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月経痛(生理痛)

 「月経痛(生理痛)」は厚くなった子宮内膜がはがれる時に、内膜からプロスタグランジンという物質が出ることで起こります。プロスタグランジンには子宮を収縮させたり、腸の動きを活発にしたりする働きがあり、痛みも引き起こします。そのため、子宮が収縮して内膜を排出する際に、お腹や腰が痛くなることがあります。

月経痛(生理痛)の原因

・プロスタグランジンの生成量が多くなる
生理中は、子宮を収縮させ、はがれ落ちた子宮内膜を血液とともに「経血」として体の外に押し出す働きをするプロスタグランジンが作られます。プロスタグランジンが多いと、子宮の収縮が過剰になって陣痛のような下腹部や腰の痛みの原因になります。さらに、このプロスタグランジンの一種には痛みを強めるなどの作用があるので、頭痛や腰痛の原因にもなります。
・子宮の出口がせまいこと
若い女性や出産経験のない女性に多い原因です。子宮の出口がせまいために、経血がスムーズに外に流れにくいことから痛みを感じます。出産を経験すると、子宮の出口が広がるため、生理痛が軽くなる場合もあります。
・冷えによる血行不良
体が冷えると、血液の循環が悪くなり、痛みの元となるプロスタグランジンが骨盤内で滞ってしまうので、痛みが強くなります。そもそも生理がはじまると、体温は生理前よりも下がるうえ、プロスタグランジンの働きで血管が収縮するので、血行が悪く、体は冷えやすい状態になります。ひざ掛けをかけたり、使い捨てカイロを貼ったりして、下腹部や腰を温めましょう。
・精神的・身体的ストレス
ストレスは、ホルモンや自律神経のバランスを崩し、血行を悪くさせ、痛みを強めます。また体温調節の機能なども低下させるので、冷えが起こりやすくなります。生理中は、睡眠不足や過度な緊張は避け、のんびり過ごしましょう。

 おそらく多くの方が生理は面倒なもの…と思うことがあるかもしれません。しかし、体の仕組みを考えると生理はとても素晴らしい機能です。定期的に体内の不要なものを「デトックス」できるというのは、体にとってはとても良いことです。

漢方と鍼灸

 月経痛(生理痛)の原因は経血の滞りと不足、冷え、ストレスなど様々あります。
まずしっかり生理痛の原因を理解して、生理痛・女性ホルモンの反応穴から最適な漢方食養生サプリツボを選択して改善していきます。

萎縮性膣炎

 萎縮性膣炎とは、閉経前後に女性ホルモン(エストロゲン)の低下により、膣の壁が乾いてただれる疾患です。 萎縮性腟炎の主な症状として、黄色い不快なおりものが出たり、性交痛があります。 尿意切迫感・頻尿などの下部尿路の萎縮症状や尿道炎・膀胱炎などの下部尿路の感染症状の原因にもなります。これらの症状は閉経後性器尿路症候群(Genitourinary syndrome of menopause;GSM)とよばれます。

 閉経後は、膣の内壁が乾燥しやすくなります。これは、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少することで、それを餌にしていた乳酸桿菌(デーデルライン桿菌 )という乳酸菌の一種がなくなって、常在菌のバランスが崩れることで生じます。健康な膣には主に6種類の常在菌が活動しています。その中でも乳酸桿菌(デーデルライン桿菌 )は、膣上皮のグリコーゲンを乳酸に変えて、膣をpH4.0前後の酸性に保ち、病原細菌の増殖を防ぐ役割を果たしています。これを膣の自浄作用といいます。
ところが、主に閉経後に女性ホルモンのエストロゲン量が低下すると、乳酸桿菌(デーデルライン桿菌 )が減少して膣のpHが上昇するため、自浄作用が弱くなり、病原細菌が繁殖しやすい環境となります。また、エストロゲンの低下によって膣壁が薄くなるため、膣が乾燥するとともに、コラーゲンの減少により柔軟性が低下し、傷つきやすい状態となります。
また、コラーゲンの減少により、膣の弾力やハリも失われます。

西洋医学的治療

 症状により、ホルモン補充療法(膣錠、内服薬、貼付剤)などの治療が行われます。

漢方と鍼灸

 漢方では、まずは潤いを増やすことをしていきます。また、根本治療は女性ホルモン様作用の漢方薬を合わせます。膣が潤うことでその前後にある尿道や肛門の保湿力も高まり、免疫力アップにもつながります。
女性ホルモンの反応穴から経絡に落とし込んで漢方食養生ツボを選択しお出しします。

耳管開放症

 耳管開放症とは、中耳と鼻の奥にある咽頭を交通する耳管が常に開放、あるいはそれに近い状態になるために、自分の声が響いたり(自声強調)耳がふさがった感じ(耳閉感)がしたりする病気です。中耳と咽頭を交通する耳管は中耳の圧力を調整するはたらきがあります。日常における多くの時間、耳管は閉じており中耳と咽頭の交通は断たれていますが、ものを飲み込んだときや、あくび、鼻をかむなどの動作をしたときに耳管は開きます。耳管が開いたときに中耳の圧力が咽頭の圧力、すなわち大気圧と同じになります。耳管開放症では、症状発現に先行して急激な体重減少を経験していることが多いです。これはダイエットやストレス、肝硬変や心・腎疾患、消化管の手術などによって急激に体重が減少すると、耳管周囲の脂肪組織も減少することによって常に耳管が開いている状態になってしまうからです。その他、急性中耳炎の後遺症や、吹奏楽器の演奏後に発症することもありますが、原因が分からないことも多いです。耳管開放症では、常に耳管が開いている状態のため、自分自身の声や呼吸音、心臓の音などが開放された耳管を介して大きな音として感じられるようになります。「自分の声が大きく響く」症状は、「自声強調」と呼ばれます。また、自分自身の呼吸音や心臓の音以外にも鼓膜がぺこぺこと動く音が聴こえることもあります。そのほか、めまいや難聴などの症状を認めることもあります。耳管開放症に関連した症状は、下を向くことで緩和することも特徴的です。下を向くと耳管の周囲に血液が滞ることになり、それに付随して耳管も狭くなり開放感が軽減されることで症状が緩和すると考えられています。また、耳管開放症では、症状を軽減するために鼻すすりを常に行う方もいますが、鼻すすり癖によって中耳の内圧が減少し、滲出性中耳炎や場合によっては真珠腫性中耳炎を発症させることもあるため注意が必要です。耳管開放症の検査では、耳鏡や顕微鏡、あるいは耳用の内視鏡によって鼓膜を観察することが重要です。深呼吸や会話に一致して鼓膜の動揺が観察されます。ティンパノメトリー(外耳の圧力を人為的に変化させて、それに関連した鼓膜の動きを測定する検査)では正常な状態を示しますが、耳管機能検査では、嚥下に一致して耳管開大持続時間の延長が認められるため診断に重要です。耳管開放症はストレスや生活スタイル(ダイエットなど)が原因になることがあるため、誘因となっている状況を改善することが大切です。保存的な治療として、点鼻薬や漢方薬などがあります。また、直接、ホウ酸やサリチル酸、グリセリンなどをカテーテル通気管を介して耳管内へ投与することで、耳管の粘膜に炎症を起こして耳管を狭くする治療もあります。さらに、鼓膜の振動を緩和させることを目的に、鼓膜にテープを張る治療も有効とされています。一方、手術的な治療として、鼓膜を切開して鼓膜側の耳管から耳管を狭くするためのシリコン製の耳管ピンを挿入する手術や、咽頭側の耳管から自分の脂肪組織を挿入する手術もあり有効性も高いですが、専門的に耳管開放症の治療を行っている施設に限られています。

漢方と鍼灸

 耳管閉塞症に加味帰脾湯が効いた、だから他の方にも効く。ですが実際効かない方もいます。これは本来東洋医学の考え方ではありません。証をとらえ、その病態になった経緯、引き起こした原因など考慮しなければその方に合った漢方になりません。脾が弱って起きた病気なら他にも治る方法はあります。耳管の反応穴、体質改善の反応穴をとらえ漢方食養生ツボを選択し改善していきます。

7月のお休みと営業時間

[お休み]
7月1日(月)・7月8日(月)・7月15日(月)・7月22日(月)・7月29日(月)

【営業時間】
火~金曜日:10時~19時
土・日・祝祭日:10時~17時(来店前に要確認)

ご予約: 03-3300-0455 までお電話ください。

七夕も蒸し暑い日も、リラックスしてお過ごしください。

貧血(小球性貧血・正球性貧血・大球性貧血)

 貧血はさまざまな病因で起こりますが、赤血球を作る素材が不足している、造血機能が十分に働かない、赤血球の破壊が亢進している(溶血)、出血しているなどがおもな原因です。

 ヘモグロビン低下により貧血と判断された場合には、まずは貧血の分類を確定し原因の検索をしていきます。この分類の指標となるのがMCV(MCVは赤血球の平均体積を表す指標)です。赤血球の大きさを表し、RBC(血液中の赤血球の数)とHt(血液に占める赤血球の割合)によって決められます。

MCVによる分類は、次の3つです。

 ① 80fℓ未満であれば[小球性貧血]
 ② 80fℓ以上100 fℓ未満であれば[正球性貧血]
 ③ 100fℓ以上であれば[大球性貧血]

 小球性貧血は、赤血球が正常よりも小さく、ヘモグロビンの材料が足りないために起こり、大球性貧血は、逆に赤血球が正常より大きく、赤血球細胞を作る過程で必要な物質が足りないために起こります。
正球性貧血は、赤血球の大きさは正常で、出血や溶血、造血機能の異常などの要因で貧血になっているケースです。
 頻度としては、小球性→正球性→大球性の順になります。
小球性貧血(MCV80未満)のおもな病因としては、鉄欠乏性貧血や慢性疾患などが考えられますが、前者であることがほとんどです。
 これを鑑別するには、フェリチン(血清フェリチン)をチェックします。ほかにチェック項目として、血清鉄(Fe)、総鉄結合能(TIBC)などもあります。
 フェリチンとは、鉄とアポフェリチンが結合した鉄貯蔵蛋白で、組織鉄の貯蔵とFeの維持を図っています。フェリチンのみが低下していて、ヘモグロビンが正常である場合は、潜在性鉄欠乏であるといえます。いずれも、相対的に女性に多くみられます。
 フェリチンが高値を示している場合は、貯蔵鉄が増加している鉄芽球性貧血、悪性腫瘍、血球貪食症候群などが疑われます。
 鉄欠乏性貧血の原因で最も多いのは、消化器または子宮など女性器からのジワジワと長期に及ぶ慢性出血か、鉄の摂取不足です。

 正球性貧血(MCV80以上100未満)の場合、急性出血、溶血性貧血、再生不良性貧血、白血病などがおもな病因として挙げられます。赤血球の過剰な喪失や骨髄の造血能が低下しているために起こります。

 大球性貧血(MCV100以上)は、ヘモグロビンの材料はあるものの、必要な因子が欠乏・不足して造血できなくなる状態といえます。不足しがちな因子としては、ビタミンB12、葉酸、銅が考えられます。このようなとき、赤血球は巨赤芽球性状態です。

漢方と鍼灸

小球性貧血…鉄分を補う、血管の状態を改善する
正球性貧血…炎症を起きないようにする、炎症を修復する、自己抗体を低下させる
大球性貧血…葉酸、ビタミンB12の吸収を改善する

 原因がわかればそれもふまえながら、お体に必要なものを探していきます。
セルフチェックはまぶたの裏をみます。爪の先が割れやすいかも。胃の状態も鉄の吸収に影響を与えていることに気が付かない方も多いので胃もみます。
胃、脾臓、骨髄の反応穴から最適な漢方食養生サプリツボを選択し治療していきます。

高プロラクチン血症

 脳下垂体のホルモンバランスが崩れて、妊娠中や授乳期でないのにプロラクチン(乳汁分泌ホルモン)が多量に分泌されるホルモンの異常です。プロラクチンが高くなる原因にプロラクチン下垂体腺腫、甲状腺機能低下症や薬剤性によるものが多いです。またストレスがかかったりすると高プロラクチン血症になることがあります。妊娠中・授乳期ではない時であれば、正常値は約15ng/mL 以下とされています。

プロラクチン(乳汁分泌ホルモン)について

 プロラクチン(乳汁分泌ホルモン)は、授乳中に高くなるホルモンです。プロラクチン(乳汁分泌ホルモン)が高いと、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)の分泌が抑えられ、排卵が抑制されます。ですから、授乳中に生理の周期が不順なのは、プロラクチンの影響なので心配ありません。授乳で体力を使うので、自然と体は妊娠しないようにできています。妊娠期・授乳期だけでなく、夜間、食後、排卵期周辺で血中のPRLは高くなります。

高プロラクチン血症による症状

・妊娠していないのに母乳が出る
・月経異常(黄体機能不全、無月経)、不妊
・男性では性欲低下
・頭痛や視野障害

西洋医学での治療

・カバサール、パーロデル、テルロンなどの薬
・薬剤性で高プロラクチン血症になっている場合、その薬剤の減量または中止
・脳下垂体腫瘍の場合は外科的手術

漢方と鍼灸

 お血の改善を考えていきます。自律神経、プロラクチン、女性ホルモン、各症状部位、甲状腺ホルモンの反応穴から漢方食養生ツボを選択し、治療していきます。

卵巣嚢腫

 卵巣嚢腫は、卵巣の良性腫瘍です。中身が液体で軟らかいので触ってもわかりにくく、初期には自覚症状はほぼありません。大きくなってお腹が出てきて初めて気づいたり、健診で見つかったりすることがほとんどです。
『チョコレート膿腫』…子宮内膜症の一種です。これは子宮内膜様組織が卵巣に飛び火し、卵巣の袋(嚢胞)の中に古い血液がたまってドロドロのチョコレートのような状態になることからそう呼ばれています。
『漿液性嚢胞腺腫』…嚢胞の中にサラッとした透明の液体が入っています。
『粘液性嚢胞腺腫』…粘々した液体がたまっています。
『嚢胞性奇形腫』…20~30代に多く、皮膚や髪の毛・歯・脂肪などが詰まっています。卵巣にある卵子が勝手に増殖して歯などを作ってしまいます。
6㎝以上になると、「茎捻転」といって、突然、膿腫がねじれて激しい腹痛を起こすことがあります。

診断

 婦人科診察、超音波検査、腫瘍マーカー測定を行い、大きなものや手術を検討する場合はMRI検査やCT検査などの画像検査が行われます。

西洋医学による治療

 長径4~6㎝以上の卵巣嚢腫では、捻転や破裂のリスクが高いため、手術になることがあります。

漢方と鍼灸

 ご相談で多いのは、子宮内膜症(チョコレート膿腫)です。お血の漢方、膿を出す漢方が中心となります。子宮や卵巣の周りを綺麗にするイメージで漢方を組み立てていきます。子宮まわり、卵巣、女性ホルモンの反応穴から漢方食養生ツボを選択し、治療していきます。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

 毎月ひとつの卵子が育って、ひとつ排卵するのが正常です。しかし、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)だと、10~20個の卵子がいっぺんに育つのにどれも大きく育たないで排卵しません。その理由は、卵巣で妨げる働きをする男性ホルモン(アンドロゲン)が沢山作られてしまうためです。こういう状態のときは男性ホルモン(アンドロゲン)が多く分泌されることから、毛深くなったり、ニキビが増えたりすることもあります。
 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は排卵障害の一つになります。排卵障害を抱えていると、月経周期がどんどん長くなる傾向があります。排卵がないということはホルモンが正常に働いていないということです。卵巣の中に沢山の嚢胞が出来て、排卵しにくくなった状態です。多嚢胞性卵巣(PCO)の状態になります。
 ホルモンが働かないと子宮内膜がきれいに剥がれ落ちずに、子宮の中でそのまま残ってしまうことがあります。ずっと残った子宮内膜が子宮体がんの原因になることがあります。もし子宮体がんになっていなくても、ずっと残った子宮内膜が、あるとき一気にはがれると出血が多くなることがあります。

 2024年に日本産科婦人科学会から、「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の新しい診断基準」が公表されました。
⑴ 月経周期異常(無月経、稀発月経、無排卵周期症)
⑵ 多嚢胞卵巣またはAMH高値
⑶ アンドロゲン過剰症(採血によるアンドロゲン高値または男性型多毛)またはLH高値(肥満例では下垂体からのゴナドトロピン分泌能が低くなるので、LHを用いずにLH/FSH比で判定)
※以上の3つを満たすものが多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)になります。

西洋医学による治療

 西洋医学的には、黄体形成ホルモン(LH)値が高く、卵胞刺激ホルモン(FSH)は正常範囲内で、ホルモンバランスがLH>FSHという状態です。
男性ホルモン値の高値(高アンドロゲン血症)、インスリン抵抗性、肥満なども関係していることがあるようです。
 多嚢胞性卵巣症候群では、妊娠の希望がある場合もない場合も、ホルモンバランスを正常に戻すことが大切になります。妊娠の希望の有無によって治療の方法がかわります。
妊娠の希望がある場合:排卵誘発剤(クロミフェンなど)を用いて、排卵を起こします。排卵誘発剤が有効でない場合や効きすぎて卵が育ちすぎてしまう場合には、妊娠に結びつく卵の数を制御するために体外受精治療や腹腔鏡下に卵巣の一部を焼灼する治療が行われます。
妊娠希望がない場合:定期的に月経を起こすために、ホルモン剤が使用されます。月経の間隔が長い状態では、特に30代以上になると、子宮体がん(子宮内膜から発生するがん)のリスクが高くなります。

漢方と鍼灸

 お血を改善することを主に考えながら、身体全体の調子が整うように免疫を調整していきます。
お血は、体に必要な栄養分を隅々まで送り届ける「血」の流れがスムーズに行かず停滞していることです。免疫は、内分泌と自律神経を調節していきます。卵巣の反応穴、卵胞ホルモン・黄体ホルモン・女性ホルモン全般の反応穴、自律神経の反応穴、根本療法の反応穴、免疫の反応穴から漢方食養生ツボを選択して改善していきます。

養生

 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の養生法は食事がメインになります。まず、急激に血糖値を上げる食生活は控えることがおすすめです。お菓子や、精製された小麦は減量します。お菓子や精製された小麦を食べる前に野菜を食べたり、食後にお菓子を少したべるようにします(血糖値が急激に上がることを緩和します)。
油については、トランス脂肪酸を多く含む食べ物は気をつけます。マーガリンやショートニングはなるべく摂らないようにします。
また、動物性たんぱく質(なかでも肉類)を食べ過ぎないほうがよいです。動物性たんぱく質(肉)の量を減らし、植物性たんぱく質(大豆類)の摂取を増やします。魚や卵は体に悪い影響を与えないのでおすすめです。

心筋症

 心筋症とは、心筋(心臓の筋肉)にダメージが加わることで心臓の機能が低下する病気の総称です。心筋にダメージが生じる原因は多岐にわたりますが、心筋症は心筋にダメージを引き起こす心筋梗塞などの病気が原因となる“特定心筋症”と、原因がはっきりしない“特発性心筋症”の2つに大きく分類されます。特発性心筋症には“肥大型心筋症”、“拡張型心筋症”、“拘束型心筋症”などがあり、重症度などはそれぞれ異なりますが、重症なケースでは心臓の機能が著しく低下するため心臓移植などが必要となったり、不整脈を引き起こして死に至ったりするケースも少なくありません。いずれのタイプでも心筋症と診断された場合は、医師の指示に従って適切な治療や経過観察を続けていくことが大切です。心臓は全身に血液を送り出すはたらきを担っているため、心機能が低下すると全身にさまざまな症状が引き起こされます。
 特定心筋症の原因としては、心筋への血流低下を引き起こす心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患、心臓弁膜症、高血圧症など心筋に負担がかかる病気のほか、サルコイドーシス、自己免疫疾患、筋ジストロフィーなど心筋に異常が生じる病気が挙げられます。また、抗がん剤などの副作用やアルコール多飲なども心筋症の原因になることもあり、強いストレスがかかることで発症する“たこつぼ型心筋症”や、出産後に発症する“産褥期心筋症”なども特殊な心筋症として知られています。
 一方、特発性心筋症には遺伝の関与が指摘されている“肥大型心筋症”、免疫の異常や遺伝の関与が指摘されている“拡張型心筋症”、原因が不明とされる“拘束型心筋症”や“不整脈源性右室心筋症”などがあります。

 心筋症の症状は、心筋症のタイプや心筋のダメージの程度によって大きく異なります。
特発型心筋症として知られる肥大型心筋症は心筋が厚くなる病気で、心不全や不整脈をきたしますが、自覚症状がない例もあります。一方、拡張型心筋症は心筋の壁が薄くなって広がっていくのが特徴であり、心臓の収縮力が低下していくため最終的には心不全に至り、息切れやむくみなどの症状を引き起こします。また、拘束型心筋症は心筋が硬くなり、広がりにくくなるため、心ポンプ力の低下がみられます。不整脈源性右室心筋症は、右心室の心筋の組織が変性することで動きが悪くなるのが特徴であり、命に関わるような不整脈を引き起こすことが知られています。なお、特定心筋症の症状は原因となる病気や重症度によって現れる症状は異なりますが、多くは心筋の収縮力低下による心不全症状や不整脈などを引き起こします。心筋症が疑われる場合は次のような検査が行われます。心臓の状態を把握するための画像検査が必要になります。一般的には心臓の大きさを評価するための胸部X線検査が行われ、状況に合わせてCTやMRIによる精密検査が行われます。狭心症などが原因と考えられる場合は血管造影検査が行われることもあります。心不全の程度などを示す指標として知られるBNPの計測などを行うために血液検査を行います。心筋症は不整脈を起こすこともあるため、心電図検査が行われます。場合によっては一定の運動を行った後に心電図を記録して、心臓への負担を評価する検査を行うこともあります。心臓の機能、弁の動き、心筋の動きなどを評価するために心臓超音波検査を行うのが一般的です。この検査は、診断だけでなく重症度の判定にも有用とされています。また、より詳細な心機能の評価などが必要な場合には、カテーテル(医療用の細い管)を血管内に挿入して心臓に至らせ、造影剤を注入する心臓カテーテル検査を行うこともあります。心筋の一部を採取して顕微鏡で詳しく調べる検査です。心筋症のタイプを特定するのに有用な検査であり、特に心臓移植を考慮する場合は特定心筋症との鑑別を行うためにも必要です。

治療

 心筋症の治療法は心筋症のタイプによって異なりますが、原因がはっきり分からない特発性心筋症は根本的な治療法がないため、心臓の負担を減らすための薬剤や血栓(血の塊)の形成を予防するための薬剤などを用いた薬物療法が行われます。また、心臓の機能が低下して心不全に至るような場合には心臓の収縮をサポートするペースメーカーを植え込む手術を行うこともありますが、拡張型心筋症などでは最終的に心臓移植が必要になるケースも少なくありません。特定心筋症の場合にはそれぞれ原因となっている病気の治療を行うことで心筋症の改善につながるケースがあります。また、心筋症は不整脈を引き起こすこともあるため、命に関わる不整脈が出る可能性がある場合には抗不整脈薬による薬物療法のほか、カテーテル治療や除細動器の植え込みが行われることがあります。心筋症にはさまざまなタイプがあり、原因は多岐にわたります。原因がはっきり分からない特発性心筋症は予防が難しいと考えられますが、何らかの病気や生活習慣などが原因で引き起こされる特定心筋症はそれらの原因を改善することで発症を予防することが可能です。具体的には、心筋梗塞や狭心症、高血圧症など心臓に負担を与える病気を予防するために食事や運動、睡眠などの習慣を整え、禁煙を目指すなどの対策が有用です。また、上述したようにサルコイドーシスなど心筋に変化を及ぼす可能性がある病気と診断された場合は、医師の指示に従って治療を継続していくことが心筋症発症の予防につながります。さらに、心筋症は強いストレスやアルコールの多飲などによって引き起こされることがあるため、これらの生活習慣を改善することも大切です。

漢方と鍼灸

 心臓、免疫、肺、自律神経、腎臓、肝臓の反応穴などから異常波長をとり、漢方食養生ツボを選択していきます。心筋は横紋を有する不随意筋です。横紋を有する点は骨格筋に、不随意の点は平滑筋に類似し、骨格筋と平滑筋の中間に位置する筋肉であると言われています。各細胞が分岐して相互に網状につながっている点が特徴で、これらのつながり部分を介在板( intercalated disk )といいます。この部分の電気抵抗は極めて低く、活動電位は極めて容易に伝導します。したがって洞房結節のペースメーカー細胞で発生した活動電位は短時間のうちに心臓を形成しているすべての心筋細胞に伝わります。ミトコンドリアを多く含むことも心筋細胞の特徴といえます。心臓は生涯休むことなく拍動し続けますが、この拍動に必要なエネルギー(ATP)を作り出しているのがミトコンドリアです。ミトコンドリアが効率よく働くには酸素が必要です。一般に、哺乳動物成体の心筋には筋小胞体や横行小管系( T細管、transverse system、T-system)もよく発達しています。筋小胞体はT細管と各所で接触しますが、これらの結びついた構造を ダイアッド diad と呼びます。これらの構造が心筋の活動電位が収縮を引き起こす際に重要な役割を果たします。

【症例】長年高血圧で心臓が肥大しご相談、漢方食養生を続けて1年、縮小を認める報告を受ける。

HSP(Highly Sensitive Person)

 HSP(Highly Sensitive Person)とは、生まれつきとても感受性が強く、敏感な気質を持った人のことです。
HSPの脳の特徴として言われているのは、扁桃体の過剰反応です。扁桃体は脳の側面にある側頭葉の内側にある神経細胞で、その形がアーモンド(扁桃)の形をしていることからこう呼ばれています。扁桃体は感情の処理に重要な役割を果たしており、とくに「不安」「恐怖」「怒り」「緊張」といったネガティブな感情に関わっています。
 たとえば、ある刺激に対して「嫌だ」「不快だ」と扁桃体が判断を下すと、ストレスホルモンが分泌されます。その結果、心拍数が上がる、血圧が上がる、ドキドキする、手足が震える、汗がでる、吐き気がする、といった身体の反応(情動行動)が起こります。
HSPの場合は、この扁桃体が過剰反応を起こしがちです。だからHSPの人は不安や恐怖を感じやすいし、動揺したりパニックになりやすくなります。
 扁桃体の過剰な反応が慢性的に繰り返し起こると、うつ病や不安障害にもつながります。こうなるとストレスホルモンの分泌が過剰になって、脳の様々な機能に悪影響が出たりもします。そうしたことが身体の不調となって現れます。
 ほとんどの人はアンバランスな心の状態を抱えて生きています。自分だけと悩むのではなく、体調が良くないときは少し乱れているだけなのかもしれないと思うことが気持ちを楽にしてくれるかもしれません。

HSPと腸内細菌

 私たちの身体の中にはものすごい数の微生物が棲んでいます。健康でいられるのは微生物のおかげです。こうした微生物のうち腸内(大腸)に棲みついたものを「腸内細菌」「腸内フローラ」といったりします。消化管(とくに腸)は「第二の脳」とも呼ばれています。
ギャバ、セロトニン、ドーパミンといった脳内物質を作り出す腸内細菌のことを「サイコバイオティクス(精神活性化微生物)」といいます。
 腸が健康な時には気分がいいし、危険な病原体が侵入すると不安になります。この腸と気分の関係をつなぐものが腸内細菌になります。腸内細菌は、脳と腸の連絡役をするホルモン、神経伝達物質、免疫物質を作り出します。
 「腸内環境」について漢方で考えると、気・血・水のうち「気」の影響を受けやすい臓器が胃腸にあたります。胃腸は漢方では五臓でいうと「脾」に分類され、消化吸収の働きをコントロールし、栄養を行き渡らせる役割を担っています。
 また、気・血・水の「気」を作る場所と考えられているので、胃腸が不調だと、気が不足する「気虚(ききょ)」の状態になりやすく、やる気がでなかったりクヨクヨしやすくなって、気持ちの面に影響がでやすくなります。

脳と腸と食物繊維

 食べ物によって体内の栄養を維持することはもちろん大切です。同時に腸内細菌を介して脳の健康を維持することがとても大事だということが分かってきました。
 また、脳の異常(例えばうつ状態、ストレスによる刺激、将来の心配などの不安を抱える)は神経やホルモンを介して腸内細菌にも影響を与え、それが健康全体を損なわせることもあります。
食物繊維いついてはダイエットや血糖値の観点から、盛んに摂ったほうがいいと言われてきました。今では、食物繊維は有益な腸内細菌を増やすのに役立つと考えられています。
 健康な脳の働きは私たちの行動を正常にし、認知、感情などを正常に保ちます。また、これは腸を健常にします。また、腸内の免疫細胞とその活動を健常に保ちます。
食物繊維は良い腸内細菌を増やしてくれます。また、食物繊維は生体にとって貴重なビタミンを作り出します。食物繊維は大腸まで行って、腸内細菌で分解されて、栄養素になります
 精製された粉末で作ったパンよりも玄米、ジュースにしたものより果物そのものを食べることが食物繊維を含んでいて、おすすめです。

漢方と鍼灸

 自律神経の反応穴、脾や胃、小腸、大腸の反応穴から漢方食養生ツボを選択し治療していきます。漢方では一物全体と言う食養生の基本的な考え方が有ります。
魚は頭から尻尾まで食べます。小魚を頭ごと内臓まで食べるのが理想です。漢方や鍼灸治療には、食養生も大切だと感じます。

・半夏厚朴湯(半夏・厚朴・紫蘇葉・茯苓・生姜)『金匱要略』
咽喉部に炙った肉片がくっついているように感じる方に使います。厚朴は緊張を緩め、半夏は鎮静作用があります。紫蘇葉は気分を晴れやかにします。
・桂枝竜骨牡蛎湯(桂枝・芍薬・生姜・甘草・大棗・竜骨・牡蛎)『金匱要略』
桂枝湯に竜骨と牡蛎が加わった方剤です。竜骨・牡蛎には鎮静作用・抗不安作用があります。
・香蘇散(紫蘇葉・香附子・陳皮・甘草)『和剤局方』
感情の抑うつ、精神的な緊張を緩めます。紫蘇葉と香附子は気鬱を散じ、気を快くする作用があります。
・逍遥散(柴胡・芍薬・白朮・茯苓・薄荷・当帰・甘草・生姜)『和剤局方』
四逆散の加減法と考えられ、当帰・白朮・茯苓が加わり、四逆散に当帰芍薬散を合方したような方剤です。
・安神復元湯(黄耆・人参・当帰・柴胡・升麻・黄連・黄芩・黄柏・知母・防風・万荊子・麦門冬・茯苓・酸棗仁・川芎・甘草・枸杞子・竜眼肉・遠志)『寿世保元』
・延年半夏湯(半夏・生姜・桔梗・呉茱萸・前胡・別甲・枳実・人参・檳榔子)『外台秘要』
・四物安神湯(当帰・芍薬・熟地黄・地黄・人参・白朮・酸棗仁・黄連・茯苓・麦門冬・竹茹・山梔子・辰砂・鳥梅・大棗・炒米)『万病回春』
・鍼砂湯(鍼砂・牡蛎・茯苓・桂枝・人参・白朮・甘草)『原南陽』
・茯苓補心湯(茯苓・人参・白朮・当帰・地黄・酸棗仁・麦門冬・芍薬・陳皮・黄連・甘草・辰砂・大棗・鳥梅・浮麦)『万病回春』
など(薬局製剤以外も含む)