パーキンソン病・パーキンソン症候群・本態性振戦
パーキンソン病とは中脳の黒質のドパミン産生細胞が減少することにより、パーキンソン病の4大症状である寡動(動きが遅く少なくなる)、筋強剛(筋肉が固くなる)、振戦(ふるえ)、姿勢調節障害などの症状をきたす疾患です。上記のような運動症状に加えて、非運動症状として、便秘や起立性低血圧などの自律神経障害、むずむず脚症候群、嗅覚障害、抑うつや幻視などの精神症状を合併することも知られており、しばしば運動症状の前駆症状として出現します。日本での有病率は10万人に対して100〜300人程度です。
同様の症状を呈しながら、別の病因に関連している疾患をまとめてパーキンソン症候群と呼んでいますが、原因として脳血管性パーキンソニズム、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症などの変性疾患以外の疾患もありますが、特定疾患に認定されているのは進行性核上麻痺 、大脳皮質基底核変性症(大脳皮質基底核症候群)、多系統萎縮症です。
脳は心身の状態をコントロールする総合司令塔です。
脳が出す指令は「神経伝達物質」によって次から次へと伝言ゲームの様につたえられ、運動したり、いろいろな感覚を感じたりします。
パーキンソン病では、神経伝達物質のうち黒質という部位にある「ドパミン」が減少することにより、うまく運動ができなくなります。α-シヌクレインというタンパク質の異常蓄積により、中脳黒質の神経細胞が少しずつ減少し、その機能が失われてくると考えられています。
具体的症状
振戦は座って何もしていない時や寝ている時に、手足が小刻みに震えます。動いたり、何かしようとするときには、震えが止まることが多いのが特徴です。パーキンソン病の最も代表的な症状です。ちなみに区別が必要なものに本態性振戦があります。これははっきりした原因がないにもかかわらず、手や頭などが不随意に(意のままにならずに)震える病気のことです。基本的にふるえ以外の症状はありません。多くの場合、安静にしているときにはふるえは生じませんが、何らかの動作をしている最中や、ある一定の姿勢をとったときにふるえが現れます。本態性振戦は精神的な緊張が高まったときに増強することが多く、疲れやストレスなどがたまったときにも悪化しやすくなる傾向があります。また、本態性振戦は家族内で発症するケースが多いとされており、遺伝的要素が関係している可能性も考えられています。
筋固縮は筋肉がこわばり、身体がスムーズに動かなくなります。歯車のように規則的な動きになる場合を歯車現象、こわばりが続く場合を鉛管(えんかん)現象と呼びます。
寡動・無動は素早い動作ができなくなります。動きが小さくなり、歩いているときにもほとんど手を振らなくなります。一度にいくつもの動作をしようとすると、さらに動きが鈍くなります。
姿勢反射障害は立っているとき、軽く押されるとバランスを崩してしまいます。バランスを崩すと元に戻しづらくなり、転んでしまうことがあります。これは進行すると出てくる症状です。
パーキンソン病のその他の症状
• 歩行障害
o 前かがみの姿勢で小刻みにすり足で歩く
o 歩き出しの一歩が踏み出せない(すくみ足)
o 歩いているとだんだんスピードが速まる(加速歩行) など
• 姿勢の異常
o 腰が曲がる
o ななめに傾いてしまう
o 首が下がる など
• 無表情
o まばたきが減る
o 表情がなくなる「仮面様顔貌」 など
• 嚥下障害
o 食べ物が飲み込みにくくなる
• 字の変化
o 字が小さくなる、ふるえる
o 字を書いているうちにだんだん小さくなる
自律神経の異常
• 便秘
o 初期からあらわれ、90%以上の患者さんにみられる
• 起立性低血圧
o 立ちくらみ など
• 排尿障害
o 夜間に何度もトイレに起きる
o 尿が漏れてしまう など
精神・認知の異常
• うつ状態
o 不眠
o 何をしても楽しくない など
• 認知症
o 計画をたてることがおっくうになる など
感覚の異常
• 幻覚・妄想
o ないものが見える(幻覚)
o 根拠のない思い込み(妄想) など
• 痛み・しびれ
o 関節痛、筋肉痛
o 手足のしびれや痛み など
• 嗅覚の低下
o においが鈍くなる
睡眠障害
• 中途覚醒
o 朝起きるときの筋肉の痛みやこわばり
漢方と鍼灸
漢方は脳の神経の伝達をよくするもの、血液脳関門を通過できるもの、血流改善するものなどを選んでいきます。鍼灸も脳に働くツボを選択します。
難聴
音が耳に入ってから脳に伝わるまでのどこかの段階で障害が起こり、音が聞こえにくくなったり、まったく聞こえなくなったりする症状。音が聞こえにくい、言葉が聞き取りにくい、あるいはまったく聞こえないといった症状のことをいいます。具体的には、音は聞こえているが、何を話しているか分からない。話し声が明瞭に聞き取れず、こもったような音として認識される。大勢の人の中や、雑音がする環境では会話が困難。時計のアラームなど高い音が聞き取りにくいなどです。
原因には生まれつきの先天的なものと後天的なものがあり、脳腫瘍や薬などが影響することもあります。障害の程度はさまざまですが、音がまったく聞こえなくなってしまうこともあります。先天的な原因としては、妊娠期間中の感染症(たとえばウイルス)や内耳の蝸牛奇形を挙げることができます。後天的な原因として頻度が高いのは、加齢による聴力機能の衰えです。そのほかにも、突発性難聴や脳腫瘍、薬による影響などで内耳や脳の聴覚野の機能が低下し、発症に至ることもあります。また、大きな騒音により聴覚障害が生じる可能性があります。そのほかにも、中耳炎、耳垢などが原因となることもあります。0歳代前半の人によくみられます。近視が中等度以上の人では10年ほど早く発症するといわれています。
耳の構造は、「外耳」(入り口から鼓膜までの部分)、「中耳」(鼓膜、耳小骨[じしょうこつ]、鼓室[こしつ]と乳突蜂巣[にゅうとつほうそう])、「内耳」(さらに奥の蝸牛[かぎゅう]と三半規管などがある部分)の3つに大きく分かれています。外耳と中耳は音を伝える役割をしており、内耳は音を感じて脳に伝える役割をしています。これらのどこか、あるいは大脳の聴覚中枢に障害が起こると、難聴を発症します。
難聴は、外耳と中耳の障害によって音がうまく伝わらない「伝音難聴」と、内耳や脳に問題があり、音をうまく感じ取れない「感音難聴」とそれらが合わさった混合性難聴の3種類に分けられます。
• 伝音難聴……中耳炎や外耳炎、耳硬化症、耳あかの詰まり、外耳が閉塞したり、中耳にある鼓膜が破れたり音を伝える耳小骨が骨折などして障害されることにより音が伝わりにくくなる状態
• 感音難聴……加齢性難聴や突発性難聴、ヘッドホン難聴などの音響性難聴、騒音性難聴、低音障害型感音難聴、メニエール病、内耳の蝸牛にある音を感じる有毛細胞が変性・脱落したり、聴神経に腫瘍ができることで音を感じにくくなったりする状態
• 混合性難聴……伝音難聴と感音難聴が合わさった状態
漢方と鍼灸
何年も経っているものは治しにくいと言われているので早い方がいいでしょう。
やはり標治と本治にわける必要があります。発症当時の聞き取りは大事です。めまいを伴うもの、ストレスと関係するもの、老化によるものなどの関係性を探るのと異常個所を特定することも大事です。聴神経の伝達なのか蝸牛の問題なのかを探っていきます。例えば老化の場合、脳の伝達をよくするもので聞こえも良くなってくることが多いです。
煎じ
・小柴胡湯(柴胡・黄芩・半夏・人参・大棗・生姜・甘草)『傷寒論』
かぜで熱があった後、あるいは咳嗽などが続いて難聴になった時に使われたりします。
・柴胡加竜骨牡蠣湯(桂枝・茯苓・牡蛎・竜骨・柴胡・黄芩・人参・半夏・生姜・大棗・大黄)『傷寒論』
・苓桂味甘湯(茯苓・桂枝・甘草・五味子)『金匱要略』
のぼせて顔がポット熱気を帯び、耳が詰まったような時に使われます。
・三黄瀉心湯(黄連・黄芩・大黄)『傷寒論』
のぼせ気味でき分が落ち着かない場合に使われます。
・八味地黄丸(地黄・山茱萸・山薬・沢瀉・茯苓・牡丹皮・桂枝・附子)『金匱要略』
老人性感音性難聴に使われるときがあります。
・蔓荊子散(升麻・木通・芍薬・桑白皮・麦門冬・地黄・前胡・菊花・茯苓・蔓荊子・甘草・生姜・大棗)『仁斎直指方』
など(薬局製剤以外も含む)
飛蚊症
飛蚊症とは、眼球の硝子体が濁ることによって視界に蚊が飛んでいるような影が見える現象です。特に明るい場所で視界に蚊のような影が浮遊し、視界をずらしても影が少し遅れてついてきて、まばたきをしても消えません。影の形は糸くず、雲、蚊、ハエ、アメーバ模様、輪状などさまざまで、大きさや色の濃さも原因や程度によって異なります。
硝子体が濁る原因には、加齢による生理的なものもあれば、網膜裂孔や硝子体出血など病的なものもあり、原因によっては放置すれば失明につながる可能性もあります。
病的な原因の場合には目のかすみや視力の低下を伴うことが多く、生理的な原因で代表的な後部硝子体剥離では飛蚊症の発症前後にピカピカ光るものが見えることがあります(光視症)。生理的な原因は主に加齢によるもので、加齢に伴って硝子体が変化することで起こります。一般的に40歳代くらいになると、水晶体の内部に液体がたまった空間のようなものができてきます。この現象を“液化といい、液化した空間は年齢とともに徐々に大きくなり、それに伴って硝子体が縮小します。この変化によって硝子体が濁ることがあります。また、液化によって生じた空間はやがて破れて内部の液体が流れ出るようになり、これによって硝子体の容積が急激に減少すると硝子体は網膜と接する面から剥がれます。網膜から剥がれた硝子体面には濁りがあるため、突然の飛蚊症を招きます。これを“後部硝子体剥離といい、突然の飛蚊症の原因としてもっとも多く、60歳代前半の人によくみられます。近視が中等度以上の人では10年ほど早く発症するといわれています。
飛蚊症の原因となる病気には、①網膜裂孔、②硝子体出血、③ブドウ膜炎などがあります。①網膜裂孔とは網膜の一部に穴や裂け目ができる状態を指し、後部硝子体剥離を生じたときに、網膜と硝子体の癒着が強い部分や網膜組織が脆弱な部分に裂孔を生じることがあります。網膜裂孔は網膜剥離の原因になるため、飛蚊症は網膜剥離発症の前駆症状である可能性があります。②後部硝子体剥離を生じたときに網膜血管が裂けると出血し、飛蚊症をきたすことがあります。後部硝子体剥離以外でも網膜に出血を生じる病気では、出血量が多いと硝子体中に出血が散布され飛蚊症を生じます。③ぶどう膜炎は虹彩、毛様体、脈絡膜からなるぶどう膜に炎症が起こる病気で、ウイルスや細菌などによる感染に加えてサルコイドーシスやベーチェット病などによって起こります。
漢方と鍼灸
硝子体は東洋医学的には陰であり水です。 水の流れを改善しごみを流していくことが大切です。出血があれば止血の漢方を使います。目の組織は活性酸素に弱いところなので抗酸化力の強い食養生も大切です。鍼灸も同様に壊れた箇所や濁った硝子体の波長を取って究極のツボを探して治療していきます。
【症例】
蚊が飛んでいるように見える。実際の蚊かと思ったら、眼の飛蚊症だったと間違えることもあったよう。
漢方薬と食養生品を飲んでもらい、1か月分飲んで頂きました。まだ、少し黒い物は見える時があるが、蚊と間違えるようなことはなくなったとご報告を頂きました。
煎じ
・決明散(決明子・菊花・防風・車前子・川芎・細辛・山梔子・蔓荊子・玄参・茯苓・山薬・地黄)『証治準縄』
・生熟地黄丸(牛膝・石斛・枳殻・防風・地黄・熟地黄・杏仁・姜活・菊花)『審視瑶函』
・冲和養胃湯(柴胡・人参・炙甘草・白朮・升麻・葛根・黄耆・姜活・芍薬・防風・茯苓・五味子・乾姜)『証治準縄』
・補肝散(羚羊角・防風・人参・茯苓・細辛・玄参・車前子・黄芩・姜活)『証治準縄』
など(薬局製剤以外も含む)
子宮頸がん
子宮頸がんのほとんどは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因であることがわかっています。このウイルスは性的接触により子宮頸部に感染します。HPVは男性にも女性にも感染するありふれたウイルスであり、性交経験のある女性の過半数は、一生に一度は感染機会があるといわれています。しかしHPVに感染しても、90%の人においては免疫の力でウイルスが自然に排除されますが、10%の人ではHPV感染が長期間持続します。このうち自然治癒しない一部の人は異形成とよばれる前がん病変を経て、数年以上をかけて子宮頸がんに進行します。予防としてワクチン接種を若い人に行いますが有効率は60~70%と言われています。子宮頸部異形成はその病変の程度によって、軽度異形成(CIN1)、中等度異形成(CIN2)、高度異形成・上皮内がん(CIN3)の3種類があります。子宮頸部の扁平上皮病変は、軽度異形成、中等度異形成、高度異形成・上皮内がん、微小浸潤扁平上皮がん、浸潤がんと段階的に進展することがわかっています。一方で、腺病変に関しては腺異形成と呼ばれる病変から上皮内腺がん、微小浸潤腺がん、浸潤腺がんと進展すると考えられていますが、その自然史は未だ明らかになっていません。子宮頸部異形成は自覚症状を示さないことが多く、子宮頸がん検診(細胞診)を契機に発見されることが多い病気です。言い換えれば、子宮頸がん検診を受けなければ見つからないと考えてよいでしょう。
子宮頸がんの病気の発生の過程は、がんの前の段階である異形成、子宮頸部の表面だけにがんがある上皮内がん、そして周囲の組織に入り込む浸潤がんに分類されます。
子宮頸がんは通常、早期にはほとんど自覚症状がありませんが進行するに従って異常なおりもの、月経以外の出血(不正出血)、性行為の際の出血、下腹部の痛みなどが現れてきます。
細胞診
Ⅰ 全く異常がありませんⅡa異常なし炎症があったりホルモンバランスのくずれがあると少し活動力のある細胞が出ることがあります。多くは念のため6ヶ月後の検診をすすめられます。
Ⅱb(ⅡRともいいます)異常なし、Ⅱの中でもやや異常細胞に似ているものをⅡbとする事があります。炎症などが原因の事が殆どで3-6ヶ月後に再検査すると異常が消えている事がよくあります。ただたまにクラスⅢの細胞が紛れこんでいる時もあるので再検査をすすめられる事があります。
Ⅲa気を付けて 現在がんが疑われる状態ではありませんが、少し活動力のある細胞が出ている状態です。医師の指示に従い定期的な検診が必要です。しかし、時としてⅢbの状態が紛れ込んでいる時もあるため、時々精密検査をすすめられる時があります。
Ⅲb気を付けて がんではないものの将来がんになる可能性もある。現在のところ、約20%の方が、がんに進行する可能性があると考えられています。この中によく調べると初期のがんが紛れ込んでいる時もあり、この時点では精密検査をうけた方が良いと考えられます。
Ⅳ初期のがんが疑われる。
Ⅴ進行したがんが疑われる。
漢方と鍼灸
ウイルス感染が原因なので免疫の力が大事になってきます。多くの人はがんになる前に叩いてしまうためがんにはなりませんが、何らかの理由で免疫力が弱っていると異形成からがん化してしまう。免疫をあげるものに誰でも合うというものはなく、その人に相性がいいものを選ぶことが大事と思います。
・頸部の異常信号から経絡に落とし込んで鍼灸治療はおこないます。
・漢方治療も同じように免疫力が最大限に働くように体質を変えていくものを選択します。食養生も大切ですね。
【症例】65歳 検査で中等度異形成と診断。ご紹介で相談を受け、漢方と食養生を2か月服用後、再検査で軽度異形成になっています。検査も半年後でいいですよと言われて喜んでいました。
・桂枝茯苓丸(桂枝・茯苓・牡丹皮・桃仁・芍薬)『金匱要略』
初期でまだ体力の衰えない時、下腹部に抵抗圧痛があり、帯下が始まったというようなときにつ合われます。
・芎帰膠艾湯(川芎・阿膠・甘草・艾葉・当帰・芍薬・地黄)『金匱要略』
出血があって、やや貧血状態となり、下腹部に重圧感のある時などに使われます。
・帰脾湯(白朮・茯苓・黄耆・竜眼肉・酸棗仁・人参・木香・甘草・生姜・大棗・当帰・遠志)『厳氏済生方』
出血が続いて、貧血がひどく胃腸が弱い方に使われます。
・八物湯(当帰・川芎・芍薬・熟地黄・人参・甘草・茯苓・白朮・生姜・大棗)『瑞竹堂経験方』
・八珍湯(当帰・川芎・芍薬・熟地黄・人参・白朮・茯苓・甘草・生姜・大棗)『薛立齋』
・附桂湯(附子・桂枝・黄柏・知母・升麻・甘草・黄耆・人参)『医学入門』
など(薬局製剤以外も含む)
6月のお休みについて
[お休み]のお知らせです。
6月4日(日)5日(月)
6月11日(日)12日(月)
6月18日(日)19日(月)
6月25日(日)26日(月)
お電話でのご予約: 03-3300-0455 までお電話ください。
雨の日も、あじさいでリフレッシュできますように。
白斑
白斑は、メラノサイトが喪失することで皮膚に白い斑状の領域が現れる病気です。白斑を発症する人の割合は最大2%です。白斑の原因は分かっていませんが、 皮膚の色素沈着の病気であり、皮膚の メラニン色素を作っている細胞(メラノサイト)に対する免疫系による攻撃が関わっていると考えられます。白斑は家系内で多発する傾向がありますが、自然に生じることもあります。他のある種の病気と一緒に生じることもあります。白斑には 自己免疫疾患(体が自分の組織を攻撃する)が関わっており、甲状腺疾患が最もよくみられます。最も関連性が強いのは甲状腺の活動過剰(甲状腺機能亢進症、特にバセドウ病が原因の場合)と甲状腺の活動不足(甲状腺機能低下症、特に 橋本甲状腺炎が原因の場合)です。 糖尿病、 アジソン病、 悪性貧血の患者でも白斑が発症しやすい傾向がみられます。しかし、これらの病気と白斑の関係は不明です。
白斑が皮膚に対する物理的損傷の後に、例えば化学熱傷や 日焼けに対する反応として生じることもあります。精神的ストレスが引き金となって白斑が生じたことに気づく場合もあります。白斑は、かなりの心理的苦痛の原因になることがあり、特に皮膚の色が濃い人ではその傾向があります。
境界がはっきりした白斑が1~2個生じる人もいれば、体の広範囲にわたって生じる人もいます。まれに、皮膚の表面の大半に生じることもあります。皮膚の色が濃い人ほど変化が際立って見えます。白斑が現れやすい部位は顔面、手足の指、手首、肘、膝、手、むこうずね、足首、わきの下、肛門と陰部、へそ、乳首です。患部の皮膚は非常に日焼けしやすくなります。白斑が生じた部分では毛包からメラノサイトが失われているため、そこに生える毛髪も白くなります。白斑は外観で診断ができ、ウッド灯を用いた検査がよく行われます皮膚の色が自然と元に戻る場合もありますが完治させる治療法はまだ発見されていません 白斑部位は日焼けをしやすく、日光から保護する必要があります。
漢方と鍼灸
・免疫を調整する漢方、血流を良くする漢方、血を増やす漢方、ホルモンを整える漢方、ストレスを軽減する漢方などを食養生食品とともに飲んで頂きます。
・鍼灸では白斑部位の波長から経絡に落とし込んで治療していきます。
黄斑浮腫
網膜の中心(黄斑部)に液状の成分がたまり、眼の中でむくみを起こす疾患です。
糖尿病網膜症、網膜静脈分枝閉塞症などにより、ものを見る際に最も重要な黄斑部に浮腫が生じます。症状として視力低下、変視症、霧視、ぼやけて見える、ゆがんで見えるなどが挙げられます。黄斑浮腫は、さまざまな疾患が原因で起こることがあります。
例えば、網膜静脈分枝閉塞症に伴う眼底出血、糖尿病網膜症、サルコイドーシスやベーチェットなどのぶどう膜炎です。血管から水分が多く漏れ出し、網膜の浮腫(むくみ)となります。
漢方と鍼灸
・血管を強化する漢方、血栓を溶かす漢方、止血する漢方、浮腫をとる漢方、炎症をとる漢方などを考えていきます。
・食養生は炎症がひどくならないよう辛い物、脂ものなどは控えてもらい、利水の食品から選択して摂ってもらいます。
・鍼灸は黄斑部の反応をとり経絡に落とし込んで治療していきます。
煎じ
・苓桂朮甘湯(茯苓・桂枝・甘草・白朮)『傷寒論』
浮腫みなどに使われます。
・五苓散(猪苓・沢瀉・白朮・茯苓・桂枝)『傷寒論』
・黄連解毒湯(黄連・黄芩・黄柏・山梔子)『外台秘要』
充血・炎症を抑制して出血を止めます。
・温清飲(当帰・川芎・芍薬・地黄・黄連・黄芩・山梔子・黄柏)『万病回春』
病状が長引いているときに使われます。
・小柴胡湯(柴胡・黄芩・人参・半夏・甘草・生姜・大棗)『傷寒論』
体質改善の目的で使わることが多いです。
・決明散(決明子・菊花・防風・車前子・川芎・細辛・山梔子・蔓荊子・玄参・茯苓・山薬・地黄)『証治準縄』
・冲和養胃湯(柴胡・人参・炙甘草・白朮・升麻・葛根・黄耆・姜活・芍薬・防風・茯苓・五味子・乾姜)『証治準縄』
など(薬局製剤以外も含む)
黄斑変性症・加齢黄斑変性症
よく眼をカメラに例えると、レンズに相当するのが角膜・水晶体、フィルムに相当するのが網膜です。網膜には視細胞(光を感じる細胞)があって、網膜中心部に密集していて、周辺部ではまばらです。この「網膜中心部で視細胞が密集している場所」のことを「黄斑」「黄斑部」と 呼んでいます。人間は何かものを見ようとする時はいつも黄斑にピントを合わせています。視力が1.0とか1.2とか言っているのは黄斑の働きを示しています。網膜は黄斑以外でも光を感じますが、黄斑から少しずれると相当ぼんやりとしか見えません。普通の視力に換算すると0.04程度です。目を正面に向けた時に横のほうに本を差し出せば、目を動かさなくてもぼんやりと見えます。でも表紙に書いてある文字は読めません。これが黄斑以外の網膜 の見え方です。字を読み取るためには目線をそちらに向ける必要があります。黄斑に焦点を結ぶように目を動かしているのです。視力は黄斑の働きで決まってし まいます。黄斑に異常があると視力はたちまち低下します。逆に黄斑以外の網膜にトラブルが起きていても視力には影響がありません。
黄斑の病気はたくさんあります。それぞれ違う病気で原因も異なりますが、視力を出す中心部で起きる病気という 共通点があるため、いずれも「視力が低下する」「見ようとする部位が歪んだり暗くなったりして見えづらい」という症状があります。
一般に加齢黄斑変性は黄斑部の後ろの脈絡膜に新生血管という異常血管が発生し、黄斑部を障害する病気です。加齢黄斑変性は、欧米人に多く日本人に少ないタイプの萎縮型と、日本人に多い、滲出型に分類されます。
萎縮型加齢黄斑変性は、黄斑部の視細胞がゆっくりやられてゆく病気ですが、滲出型加齢黄斑変性は、「脈絡膜新生血管」という異常血管が突然発生し活動化することによります。この新生血管は、とてももろく破れやすく、また漏れやすいため出血や滲出(血液の中の液体の成分が組織にもれること)により網膜の視細胞が障害されます。
突然見えなくなる病気で、進行が速く、治療を躊躇していると、深刻な網膜の障害を残してしまう病気です。
前駆病変(前段階)
網膜の下のブルック膜にドルーゼンという垢のような塊があったり、網膜色素上皮にシミのうような色がついたりしているのが特徴。
萎縮型
網膜色素上皮細胞やその周辺組織が萎縮し黄斑部の視細胞が死滅していきます 進行は遅く10~20年かけて萎縮し、現在のところ有効な治療法はありません 萎縮型でも途中で浸出型に変わることがあります。
浸出型
網膜の外側にある脈絡膜の毛細血管から、通常は存在しない新生血管が増殖していきます。新生血管は網膜組織を押し上げ、網膜色素上皮を突き破って伸びるうえに、構造がもろくて出血したり、血液成分が染み出したりして黄斑部の機能を阻害します。日本人に多く進行が速いのが特徴です。
特殊型
ポリープ状脈絡膜血管症
発生した新生血管の先端がポリープのうように丸く膨らんでいるタイプで浸出型の40%前後を占めています。ポリープ部分が破れて大出血を起こすことがあります。
網膜血管腫状増殖
網膜内に小さな血管が出来て膨らみ、脈絡膜から生じた新生血管と結合してしまうタイプです。進行が速く治療が困難で、高齢者に多い特徴があります。
漢方と鍼灸
・出血をとめる漢方と水分代謝をよくし老廃物を流す漢方と抗酸化作用が強い食品を食養生として摂っていただきます。
・鍼灸治療は目に関係する経絡の中からその方にとって究極のツボを見つけ治療します。
※症例は個人情報を特定できないよう年齢・性別と主訴も書いてあります。
【症例】75歳、物が歪んで見えるので眼科を受診、注射を一年間打っていたが改善せずご来店。漢方を出して約一か月後、検査を受けると「治っています」「不思議ですね」と言われたそうです。
【症例】70歳 視力も下がり歪んで見える。以前漢方を飲んでみたことがある。視力は少し改善したが見え方は良くならなかった。骨髄炎を治してもらったので今度は目もやってもらえないかとご相談を受ける。3か月目から歪みがとれてきてはっきり見えるようになってきたと報告を受け今も継続中。
煎じ
・苓桂朮甘湯(茯苓・桂枝・甘草・白朮)『傷寒論』
結膜炎に伴う炎症性の浮腫みなどに使われます。
・小柴胡湯(柴胡・黄芩・人参・半夏・甘草・生姜・大棗)『傷寒論』
体質改善の目的で使わることが多いです。
・桂枝茯苓丸(桂枝・茯苓・牡丹皮・桃仁・芍薬)『金匱要略』
瘀血があり、経過の長引くときに使われます。
・桃核承気湯(桃仁・大黄・甘草・芒硝・桂枝)『傷寒論』
など(薬局製剤以外も含む)
黄斑前膜・網膜前膜
黄斑前膜は、黄斑上膜、セロファン黄斑症、黄斑パッカーとも呼ばれ、網膜の中心である黄斑の前に張る線維状のうすい膜ができる病気です。角膜の病気や水晶体の濁り(白内障)と異なり、眼球の奥底に生じます。
最近テレビなどでよく特集される加齢黄斑変性は、網膜の裏側から新しい弱い血管(新生血管)が生えて起きる別の病気です。加齢黄斑変性では、激しい出血が起きたり、黄斑が萎縮してしまうと失明することもあります。一方、黄斑前膜では新生血管が生えないため、出血や萎縮が起きることは少なく、基本的には失明には至らない比較的良性の病気といえます。しかし、見え方が悪くなることにより、生活に支障をきたすこともあります。
高齢者の殆どがかかる白内障は非常に有名な病気ですが、黄斑前膜も網膜の病気の中では最も多い病気のひとつで、40 歳以上のおよそ20 人に1 人がなるといわれています。中でも50 歳から70 歳ぐらいの女性に多い傾向があり、日本の失明原因第1 位の緑内障に合併することもあります。黄斑前膜の症状としては、ゆがんで見える、大きく見える、かすんで見えるなどがあります。
漢方と鍼灸
・膜を分解する漢方、分解された膜を処理する漢方を使います。
・鍼灸は黄斑部にかかっている膜から経絡に落とし込んで治療していきます。
・食養生は抗酸化力の強い食品の中から究極のものを選びます。
※症例は個人情報を特定できないよう年齢・性別と主訴も書いてあります
【症例1】47歳 眼科で黄斑前膜と診断 手術を薦められたのでご相談 漢方を出して約2週間後眼科で診てもらったら膜がなくなっていたと報告を受けました。
【症例2】56歳 眼科で黄斑前膜と言われご相談 漢方を出して約3週間後膜が消失していますよと眼科の先生から言われたそうです。
【症例3】68歳 眼科で黄斑前膜と診断 物が二重に見え視力も低下 漢方をお出しして一か月後視力が良くなったとご報告を頂く その後見え方はあまり変化がないようですというので6か月後、検査をして頂くと黄斑前膜はなくなっていますよ、視力は0.4から0.9に上がっていますよと眼科で言われたと報告してくれました。
【症例4】53歳 眼科で黄斑前膜と診断 物が歪んで見える 漢方をお出しして4か月歪んで見えていたのが良くなってきました。
【症例5】62歳 眼科で黄斑前膜の手術をしたものの見え方は変わらいとご相談 漢方をお出しして3か月後、はっきり見えてきましたとご報告を頂く。
煎じ
・温清飲(当帰・川芎・芍薬・地黄・黄連・黄芩・山梔子・黄柏)『万病回春』
病状が長引いているときに使われます。
・洗肝明目湯(当帰・川芎・芍薬・地黄・黄連・黄芩・山梔子・石膏・連翹・防風・荊芥・薄荷・姜活・蔓荊子・菊花・蒺蔾子・桔梗・決明子・甘草)『万病回春』
眼脂の分泌がある時に使われます。
・桂枝茯苓丸(桂枝・茯苓・牡丹皮・桃仁・芍薬)『金匱要略』
瘀血があり、経過の長引くときに使われます。
・桃核承気湯(桃仁・大黄・甘草・芒硝・桂枝)『傷寒論』
・益気聡明湯(黄耆・甘草・人参・升麻・葛根・蔓荊子・芍薬・黄柏)『東垣試効方』
・還晴丸料(川芎・・蒺蔾子・白朮・木賊・姜活・莬絲子・熟地黄・甘草)『証治準縄』
など(薬局製剤以外も含む)
認知症(総論)
認知症は、脳の病気や障害など様々な原因により、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態をいいます。認知症にはいくつかの種類があります。アルツハイマー型認知症は、認知症の中で最も多く、脳神経が変性して脳の一部が萎縮していく過程でおきる認知症です。症状はもの忘れで発症することが多く、ゆっくりと進行します。
次いで多いのが脳梗塞や脳出血などの脳血管障害による血管性認知症です。障害された脳の部位によって症状が異なるため、一部の認知機能は保たれている「まだら認知症」が特徴です。症状はゆっくり進行することもあれば、階段状に急速に進む場合もあります。また、血管性認知症にアルツハイマー型認知症が合併している患者さんも多くみられます。
その他に、現実には見えないものが見える幻視や、手足が震えたり歩幅が小刻みになって転びやすくなる症状(パーキンソン症状)があらわれるレビー小体型認知症、スムーズに言葉が出てこない・言い間違いが多い、感情の抑制がきかなくなる、社会のルールを守れなくなるといった症状があらわれる前頭側頭型認知症といったものがあります。
認知症には、根本的な治療が困難な認知症と治療可能な認知症とがあります。
根本的な治療が困難な認知症としては、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などの変性性認知症が挙げられます。
治療可能な認知症としては、正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫、甲状腺機能低下症などの内分泌疾患、ビタミンB1欠乏症・ビタミンB12欠乏症・葉酸欠乏症などの欠乏性疾患・代謝性疾患、自己免疫性疾患、呼吸器・肝臓・腎臓疾患、神経感染症など内科的疾患によって起きる認知症があります。処方薬などの薬剤によっても、認知症のような症状があらわれることがあります。(厚生省HPより抜粋)
漢方薬や鍼灸治療
抑肝散を中心に組み立てることが多いですが望聞問切で証をとって、脳の異常波長と照らし合わせて漢方薬、ツボを選んでいきます。養生としては睡眠の質をあげる、舌の運動、体の筋肉を鍛えたり、新しいことをやったり、指の体操や刺激など楽しくやれることから取り組んでいけたらいいですね。食養生としては抗酸化力の豊富なもの、DHA.EPA,フレッシュなオリーブオイル、ビタミン、ミネラルをバランスよく摂りましょう。
タンパク質の変性と蓄積が起こる原因はまだ解明されていません。タンパク質の変性を止めることと蓄積したものを溶かすまたは流すことがポイントになってきます。
※症例は個人情報を特定できないよう年齢・性別と主訴も書いてあります
【症例】78歳男性 畑仕事に急に行かなくなりご家族からご相談。漢方を送って飲み始めて3週間後、自分で農作業に行き始める。また以前に脳梗塞で少し呂律が回りにくいしゃべりだったのが元に戻った。びっくりして奥様も飲みたいと言ってご夫婦で継続中。
認知症(各論)