本文へ

 

admin@fuji-kampo

登校拒否・ひきこもり

 家族以外との人間関係がなく、社会参加をしていない状態を指します。必ずしも家に閉じこもっているわけではなく、外出をするような方でも家族以外の方との親密な対人関係がない状態は引きこもりに含まれます。不登校をきっかけとして、ひきこもりになる方もいますし、退職をきっかけとしてひきこもりの状態に陥ることもあります。どなたであってもひきこもりの状態になる危険性があり、大きな問題のない一般的な家庭でも起きてしまいます。ひきこもりになってしまうと、社会的な適応度が著しく低下します。さらに、長期化するとともに、精神症状や二次的な問題行動を引き起こしてしまう可能性があり、一生を棒に振りかねない状況におちいる場合すら珍しくありません。正確な情報に基づいて注意喚起を行い、抜け出したいと望む方には適切な支援がなされるように窓口を整備し、正しい介入を行うことが重要です。ひきこもりのきっかけとして大きいのは「不登校」と「退職」です。学生時代に不登校となり、そのまま卒業や退学になってひきこもりになってしまうパターンが多いことが知られています。また近年増加傾向にあるひきこもり状態は、会社を退職してから生じるものです。ひきこもりの原因として、生物学的脆弱性(ストレスなどに弱い性質)やトラウマとの関連については指摘されていません。また、遺伝との関連についても指摘されていません。ただ、性格的に内向的・非社交的な場合にはひきこもりになりやすい傾向があります。しかし、それ以外の方がひきこもりにならないかというとそういうわけでもなく、誰でもひきこもりになりえることが知られています。ひきこもりとは、社会との密接な関係性がなくなっている状態を指します。そのため初期の段階では家族以外の方と密接に関わらない状態で認識されますが、ひきこもり状態が長期化すると、周囲からの批判や自責の念によって、ひきこもっている本人に非常に大きなストレスがかかります。そうしたストレスや孤立状況(それ自体が病態形成的に作用します)に対する反応として、さまざまな精神症状が生じます。ひきこもりでは、高頻度に対人恐怖を認めます。他者によくない印象を与えるのではないか、という葛藤が強い不安をもたらします。その延長線上で、自己臭(自分の体から臭いが出ていて人から避けられる)、醜形恐怖(自分の顔や体がみにくいので人から避けられる)、さらに被害関係妄想(他者に悪く思われているに違いないという確信)や被注察感(周囲に見られている)、などの症状が出現することがあります。強迫観念(頭からある考えが離れない状態)や強迫行為(強迫観念から生まれた不安にかきたてられて行う行為)もよく起こる症状の一つです。その他、抑うつ症状や不眠、自殺念慮、摂食障害、心身症状(心が原因となって身体の不調が現れる症状)、心気症状(病気にかかっていると思い込むような症状)などが起きることがあります。また、家庭内暴力も多く見られ、ときに刑事事件に発展する場合もあります。ひきこもりを引き起こす原因となった精神疾患が隠れているような場合があります。たとえば、統合失調症や発達障害がひきこもりの裏に隠れている可能性があるため、注意してみていく必要があります。精神疾患がある場合には、原疾患、つまりひきこもりの根本にあるそれらの病気を診断し、それに対して治療をすることが望ましいです。ひきこもりはどんな方でも発症する可能性があると考えられており、未然に発症を予防することは現時点(2017年時点)では難しいと考えられています。そのため、ひきこもり状態になってから何らかの介入を行う、ということが一般的になります。ただし、医療の介入を必要とするかどうかは、本人や家族がひきこもりに対してどう思っているのか、が重要になります。本人がその状態に自足していて一人で充実した活動をしていたり、順調に何らかの成果を出していたりする場合に医療の介入は必ずしも必要ありません。本人がひきこもりをやめたいのにやめられない、周囲に対しても問題を及ぼしている状態では、何かしらの介入が求められます。ひきこもり対応の基本は、「ひきこもった原因を探すこと」ではありません。「何が抜け出すことを阻害しているか」を理解し、阻害要因をひとつひとつ取り除いていくことです。大きな阻害要因のひとつが、家族の誤った対応であることが少なくありません。ひきこもりの治療的支援は段階的になされます。(1)家族相談、(2)個人療法、(3)集団適応支援です。家族相談で重要なことは、本人がもう一度他者と触れ合うことができるように家族が協力することです。

漢方と鍼灸

 生活リズム、食生活、運動を基本に心と体の調和を整えていきます。脳の反応穴、身体の症状などから最適な漢方食養生サプリ小児鍼やマッサージを選択します。

熱性けいれん

 乳幼児期に発症するタイプのけいれんの1つです。通常、生後6か月から5歳くらいまでのお子さんに見られるけいれんであり、発熱に伴って起こるものです。日本では10人に1人ほどの方が経験するといわれているありふれたもので、成長発達に問題がないお子さんでもしばしば見られるものです。1回の経験のみの場合もあれば、発熱のたびに起こることもあります。通常、年齢を重ねるにつれて、熱性けいれんを起こすことは少なくなっていきますが、5歳を過ぎても発熱時にけいれんが見られることもあります。一方、発熱がなくてもけいれんが起こるようなことがある場合は、てんかんなど別の原因があると想定されます。熱性けいれんは、発熱を誘発因子として発症するけいれんです。熱性けいれんを起こす年齢層の子どもは、ウイルスや細菌などによる感染症に罹患することが多いため、しばしば発熱する機会があります。熱性けいれんの原因は、現在まで完全には明らかになっていません。しかし、発熱に関連して神経ネットワークの制御が取れなくなることにより、けいれんが起こると推定されています。また、親や兄弟に熱性けいれんの経験があると熱性けいれんを発症する可能性が高まるといわれており、遺伝的な因子が関与しているとも推定されています。38℃以上の高熱時で、通常は熱が出始めてから24時間以内にけいれんが生じることが多く、手足のけいれん・意識消失・顔色不良などが見られます。この間、周囲に対して反応はなく、2〜3分ほどの経過で自然にけいれんは治まります。けいれんが治まった後は、多くの患者さんがしばらく寝てしまいます。典型的な(よくある一般的な)熱性けいれんの特徴は以下のとおりです。ただし、これらのような特徴をもたないタイプの熱性けいれんもあるため、どのようなタイプのけいれんであるかをしっかりと観察することが重要です。

  • 38℃以上の高熱時で、熱が出始めてから24時間以内に起こるけいれん
  • 左右対称性
  • 数分間で自然に治まる

 典型的な熱性けいれんの場合、基本的には脳に対してダメージが残ることはありません。そのため、けいれんを起こしたからといって神経学的な後遺症を残すことはないと考えられます。しかし、熱性けいれん以外にも“発熱”と“けいれん”を主要症状とする病気は数多くあるため注意が必要です。熱性けいれんを診断するためには、発熱してからけいれんが出現したタイミングや、けいれんの形を正確に評価することが重要です。また、周産期の情報、成長発達歴、家族歴なども同時に評価します。最終的に典型的な熱性けいれんと判断される場合には、必ずしも検査をするとは限りません。しかし、経過から熱性けいれん以外の病気が疑われる場合には、追加の検査が検討されます。たとえば、髄膜炎や脳炎・急性脳症、代謝異常症などが考えられる場合には、血液検査(炎症反応、電解質や血糖値など)、髄液検査、頭部CTやMRIなどの画像検査を行います。また、けいれんが起こり始めた当初は38℃以上の高熱を伴っていても、経過を追うごとに熱がなくてもけいれんを起こすようになった場合、てんかんの検査が必要です。子どもが目の前でけいれんしている状況では、落ち着いて対応することは難しいものですが、けがをしないよう周辺の環境に注意し、ベッドや床などに寝かせてあげましょう。また、けいれん中に嘔吐をすると窒息する恐れがあるため、吐物を吸い込まないように、体を横に向けた姿勢にさせるなどの対応が必要です。その際は、顔のみでなく、体全体を横向きにしましょう。なお、けいれん中に体を押さえつけたり、口の中に手や物を入れたりすることは、かえって悪影響であるため控えましょう。発熱時に出現したけいれんが、熱性けいれんかどうかを判断するためには、どのような形のけいれんであったのか、落ち着いて様子を観察することが重要です。携帯電話の録画機能などを利用してけいれん時の様子を収録すれば、病院で経過を説明する際に役立ちますが、どのような形であったかをきちんと説明できるのであれば、必ずしも撮影する必要はありません。熱性けいれんで見られるけいれんは、多くの場合数分以内に治まります。けいれんが治まった場合も念のため医師の診察を受けて、熱性けいれん以外のけいれんを起こす病気がないかどうかを判断してもらってください。5~10分以上けいれんが持続する場合には、けいれんを止めるための薬剤を使用しないと止まらないこともあるため、救急車を呼ぶことも検討します。けいれんが止まった後には追加の治療は通常は必要ありません。しかし、別の病気が原因でけいれんを起こすこともあるため、注意深く経過を見ることは必要です。発熱のたびに熱性けいれんを繰り返す場合でも、典型的な短い熱性けいれんの場合は、現在はけいれんを予防する薬を使わないことが多くなっています。ただし、典型的な熱性けいれんでない場合(たとえば、けいれんが長い、左右対称でない、24時間以内に2回以上けいれんする、発達の遅れがある、家族歴がある、1歳未満、発熱から1時間以内、38℃未満の場合)には、発熱時のけいれん予防薬の使用が検討されます。

漢方と鍼灸

 風邪をひいて高熱が続いた場合、神経がダメージ受けることで発症します。回路が焼き切れるイメージですね。なるべく高熱が続かないように熱を下げてあげる必要があります。またウイルスを叩くために熱が上がるのでウイルスを叩きやすいように免疫をあげる必要もあります。漢方では牛黄、石膏、羚羊角などのはいったものを使います。発熱の反応穴、風邪の反応穴から最適な漢方食養生サプリを選択して改善していきます。

川崎病

 遺伝学的な因子や環境因子などが複雑に関与していると推定されていますが、原因が完全に解明されているわけではありません。また、病気の引き金となるウイルスや細菌など環境因子も発症に関与していることが推定されています。しかし、発症の原因となる単一のウイルスや細菌が特定されているわけではありません。川崎病で見られる症状は、そのまま診断の参考にもなります。

・発熱
・両側眼球結膜の充血
・口唇の赤み・いちご舌(舌にいちごのようなツブツブができる)、咽頭の発赤
・発疹(形状や大きさ、場所が定まらない赤味を帯びた発疹、BCG接種痕の発赤)
・四肢の変化(手足が紅くなりパンパンに腫れる、指先から膜様に皮がめくれる)
・首のリンパ節腫脹

これら6つのうち5つ以上当てはまる際に、川崎病と診断されます。ただし、実際にはこれらの症状がそろわないことも少なくないため、診断が難しいケースもあります。また、心臓を栄養する冠動脈という血管に変化が生じることもあります。最終的には冠動脈瘤と呼ばれる心臓の合併症を起こすことがあるため、慎重に症状を見極めつつ診断し、早期に治療をおこなうことが求められます。川﨑病は、原因が完全に解明されているわけではないため、特定の検査項目によって診断されることはありません。臨床の経過からみられる症状をもとにして診断されます。また、いかに心臓の合併症を残さないかが重要であるため、定期的に心エコー検査がおこなわれます。心エコー検査で冠動脈の大きな変化が確認できる場合には、心臓カテーテル検査などでさらに詳しく調べる場合があります。心臓に対しての合併症(特に冠動脈瘤)を残さないことを目的として治療をおこないます。国際的に広く行われている標準治療は、免疫グロブリンを大量に静脈から点滴投与する“大量免疫グロブリン静注療法”と呼ばれるものです。こうした治療に加えて、血栓(血の塊)ができるのを防いだり、血管の炎症を抑えたりする薬(アスピリン)の内服も同時に行います。日本では、重症の川崎病には病初期から炎症を抑える作用をもつステロイドまたはシクロスポリンを免疫グロブリン静注療法と併用することも行われるようになりました。こうした標準治療に反応がなかった場合は、免疫グロブリンの再投与、インフリキシマブ、シクロスポリン、血漿交換などが選択肢になりえます。どの方法を選択するかは、病状や副作用などを加味しながら決定されます。急性期の治療が奏功せずに冠動脈瘤の形成を残した場合には、抗血栓療法が必要となります。

漢方と鍼灸

 乳幼児を中心に発症し、全身の血管に炎症が起きる川崎病の患者数が、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)以降、3分の2に激減したことがNPO法人日本川崎病研究センターの調査で判明した。川崎病は1967年に故川崎富作氏が報告し、いまだ原因が分からない。患者数の変化から、病気の原因を解明する新たな切り口につなげようと、専門家が調査を進めている(毎日新聞)。発症の原因が菌やウイルスであることがわかります。
 ウイルスや菌の反応穴、各症状から漢方食養生サプリを選択していきます。

流行性耳下腺炎

 おたふく風邪は、ムンプスウイルスに飛沫感染や接触感染することで引き起こされる病気です。“流行性耳下腺炎”とも呼ばれています。耳の下に位置する耳下腺(唾液を作る組織)に炎症が生じることから、同部位の腫れを特徴的な症状とします。両側が腫れた場合におたふくさんのように見えることから“おたふく風邪”と呼ばれます。発症した場合には両側が腫れることが多いですが、片側のみしか腫れない場合もあります。おたふく風邪は、保育所や幼稚園などで集団生活を開始したばかりの小児に多く見られ、6歳までの子どもが発症例の半数以上を占めると報告されています。一度、感染することで生涯の免疫が獲得されますが、中には成人になってから初めておたふく風邪にかかる人もいます。通常は大きな合併症もなく自然に治癒することが多い病気です。しかし、頭痛や吐き気を伴う髄膜炎の合併症は頻度が高く、ときに難聴や不妊の原因になることがあります。特に難聴は発症すると治らず、片側性が多いですが、両側性に発症した場合にはずっと聴力障害を抱えることになります。そのため、子どもも大人も予防接種を含めた感染予防策を徹底することが重要です。
 おたふく風邪を引き起こすウイルスは、ムンプスウイルスです。ムンプスウイルスは感染者の唾液中に大量に存在することから、咳や唾液などを介して感染が周囲に拡散することが知られています。ムンプスウイルスは耳下腺以外の唾液腺(顎下腺、舌下線)、それ以外の膵臓や性腺(精巣や卵巣)など、消化液や精液などの液体成分を生成する腺組織と呼ばれる部位に感染します。その他にもムンプスウイルスは中枢神経に感染しやすいことも知られています。ムンプスウイルスが感染する部位を把握することは、おたふく風邪の合併症を理解するためにも重要です。ムンプスウイルスに飛沫感染や接触感染で感染した後、2~3週間ほどの潜伏期間を経ておたふく風邪の症状が現れます。おたふく風邪は、耳下腺の周りに炎症が生じることから発熱が生じることに加えて、突然耳の下が腫れたり同部に痛みを伴ったりするようになります。片側から腫れることが多く、1~2日ほどのタイムラグを経て反対側の耳下腺も腫れるようになります。片側あるいは両側に腫れが見られますが、両側が腫れることが多く、症状は一週間ほどで徐々に治っていきます。また、唾液を作る組織に炎症が起きているため、食事摂取(特に酸っぱいもの)により唾液分泌が亢進すると、耳の下や顎の下の痛みが強くなるという特徴があります。ムンプスウイルスの周囲への感染力が高い期間は、発症数日前から発症後5日までといわれています。症状が必ず現れるわけではなく、およそ3割の子どもはムンプスウイルスに感染しても症状が現れません 。これを不顕性感染といいます。症状が現れない不顕性感染の人からも感染する可能性があるため注意が必要です。おたふく風邪にはさまざまな合併症を伴うことがあり、“後遺症として残る”という観点から、難聴と不妊の2つはとても重要です。おたふく風邪に伴う難聴はムンプス難聴と呼ばれています。ワクチン接種率が低いためにおたふく風邪の流行が多い日本では見過ごすことのできない合併症のひとつです。毎年、多くの子どもや大人が聴力を失っています。聴覚障害は、主に片側が多いですが両側に難聴が生じることもあります。両側の耳が聞こえなくなると、言語を習得していない子どもでは、聞くことができないために言葉の発達に影響が及びます。部分的な聴力障害であったとしても日常生活に支障をきたすことがあります。ムンプス難聴の場合、聴力は回復することはなく、程度によって補聴器、人工内耳などが必要になります。主におたふく風邪になる機会が多い子どもで難聴が多いですが、その子育て世代の大人がおたふく風邪にかったことがなかった場合には、子どもから感染して難聴になることがあります。不妊は成人期に感染したおたふく風邪は、しばしば性腺(精巣や卵巣)に炎症を生じます。発熱に加えて、腹痛や陰嚢の腫れ・痛みを伴います。片方の性腺だけのことが多いですが、両側に炎症が起きることもあります。両側に炎症が起こった場合、まれに委縮して不妊の原因になることがあります。このほかにも、髄膜炎や膵炎などを合併し、それぞれ頭痛や嘔吐、腹痛などを生じることがあります。これらの合併症は、おたふく風邪が治ったと思われる時期(すなわち、耳の腫れが治まりつつある時期)にも生じることがあります。おたふく風邪の経過中数週間は、合併症の発生にも注意を払うことが大切です。おたふく風邪の診断は、主に臨床所見からなされます。しかし、耳下腺が腫脹する病気はほかにもあるため、判断に迷う際、もしくは合併症を呈して確定診断をすることが求められる場合には、ムンプスウイルス感染を証明する検査が行われます。ウイルス感染を確かめるためには、一般的に血液検査で抗体を調べるという方法がとられます。特殊な状況があるケースではウイルス分離やウイルスの遺伝子を同定する特別な検査が行われることもあります。おたふく風邪の治療は、対症療法が主体です。発熱や耳下腺の痛みに対しては、アセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬が使用されます。症状によっては水分が取れないこともあるため、点滴が適応になることもあります。難聴が生じた場合には、聴覚障害の程度に応じて補聴器や人工内耳を使用します。なお、おたふく風邪を発症した場合は、学校保健安全法で一定期間登校・登園を控えることが定められています。唾液腺が腫れてから5日間が経過して、全身状態がよくなるまでは自宅で安静にしていましょう。判断に困った場合には、かかりつけ医師の話をよく聞き、指示に従うようにしましょう。ムンプスウイルスに対する有効な薬は存在しないことから、ワクチンによる予防接種がとても大切です。ワクチンにおける予防効果は高く、合併症の発生率も有意に低下させると諸外国から数多く報告されています。そのため、多くの先進国では、ムンプスワクチンの定期接種が行われています。日本では、1989年から麻疹・風疹・ムンプスの3種混合ワクチンが定期接種として導入されました。しかし、ワクチン関連の無菌性髄膜炎が多く発生したことを受け、1993年にムンプスの入った3種混合ワクチンの定期接種は中止されています。そのため、現在の定期接種では麻疹・風疹のみの2種混合ワクチンが用いられています。こうした歴史的な背景もあり、日本においては2020年現在、ムンプスワクチンは任意接種ですが、近年ではワクチンの成分が分けられている、より安全性の高いムンプス単独のワクチンも登場しています。おたふく風邪は軽症のことが多いですが、難聴が合併すると回復しないため、子どもも大人もムンプスワクチンで予防するのが望ましいです。過去にかかったかどうか知りたい場合は、血液検査で調べて、かかったことがない場合にはワクチンを受けるべきでしょう。またワクチン接種歴がない場合、血液を調べないでワクチンを行う方法もあります。ムンプスワクチンは2回受けるのが望ましいです。不安を感じたり、判断に困ったりした場合にはかかりつけ医に相談するようにしましょう。

漢方と鍼灸

 ワクチン接種が望ましいと思います。同時に自分の免疫の力を高めるのも大事です。耳下腺、ウイルスの反応穴から最適な漢方食養生サプリを選択し補助としてお勧めいたします。

百日咳

 百日咳菌を原因菌とし、けいれん性の咳発作などを症状とする感染症のことです。小児に多くみられる病気で、1歳未満の乳児(特にワクチン未接種の生後3か月以下)では重症化し、死亡することもあります。大人がかかった場合は咳が長引くものの重症化することは少ないですが、周りの子どもに感染させてしまう原因となります。こうした百日咳による小児の重症化・死亡を防ぐために、世界各国で小児への百日咳ワクチンの接種が進められてきました。日本では定期接種に指定されており、2022年現在ではジフテリア、破傷風、ポリオに対するワクチンを含めた四種混合ワクチン(DPT-IPV)が導入されています。ただし、ワクチンの効果は4~12年で減弱するといわれており、近年では小学校高学年以上を中心に患者が増加傾向にあるといわれています。百日咳は主に百日咳菌を原因菌とした感染症です。百日咳菌と呼ばれる細菌が原因になります。飛沫感染と接触感染が主な感染経路で、細菌を含む飛沫を吸い込んだり、細菌が付着した手で鼻や口などを触ったりすることで感染します。全年齢でかかることがあり、特にワクチン未接種の生後3か月以下では死亡や重症化のリスクが高いといわれています。軽症であっても菌が排出されていることがあり、特に成人では気付かないうちに保菌者となり、ワクチンを接種していない小児に感染させていることがあります。百日咳ワクチンは重症化や死亡の予防に有効で、リスク減少の効果は80~85%です。また、最後に百日咳ワクチンを打ってから4~12年程度で効果の減弱がみられるため、百日咳ワクチンを接種していてもかかることがあります。カタル期、痙咳けいがい期、回復期と呼ばれる3つの経過がみられることが特徴です。これらの症状は、ワクチン未接種の乳幼児でみられることの多い症状です。カタル期は原因菌に感染してから7~10日程度の潜伏期間を経て、通常のかぜのような症状がみられます。次第に咳の回数や程度が強くなります。持続期間は約2週間とされています。痙咳期は約2~3週間にわたって、痙咳と呼ばれる、特徴的なけいれん性の咳の発作がみられるようになります。短い咳が続いた後に、息を吸うときにヒューという笛のような音が出る咳症状が発作的に繰り返されます。また、嘔吐を伴うこともあります。発作は夜間や何らかの刺激が引き金となったときに起こることが多く、発作がないときは無症状であることが多いです。月齢の低い乳児の場合は特徴的な咳発作がみられないことも多く、息を止めているような無呼吸発作がみられ、チアノーゼ(血中の酸素が不足して皮膚が青色に変化すること)、けいれん、呼吸停止に至ることがあります。回復期は激しい咳の発作が次第に治まり、2~3週間程度でみられなくなります。しかし、時折発作性の咳が現れることもあり、完全に回復するのは発症から2~3か月程度です。成人の場合は、咳発作がみられることなく回復期に移行することもあります。ワクチン接種をしている場合は、長引く咳などが症状のことが多いです。症状から百日咳が疑われ、百日咳菌の存在を示す百日咳検査で陽性となれば百日咳と診断されます。また、百日咳検査を行わない場合でも、百日咳の症状があり、さらに百日咳検査が陽性であった人との接触がある場合は百日咳と診断されることがあります。百日咳検査は、原因菌そのものの有無を証明する検査、原因菌の毒素に対しての抗体を血液で調べる検査があります。菌を直接検出するには、鼻の奥や気管から気道分泌物をとって行う細菌培養法があります。菌が多いと顕微鏡で菌がみえることもあります。百日咳菌は特殊な培養法が必要で培養検査ができない医療機関も多く、さらに培養自体も生えにくい菌なので、近年は、細菌の遺伝子検査(PCRやLAMPなど)、迅速抗原検査が行われます。抗体をみる血清診断法は、原則、急性期と回復期の2回の血液検査を行います。検査の方法によって診断のしやすさや検査に適したタイミングなどが異なるため、状況に応じて用いられる検査方法が決められます。百日咳の治療は、マクロライド系と呼ばれる種類の抗菌薬による薬物治療が中心となります。
 特に、発症早期のカタル期に治療を始めるとよい効果が期待できますが、長引く咳になっている段階では、すでに菌はいないことが多く、気管支などのダメージがすでに完成しているのであまり症状の改善は得られません。抗菌薬の使用期間は、使用するマクロライド系の薬によって異なります。また、咳の症状に対しては鎮咳薬などによる対症療法が行われることもあります。呼吸が悪くなった場合には、人工呼吸器で呼吸をサポートしたり、換気ができなくなると人工心肺を使用したりすることもあります。百日咳は、百日咳ワクチンを接種することで80~85%の予防効果があります。日本では四種混合ワクチン(DPT-IPV)として定期接種の対象となっており、生後3~90か月の間に4回接種するように決められています。百日咳は小児で重症化や死亡リスクが高い病気であることから、対象の時期になったらなるべく早く接種を受けることが大切です。現代の最新医療の治療を行っても、ワクチンを接種していない乳児は重症化や死亡へと進行していくことがあり、治療よりもワクチンで予防することが何よりも重要です。ただし、ワクチンの免疫効果は接種後4~12年で減弱し、ワクチンを打っていても感染することがあります。日本小児科学会は、定期接種だけでなく、さらに2回追加して、就学前(5~6歳)、思春期(11~12歳)で三種混合ワクチン(DPT)を任意接種することをすすめています。知らず知らずのうちに重症化しやすい小児に感染させてしまうこともあるため、長引く咳症状がある場合などは、医療機関を受診するようにしましょう。

漢方と鍼灸

 咳を長引かせない、菌を子供にうつさせないことが重要です。上咽頭、気管支、肺、ウイルスの反応のあるツボから最適な漢方食養生サプリツボを選択して治療していきます。

麻疹

 一般的に“はしか”とも呼ばれ、麻疹ウイルスに感染することによって引き起こされる病気のことです。一度麻疹ウイルスに感染したり予防接種を受けたりすると免疫ができるため麻疹を発症することはないとされています。しかし、初めて感染した場合や免疫がなくなった場合などは38℃前後の発熱、喉の痛み、咳、目の充血など“風邪”のような症状が現れ、一度熱が下がった後に再び高熱が出るとともに全身に発疹が広がっていくのが特徴です。重症化すると肺炎や脳炎など重篤な合併症を引き起こすこともあり、乳幼児などでは命を落とすケースもあります。そのため、日本では“1歳児”と“小学校入学前1年間の幼児期”に1回ずつワクチン接種をすることが定期化されています。麻疹は麻疹ウイルスに感染することによって引き起こされます。麻疹ウイルスは空気感染・飛沫感染・接触感染などさまざまな感染経路を持ち、非常に感染力が強いのが特徴です。特に空気感染は一般的な手洗いやマスク着用などの感染対策では予防することができず、感染者と同じ空間にいるだけで感染するリスクが生じます。そのため、公共施設や学校などでの集団感染が起こるケースも珍しくありません。麻疹は麻疹ウイルスに対して抗体(病原体を攻撃するタンパク質)を持たない人が感染すると次のような症状が引き起こされます。まず、麻疹ウイルスに感染すると10~12日間の潜伏期を経た後に38℃前後の発熱が2~4日間ほど続き、体のだるさ、喉の痛み、鼻水、咳、充血、目やになどの症状が現れます。その後いったん熱は下がるものの、半日程度で39℃前後の高熱が現れ、おでこ、耳の後ろ、首などに赤い発疹ができて2日ほどで全身に広がっていきます。この時期には上述したいわゆる“風邪症状”はさらに悪化していきますが、3~4日間すると徐々に熱が下がっていき、さまざまな症状も改善していくのが特徴です。このように、麻疹は通常であれば発症から7~10日間で回復しますが、重症化すると肺炎や脳炎などを引き起こすケースもあり、別の細菌感染による中耳炎などを同時に発症することも少なくありません。また、一般的に小児期にかかったときの症状よりも、成人になってからかかったほうが、より症状が重くなるといわれています。麻疹が疑われる際には、確定診断を下すため、重症度を評価するために次のような検査が必要に応じて行われます。麻疹ウイルスに対する抗体の有無を調べるための血液検査は麻疹の確定診断に必要な検査の1つです。麻疹ウイルスに感染した直後に増える“IgM”と呼ばれる抗体や“IgG”と呼ばれる抗体の量を測定します。また、そのほかに炎症や脱水の有無などの全身状態を確認する目的で血液検査をするケースもあります。ウイルスやウイルス遺伝子の検出は血液、咽頭拭液えき(鼻の奥を綿棒で擦って採取する粘液)、髄液、尿などに麻疹ウイルスや麻疹ウイルスの遺伝子が存在するかどうかを調べる検査が行われます。もっとも確定診断に適した検査とされています。肺炎や脳炎などの重篤な合併症が疑われる場合は、疑われる合併症の種類に応じてX線、CT、MRIなどを用いた画像検査が行われることがあります。なお麻疹は症状のみから疑うことができ、必ずしも上記の検査で麻疹ウイルスが感染したことを確認しなければならないわけではありません。ただし、麻疹は全例が国への届出の対象となっているため、麻疹を疑った医師は保健所と連携して診断します。その際には、ほぼ全例で何らかの検査が行われます。(麻疹患者との接触が明らかで臨床診断できる場合は臨床診断で届出を行います。)また、近年は麻疹の典型的な症状が出現しない“修飾麻疹”が時々見られます。これは、予防接種後に免疫がうまく獲得できなかったり、周囲に麻疹の流行がなかったりしたために強い免疫が維持できていない状態で麻疹にかかり、典型的な症状が出現しない状態です。海外への渡航後や、周囲に麻疹の流行がありワクチン接種が1回の状態で、発熱、発疹などが出現したら、麻疹の可能性も考えて医療機関で確認をしてもらうことも考えましょう。麻疹ウイルスに対する抗ウイルス薬は存在しないため、治療は発熱に対する解熱剤、喉の痛みに対する鎮痛剤などの薬物療法、高熱などによる脱水に対する点滴治療などの対処療法が主体となります。また、別の細菌感染による肺炎や中耳炎を合併した場合は抗菌薬の投与が行われ、重症化した場合は入院したうえで酸素投与などの呼吸管理が必要になるケースもあります。麻疹は重篤な合併症を引き起こすことがあり、さらに麻疹ウイルスは非常に感染力が強いため注意しなければならない感染症の1つです。現在、日本では1歳児と小学校入学前1年間の幼児期の2回にわたるワクチンの接種が予防接種法で定期接種として定められています。なお、ワクチン1回接種では免疫ができる確率は93~95%以上、2回接種では97~99%以上との報告があります。2015年にWHOによって日本は麻疹排除状態(野生株がいない状態)にあると認定されました。日本での麻疹の流行は基本的には海外からの輸入感染症であると考えられますが、排除状態を維持するためにも予防接種は必要です。そのほか、麻疹ウイルスは空気感染、飛沫感染、接触感染によって感染します。そのため、感染者がいる場合はできるだけ同じ空間を共有しないように注意し、地域で麻疹が流行している場合は人ごみに出歩かないなどの対策も必要です。また、空気感染を防ぐことはできませんが、手洗い、手指消毒、マスク着用などの基本的な感染対策も行うようにしましょう。

漢方と鍼灸

 病院の治療に免疫の漢方食養生をお勧めしています。ウイルスの反応穴から最適な漢方食養生サプリを選択してお伝えいたします。

【女性の悩み】の対策と漢方

 「もしも、親や身近な人、あるいは自分自身が【女性特有】の病気になったらどうしよう…」そんな不安を抱いたことはありませんか。
 身近な症状としてのぼせ冷え性などの増加が問題となっています。年を重ねることで、更年期障害(女性)乳腺症などの方が増えています。成人・高齢化社会においても、女性の健康は非常に重要です。

 当院の【女性の悩み】の病気へのこだわりは漢方薬の選薬鍼灸の施術食養生を大切にしていることです。どこに行っても良くならなかった方の最後の砦になりたい、そんな気持ちでアドバイスさせていただきます。

【女性の悩み】の病気と漢方東洋医学

のぼせ冷え性妊娠悪阻習慣性流産妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)不妊症(子宝相談)乳腺炎乳腺症更年期障害(女性)PMS(月経前症候群)月経不順(生理不順)月経困難症膣炎子宮筋腫子宮内膜症・チョコレート膿腫子宮腺筋症子宮下垂・子宮脱子宮頸癌

 自分自身や家族・同僚、友人など周りの人について「女性の悩み」と思われる症状に気づいたら一人で悩まず、不二薬局にご相談ください。

■漢方の不二薬局、はりきゅう治療院 藤巻一心堂へのアクセスはこちら

■遠方の方は、オンライン(電話)でご相談いただけます。

妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)

 “妊娠中の高血圧”が全て妊娠高血圧症候群(Hypertensive Disorders of Pregnancy)ということになり、妊娠中に発症するものだけでなく、妊娠前からの高血圧(高血圧合併妊娠)も含む概念になっています。ここにタンパク尿や胎児発育不全などが加わると、より厳しい対応が必要な妊娠高血圧腎症(Preeclampsia)と診断されます。かつて、妊娠中期以後の妊婦さんに(1)高血圧(2)蛋白尿(3)浮腫(むくみ)といった症状のうち2つ以上が現れた場合、“妊娠中毒症”と病名をつけていました。しかし医学研究が進んでいくにつれ、この中の高血圧だけが特化して母体や胎児に悪影響を及ぼすことが判明してきました。ここから、高血圧と診断された妊婦の方はより慎重に容体を管理する必要があるとして、2005年4月に“妊娠高血圧症候群”という病名を使うことに決定しました。高血圧の基準は収縮期血圧140mmHg以上、もしくは拡張期血圧90mmHg以上です(診察室での計測時)。最近の日本高血圧学会で重視される家庭血圧については産科領域で用いられることも多く、おすすめですが、特別な基準を設定するには至っていません。また、血圧については収縮期血圧160mmHg以上、もしくは拡張期血圧110mmHg 以上を重症とし、より緊急性の高いものとして扱います。妊娠高血圧症候群の原因。どうして妊娠高血圧症候群になるのか。有力な原因としては、胎盤の血管の形成異常および血管内皮の傷害、腎障害などが挙げられている。はっきりとした原因は不明です。しかし、日本人の妊娠高血圧症候群で有力な原因として考えられているものに、胎盤の血管の形成異常および血管内皮の傷害、腎障害、炎症性サイトカイン(サイトカインの詳細はこちらのページ)による影響が挙げられています。ヒトの胎盤は、形成過程で一度子宮側の血管(らせん動脈)を破壊して、より多くの血液が赤ちゃんに行き渡るよう、妊娠10~15週にかけて血管壁の構造を作り直すという特性があります。脳が発達しているヒトや高等猿類は、血流を十分に脳へ届ける必要があるからです。ところが妊娠高血圧症候群のお母さんの体内では、この血管壁の再構成が不十分に終わってしまうのではないか、という可能性が示唆されています。その結果、胎盤を経由して赤ちゃんに到達する栄養素や酸素の授受が不完全になってしまいます。母体はそれを何とかしようと、お母さんの体を高血圧状態にまでして赤ちゃんに栄養素や酸素を流そうとします。これが現在考えられている妊娠高血圧症候群の原因の1つです。しかし、このほかにも考えられている原因はいくつか存在します。たとえば元来の子宮の環境が原因となる説、あるいは遺伝子の問題をとらえる説などがあります。妊娠高血圧症候群になってしまうと子宮や胎盤で血流が滞りがちになってしまうため、赤ちゃんが栄養不足や酸素不足になってしまう可能性があります。低栄養状態になった赤ちゃんは胎児発育不全(FGR)となり、十分にお腹の中で成長しないまま生まれてきます(低出生体重児)。また、低酸素状態になると赤ちゃんが低酸素症になり、それが長期にわたると赤ちゃんの脳にも障害が及んでしまう恐れがあります。最悪の場合、子宮内胎児死亡(お腹の中で赤ちゃんが死んでしまうこと)の可能性も否定できません。現在では、体重制限に対して否定的な見解が増えています。日本人はもともと、そこまで肥満の方は多くいらっしゃいません。むしろ近年は痩せ志向が強く、痩せ型の妊婦さんのほうが多い特徴があります。食事制限で妊娠高血圧症候群が減少できるという根拠はなく、むしろ生まれてきた赤ちゃんが小さくなる可能性が高まります。さらには、お腹の中で低栄養状態だった赤ちゃんが、加齢後に生活習慣病になるリスクが通常の赤ちゃんよりも高まるという仮説(DOHaD説)も挙がっています。そのため、極端な食事制限は弊害のほうが多いと考えられるでしょう。食事面では、“食べない”のではなく“必要以上に食べない”ことを意識することが大切です。妊産婦の体重増加の目安も近年改訂されており、BMI18.5~25.0未満の方であれば、10~13kg程度の増加が適切とされます*。
 また、極端な塩分制限をしても妊娠高血圧症候群を予防する効果はありません。ただし、軽症の場合で妊娠前から塩分を過剰摂取していた妊婦さんであれば、若干の効果が期待できる可能性もあります。目安としては、1日7g~10gが適量です。食事量・塩分量は、妊婦さんの体質や体格によって多少の差が生じますので、主治医や助産師、栄養士とよく相談することが大切です。妊娠高血圧症候群を確実に防ぐ効果的な予防法はまだ見つかっていません。ただし一般的には、休養と睡眠、適度な運動、リラックス(精神安定)は多少効果があるのではないかといわれています。基本的には、妊婦さんは安静にしてもらうことが一番だといわれています。体を動かす仕事に就いている場合は、できる限り早い段階で休職するほうが、妊娠高血圧症候群を予防するという面では無難です。体を横にしていると、赤ちゃんへ届く血流の量が増加します。赤ちゃんを大きくさせるためには、横になることが唯一の方法であり、胎児発育不全の悪化の抑制にもつながることがあります。そして、産婦人科医の下できちんと管理をしてもらうことも重要です。妊婦健診をきちんと受診し、しっかりと周産期管理を受けましょう。リスクの高い方を対象に低用量アスピリンの効果も近年明らかになっており、処方されることがあります。

漢方と鍼灸

 高血圧、妊娠、胎盤の反応穴から最適な漢方食養生サプリツボを選択して改善していきます。水毒、お血、血虚、ミネラルを含む食養生が必要です。

月経困難症

 “生理痛”が非常に強くなる病気のことです。頭痛や腰痛、吐き気、嘔吐、下痢などの症状を伴うことも少なくありません。月経困難症には、子宮などの臓器に異常がみられない“機能性月経困難症”と、子宮筋腫や子宮内膜症などの病気が原因で引き起こされる“器質性月経困難症”があります。手術が必要ない場合の治療法は共通しており、痛み止めや排卵を抑制するための低用量ピル、黄体ホルモン製剤、偽閉経療法などの薬物療法が行われます。月経困難症は若い女性に多くみられ、25歳未満の発症率は40%以上との報告もあります。月経時に強い下腹部痛、腰痛が引き起こされる状態で、日常生活が著しく障害されるケースがあります。月経痛の原因は、成熟した子宮内膜が子宮の壁から剥がれ落ちて排出される際にプロスタグランジンが発生し、それによる子宮収縮と、子宮に栄養を送る血管が攣縮することで子宮の筋肉が酸素不足になることだとされています。機能性月経困難症の明確な発症メカニズムは解明されていない部分も多いですが、若い女性に多くみられることから、まだ成長段階にある小さく硬い子宮から子宮内膜が排出される際に細い子宮頸部を通ることで痛みが起こりやすいこと、精神的な影響などが原因と考えられています。そのほか、子宮の位置や運動不足などの関与も指摘されています。一方、器質性月経困難症は子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮の奇形などの婦人科の病気が原因として挙げられますが、子宮内避妊器具の挿入が過剰な子宮の収縮を引き起こすケースもあります。月経困難症は生理開始1~3日前から開始後2~3日の間に非常に強い下腹部痛が生じるのが特徴です。もっとも痛みが強くなるのは月経開始から24時間とされていますが、痛みのピークや継続期間には個人差が少なくありません。
 また、月経痛だけではなく、頭痛や腰痛、吐き気、嘔吐、下痢、便秘などを伴うこともあります。重症な場合は日常生活を送ることが困難になることもあり、生理痛に対するネガティブな感情がさらに月経痛を悪化させるというケースもあると考えられています。一方で、機能性月経困難症の症状は年齢を重ねること、妊娠・出産を経ることによって改善していく傾向にあるのが特徴です。症状などから月経困難症が疑われた場合は、子宮や卵管、卵巣などの臓器の異常の有無を腟から観察する経腟超音波検査(エコー)などが第一に行われます。
 思春期の患者など性交経験がない場合は、経直腸エコーや経腹エコーで診察することも可能です。丁寧な問診で治療を計画することも可能であり、婦人科診察に抵抗がある人でも一度相談してみるとよいでしょう。機能性月経困難症の場合はこれらの検査で異常はみられませんが、何らかの異常がみられる場合は器質性月経困難症が疑われ、MRIなどの画像検査、子宮鏡検査、血液検査などによる精密検査が行われます。また、骨盤内の広範囲に癒着などが生じている可能性があり詳細な観察や同時治療(癒着剥離)が必要と判断された場合は、腹腔鏡ふくくうきょうを用いた検査および治療を行うこともあります。月経困難症の治療選択肢はここ20年で格段に広がりました。日本では1999年にいわゆる低用量ピル(経口避妊薬)認可されてから、さまざまなホルモン製剤が開発、発売されてきました。機能性月経困難症の場合は、痛み止めを使用することで80%は改善するとされています。痛み止めで効果がみられない場合は子宮内膜の増殖を抑制し、月経量を減少させる効果がある低用量ピルが使用されます。投与開始時にマイナートラブル(気分不快、乳房の張り、頭痛、不正出血など)が起こることもありますが、2~3か月で自然に治まることが多く継続使用が望まれます。ただし、体に合わない場合は担当医に相談し、別の低用量ピルを処方してもらうとよいでしょう。エストロゲン含有量や黄体ホルモンの種類に応じてさまざまなタイプがあり、QOL(生活の質)に貢献する月経回数を減らす連続投与タイプのピルもあります。ジェネリックも出ているため、費用と希望に応じて相談するのがよいでしょう。また、重要な副作用として血栓症のリスクがあるため、水分摂取をこまめに行うことを心がける必要があります。低用量ピルは、閃輝暗点(視野にキラキラした光が現れ、その場所がだんだん暗くなっていくこと)を伴う片頭痛持ちの人は使用できず、血栓リスクが高まる40歳代以降の人など使用を躊躇する場合、黄体ホルモン製剤を使用する選択肢もあります。不正出血は多くなりますが、月経痛の改善効果は高いとされています。そのほか、子宮の中に留置することで黄体ホルモンを放出して子宮内膜の増殖を抑える“子宮内黄体ホルモン放出システム”も重度な月経困難症に対して使用されることがあります。特に出産歴がある人は挿入が容易です。ただし、妊娠希望のある時期は使用できません。一方、続発性月経困難症の場合は、原因となる病気の治療を行う必要があります。治療方法は原因となる病気の状態や月経痛などの重症度によって異なります。症状が非常に重い場合、子宮筋腫や子宮腺筋症、子宮内膜症は子宮・卵巣を温存した手術療法が可能ですが、再発のリスクがあります。妊娠希望がない場合は子宮を摘出する手術が行われることもあります。手術以外の治療法としては、低用量ピル、黄体ホルモン製剤、子宮内黄体ホルモン放出システムのほか、閉経期近くでは偽閉経療法が行われることもあります。ただし、骨量減少リスクがあるため半年程度しか行うことができません。視床下部ホルモンであるGnRHのアナログやアンタゴニスト製剤があり、注射製剤や経口製剤となります。月経が止まるので痛みもなくなりますが、更年期症状が出ることがあります。月経困難症を予防するには、婦人科疾患を持っている場合、原因となる病気の治療を継続して行うことが大切です。一方、機能性の場合ははっきりした原因が分からないことが多く、予防が困難なことも少なくありません。しかし、月経困難症のリスク因子として運動不足や喫煙などの生活習慣が挙げられているため、これらを見直すことで予防や改善を目指せる可能性があります。いずれにせよ、初経年齢の低年齢化と少子化に伴い、女性の生涯月経回数は増える一方です。月経とうまく付き合っていく方法の1つとして、かかりつけの婦人科医を持つことはとても大事なことです。QOLの改善に低用量ピルは有効な治療法となります。

漢方と鍼灸

 女性の生理の周期を止めてしまうのは、自然の摂理として東洋医学では合わない方法です。
まずしっかり生理痛の原因を理解して最適な漢方食養生サプリツボを選択して改善していきます。最後の手段で低用量ピルは有効かと思います。長年低用量ピルを使用していざ妊娠を希望してもなかなか生理が戻らない方を多く見ているとそんなに都合よくは、いかないのだと思います。ですがつらい思いして選択した場合でも生理が戻り生理痛が緩和する、もしくはなくなるお手伝いをしたい。

月経不順(生理不順)

 成熟した女性の体では、約1か月の周期で排卵や、子宮内膜の変化が起こります。排卵後、妊娠に至らなかった場合は、子宮内膜が剥離し血液などとともに排出される“月経”が起こります。月経は25日~38日の周期で起こるのが通常です。月経周期がこの範囲よりも短くなったり長くなったりする状態が“月経不順”で、一般に“生理不順”とも呼ばれます。
 月経不順には、周期が通常より短くなる“頻発月経”と、長くなる“希発月経”があります。また、妊娠していないのに3か月以上月経がない状態を“無月経(続発性無月経)”と呼びます。月経不順の原因には、ストレスや過度の体重減少のほか、卵巣や子宮の病気、ホルモンを調節する脳部位の病気、薬剤の影響などがあります。ストレスなどが原因で一時的に月経周期が乱れることは少なくありません。一方で、ホルモンが乱れ長期的に排卵異常が続くと不妊につながることがあり、腫瘍など治療が必要な病気が隠れている場合もあります。月経不順の原因は多岐にわたるため、月経周期の乱れが続くなど気になる症状がある場合は、産婦人科で相談するとよいでしょう。月経不順の原因には、ホルモンバランスの乱れや卵巣の病気などがあります。ストレス、過度な減量、環境の変化などはもっともよく見られる原因の1つです。自然に改善する場合もありますが、月経不順にはさまざまな原因が考えられるため、異常を感じた場合は自己判断せず、専門医を受診するとよいでしょう。ダイエットや肥満、ストレス、疲労、環境の変化などがホルモンバランスに影響し、短期的に月経が乱れることは珍しくありません。過度な体重減少や過度なストレスはホルモンを調節する“視床下部”という脳部位に影響し、卵巣機能の障害を引き起こすことがあります多嚢胞性卵巣症候群は、月経不順の原因として比較的多い病気です。成熟した女性の5~8%に発症するといわれていますが、この病気自体の原因は分かっていません。男性ホルモンの量が増えることにより排卵しにくくなり月経不順や無月経を引き起こすとされています。そのほか、卵巣の腫瘍や、早発卵巣不全(40歳未満で閉経のような症状が起こる病気)などで卵巣機能が低下すると、月経不順になることがあります。脳下垂体は、月経に関わるホルモンを調節するはたらきをしています。脳下垂体に腫瘍ができたり、その腫瘍を手術で取ったりしたことによって、ホルモンのバランスが変わると月経に影響が出ます。また、甲状腺機能の機能が低下した影響でプロラクチンというホルモンが増えることがあり、排卵を障害し月経不順となることもあります。うつ病やパニック障害の治療のために処方される精神安定剤の影響で、プロラクチンが高まり、排卵が止まることがあります。また、抗がん剤治療や放射線治療、卵巣の手術の影響で、卵巣機能が低下して排卵が障害され月経不順となることがあります。月経が止まる原因として妊娠や閉経がありますが、これらは自然な変化であり病気ではありません。また、初めての月経から数年間は排卵周期が定まらないことも多く、月経不順があっても正常の乱れの範囲内といえる場合もあります。一方、月経不順だと思っていたものが、実は月経ではなく不正出血(月経以外の性器出血)である場合があります。不正出血では、ポリープや子宮の腫瘍、血液凝固異常などほかの病気が隠れている場合がありますので、心当たりがある場合は病院で診察を受けるのがよいでしょう。月経不順では、月経周期が24日以内と通常より短くなる“頻発月経”、39日以上と長くなる“希発月経”、妊娠していないのに3か月以上月経が来ない“無月経(続発性無月経)”、といった症状が見られます。月経不順にともなって、排卵周期の乱れがあったり、排卵が止まっていたりする場合もあります。また、1回の月経の継続日数が普段より長く、あるいは短くなったり、不正出血が見られたりすることがあります。頻繁な不正出血は量が多いときには貧血を引き起こすこともあります。また、ホルモンバランスの乱れによって、骨の量が減少したり、子宮体がんになる確率が高くなったりすることがあるといわれています。長期にわたり卵巣機能の低下が続くと、不妊の原因となることがあります。多嚢胞性卵巣症候群の場合は、無月経や月経不順のほか、男性ホルモンの影響で体毛が濃い、にきびができやすい、太りやすく痩せにくい、といった症状が現れます。また、プロラクチンというホルモンの値が異常に高い状態(高プロラクチン血症)では、妊娠していなくても月経が止まり、少量の母乳が分泌される場合があります。
 月経が遅れている場合には、まず、妊娠でないことを確認します。診断のためには、問診のほか、血中ホルモン濃度の検査や、超音波、CT、MRIなどを用いた画像診断などが行われます。必要に応じて、子宮の細胞や組織を取って検査したり、染色体検査が実施されたりすることもあります。問診では、月経の状態、既往歴、妊娠分娩歴、体重の増減、ストレス、内服薬、家族の既往歴、月経不順以外の症状の有無などについて確認します。栄養状態や骨量の検査が行われることもあります。基礎体温は排卵の有無を確認するために有効なので、基礎体温をつけている場合は問診の際に伝えるとよいでしょう。視診や経腟超音波検査では子宮や卵巣の状態を確認します。細胞の状態を確認したほうがよいと判断された場合は、子宮の細胞や組織を採取して検査することがあります。ホルモンバランスの乱れについては、原因となる部位(視床下部、脳下垂体、卵巣など)と、乱れのパターンを見極めるために、複数のホルモンについて血中濃度を測定します。また、検査のためにいくつかのホルモンを投与し、反応としての出血の状態を確認することがあります。月経不順では、その原因と、妊娠を希望しているかどうかで治療が異なります。初経から間もない、あるいは閉経が近いと月経不順が起こりやすい状態であるため、ひどい貧血などが見られない場合には経過観察となることもあります。原疾患として脳や卵巣などに腫瘍が見つかった場合は、薬物治療または手術による切除を試みることもあります。甲状腺機能低下症に対しては、甲状腺ホルモンを補充することによって排卵が正常に回復することが期待されます。また、服用中の薬剤が原因で高プロラクチン血症となっている場合は、治療中の病気との優先度を考えながら薬の減量や処方の変更を検討し、必要に応じてプロラクチンを下げる薬を使用します。体重減少が原因である場合は、運動の制限や食事内容の調整によって適切な体重を目指します。体重やストレスのコントロールのために心理的なサポートが必要なときには、カウンセリングが行われたり、専門医へ紹介されたりすることがあります。低用量ピルにはホルモンのバランスを整える効果が期待され、症状に応じて処方されることがあります。エストロゲンというホルモンが長期に不足している場合は骨量が減少する危険があるため、ホルモン補充に加えて、カルシウムやビタミンD3が処方されることがあります。妊娠の希望がある場合には、排卵誘発剤が使用されます。

漢方と鍼灸

 黄体ホルモン、卵胞ホルモン、女性ホルモン全般、子宮、卵巣、乳首、自律神経、癌などの異常反応が出ている反応穴から最適な漢方食養生サプリツボを選択して改善していきます。