眼底出血
『眼底』とは、眼球の内部、奥の部分のことをいいます。眼底には、網膜・脈絡膜や視神経、血管などの大切な組織があります。『眼底出血』は、多くの場合は網膜の出血のことを指します。網膜の中心部である黄斑部は、中心視力にとって最も大切な部分です。
糖尿病・高血圧によるものが代表的ですが、加齢黄斑変性・網膜静脈閉塞症・網膜細動脈瘤・糖尿病網膜症・高血圧網膜症・網膜剥離・外傷・全身の血液疾患(腎臓病・白血病)などが原因になるものもあります。眼球内に出血が溜まり急激に視力が下がる硝子体出血という重症のタイプもあります。出血そのものの症状は、飛蚊症・視野障害・視力低下などです。しかし黄斑(おうはん)という感度の高い中心にでると、見にくい場所をはっきり自覚するようになります。したがって、健康診断で発見されることも多いです。両目で普通にみていると気づきにくいため、ときどき片目ずつで見てみると発見できることがありますので是非ためしてみてください。
漢方と鍼灸
出血を止める漢方、血栓を溶かす漢方、動脈硬化を改善する漢方を組み合わせます。鍼灸では出血箇所の波長から経絡に落とし込んで治療していきます。
【眼の症状】でお悩みの方
「もしも、親や身近な人、あるいは自分自身が目の病気になったらどうしよう…」そんな不安を抱いたことはありませんか。
小児における流涙症(涙目)、ドライアイ、麦粒腫(ものもらい)の増加が問題となっています。大人も眼を酷使することによって、飛蚊症、結膜炎など不調を訴える方が増えています。高齢化社会においても、眼の健康は非常に重要です。現在、中高年の失明原因の1位は緑内障、2位は糖尿病網膜症で、網膜色素変性症、加齢黄班変性がそれに続きます。
当院の眼の病気へのこだわりは漢方薬の選薬、鍼灸の施術と食養生を大切にしていることです。どこに行っても良くならなかった方の最後の砦になりたい、そんな気持ちでアドバイスさせていただきます。
流涙症(涙目)、ドライアイ、結膜炎、眼底出血、黄斑変性症・加齢黄斑変性症、黄斑前膜・網膜前膜、黄斑浮腫、網膜剥離、中心性網膜炎・中心性漿液性脈絡網膜症、眼精疲労、麦粒腫、飛蚊症、網膜静脈閉塞症・網膜分枝静脈閉塞症、原発開放隅角緑内障・原発閉塞隅角緑内障・正常眼圧緑内障・続発緑内障・発達緑内障、白内障、結膜結石、眼瞼下垂症、眼痛、網膜色素変性症、ブドウ膜炎、その他
自分自身や家族・同僚、友人など周りの人について「眼の症状でお悩み」と思われる症状に気づいたら一人で悩まず、不二薬局にご相談ください。
■漢方の不二薬局、はりきゅう治療院 藤巻一心堂へのアクセスはこちら
■遠方の方は、オンライン(電話)でご相談いただけます。
結膜炎(アレルギー性結膜炎・感染性結膜炎・感染性角膜炎)
アレルギー性結膜炎とは、目の表面に花粉などのアレルゲン(アレルギー反応を引き起こす物質)が付着して、結膜に炎症を起こす病気です。結膜とは、まぶたの裏側と白目の部分を覆っている粘膜のことです。花粉などが原因の、特定の季節にのみ症状があらわれるものを季節性アレルギー性結膜炎といい、一年中症状がみられるものは、通年性アレルギー性結膜炎といいます。重症のものでは、子どもに多くみられる春季カタル、ソフトコンタクトレンズを使っている人にみられる巨大乳頭結膜炎などがあります。アレルギー性結膜炎では次のような症状が引き起こされます。目のかゆみ、目の充血、目の異物感、目やにが出る(涙のようにサラサラした水状のもの)、涙が出る、まぶたの裏にぶつぶつができます。
感染性結膜炎は、細菌やウイルスが目に感染し、白目の一番表面の膜である結膜に炎症を起こす病気です。目に不快な症状があらわれることがほとんどですが、プール熱のように目の症状だけでなく、のどの痛みや発熱といった、かぜに似た症状を引き起こすこともあります。
感染性結膜炎の主な症状は、涙が出る、目がゴロゴロする、目やにが出る、目が赤い(充血する)、プール熱の場合:発熱・のどの痛みです。感染性結膜炎の原因には、大きく分けて、細菌による感染と、ウイルスによる感染があります。
細菌性結膜炎の原因菌はインフルエンザ菌や肺炎球菌、黄色ブドウ球菌などです。黄色ブドウ球菌は、健康な人ののどや鼻、皮膚、手指、毛髪、腸管などにも分布しています。感染力が弱いため、感染の危険は大きくありませんが、目にケガをしたとき、病気などで身体の抵抗力が落ちたとき、子どもの場合は、感染しやすくなります。
ウイルス性結膜炎の原因の多くはアデノウイルスです。アデノウイルスは感染力が強く、多くの場合は人から人へと感染するので、注意が必要です。「はやり目」や「プール熱」もアデノウイルスによる感染性結膜炎です。結膜炎の症状がおさまってきた頃に、黒目(角膜)の表面に小さな点状の濁りが出てくることがあります。このときに治療をやめると、角膜が濁って視力が落ちることがありますので、治ったかなと思っても、治療を続けるようにしましょう。
感染性角膜炎とは、角膜に細菌やカビなどが感染して、炎症を起こす病気のことです。角膜とは黒目にあたる部分で、通常は涙に覆われて外部からの刺激や病原体の侵入から守られています。しかし、角膜に傷が付いている場合には細菌などの病原体に感染しやすくなり、目の痛み、目がゴロゴロする、目の充血、涙が出る、まぶたが腫れる、黒目が白くなるなどの症状がでます。基本的には両目ではなく、片方の目だけに症状が出るようです。
また、感染性角膜炎は放置しておくと角膜潰瘍を起こすこともあります。角膜潰瘍では、病巣が角膜の内部にまで広がって、黒目が白く濁ったり、視力が低下したりすることもありますので注意が必要です。
細菌性角膜炎は細菌によって起こる角膜炎です。ゴミや砂などの異物が目に入ったり、コンタクトレンズの装用で角膜にキズがついたりしたときなどに起こります。放置すると失明の危険がありますので、一刻も早い治療が必要となります。
真菌性角膜炎は、カビ(真菌)によって起こる角膜炎です。植物などによる外傷、ソフトコンタクトレンズの連続装用、ステロイド剤の長期点眼などにより起こることがあります。細菌性のものに比較して、症状が出るまで日数がかかるのが特徴です。
角膜ヘルペスは、多くは乳幼児の頃に初感染を起こし、身体の中の神経組織(神経節細胞)にひそむようになります。一旦、神経組織にひそんでいたウイルスは、発熱、紫外線被爆、ストレスなどをきっかけにして再び活動を開始し、角膜へ移動して角膜炎を起こします(再発)。これが角膜ヘルペスです。
アカントアメーバ角膜炎は、池や沼などの淡水に広く分布するアメーバという目にみえない微生物によって起こる角膜炎です。近年、アメーバによる角膜感染がコンタクトレンズの装用者に激増し、注目されています。アメーバは水道水の中にも存在していて、日常の手入れに問題があり、アメーバにより汚染されたコンタクトレンズを装用することにより起こります。夜も眠れないほどの激しい目の痛みが特徴です。
漢方と鍼灸
目の粘膜を保護する漢方、細菌性にものは抗菌作用の漢方、ウイルス性のものは抗ウイルス作用の漢方、炎症を止める漢方、免疫力を高める漢方などをお出しします。鍼灸は免疫力を中心に治療していきます。
流涙症(涙目)
涙目の原因としては、涙腺で作られる涙の分泌自体が増加すること、または涙の排出路の一部が阻害されることが考えられます。涙目の一般的な原因には、上気道感染症、アレルギーによるもの(アレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎)、涙道障害もなどがあります。
その他の原因としてドライアイがあります。これは眼の表面が乾くことでそれに対する反射により涙腺から涙分泌が刺激されることで起こります。また眼球内への異物混入やまつ毛など眼球に対する刺激でも起こります。また鼻涙管という目と鼻をつないでいる通り道が狭くなることでも排出が悪くなり、涙目の原因となります。生まれつき詰まっていると先天性涙道閉塞の診断となります。加齢による変化、年齢とともに白目(結膜)がゆるんでシワができ、そのシワが堤防のようになって涙が外にあふれ出る場合もあります。また白内障の初期の段階や涙の分泌を支配する三叉神経の異常によるもの、一部の抗がん剤の副作用などでも詰まりやすくなり、この場合は後天性涙道狭窄と呼ばれます。また涙嚢の慢性的な感染症などでも涙の分泌が増加されます。
漢方と鍼灸
まず原因を把握するため問診は必要です。ドライアイが原因なら目を潤す漢方、通り道が塞がっているなら通す漢方、細菌性のものなら抗菌漢方、アレルギー性のものならそちらの漢方となります。鍼灸でも原因となるところの波長をとり経絡に落とし込んで治療していきます。アレルギー体質の方の流涙症に半夏厚朴湯で効いた方がいらっしゃいます。
7月のお休みについて
[お休み]のお知らせです。
7月2日(日)3日(月)
7月9日(日)10日(月)
7月16日(日)17日(月)
7月23日(日)24日(月)
7月30日(日)31日(月)
お電話でのご予約: 03-3300-0455 までお電話ください。
雨の日も、リフレッシュできますように。
ハンチントン病
ハンチントン病とは、第4染色体に局在するハンチンチン遺伝子(HTT)の変異によって、不随意運動などの運動症状、精神症状、行動異常、認知障害が現れる遺伝性の神経変性疾患です。このような症状は、運動機能や認知機能などをつかさどる脳の大脳基底核や大脳皮質が萎縮することで生じ、突然発症した後ゆっくりと進行していきます。
主に成人になってから発症し、30歳代に多い傾向がありますが、小児期に発症することもあれば高齢期になって発症することもあります。20歳以下に発症するものは若年型ハンチントン病と呼ばれ、その割合は全体の10%程度とされています。日本におけるハンチントン病の頻度は100万人あたり7人程度と非常にまれな病気です。現在のところ根治的な治療法はなく、国の難病に指定されています。
ハンチントン病では、脳の大脳基底核や大脳皮質が萎縮することによって、不随意運動をはじめとする運動症状、性格変化や行動変化などの精神症状が現れ、徐々に認知障害も出てくるようになります。
運動症状は舞踏運動と呼ばれる不随意運動です。これは自分の意思とは無関係に体が動いてしまう不随意運動の一種で、手先が不規則に動く、首を動かす、しかめ面をする、頻繁にまばたきをする、舌打ちをするなどの症状が現れます。お箸を使う、字を書くなどの細かい動作がしにくくなることも多く、また同じ動作を続けるのが難しくなるために物を落とす、転ぶなどの症状もみられます。発症初期には、一見落ち着きがないように周囲から見られることが多いです。病気が進行するとあらゆる動作がしにくくなって、歩く、食べる、話すなどの動作も困難になっていき、日常生活に介助が必要な状態となります。
精神症状としては、怒りっぽくなる、不機嫌になる、感情が不安定になるなどの性格変化、何かにこだわって同じことを繰り返すといった行動変化がみられることがあります。
意欲の低下、幻覚、妄想、うつ状態、不眠などの症状が現れることもあり、衝動的に自殺を図ろうとする場合もあります。
認知障害においては、アルツハイマー病などの病気と異なり、ハンチントン病では物忘れや記憶障害が軽い場合がほとんどで、記憶障害よりも注意力や遂行能力の低下が表立ちます。
漢方と鍼灸
難病指定ですが、病名にとらわれないで証をとらえていくことが東洋医学では大切です。鍼灸も脳の異常箇所の波長から経絡に落とし込んでツボを見つけ治療していきます。
手掌多汗症
幼少児期あるいは思春期頃に発症し、精神的緊張によって手のひらに多量の発汗を認める病気です。多汗症は全身の発汗量が増える“全身性多汗症”と、体の一部に限って発汗量が増える“局所性多汗症”に分類され、手掌多汗症は局所性多汗症に含まれます。症状が現れる部位として、手のひらのほかに足裏、頭部・顔面、腋わきなどがあります。手のひらと併せて足裏に多汗症が生じることも多く、手のひらと足裏に限って発汗するものを掌蹠多汗症と呼びます。
手掌多汗症の主な原因は、精神的緊張によるものといわれています。どのようにして起こるかについてはまだはっきりと分かっていませんが、発汗を司る交感神経がほかの人よりも過敏に反応しやすいのではないかと考えられています。また、近年は家族内での発症が報告され、一部の患者には何らかの遺伝子が関係している可能性が指摘されています
例えば大勢の前で話す時、手に汗を握るという言葉があるように緊張によって交感神経が興奮し手に汗をかきます。精神的な緊張が強い時や物を持つ時などに、一時的に両方の手のひらに多量の汗を認めます。症状が重い場合には時にしたたるほどの発汗がみられ、手のひらが常に湿って指先が冷たくなり、紫色になることがあります。発汗量は日中に多く、寝ているときには発汗しないのが特徴です。季節による発汗量の変動もみられ、寒い時期には発汗量が減少し、暑い時期には発汗量が増加する傾向にあります。また手のひらに多量の汗をかくことで書類に汗染みができる、握手の際に相手に不快感を与えるのではないかと感じる、したたる汗で電気機器が破損するなど日常生活に大きな支障をきたします。これによってQOL(生活の質)が低下するばかりか不安症(不安障害)や対人恐怖症になる人もいます。
漢方と鍼灸
精神的緊張があると気は上昇したり逆流したりします。緊張をほぐす漢方、気の上昇を抑える漢方など体質によって漢方も違いますので問診が必要です。鍼灸も自律神経の緊張具合を見るツボから経絡に落とし込んで治療していきます。緊張して答案用紙がぐしょぐしょになって破れてしまう相談をうけ良くなった例があります。
・四逆散(柴胡・芍薬・枳実・甘草)『傷寒論』
柴胡は、イライラ、緊張などの精神的ストレスを緩和します。芍薬・甘草は鎮痙作用があります。
・荊芥連翹湯(黄連・黄芩・黄柏・山梔子・当帰・川芎・地黄・芍薬・連翹・荊芥・薄荷・防風・柴胡・白芷・桔梗・枳殻・甘草)『一貫堂』
内分泌のバランス調節をする柴胡四物湯に抗炎症剤の黄連解毒湯が加わり、排膿薬が加わった薬方になります。
・桂枝竜骨牡蛎湯(桂枝・芍薬・生姜・甘草・大棗・竜骨・牡蛎)『金匱要略』
桂枝湯に竜骨と牡蛎が加わった方剤です。竜骨・牡蛎には鎮静作用・抗不安作用があります。
・防己黄耆湯(防已・黄耆・白朮・生姜・甘草・大棗)『金匱要略』
防已・白朮の利尿作用と黄耆で肌表の水をさばいて、自汗・盗汗を治します。
など(薬局製剤以外も含む)
麦粒腫(ものもらい)
ものもらいとは、まぶたにある脂腺(脂の分泌腺)や汗腺(汗の分泌腺)に細菌感染が生じる病気のことです。“ものもらい”の語源は、“ものをもらうと治る”という江戸時代の民間療法からとされています。医学的には麦粒腫とも呼ばれ、その名のとおりまぶたに麦のような大きさのしこりが形成されます。しこりは痛みや発赤、腫れを伴い、重症な場合にはまぶた全体が赤く腫れることもあります。目の違和感や物の見え方の異常といった症状が現れることもありますが、数日でしこりが自然に破れて内部にたまった膿うみが排出されると回復していきます。一方で、重症化した場合はしこりを切って膿を排出させる治療が必要になることもあります。
特に、まぶたの深いところで発症する内麦粒腫は外麦粒腫に比べて症状が強く現れ、まぶた全体が赤く腫れ上がることも少なくありません。また、発熱や悪寒といった全身症状を伴うこともあるとされています。さらに、ものもらいを発症すると目のゴロゴロとした違和感や目の充血、流涙、まぶしさを感じるといった症状が現れることも多く、重症な場合には目を開けることができなくなることも多々あります。ものもらいは、まぶたの縁に存在するツァイス腺(まつ毛の毛根にある脂腺)、モル腺(汗腺)、マイボーム腺(涙の蒸発を防ぐ脂腺)に細菌感染が生じることによって発症する病気です。一般的に、まぶたの浅い部分にあるツァイス腺やモル腺に発生したものを“外麦粒腫”、まぶたの深い部位にあるマイボーム腺に発生したものを“内麦粒腫”と呼びます。
根本的な原因は細菌感染によるものですが、多くは黄色ブドウ球菌など皮膚に潜んでいるありふれた細菌によって引き起こされます。それらの細菌が付着した手で目をこすったり、それらの細菌で汚れたコンタクトレンズを使用したりすることで、汗腺やまつ毛の毛根、マイボーム腺などに細菌が入り込んで発症するのです。さらに、ものもらいは風邪をひいたり疲れがたまったりしているなど免疫力が低下しがちなときに発症しやすいのも特徴の1つです。
漢方と鍼灸
抗菌作用の漢方、炎症をとる漢方、膿を排出する漢方、免疫力を高める漢方などを用います。患部の波長をとり経絡に落とし込んで治療していきます。
中心性網膜炎・中心性漿液性脈絡網膜症
中心性網膜症とは、網膜の一部に水が溜まってしまい、ものが歪んで見える、見えにくい、などの症状が出現する病気です。また、中心性網膜症は「中心性漿液性脈絡網膜症」とも呼ばれます。中心性漿液性脈絡網膜症とは、網膜剥離を起こす病気の一種類を指します。中心性漿液性脈絡網膜症では、視力を司る網膜の中でも良好な視力を形成するのに重要な生命線的な意味合いを持つ「黄斑」と呼ばれる部位に網膜病変が生じます。網膜の中でも「中心窩」と呼ばれる部分は最も視力に鋭敏な部分です。この中心窩を囲う形で「黄斑」と呼ばれる部分が存在しますが、この部分も視力の形成になくてはならない生命線としての働きを示しています。黄斑部を含めて、網膜は外側から脈絡膜と呼ばれる膜で覆われています。網膜は脈絡膜と連絡を取り合い、栄養分や不要物などの交換を密に行っています。しかし、中心性漿液性脈絡網膜症では、網膜と脈絡膜の適切な関係性が破綻してしまっています。その結果、黄斑部を中心にむくみが生じ部分的に網膜剥離を来してしまうことになります。
中心性網膜症の原因は、完全に解明されているわけではありません。しかし、30~50歳代の働き盛りの男性にみることが多い疾患であり、発症に過労やストレスが関与していることが疑われています。その他、妊娠や、ステロイドなども発症の誘因になると言われています。中心性網膜症を発症すると、網膜のなかでも特に黄斑と呼ばれる部位がむくんでしまいます。黄斑部は網膜の中心に存在する場所であり、視力形成に重要な役割を担っています。そのため、特に中心部の視野に異常を来します。
中心網膜症では、多くの場合片側の目に症状が出現します。具体的には、視界の中心が暗く見えたり(中心暗点)、ものが歪んで見えたり(変視症)します。また、ものが実際よりも小さく見える「小視症」と呼ばれる症状を呈することもあります。色が実際と異なって見える色覚異常なども生じます。病状が改善すると、こうした症状も改善することが期待できます。しかし、病状が長引いたり再発を繰り返したりすることで徐々に視力低下につながることもあります。
漢方と鍼灸
ストレスがあれば、緩和する漢方、黄斑浮腫があれば浮腫みをとる漢方、充血や出血をしていればそれらをとる漢方、抗酸化力の食養生も大事です。黄斑部の浮腫の波長をとり経絡に落とし込んで究極のツボを治療していきます。
水頭症
水頭症とは、脳や脊髄の表面を流れる“脳脊髄液”の循環や吸収に異常が生じ、脳脊髄液を産生する場である“脳室”が拡大する病気のことです。脳は頭蓋骨に覆われていますが、外部からの衝撃がダイレクトに加わるのを避けるため、脳脊髄液と呼ばれる液体に浮かんだ状態で存在しています。脳脊髄液は、脳の中にある脳室と呼ばれる空間で産生され、脳や脊髄の表面に排出されると、循環しながら流れて毛細血管に吸収されていくと考えられています。通常、成人では約150ml、小児では約100mlの脳脊髄液が循環していますが、脳室では1日に約500mlもの脳脊髄液が産生され、常に入れ替わりが生じているのです。
水頭症は、脳室内での脳脊髄液の流れが悪くなることによる“非交通性水頭症”、脳室を出た後に脳脊髄液の循環や吸収に異常が生じることによる“交通性水頭症”に大きく分けられ、それぞれ原因や現れる症状、治療方法が異なります。
非交通性水頭症は、中脳水道狭窄症など生まれつきの病気によって発症しやすいタイプの水頭症です。乳児期は頭蓋骨を構成する骨同士が完全にくっついていないため、水頭症を発症すると脳の拡大に伴って頭囲も拡大するのが特徴です。一方、乳児期以降で頭蓋骨の骨が完全にくっついた後に発症すると頭囲の拡大は生じなくなるものの、脳室の拡大に伴って脳圧(脳の中の圧力)が上昇し、頭痛や嘔吐、意識障害などの症状が現れるようになります。
交通性水頭症は成人に多く見られるタイプの水頭症です。非交通性水頭症と同じく脳室の拡大は生じますが、脳室内の脳脊髄液の循環経路自体は正常であるため脳圧は非交通性水頭症よりも上昇せず、正常値であることも少なくありません。そのため、頭痛や嘔吐などの症状が現れることはほとんどないとされています。
また、脳圧が正常値の水頭症を“正常圧水頭症”と呼びますが、このタイプでは歩行障害、認知機能障害、尿失禁の3つの特徴的な症状が現れます。高齢者に多く見られる水頭症ですが、加齢によって現れる身体的変化と症状が似ているため、発見されずにいるケースも多いと考えられています。
さまざまな原因によって発症する病気ですが、前述した通り“非交通性水頭症”と“交通性水頭症”の2つのタイプに分けられ、それぞれ次のようなことが原因となります。
交通性水頭症は、上で述べた脳脊髄液の循環経路のなかで脳や脊髄の表面を覆うくも膜下腔が狭くなっていたり、脳脊髄液の吸収がうまくできなくなったりすることによって引き起こされる水頭症です。主な原因としては、頭蓋内出血や髄膜炎、脳腫瘍、生まれつきの脳の形態異常などが挙げられます。
脳脊髄液は脳の中の“脳室”と呼ばれる部位にある脈絡叢で産生されます。脳室はその名の通り脳の中にある空間で、ヒトには4つの脳室があります。脳脊髄液は左右の大脳半球内に対になって存在する“側脳室”、“第3脳室”、“第4脳室”に流れたのち、脳や脊髄の表面にある空間“くも膜下腔”に流れ込んで循環していきます。
非交通性水頭症は、この経路のうち、脳室内で脳脊髄液の流れが悪くなることによって引き起こされる水頭症です。代表的なものでは、第3脳室と第4脳室の通り道である中脳水道が生まれつき狭い中脳水道狭窄、脳室内部の腫瘍や出血などが原因として挙げられます。
漢方と鍼灸
水頭症を起こす原因を明らかにし器質的なものは難しいですが、その他の原因で起きている場合、アプローチの仕方は様々です。基本的には水の流れを良くする漢方、出血を止める漢方、炎症を抑える漢方、免疫を高める漢方などを体質と合わせて組み合わせていきます。鍼灸では流れが悪い箇所の波長を取り経絡に落とし込んでツボを見つけ、治療していきます。