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PTSD

 PTSD(Post Traumatic Stress Disorder)とは、命を脅かすような強烈な心的外傷(トラウマ)体験をきっかけに、実際の体験から時間が経過した後になってもフラッシュバックや悪夢による侵入的再体験、イベントに関連する刺激の回避、否定的な思考や気分、怒りっぽさや不眠などの症状が持続する状態を指します。日本語では“心的外傷後ストレス障害”といいます。トラウマ体験後に気持ちが不安定になることは、誰しもが経験することです。しかし、1か月を経てもうまく対処できずにいる状態では、PTSDを発症している可能性があります。一方、トラウマ体験の1か月以内でも、日常生活に支障が出るほどの精神的問題が生じている場合は“急性ストレス障害(ASD:Acute Stress Disorder)”と診断されることがあります。PTSDは、トラウマ体験を経験したり目撃したりすることによって発症します。原因となりうる、その人の存在を脅かすような強いストレスを与える出来事としては以下のようなものが挙げられます。大きな自然災害(地震や津波など)に遭遇し、生命の危機に瀕ひんする。戦争、戦闘を経験する。重大な交通事故や航空事故などに巻き込まれる。暴力的な犯罪に巻き込まれる。強制わいせつ、強制性交などの深刻な性被害を受ける。学校生活で暴力的ないじめを経験する。幼少期に虐待を受ける。親友や家族などが、事故などの突発的な原因により目の前で死亡するなどです。実際にPTSDを発症するかどうかは、トラウマ体験の内容そのものから判断することはできません。同じような出来事を経験しても、ストレス反応は人それぞれであり、PTSDを発症する人としない人がいます。このことには、生まれ持った要因と育った環境が相互に影響しているのではないかと考えられています。

 症状はいくつか特徴があり、当時の記憶が突然フラッシュバックする(鮮明に脳裏に浮かぶ)ことがあります。また、悪夢を見たり、トラウマ体験を経験したときと同じような感覚を覚えたりすることがあります。原因となったトラウマ体験に関連する状況や物事を避けることがあります。たとえば、自動車事故が原因であるとき、再度自動車に乗ることを回避しようとします。トラウマ体験をきっかけに、自分や周囲の世界が変わってしまったように感じることがあります。被害者であるにもかかわらず、自分に非があるように考えたり世界中が危険だと思ったりして、誰も信用できないような否定的な考え方になります。恐怖感、罪悪感、恥ずかしさ、怒り、悲しさ、落ち込みなどネガティブな(陰性の)感情に圧倒される一方、以前なら楽しめていたことにも楽しさや嬉しさ、幸福感のようなポジティブな(陽性の)感情を感じにくくなることがあります。常に神経が張りつめて、ちょっとした物音にも驚いたり、恐怖を感じたりする状態になります。その結果、睡眠障害が起こる・物事に集中しにくくなる・ちょっとしたことでびくつく、いらいらするなどの症状がみられることがあります。薬物やアルコールなどで緊張を和らげようとするあまりに依存症(物質使用障害)に陥ることもあります。一般の人が何となくPTSDではないかと思っても、専門医からみれば、診断基準に達しない場合や適応障害などの別の精神疾患として診断されることがあります。

漢方と鍼灸

 四診に時間をかけ、証を捕え、反応が出ているツボから経絡に落とし込んで漢方鍼灸治療をしていきます。漢方は体を丈夫にしながら精神も整えていく効果があります。

発達障害(自閉症スペクトラム【ASD】、注意欠陥・多動性障害【ADHD】、学習障害【LD】)

 発達障害とは、生まれつきの脳の障害のために言葉の発達が遅い、対人関係をうまく築くことができない、特定分野の勉学が極端に苦手、落ち着きがない、集団生活が苦手、といった症状が現れる精神障害の総称です。症状の現れ方は発達障害のタイプによって大きく異なり、自閉症スペクトラム障害、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、学習障害、などさまざまな障害が含まれます。幼少期または学童期から症状が現れますが“変わり者”“怠け者”という誤った認識がなされ、見過ごされているケースも多いと考えられています。社会人になってから、不注意やミスが多いといった症状が目立つようになり初めて診断が下されるケースも少なくありません。発達障害による症状は薬物療法などである程度抑えることができるものもありますが、根本的な治療法はない症状が多いのが現状です。発達障害を抱える当事者はさまざまな場面で「生きにくさ」を感じているとされており、将来的に症状とうまく付き合いながら日常生活を送っていくには早期の段階で生活訓練などの療育を始めることがすすめられています。発達障害の原因は、生まれつきの脳の機能障害と考えられていますが、明確な発症メカニズムは解明されていません。

 発達障害の中でも発症率が高いとされる自閉症スペクトラム障害は、幼児期から他者とのコミュニケーションが極端に苦手、こだわりが強い、融通が利かない、といった症状が見られます。一方、注意欠陥・多動性障害(ADHD)は7歳頃までに、注意力が極端に散漫であり、衝動性の高い行動が見られるようになります。集団生活の場では、授業中に椅子に座っていることができずに歩き回るといった行動が見られ、学業や集団行動に支障をきたすようになることも少なくありません。学習障害は、知的水準自体は低くないものの、読む・書く・計算などの特定の分野の学習能力が極端に低いのが特徴です。いずれのタイプの発達障害も幼少期や学童期に症状が現れ始めます。特に、幼稚園や小学校などの集団生活を開始すると症状がより顕著になります。小学校低学年の頃から学業成績の低下や周囲との軋轢あつれきなどによって意欲や自信が低下するケースも少なくありません。一方で、障害のタイプや重症度によっては成長するとともに症状が目立ちにくくなることもあります。しかし、単純なミスや不注意を起こしやすいことなどで社会人になってから生きにくさを強く実感し、二次的に不安症状やうつ症状などの精神的な変調を併発することもあります。発達障害と似た症状が、脳腫瘍など脳の病気によって引き起こされることもあります。そのため、発達障害が疑われるものの脳腫瘍などの可能性も否定することが難しい場合には、頭部CTやMRIなどによる画像検査を行うのが一般的です。

漢方と鍼灸

 漢方が得意な分野ですね。原因がわからなくても証を追っていけば処方も絞られてきます。
脳の反応をとらえ経絡に落とし込んで漢方ツボを選択します。補助に食養生をつけます。

摂食性障害

 摂食障害は食行動の重篤な障害で、一般に「拒食症」と呼ばれる神経性食欲不振症と「過食症」と呼ばれる神経性過食症とに分類されます。診断基準としてアメリカ精神医学会のDSM-IVがよく用いられます。

 神経性食欲不振症は10~19才に多く40才以上は稀で90%が女性です。ダイエットや胃腸症状・食欲不振を契機に発症します。多くの場合、発症前に心理的社会的ストレスを経験しています。食事の量や回数を制限し、太りやすい食物を避けます。極端なやせ願望と肥満恐怖があります。体重・体型の認知が歪んでいて、実際はやせているのに太っていると感じ、少しでも体重が増えると際限なく増えると考えます。自己評価に対する体重・体型の過剰な影響があります。低体重の深刻さを否認し、活発に動きまわり、周囲が食事や休養を勧めても従いません。上記特徴に加えて「期待される体重の85%以下の体重」かつ「無月経」の場合に神経性食欲不振症と診断します。約半数はやがて飢餓に耐えかねてむちゃ喰いを始め、その結果生じる体重増加を防ぐために自己誘発性嘔吐、下剤・利尿剤・浣腸の乱用などの行動を行い習慣化していきます。

 神経性過食症は20-29才に多く90%が女性です。多くは発症前にダイエットを経験し、神経性食欲不振症から移行することもあります。むちゃ喰いは、一定の時間内にほとんどの人が同じ時間・状況で食べる量よりも明らかに多量を食べ、食べることを止められない感覚を伴います。体重増加を防ぐための絶食や嘔吐、下剤・利尿剤乱用などの代償行動を行います。自己評価は体型・体重に強く影響され、やせ願望や肥満恐怖、身体像の障害も伴います。むちゃ喰いと代償行動の頻度が少なくとも3ヶ月間にわたり週2回以上の場合、神経性過食症と診断します。どちらの症状にも合致しない摂食の障害は「特定不能の摂食障害」といいます。

 やせや栄養不足による症状として、無月経・便秘・低血圧・徐脈・脱水・末梢循環障害・低体温・産毛密生・毛髪脱落・柑皮症・浮腫などがあります。嘔吐があると唾液腺腫脹・歯牙侵食・吐きダコがみられます。検査値異常として低カリウム血症などの電解質異常・肝機能障害・総コレステロール上昇・低血糖・甲状腺ホルモンや女性ホルモンの低下・骨密度の低下などです。患者はしばしばこだわりが強く、過敏で情緒的に不安定となります。精神疾患(気分障害・不安障害・物質関連障害・人格障害など)の併存もよくみられます。発症後は慢性に経過するか寛解と再発を繰り返すことが多いです。

 治療には心身両面からの働きかけが重要です。治療者との信頼関係の構築、栄養状態の改善や身体症状・合併症の治療、不安や抑うつなどの情動面の改善、適切な食習慣の形成、食事や体重に関する信念や価値観の是正を行います。患者は自己評価が低く、完璧主義の傾向があり、大人になること・自立・家族との関係・対人関係・社会生活について課題を抱えています。

漢方と鍼灸

 食事内容、発症時の環境、ストレスなど、性格など問診から聞いていきます。漢方鍼灸でやれることは体を変えれば精神も変わっていくことだと思います。脳の健康と体の健康を目指していきます。

強迫性障害

 きわめて強い不安感や不快感(強迫観念)をもち、それを打ち消すための行為(強迫行為)を繰り返す。強迫症の症状を強迫症状といいます。強迫症状は、「強迫観念」と「強迫行為」があり、このふたつが存在して初めて強迫症と診断されます。強迫観念とは、きわめて強い不安感や恐怖感のことです。対象物がない不安や、「手が汚れているのではないかと気になって仕方がない」「家の鍵を閉めたか気になって仕方がない」など、ある特定の対象物に対する不安や恐怖です。強迫行為とは、強迫観念を打ち消すために繰り返し行う行為です。たとえば「手を一日に何十回・何百回も洗う」「会社に行く途中に何度も自宅に戻って施錠の確認をする」などです。普通の人でも不安感はありますが、この疾患では強迫観念・強迫行為によって日常生活に支障が出てしまいます。「施錠の確認で何度も家に帰っていたら会社に行けなかった」などです。さらにこの疾患の特徴は、自分の行動が不合理だという自覚が患者自身にあることです。そのため「自分はおかしい」「周囲から変だと思われてしまう」という恐怖から、行動範囲が非常にせまくなってしまうことがあります。治療には、抗不安薬や抗うつ薬を用いた薬物療法や認知行動療法などの精神療法が有効とされています。

漢方と鍼灸

 自律神経のつぼから異常波長をとらえ、経絡に落とし込んで漢方つぼを導き出します。漢方は病名にたいして出すのではなく、体の症状と体質(証)にたいして出すものです。

依存症

 依存症とは、日常生活に支障をきたしているにもかかわらずアルコール、薬物、たばこなどの特定の物質やギャンブル、買い物など特定の行動をやめることができなくなってしまう状態のことを指します。依存症が長く続くと周囲との人間関係が破綻したり、仕事ができなくなったりすることで経済的な困窮に陥るケースも多く、通常の社会生活を送ることができなくなります。また、アルコールの多飲や食生活の乱れなどから健康を害するケースも多く、身体的・精神的なダメージを引き起こしやすいのも特徴です。依存症は特定の物質の摂取や行動を続けることで脳に変化が生じることが原因で発症すると考えられており、さまざまな支障をきたしているものの本人は依存症に陥っていることに気付かないケースもあります。また、依存症は薬物療法、精神療法など多角的な治療が必要となり、克服できたとしても再発するケースは少なくありません。治療には患者本人の努力だけではなく、家族など周囲の人の支えも必要です。依存症は“心の弱さ”と思われがちですが、特定の物質の摂取や行動を繰り返すうちに快楽や喜びを感じる脳の回路が変化することによって引き起こされる病気です。私たちの脳は、特定の物質の摂取や行動を取ると、中脳被蓋野から前頭葉へと伸びている“脳内報酬系”と呼ばれる神経細胞からドパミンと呼ばれる物質が分泌されるようになります。ドパミンは神経を興奮させて快楽や喜び、高揚感を引き起こす物質ですが、特定の物質の摂取や行動を繰り返すと脳内でそれらを求める神経回路が形成されます。その結果、あたかも脳が“ハイジャック”されたような状態に陥って、自身では制御できないような“脳の要求”が生じ、依存症につながっていくと考えられています。また、依存症はドパミンが放出されたとしても引き起こされる快楽や喜びが次第に少なくなっていき、さらなる刺激を求めて特定の物質の摂取や行動がエスカレートするという悪循環に陥るのも特徴です。依存症は、上述したように脳の回路に変化が生じて特定の物質や行動にのめり込み、自分を制御することができなくなる病気です。その結果、飲酒やギャンブルなどが生活の中の最優先事項となり、仕事や学業、家庭生活などがないがしろになって通常の社会生活ができなくなっていきます。具体的には、引きこもりのような生活になる、家族など周囲の人との人間関係が破綻する、仕事が続かなくなったり借金を重ねたりすることで経済的に困窮するといった生活への支障が現れるようになります。また、飲酒やギャンブルなどを最優先することで睡眠や食事などの生活習慣が著しく乱れて健康を害するケースも珍しくなく、睡眠障害や抑うつ気分など精神的な支障を引き起こすこともあります。そして依存症は患者本人だけではなく、家族や知人など周囲の人を巻き込んで嘘に翻弄されたり、借金の尻ぬぐいをさせられたりすることなどによって疲弊してしまいがちなことも特徴の1つです。

漢方と鍼灸

 普段からストレスをため込まず、不安などあれば解消するように漢方を出していきます。ひどいときはブレーキが利かない状態になってしまうので脳の神経伝達を改善する漢方食養生つぼを普段から治療していくことをおすすめいたします。

統合失調症

 統合失調症は、幻覚や妄想といった精神病症状や意欲が低下し、感情が出にくくなるなどの機能低下、認知機能の低下などを主症状とする精神疾患です。日本の統合失調症の患者数はおよそ80万人程度といわれており、世界各国の報告によると100人に1人弱がかかるという比較的頻度の高い病気であると考えられています。多くは10歳代後半から30歳代頃に発症するといわれています。統合失調症の原因は明らかになっていません。脳に情報を伝える神経伝達物質(ドパミンやグルタミン酸などなど)の機能障害や遺伝、環境などが複雑に関係しているといわれています。統合失調症の発症には、複数の因子が関与し、もともと生まれる前から統合失調症になりやすい体質に加えて、環境要因やストレスなどをきっかけとして発症すると考えられています。統合失調症は原因遺伝子がはっきりしている遺伝病ではありませんが、統合失調症になりやすい体質には遺伝が関与していると考えられています。

 統合失調症の症状には陽性症状、陰性症状、認知機能障害、気分症状があります。症状はさまざまで、実際に現れる症状や時期は一人ひとり異なります。陽性症状とは、実際に起こっていないものを患者本人のみが体験する幻覚、妄想、思考の障害などの症状のことをいいます。幻覚の症状としては、周囲に誰もいないのに患者を批判したり脅したりするような声が聞こえていたり、頭の中で複数の人が会話したりするような幻聴や存在しないものが見える幻視などがあります。妄想とは、現実には起こりえないことを信じ込んでしまう状態のことです。妄想の症状としては、誰かに監視されている、誰かに悪口を言われている、いやがらせを受けているというような被害妄想や、テレビやインターネットに自分のことが流されているなどの関係妄想があります。そのほかの症状として、思考の障害や自我の障害があります。思考の障害とは、考えや行動にまとまりがなくなることです。考えをまとめることができず、めちゃくちゃな会話をしてしまったり、状況に合わないちぐはぐな行動を起こしたりします。自我の障害では、自分と外の世界との境界線が曖昧あいまいになり、自分の考えがほかの人に支配されていると感じるようになります。陰性症状には意欲や自発性の低下、あるいは感情表現が乏しくなるなどがあります。意欲の減退、喜怒哀楽などの生き生きとした感情表現が乏しくなります。友人付き合いをしなくなり、家に引きこもるようになったりします。そのほかに、入浴や着替えをしなくなり、見た目を気にしなくなるといった症状が現れます。認知機能障害とは集中力や記憶力が低下し、物事をうまく処理できなくなることをいいます。たとえば、目の前の仕事や勉強に集中できなくなったり、他人の指示どおりに物事をこなせなくなったりします。統合失調症ではこのような障害が現れ、学業や仕事、人間関係など生活全般に影響が及びます。鑑別では統合失調症に似た症状が出るほかの病気を除外することも大切です。これには、気分障害やてんかん、甲状腺機能障害などが挙げられます。

漢方と鍼灸

 自律神経のツボから経絡に落とし込んで漢方ツボの選択をします。お血が中心のものもあれば気滞や気の上昇、水滞などの病態を改善していきます。食養生も非常に大事です。脳も小宇宙ととらえバランスを整えていきます。

【脳、神経】の症状でお悩みの方に

 「もしも、親や身近な人、あるいは自分自身が【脳、神経】の病気になったらどうしよう…」そんな不安を抱いたことはありませんか。
 身近な症状としてめまい頭痛などの増加が問題となっています。年を重ねることで、認知症脳卒中なの方が増えています。成人・高齢化社会においても、脳、神経の健康は非常に重要です。

 当院の【脳、神経】の病気へのこだわりは漢方薬の選薬鍼灸の施術食養生を大切にしていることです。どこに行っても良くならなかった方の最後の砦になりたい、そんな気持ちでアドバイスさせていただきます。

【脳、神経】の病気と漢方東洋医学

めまい片頭痛・緊張性頭痛・群発性頭痛脳梗塞くも膜下出血・くも膜下出血後遺症脳動脈硬化症三叉神経痛顔面神経麻痺脳卒中・脳卒中後遺症脳動脈瘤一過性脳虚血性発作認知症(アルツハイマー性・血管性・レビー小体性)せん妄ハンチントン病パーキンソン病・パーキンソン病症候群・本態性振戦多発性硬化症水頭症てんかん帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛・ハント症候群眼瞼下垂症、その他

 自分自身や家族・同僚、友人など周りの人について「脳・神経」と思われる症状に気づいたら一人で悩まず、不二薬局にご相談ください。

■漢方の不二薬局、はりきゅう治療院 藤巻一心堂へのアクセスはこちら

■遠方の方は、オンライン(電話)でご相談いただけます。

双極性障害・躁症状

双極性障害

 双極性障害は、躁そう状態または軽躁状態とうつ状態とを反復する精神疾患です。“躁うつ病”と呼称される場合もありますが、うつ病とは別の病気です激しい躁状態を伴う場合を“双極I型障害”生活に著しい支障がない程度の躁状態を伴う場合を“双極II型障害”といいます。躁状態あるいは軽い躁状態のときは自身が病気であることに気付けない場合もあり、うつ状態だけが注目されがちであるため、双極性障害でありながらうつ病と診断されてしまう人も少なくありません。躁状態による問題行動や、うつ状態による抑うつ気分・何をしても楽しいと思えない状態により社会生活に支障が生じることもあるほか、自殺率が高いことも知られています。主に20歳代で発症することが多く、有病率は1%程度で頻度に性差はないといわれています。双極性障害では、活動的になる躁状態や軽い躁状態と、気分が落ち込み何をしても楽しいと思えなくなるうつ状態が繰り返されます。躁状態にもうつ状態にも当てはまらない時期もあります。人間には誰しも感情の浮き沈みがありますが、双極性障害における気分の波というのは一日中、毎日、何日も続き、周囲の人から見ても明らかにいつもと違うような場合のことをいいます。

 双極I型障害でみられる躁状態では、気分が高揚する、怒りっぽくなる、開放的になる、活動性が増加するなどの症状が1日の大半でみられます。一方、双極II型障害でみられる軽い躁状態は、躁状態と同様の症状が現れるものの、社会生活には支障をきたさない程度の場合をいいます。うつ状態では一日中、毎日ゆううつな気分が続く状態が2週間以上みられ、何をしても楽しいと思えなくなり、思考がうまくはたらかなくなったりします。事実とは異なるマイナスな考えが浮かぶようになる人もいます。また多くの場合、食欲が低下したり、眠れなくなったり、疲れやすいなどの体の症状も現れます。また良くなっても双極性障害は再発率が高い病気です双極性障害の原因は明らかになっていません。しかし、双極性障害の発症にはゲノム(遺伝子)が影響するといわれています。原因となる遺伝子は特定されていませんが、脳の神経細胞同士をつなぐシナプス、神経細胞からの神経伝達物質の放出、神経細胞の興奮性の調節に関わるイオンチャネルなどに関連する遺伝子とのつながりが指摘されています。

躁病(躁症状)

 自覚することなく、高まった気分や活力に基づいて行動します。エネルギーの高まりが周りから見ていても明らかで、仕事や家庭でも大きな支障が認められるような状態です。躁状態での一番の問題は、このような状態にもかかわらず自分が病気であることに気づきません。このことを病識がないといいますが、病識のなさがさらに問題を大きくしてしまい、以下のようなことをしてしまいます。不要な物を大量に買ったり、衝動的に高額な買い物をする、危険な投資や事業計画をしてしまう、社長に直訴したり、上司に怒鳴り散らしたりする、昼夜問わず友人や家族に連絡をする、見ず知らずの人と性行為におよんでしまうなど。

 躁症状は、周りからみても明らかに異様に感じます。
躁症状に認められる基本症状は、
・気分高揚・爽快気分:気分がスッキリし、ハイテンションになる。
・易怒性・易刺激性:些細な事に敏感になり、怒りっぽくなる。
・活動性の亢進:1日中活動しても疲れにくい。
躁症状に認められる周辺症状は、
・自尊心の肥大:何でもできるような気持ちになる。
・誇大妄想:自分は特別だという根拠のない思い込み。
・観念奔逸:次々とアイデアが出てきて、話がまとまらない。
・注意散漫:外からの刺激に気を取られてしまう。
・焦燥感:落ち着きのなさや焦りがみられる。
・多弁:人が話すのをさえぎって話す。
・行為心迫:何か行動をしなければいられなくなる。
・社交性の増加:友人や見知らぬ他人と交流をとろうとする。
・浪費:不要なものに大金を使ってしまう。
・性欲の亢進:普段にはみられない性的な乱れがある。
・睡眠欲求の減少:睡眠をとらなくても疲れを感じない。
などを参考にしてください。

漢方と鍼灸

 アクセルとブレーキがうまくコントロールできない状態です。脳神経の伝達を改善する漢方鍼灸が必要ですね。自律神経をみるツボから経絡に落とし込んで漢方鍼灸のツボを選択します。食養生も大事ですのでお伝えいたします。再発しやすいので焦らずにじっくり腰をすえて取り組みましょう。

うつ病

 うつ病とは、日常生活に強い影響が出るほどの気分の落ち込みが続いたり、何事にも意欲や喜びを持ったりすることができなくなる病気です。社会生活を送るうえで、悲しいことや不快なことへの遭遇を完全に避けることはできません。そのため、悲しく気分が落ち込む・やる気が起こらないといった状態になることは誰にでもあることです。一方、うつ病の場合は悲しみの誘因となる出来事がはっきりしなかったり、誘因があったとしても、通常その出来事に対する心的な反応と予測される状態よりはるかに強い症状が引き起こされたりします。また、仕事や日常生活に支障をきたすほど強い症状が現れるのもうつ病の特徴です。うつ病の原因は遺伝、ストレスのかかる出来事、薬の副作用、ホルモン分泌異常などさまざまなものが挙げられ、日本人の発症率は100人中3~7人とされています。治療の主体は薬物療法ですが、治療に難渋するケースも少なくありません。

 うつ病の明確な発症メカニズムは現時点では解明されていませんが、うつ病患者は情動行動を制御する神経伝達物質のなかのセロトニンやドパミンの機能低下が関与している可能性が示唆されています。セロトニンは心を落ち着かせ、ドパミンは活動性を高めて楽しみを感じさせるとされています。また、脳の海馬や前頭葉などの領域で学習機能に重要な“神経栄養因子”が減少していることも示唆されています。ストレスを受けるとストレスに対処するためにグルココルチコイド(コルチゾール)が分泌されますが、このホルモンが長期に過剰放出されると神経細胞が傷害されることが知られており、うつ病発症を誘起すると考えられています。一方、抗うつ薬によってセロトニンやドパミン機能を高めると神経栄養因子の機能が増強し、うつ病が回復すると考えられています。また近年では、体の軽度の慢性炎症が脳内の炎症を引き起こすことで発症するメカニズムも想定されています。うつ病では遺伝的要因も関与するとされますが、うつ病リスクを高める強い効果のある遺伝子多型はまだ同定されていません。

 うつ病の特徴的な症状は、強い悲しみや気分の落ち込みなど、いわゆる“抑うつ気分”や意欲や喜びの低下が現れることです。しかし、症状の現れ方は人によって大きく異なり、動作が緩慢になって反応が遅くなるケースもあれば、些細なことで怒りっぽくなるといった行動の変化が目立つケースも少なくありません。また、進行するとさまざまな感情を感じにくくなり、生きている実感がわかないといった症状が現れることもあります。さらに、何事も悪く考えてしまい自己否定的になったり、過度に罪責的になったりすることが多くみられます。“死にたい”と考えるようになり、実際に自殺企図や自殺を遂げるという結果になることもあります。また、うつ病はこれらの精神的な症状のみではなく、不眠や食欲低下、頭痛、消化器症状といった身体的な不調を引き起こすことが多いのも特徴の1つです。さらに、うつ病は甲状腺機能低下症や更年期障害など体内のホルモンバランスに乱れを引き起こす病気が要因となって発症することが知られています。また、ステロイド薬(上記のグルココルチコイドなど)や一種の血圧降下薬、インターフェロンなどの副作用としてうつ病が生じることもあります。適度な運動と十分な睡眠を心がける、バランスのよい食事を取る、インターネットやゲームに過度の時間を費やさないなどのライフスタイルでの心がけが予防に有効です。

漢方と鍼灸

 うつ病は漢方で良くなる方が多い疾患です。朝日とともに起床し昼寝はしない、軽い運動を汗が出るまでする。入念なストレッチを毎日おこなう。食事も発散させる食材を選びます。食養生漢方をお渡し時にお伝えします。自律神経の状態をみるツボから経絡に落とし込んで漢方やツボを選択し体の不調をとっていきます。香りも効き目を左右しますので煎じ薬をおすすめいたしております。補助剤として食養生食品も併用していただくとバランスが整います。

一過性脳虚血性発作

 一過性脳虚血発作とは、一時的に脳への血流が低下することでしびれやめまい、運動障害、言語障害など“脳梗塞”と同じ症状を引き起こす病気のことです。症状は通常1時間以内に治まって後遺症や脳梗塞に特有なCT・MRIなどの画像所見を残さないのが特徴ですが、大きな脳梗塞を発症する前兆と考えられており、注意が必要な病気とされています。一過性脳虚血発作を引き起こす原因は大きく分けると、(1)太い血管が動脈硬化(粥状硬化じゅくじょうこうか)によって狭くなった場合・(2)脳を栄養する1mmよりも細い血管(穿通枝)が狭くなる場合・(3)心房細動や弁膜症などにより心臓内に血栓ができて脳の血管に詰まる場合の3つに分類されます。そのため、一過性脳虚血発作が疑われる場合はその原因を特定し、それぞれに合った適切な治療を行うことで脳梗塞の発症を予防することが大切です。

 頸動脈をはじめとした太い血管や穿通枝は、動脈硬化によって狭くなります。そこに血栓(血の塊)ができて詰まったり狭くなったりした場合、またはその血栓の一部が血管の壁から剥がれて下流の脳の細い血管に詰まった場合に発症します。一時的に神経症状が現れますが、血栓が溶けると脳への血流が元に戻るため症状は消失します。心房細動や弁膜症などの心臓の病気によって心臓内で血栓が形成され、脳の血管に流れていくことで発症します。このような心臓の病気が原因で生じる脳梗塞は重症化するケースが多いですが、流れた血栓が小さくすぐに溶ける場合は一過性脳虚血発作を引き起こすことが知られています。脳の太い血管が狭くなったり、塞がったりすることによる血流の低下が根底にあります。一時的に血圧が下がることなどによって脳を栄養する血管の境界領域の血流が悪くなることで発症します。血圧が元に戻ると症状が改善するのが特徴です。これらの症状は5~10分ほど継続して消失するのが一般的で、1時間以内に消失することがほとんどです。しかし、一過性脳虚血発作を発症すると48時間以内に脳梗塞を発症することが多く,発症後90日以内に脳梗塞を発症するリスクは15~20%にも上るとの報告もあるため、発症原因を速やかに精査して治療を開始することが大切です。

漢方と鍼灸

 生活習慣病を見直すことから始めましょう。すでに症状や兆候が出ている方は病院で検査をしてもらいましょう。漢方でできることは血栓を緩やかに溶かしたり、血流を改善したり生活習慣病を良くしたりできます。また出血が怖い方は、血管を丈夫にしたり止血の働きを持っている漢方を上手に使いましょう。