜上皮下にある結石は、ほとんど症状がなく、特に障害がでない場合が多いです。結膜上皮を破って、表面に突き出ている結石は、異物感がでます。結石の露出が激しいと、角膜とこすれ傷ができ、ごろごろ、痛み、充血、かすみ、といった症状が出る場合があります。白目の粘膜(=眼球結膜)に発生することはありません。慢性結膜炎、結膜瘢痕、ドライアイ、老化など様々な原因が挙げられていますが、多くは原因不明です。体質により結石ができやすい方もいます。結膜の炎症、老化などで、細胞分泌物が貯留し、結石が形成されると考えられています。結石とよばれていますが、石灰沈着はなく細胞蛋白の変性による硝子様物質です。カルシウムや脂質、老廃物からできています。

漢方と鍼灸

 代謝が落ちて老廃物を尿や便で排泄できないと血液循環で皮膚の薄い部分から出てくることがあります。石関連はお茶をおすすめしています。体質改善は詳しく問診をとってから漢方をお出しします。鍼灸漢方も石の写真もしくは実際に患部を見せて頂いて経絡に落とし込んで治療します。

三叉神経痛

 三叉神経は顔面の感覚を脳に伝える神経で、その名のとおり
・前頭部や目、鼻などの感覚を支配する“眼神経(第1枝)”、
・上顎や頬、上唇などの感覚を支配する“上顎神経(第2枝)”、
・下顎や下唇、舌、咀嚼筋そしゃくきんなどの感覚を支配する“下顎神経(第3枝)”
の3つに分かれています。
 主に50歳代以降の人にみられることが多く、中でも男性よりも女性に多い傾向があるとされます。痛みは洗顔や食事、歯磨き、髭剃りなど生活上の動作によって生じるとされており、痛みの程度によっては食事をするのが困難になるなど日常生活に支障をきたし、生活の質が低下することもあります。三叉神経痛は、主に頭蓋骨内にある血管によって三叉神経が圧迫されることで発症します。圧迫された神経は髄鞘(神経を覆う物質)が障害を起こした状態(脱髄)になり、異常な神経のはたらきをすることで痛みが生じると考えられています。特発性三叉神経痛では原因が明らかではないことが多い一方、二次性三叉神経痛では腫瘍や血管奇形、外傷などが原因となることがあります。

 三叉神経痛は、鋭く我慢しがたい痛みが数秒から数十秒と発作的に生じることが特徴です。痛みがよく現れる部位としては、上顎や頬、上唇などの感覚を支配する上顎神経(第2枝)や下顎や下唇、舌、咀嚼筋などの感覚を支配する下顎神経(第3枝)領域の頻度が多いです。痛みの持続時間は通常は短いですが、時に10~20分程度続く場合があるほか、1日のうちに何度も痛みが繰り返されることもあります。また食事や洗顔、歯磨きなどの刺激や顔などを触ることによって痛みが誘発されることが多いのも特徴の1つです。二次性三叉神経痛の場合でも電撃のような鋭い痛みを生じますが、これに加えて感覚の異常をはじめとするほかの症状を伴う傾向にあります。三叉神経痛の痛みの度合いは、人によって異なります。時に歯の痛みと間違って認識されることもあり、歯科や口腔外科など神経痛を専門としない領域の医療機関を受診する人もいます。また、三叉神経痛によって多大なるストレスを感じる人もいます。痛みが反復されることから、円滑な日常生活を送ることができなくなることもあります。

漢方と鍼灸

 50歳以降の方に多いことから動脈硬化による神経圧迫の可能性があります。また原因のわからない場合ストレスが関係していたり、冷えが関係していることもあります。基礎疾患がある場合、そちらの問診も必要ですね。まずは痛みを楽にすることが患者さんにとって大事なことです。まず痛みの部位から経絡に落とし込んで薬方やツボを選択します。動脈硬化が始まっていても血管を柔らかくする漢方があります。少し時間がかかる場合がありますが良くなる方も多いのであきらめないで。

片頭痛・緊張性頭痛・群発性頭痛

 片頭痛という名称は頭の片側が痛むことに由来しますが、実際には4割ちかくの片頭痛患者さんが両側性の頭痛を経験しておられます。片頭痛は前兆の有無と種類により「前兆のある片頭痛」と「前兆のない片頭痛」などに細分類されています。疑い例を含めると、年間有病率は8.4%と推定され、かなり患者数が多い疾患です。また、片頭痛は女性に多いのも特徴です。前兆は、頭痛より前に起こる症状で、キラキラした光、ギザギザの光(閃輝暗点)などの視覚性前兆が最も多くみられます。通常は60分以内に前兆が終わり、引き続いて頭痛が始まります。漠然とした頭痛の予感や、眠気、気分の変調などは前兆と区別して予兆といいます。片頭痛発作は通常4~72時間続き、片側の拍動性頭痛が特徴です。頭痛の程度は中等度~高度で日常生活に支障をきたします。また、階段の昇降など日常的な運動、椅子に座っておじぎをし頭を左右にゆらすことにより頭痛が増強することも特徴のひとつです。悪心(吐き気)、嘔吐を伴うことが多く、頭痛発作中は感覚過敏となって、ふだんは気にならないような光、音、においを不快に感じる方が多いです。またチーズやワインなど特定の食べ物で誘発されることもあります。

 緊張型頭痛は反復性(月に15日未満)と慢性(月に15日以上、3ヶ月を超える)に分類されています。各々、頭蓋周囲の圧痛を伴うものと伴わないものに細分類されています。頭痛は30分から7日間続き、圧迫されるような、あるいは締めつけられるような非拍動性の頭痛で、多くは両側性です。頭痛の程度は軽度~中等度で、頭痛のために日常生活に支障が出ることはあっても通常は寝込んでしまうようなことはありません。緊張型頭痛の原因としては、口・顎部の機能異常、心理社会的ストレス、不安、うつ、妄想や妄想概念としての頭痛、筋性ストレス、頭痛に対する薬剤乱用などがあげられます。

 群発頭痛は片側の眼周囲~前頭部、側頭部にかけての激しい頭痛、また片側の目の奥がえぐられるような頭痛が数週から数ヶ月の期間群発することが特徴です。夜間、睡眠中に頭痛発作が起こりやすく、頭痛発作時には頭痛と同じ側に眼の充血や流涙などの自律神経異常に起因する症状を伴うことが特徴です。1回の頭痛発作は15分~180分で片頭痛と比べると短いのですが、2日に1回~1日に8回(大部分は1日に1~3回)といったように何回も発作が起こるのが特徴です。発作が群発する時期は群発期と呼ばれますが、それが終わると次の群発期まで発作が起こらない寛解期となります。一部の症例では寛解期がない、あるいは存在しても3ヶ月未満であるため非常に生活支障度が高くなります。このような症例は慢性群発頭痛と呼ばれます。群発頭痛の発生率は人口10万人当たり9.8人と比較的少なく、一般の方は勿論のこと医師の間でもあまり認知されていないタイプの頭痛です。激しい頭痛発作で、複数の病院を受診されてもはっきりと診断してもらえないことがあるようです。また、群発頭痛と同様の症状を呈しても下垂体腫瘍だったりすることがあるため、慎重な鑑別診断が必要とされます。群発頭痛は20~30才代に多く、約85%は男性とされていたのですが、最近の欧米の調査では男女差が縮小してきて、女性の群発頭痛も稀ではなくなっているとされています。

漢方と鍼灸

 問診では、生理不順はないか、ストレスはあるか、冷たい物を多く摂っていないか、冷えがどこにあるのか、嘔吐を伴うか、胃の具合は、梅雨の時期に悪化するか、下痢・軟便・便秘はあるか、めまいはあるか、尿が出にくい、浮腫みやすいか、血圧は高いか低いか、早朝頭痛が多いか、目の充血はあるかなど体質を見ます。痛む部位やストレスのツボから経絡に落とし込んで問診と合わせて薬方を選択します。鍼灸も同じようにして治療します。養生もとても大事ですので時間を割いて食生活からお話いたします。

のぼせ

 通常、室内の暖房が強すぎるときにはのぼせますし、寒いときにかえってのぼせる人や、恥ずかしいときにのぼせる体質の人もいます。しかし発熱を伴う急なのぼせ症状では、ウイルスや細菌による感染症が疑われます。また発熱を伴わない急なのぼせ症状は、薬の副作用やこころの病が考えられます。例えば高血圧の治療として血管拡張薬を服用すると、顔面が紅潮し、のぼせることがあります。次に慢性的なのぼせ症状は、更年期障害や多血症、甲状腺機能亢進症、心身症などがあります。

 「のぼせ」は「ほてり」とともに更年期障害の症状としてよく知られています。突然顔や頭が紅潮し熱くなり(強い熱感)、発汗しや脈拍が増加するものを「のぼせ」、強い熱感が身体にも生じる場合を「ほてり」と呼びます。更年期や卵巣を摘出した女性の6割が経験するといわれています。頻度は数日に1回のこともあれば、1時間に1~2回と頻回に出現することがあります。緊張した時や感情が高揚した時に起こりやすく、また睡眠中にも起こることがあるため、夜中に汗をかいて目が覚めることもあります。また、年齢に関係なく現代女性には手足が冷えているにもかかわらず、顔だけが熱くなる「冷えのぼせ」という症状が見られるようになっています。風邪や熱中症などで身体に熱がこもっているときにも「のぼせ」は生じますが、更年期女性の「のぼせ」は、心理的ストレス、女性ホルモン(エストロゲン)が減少すること、体温調節や血管の収縮・拡張を調節している自律神経のバランスが崩れることが原因と考えられています。また、鑑別が必要な疾患として高血圧や甲状腺機能亢進症があります。一方、「冷えのぼせ」は、エアコンがきいた生活や運動不足、肌の露出の多い服装など体を冷やしやすい現代女性のライフスタイルが関連していると考えられています。
更年期症状の「ほてり」は一般に月経不順がみられるころから出現し、閉経前後にピークとなり、閉経後治まるといわれています。多血症とは、血液中の赤血球と呼ばれる細胞の濃度が高くなる病気です。

 多血症になると、血液の粘性が高くなるため血流が悪くなり、頭痛、めまい、耳鳴りなどの症状が引き起こされ、また、血液が固まりやすくなることで血栓症のリスクも高くなるとされています。私たちの血液は“血漿けっしょう”と呼ばれる液体成分と赤血球・白血球・血小板などの細胞からできています。多血症は、脱水などによって血漿の量が減るために赤血球の濃度が高くなる“相対的多血症”と、実際に赤血球の産生量が多くなる“絶対的多血症”に分けられ、多血症の多くは相対的多血症とされています。多血症は赤血球の濃度が上昇することで血液の粘性が高まり、血行の悪化を引き起こします。その結果、脱力感、疲労感、頭痛、頭重感、ふらつきなどを引き起こし、耳鳴り、めまい、視界の歪みなどの感覚器症状がみられます。また、赤ら顔、目や口の粘膜の充血などがみられることも多く、真性多血症では皮膚のかゆみや集中力の低下がみられるようになり、70%の割合で肝脾腫(肝臓や脾臓ひぞうが腫れる)を起こすのも特徴の1つです。一方で自覚症状のないケースもあり、健康診断などで偶然発見されることもあります。多血症が進行すると血液が固まりやすくなるため、血管の中に血栓(小さな血の塊)ができて心筋梗塞、脳梗塞、肺塞栓症など命に関わる病気を引き起こすリスクも高くなります。

 甲状腺機能亢進症では、食べても食べてもやせてしまう、疲れやすい、よく眠れない、心臓がどきどきするなどの動悸、汗をかきやすい、のぼせやすい、下痢しやすい、(女性では)生理がなかなか来ないといった症状があります。また、手の指が小刻みに震える、毛が抜けやすいといった症状も見受けられます。また、未治療の甲状腺機能亢進症に過度のストレス等が加わった結果、重い甲状腺機能亢進症となってしまうことがあります。

 心身症とは、心理社会的ストレスが原因となって発症したり症状が悪化したりする体の病気の総称です。同じく心理社会的ストレスによって発症する神経症、うつ病などの精神疾患とは異なり、ストレスに応じて体に明らかな器質的または機能的異常が現れる病態をいいます。心理社会的ストレスが発症や病状の増悪・改善に関わるとされる病気にはさまざまなものがあり、過敏性腸症候群、機能性ディスペプシア、本態性高血圧症、アトピー性皮膚炎、頭痛、疼痛性障害などがあります。心身症では心理社会的ストレスが重要な要因となるため、心理社会的ストレスを感じやすい生活習慣や行動様式のほか、性格や考え方のクセなどによって発症するリスクが高くなります。また、この病気は大人だけではなく0歳の乳児であっても発症することがあります。子どもの心身症は思春期を迎える頃にはピークを迎え、適切な治療を受けなければ成人になっても症状に悩まされ続けることもあります。

漢方と鍼灸

 のぼせと言っても原因は多岐にわたるので、問診ではストレス、性格、現病歴、便秘、汗、手汗、冷え、のぼせ、舌診、血圧などこまめにする必要があります。熱が上昇しやすいのはなぜか。体の中に熱が発生しやすく体の外に発散できない状態。下半身が冷えていて熱を発散できない状態。緊張しやすく熱が発生しやすい状態。ホルモンの異常による熱の発生。体質的に気が上昇しやすい。気の巡りや血熱を処理する漢方鍼灸治療になります。食養生は、降のもの、散のもの、寫のもの、寒のものから選んでお伝えします。